広島大学 光り輝き入試の対策。講義を聞いてから書く小論文と、Ⅰ型・Ⅱ型の違い
広島大学の光り輝き入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)を令和9年度の学生募集要項に沿って整理しました。共通テストの有無で分かれるⅠ型・Ⅱ型、講義を受講してから書く総合科学部の小論文、150分書く教育学部、理学部の女子枠までを解説します。
広島大学の総合型選抜・学校推薦型選抜には、「光り輝き入試」という名前が付いています。要項に意図が書かれています。
受験者一人ひとりの長所を最大限評価することにより、将来、社会において光り輝く人材の入学を期待するという意図が込められています。
名前は1つですが、中身はⅠ型とⅡ型に分かれ、さらに国際バカロレア型・社会人型・フェニックス型など複数の型があります。実施学部は総合科学部から情報科学部まで11学部。国公立のなかでも実施範囲が広い部類です。
この記事は、公開されている令和9(2027)年度の学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・基準点は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:広島大学 令和9年度 学生募集要項/令和9年度 光り輝き入試 総合型選抜Ⅰ型・Ⅱ型 学生募集要項(PDF)/令和9年度 入学者選抜に関する要項(PDF)
Ⅰ型とⅡ型——共通テストの有無で分かれる
まず、この2文字を確認してください。
| Ⅰ型 | Ⅱ型 | |
|---|---|---|
| 大学入学共通テスト | 課さない | 課す |
| 決着 | 年内(11月〜12月) | 令和9年2月 |
要項は、選抜の考え方をこう説明しています。
小論文や筆記試験、面接、実技、出願書類、プレゼンテーション、大学入学共通テスト(Ⅱ型のみ)を組み合わせ、学部・学科等それぞれの募集単位で、入学者受入れの方針に従って、きめ細かな選抜を行います。
募集単位ごとに組み合わせが違います。同じ教育学部でも、プログラムによってⅠ型とⅡ型が分かれます。志望先の型を先に確認してください。
学校推薦型選抜のほうは2つだけです。
- Ⅰ型……情報科学部 情報科学科(地方創生枠)
- Ⅱ型……医学部 医学科(ふるさと枠)
総合科学部——最初に講義を受け、その内容で小論文を書く
このサイトの読者にとって、いちばん重要なのが総合科学部【一般型】です。募集12名、Ⅰ型(共通テストなし)。
- 11月21日 小論文 10:00〜12:00(120分)
- 面接 13:30〜
要項の説明を引きます。
小論文:最初に講義を受講し、その後、講義の内容について小論文を作成します。総合科学科で学ぶ上で必要な基礎学力、読解力、論理的思考力、構成力と表現力などを見る問題を出題します(点数化して評価)。
その場で講義を聞いて、その場で書く形式です。事前に用意した答案は使えません。
そして注記が厳しい。
※講義開始時刻を遅刻限度とし、それ以降は入室できません。
通常の試験なら開始から30分程度は遅刻が認められることがありますが、この入試は講義が始まったら終わりです。講義を聞き逃した人は答案が書けないので、当然といえば当然の措置です。
この形式は広島大学だけのものではありません。九州大学 共創学部、神戸大学の「志」特別選抜、岡山大学 医学部保健学科、新潟大学 創生学部、埼玉大学 理学部生体制御学科、慶應法学部FIT入試、中央大学、明治大学、立命館大学にも同じ設計があります。対策の中心は、小論文の書き方より「聞きながらメモを取る技術」にあります。
私大にも同じ形式があります。西南学院大学 経済学部の総合型入試は講義90分+論述試験60分の150分、南山大学の講義体験型は体験授業や課題講義を受けてから小論文を書きます。
変わり種は北九州市立大学 外国語学部 英米学科です。模擬授業も筆記試験も英語で、しかも2次選考の面接でも同じ模擬授業の理解度が問われます。1次で取ったメモが、そのまま2次の材料になります。
配点は小論文300点・面接300点
小論文(300点満点)と面接(300点満点)による評価に出願書類(調査書及び自己推薦書)を加味して総合的に判定します。
第1次選考は出願書類(調査書・自己推薦書)をA・B・C・Dの4段階評価で判定します。点数ではありません。
共通テストがなく、書類は4段階、勝負は当日の600点。このサイトが扱ってきた入試のなかでも、当日型の極にあります。
サイエンス研究評価型はプレゼン600点
同じ総合科学科に、もう1つ【サイエンス研究評価型】(6名・Ⅰ型)があります。こちらは小論文ではありません。
- 11月21日 プレゼンテーション(研究発表)・質疑応答 10:00〜(1人あたり30分程度)
- 研究発表5分間+質疑応答20分程度
- 600点満点
SSH、JSEC、STELLAプログラム、GSC、各種学会のジュニアセッションなどでの発表経験や受賞実績が評価されます。
要項の細かさが際立っています。
プレゼンテーションに使用するスクリーンのサイズは、縦180cm、横240cmで、スクリーンから面接員までの距離は3〜4m程度である。
資料はA4横1ページのPDF1枚。大学側がスクリーンに投影します。この条件で読める資料を作るという制約が、そのまま課題です。プレゼン型入試の対策を参照してください。
文学部——小論文で1次、面接で2次、共通テストで最終
文学部人文学科は募集20名のⅡ型です。3段階に分かれます。
第1次選考……小論文(200点満点)+自己推薦書(A〜Dの4段階評価)
…関心、基礎学力(知識)を問います。また、英文や古典の設問を含むことがあります(点数化して評価)。
英文と古典。現代日本語の課題文だけを想定していると足をすくわれます。英文課題文の小論文に加えて、古典の設問への備えも要ります。調査書は参考資料の扱いです。
第2次選考……11月21日、分野ごとの個人面接(100点満点)
面接はA・Bの2グループに分けて実施されます(9:30〜12:00 / 13:30〜16:00)。グループ分けは第1次選考合格者発表の際に通知されます。
最終選考……大学入学共通テスト
最終合格者となるには、大学入学共通テストで受験を要する教科・科目の得点の合計が、合格基準点(概ね390点)以上であることが必要です。
共通テストは国語200・地歴公民または数学200・外国語200の600点満点。390点は65%です。東大の8割や京大の84%と比べれば、届く水準です。
なお、合格者予定数は分野ごとに5名までという上限があります。募集20名でも、1つの分野に集中して合格することはありません。
教育学部——150分の小論文、翌日に面接
教育学部は12のプログラムに分かれ、プログラムごとにⅠ型・Ⅱ型が違います。第二類・第三類・第五類の一部で小論文が課されます。
- 11月19日 小論文 9:30〜12:00(150分)
- 11月20日 面接(プレゼンテーション含む)9:30〜
150分の小論文を書いた翌日に、プレゼンつきの面接。2日がかりです。京都大学 文学部の1日240分に次ぐ長さで、体力の要る日程になります。
第五類の心理学プログラムのように「小論文、面接」だけの構成もあり、その場合は出願書類(調査書及び自己推薦書)が面接の参考資料として使われます。
医療系——学部で小論文の時間が違う
霞キャンパスで実施される医療系は、いずれもⅡ型(共通テストあり)です。
| 学部・学科 | 募集 | 小論文 | 面接 |
|---|---|---|---|
| 医学部 医学科 | 7名 | 11月21日 13:00〜15:00(120分) | 11月22日 9:00〜 |
| 医学部 保健学科 看護学専攻 | 一般・大学院進学型5名/専門型3名 | 11月21日 9:30〜11:00(90分) | 13:00〜 |
| 医学部 保健学科 理学療法学専攻 | 大学院進学型3名 | 11月21日 9:30〜11:00(90分) | 13:00〜 |
| 医学部 保健学科 作業療法学専攻 | 一般型7名/大学院進学型3名 | 11月21日 9:30〜11:00(90分) | 13:00〜 |
| 歯学部 歯学科 | 5名 | 11月21日 9:30〜11:30(120分) | 13:00〜 |
| 歯学部 口腔健康科学科 口腔保健学専攻 | 3名 | 11月21日 9:30〜11:30(120分) | 13:00〜 |
| 歯学部 口腔健康科学科 口腔工学専攻 | 3名 | 11月21日 9:30〜11:30(120分) | 13:00〜 |
医学科だけ小論文が午後で、面接が翌日です。他は同日に終わります。
保健学科に「大学院進学型」という枠があるのも特徴です。学部の段階で大学院進学を前提にした選抜を設けています。
医学部の総合型・学校推薦型全般は医学部の総合型選抜・学校推薦型選抜、看護の小論文は看護学部の小論文対策にまとめています。
理学部——全学科に女子枠がある
理学部は小論文を課しませんが、募集人員の設計に特徴があります。
| 学科 | 一般枠 | 女子枠 |
|---|---|---|
| 数学科 | 6名 | 1名 |
| 物理学科 | 7名 | 3名 |
| 化学科 | 9名 | 1名 |
| 生物科学科 | 4名 | 1名 |
| 地球惑星システム学科【一般型】 | 4名 | 1名 |
全5学科に女子枠があります。京都大学や名古屋大学にも女性募集枠がありますが、理学部の全学科に置いている例は多くありません。
地球惑星システム学科にはもう1つ、【日本地学オリンピック利用型】という枠があります。科学オリンピックの実績が直接の入口になる設計です。
英語民間試験が評価に反映される
要項には、複数の学部で同じ趣旨の記述があります。
本学が指定する英語民間試験において、一定の等級又はスコアを取得している者が、出願時に成績証明書等を提出した場合、評価します(学部により「評価に反映させます」)。
文学部では自己推薦書の評価に反映されます。さらに共通テストについても記述があります。
『英語』について、本学の指定する条件をすべて満たした場合、本学を受験する年度の大学入学共通テストの『英語』の得点を満点とみなします。
共通テストの英語が満点扱いになる。英語の資格を持っている人には、かなり大きい制度です。条件は要項の「本学が指定する英語民間試験の活用について」に書かれています。
何から始めるか
- 志望する募集単位がⅠ型かⅡ型かを確認する(共通テストの有無が変わる)
- 小論文があるか、何分かを確認する(90分〜150分。総合科学部は講義つき)
- 総合科学部を受けるなら、講義開始時刻に遅れたら入室できないことを頭に入れる
- 文学部なら、英文と古典の設問に備える
- 英語民間試験のスコアを取っておく(評価に反映、共通テスト英語が満点扱いになる場合も)
- 理系志望の女子は女子枠を確認する
広島大学の光り輝き入試は、総合型選抜の全体像でいえば「募集単位ごとの個別設計」型です。千葉大学や大阪公立大学と同じで、大学単位の対策は成立しません。
そのなかで、総合科学部【一般型】の共通テストなし・小論文300点・面接300点という枠は、書く力で勝負したい人にとって明確な入口です。ただし国公立の推薦・総合型に出せるのは1つの大学・学部だけなので、どこに出すかは早めに決めてください。
中国地方のほかの国立大学は、岡山大学、鳥取大学、島根大学 へるん入試、山口大学にまとめています。島根大学のへるん入試は募集人員388人と、規模の面でも比較しやすい入試です。広島県・岡山県の公立大学(広島市立・叡啓・福山市立・岡山県立など)の総合型選抜は、岡山・広島の公立大学で扱っています。