小論文キャンパス
大学別対策

東海の公立大学 学校推薦型選抜の対策。一次が小論文だけの愛知県立と、小論文が半分の静岡県立

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愛知県立大学と静岡県立大学の学校推薦型選抜を2027年度(令和9年度)の要項に沿って整理しました。第1次選考が小論文だけの日本文化・教育福祉学部、小論文200点の看護学部、小論文が配点の半分を占める静岡県立の国際関係学部、そして小論文がなく適性検査で選ぶ学部までを解説します。

公立大学の推薦入試には、同じ大学の中で試験の形がまったく違うという特徴があります。学部ごとに独立して設計されているからです。

東海地方から愛知県立大学と静岡県立大学を取り上げます。どちらも小論文で決まる学部と、小論文が1問も出ない学部が同居している大学です。志望学部を決める前に全体を見ておかないと、対策の方向を間違えます。

この記事は、公開されている2027年度(令和9年度)の要項の記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・配点は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:愛知県立大学 令和9年度 学校推薦型選抜学生募集要項(共通テストを課さない・愛知県内枠)/愛知県立大学 入試募集要項/静岡県立大学 2027年度入学者選抜要項(PDF)

愛知県立大学——第1次選考が、小論文だけ

愛知県立大学の学校推薦型選抜(大学入学共通テストを課さない・愛知県内枠)は、学部によって選考の段数が違います。

学部 選考 課される試験
外国語学部 1日で完結 適性検査〔英語(筆記)・英語(リスニング)〕+面接
日本文化学部 2段階 【1次】小論文 →【2次】面接
教育福祉学部 2段階 【1次】小論文 →【2次】面接
看護学部 1日で完結 小論文+面接

日本文化学部と教育福祉学部は、第1次選考が小論文だけです。面接も書類審査もありません。ここで落ちれば、志望理由書は読まれずに終わります。

要項の記載はこうです。

評価方法・比重 【一次】小論文 【二次】出願書類、面接 小論文と面接の比重は 1:1 とし、出願書類の内容も含めて総合的に評価する。

比重は1:1ですが、順番が違います。面接に進むこと自体が小論文の結果で決まる。事実上、小論文が門番になっている設計です。

試験日程——1次と2次が2週間空く

学部 第1次選考 第1次発表 第2次選考 最終発表
外国語学部 令和8年11月28日(土) — — 12月7日(月)
日本文化学部・教育福祉学部 11月28日(土) 小論文 12:30〜14:00 12月7日(月) 12月12日(土) 面接 10:00〜 12月22日(火)
看護学部 11月28日(土) 小論文 12:30〜14:00/面接 14:30〜 — — 12月7日(月)

小論文は12:30〜14:00の90分です。90分の書き方は小論文の書き方 完全ガイドの時間配分の項を使ってください。

日本文化・教育福祉の受験生は、12月7日に1次通過を知ってから、5日後に面接という日程になります。準備期間が短いので、面接の想定問答は出願前に作っておく必要があります。面接の頻出質問と小論文と面接をつなぐを先に読んでおいてください。

看護学部は、小論文が300点中200点

配点は学部ごとに公開されています。

学部・学科 小論文 面接 合計
日本文化学部 国語国文学科・歴史文化学科 100 100 200
教育福祉学部 教育発達学科・社会福祉学科 100 100 200
看護学部 看護学科 200 100 300
外国語学部 全学科 (なし。適性検査 英語筆記150+リスニング50) 100 300

看護学部は小論文が3分の2です。適性検査も学力試験もなく、小論文と面接だけで決まります。看護の小論文で何が問われるかは看護学部の小論文対策にまとめました。

外国語学部だけは小論文を課しません。英語(筆記)150点・英語(リスニング)50点の適性検査です。適性検査と面接の比重は2:1。志望学部が外国語学部なら、この記事の対策は当てはまりません。

評価基準は3語で書かれている

小論文の評価基準は、どの学部もほぼ同じ書き方です。

<小論文> 日本文化学部で学ぶために必要な読解力、論理的思考力、文章表現力を総合的に評価する。

読解力が最初に来ています。課題文を読ませる形式が前提だと考えるのが自然です。課題文型の手順を軸に準備してください。

そして判定にただし書きがあります。

小論文及び面接の合計点で判定し、上位の者から合格とする。ただし、いずれかの得点が著しく低い場合には、合計点にかかわらず、不合格とする。

片方が極端に低いと、合計点では救われません。看護学部なら小論文200点を取りにいく必要がありますが、面接を捨てていいわけではない、という意味です。

出願要件——評定と、1校1名の壁

出願資格は愛知県内の高等学校等の卒業見込みであることが前提で、そのうえで学科ごとに評定の条件が付きます。

学部・学科 調査書の学習成績の状況
外国語学部 英語 4.0以上(または英検準1級以上/TOEIC 650点以上/TOEFL iBT 新形式4点以上)+ 国語 3.8以上
日本文化学部 国語国文学科 国語 4.0以上
日本文化学部 歴史文化学科 評定を出願要件としない
教育福祉学部 両学科 全体 3.9以上
看護学部 英語・数学・理科のそれぞれが3.8以上

歴史文化学科だけ、評定の条件がありません。要項は「歴史・社会・文化に関心があり、その探究を通じて、人々の生き方を豊かにし、よりよき社会のあり方へ貢献する意欲と志を有する者であること」とだけ定めています。評定で届かない受験生にとっては、数少ない入口です。

そして、もう一つの関門があります。

Ⅳ 推薦者数 外国語学部 1校から各学科(ヨーロッパ学科は各専攻またはコース)に対し 1名ずつに限定します。 日本文化学部 1校から各学科に対し 1名ずつに限定します。 教育福祉学部 教育発達学科は1校から各コースに対し1名ずつ。社会福祉学科は1校から1名まで。 看護学部 1校から 2名までに限定します。

看護学部以外は、1校1学科につき1人。同じ高校に志望者が2人いれば、校内選考で先に1人に絞られます。出願書類より先に、校内の枠を取る戦いがあるということです。校内選考の考え方は東京大学の学校推薦型選抜でも触れています。

募集人員

学部 学科・専攻 募集人員
外国語学部 英米学科 12名
ヨーロッパ学科(フランス語圏3/スペイン語・ポルトガル語圏4/ドイツ語圏4) 11名
中国学科/国際関係学科 各3名
日本文化学部 国語国文学科/歴史文化学科 各5名
教育福祉学部 教育発達学科(小学校教育2・保育幼児教育2) 4名
社会福祉学科 5名
看護学部 看護学科 15名

なお、大学入学共通テストを課すタイプの学校推薦型選抜(教育福祉学部・看護学部・情報学部)と、教育発達学科 小学校教育コースの総合型選抜も別に実施されます。こちらの令和9年度要項は10月上旬の公表予定です。この記事で扱ったのは、共通テストを課さない愛知県内枠です。

静岡県立大学——小論文があるのは、国際関係学部だけ

静岡県立大学の学校推薦型選抜は、「大学入学共通テストを課す」と「免除する」の2系統に分かれます。まず日程が違います。

出願期間 選抜期日 合格発表
免除する(全学部) 2026年11月2日〜11月9日 2026年12月1日(火) 12月10日(木)
課す(薬学部・国際関係学部のみ) 2027年1月20日〜1月26日 2027年2月6日(土) 2月10日(水)

共通テストを課す方は、年明けの2月6日です。一般選抜の直前に、もう一度受験機会があるという設計になっています。

免除型の選抜方法——学部ごとに、試験の中身が別物

共通テストを免除する学校推薦型選抜の選抜方法を並べると、こうなります。

学部・学科 募集人員 選抜方法(要項より)
薬学部 薬科学科7・薬学科13 20人 書類・面接(100点)+物理及び化学に関する適性検査(300点)
食品栄養科学部 3学科 18人 書類審査+化学に関する適性検査(300点)+面接(200点)
国際関係学部 国際関係14・国際言語文化28 42人 小論文(100点)+調査書・推薦書・面接(100点)
経営情報学部 経営情報学科 40人 面接・書類(200点)+適性検査〔英語能力と数理的能力〕(200点)
看護学部 看護学科 45人 適性検査〔英語能力と数理的能力〕(200点)+面接(100点)+書類

小論文を課すのは国際関係学部だけです。そして、その1学部では配点の半分が小論文(100点/200点)になっています。

薬学部・食品栄養科学部の「適性検査」は物理・化学。経営情報学部・看護学部の「適性検査」は英語と数学Ⅰ・数学Aです。名前は適性検査ですが、中身は教科試験です。ここを取り違えると、対策がまるごと無駄になります。

※適性検査とは、志望する本学学部・学科の履修上必要となる能力及び適性をみるためのものです。また数理的能力は数学Ⅰ、数学A(場合の数と確率、図形の性質)の範囲から検査します。

範囲まで指定されています。看護・経営情報の志望者は、数学Ⅰ・Aのうち場合の数と確率、図形の性質を優先して仕上げてください。看護の受験生が数学から逃げられない例は看護学部の小論文対策でも触れたとおりです。

国際関係学部——小論文100点、募集人員42人

小論文で入れる枠としては、東海の公立大学のなかでも大きい方です。

学科 免除型 課す型 一般選抜(中期) 入学定員
国際関係学科 14人 4人 42人 60人
国際言語文化学科 28人 8人 84人 120人

国際言語文化学科は、定員120人のうち28人が小論文入試です。約4分の1にあたります。

ただし出願要件が厳しい。

(1) 2027年3月に静岡県内の高等学校を卒業見込みの人 (2) 本人又は保護者が2025年12月1日から2026年12月1日まで継続して静岡県内に住所(住民票)を有している人 (4) ① 全体の学習成績の状況が 4.0以上 ② 外国語 4.3以上 ③ 数学 3.5以上

外国語4.3以上という条件と、数学3.5以上という条件が同時にかかります。国際系志望でも数学を捨てられません。さらに推薦できる人数は1校につき各学科1人です。愛知県立大学と同じく、校内選考を通る必要があります。

国際系の小論文で何を書くかは国際・外国語学部の小論文対策にまとめました。

経営情報学部——合格者を、3段階に分けて決める

経営情報学部(40人)には、他ではあまり見ない選抜順序が書かれています。

以上の成績結果を総合して下記の1)から3)の順で選抜します

  1. 静岡県内の高等学校の専門学科(職業教育を主とする学科)又は総合学科を卒業見込みの者 5名程度を選抜
  2. 1)の合格者以外から、県内20名程度を選抜
  3. 1)と2)の合格者以外から選抜 (注)専門学科については、普通科、理数科、英数科等の職業教育を主としない学科の在籍者は対象となりません

商業科・工業科・総合学科に5名程度の枠が先に確保されています。そのうえで県内20名程度、残りが全国枠という順番です。

出願資格自体は「全国の高等学校等が対象」で、評定は全体4.0以上、推薦は1校につき1人。全国から出願できるものの、合格者の大半は県内で埋まる構造になっている点は理解しておくべきです。

看護学部——面接だけで落ちることがある

看護学部(45人)の注記は、はっきりしています。

※面接では、アドミッション・ポリシーに記載している適性を評価します。したがって、総合点のいかんにかかわらず、面接評価のみで不合格となることがあります。

適性検査200点・面接100点という配点ですが、面接には配点とは別の拒否権があるという書き方です。愛知県立大学の「いずれかの得点が著しく低い場合には、合計点にかかわらず、不合格」と同じ思想です。

こういう記述は要項の「その他」欄や注記に埋まっていることが多く、見落とされます。募集要項の読み方で書いたとおり、表よりも注記のほうが重要な情報を持っていることがあります。

過去問が他大学から出ることがある

静岡県立大学は、要項の冒頭近くにこう書いています。

1 本学では『入試過去問題活用宣言』に参加している大学「提供大学」の入試過去問題を使用して出題することがあります。必ず使用するとは限りません。 2 入試過去問題を使用する際は、そのまま使用することも、一部改変することもあります。

他大学の過去問がそのまま出る可能性があると明記されています。自校の過去問だけを解くのでは足りない、ということです。過去問の集め方は過去問の入手法と使い方にまとめました。

2校を並べると見えること

愛知県立大学 静岡県立大学
小論文がある学部 日本文化・教育福祉・看護 国際関係のみ
小論文がない学部 外国語(適性検査=英語) 薬・食品栄養・経営情報・看護(適性検査=理科/英数)
小論文の比重 100/200(50%)、看護は200/300(67%) 100/200(50%)
選考の段数 日本文化・教育福祉は2段階 1段階
居住・出身の要件 愛知県内の高校卒業見込み 学部により静岡県内の高校+住民票1年
校長推薦の枠 1校1学科1名(看護のみ2名) 1校1〜3名
試験日 令和8年11月28日(2次は12月12日) 免除型 2026年12月1日/課す型 2027年2月6日

共通するのは3点です。

  1. 小論文を課すかどうかは学部で決まる。大学単位で「小論文の大学」と括れない
  2. 地元枠が強い。県内高校・県内住民票が条件になる枠が多い
  3. 校内選考が先にある。1校1名の枠を高2のうちから意識する必要がある

3つ目が実務的にはいちばん効きます。出願の何か月も前に、校内で決着がついてしまうからです。評定を切らさないこと、探究や委員会の記録を残しておくことが、そのまま推薦を取る条件になります。

関西の公立大学は兵庫県立・京都府立・奈良県立、中国・九州は県立広島・北九州市立にまとめました。兵庫県立大学は全6学部で小論文、しかも120分・英語つきが標準です。

同じ構造は関東の公立大学にもあります。都留文科大学と高崎経済大学は、小論文の比重がさらに大きい2校です。国立との比較なら、同じ静岡県内の静岡大学 総合型・学校推薦型選抜が参考になります。

何から始めるか

愛知県立大学を狙うなら

  1. 志望学科の選考が1段階か2段階かを確認する。日本文化・教育福祉は1次が小論文だけ
  2. 評定の条件を今すぐ照合する(国語国文4.0/教育福祉 全体3.9/看護 英数理それぞれ3.8)
  3. 歴史文化学科は評定要件がない。評定で届かないなら選択肢になる
  4. 90分・課題文型の練習を軸にする。看護志望は小論文200点なので最優先
  5. 校内で1名という枠を、担任に早めに確認する

静岡県立大学を狙うなら

  1. 小論文で受けたいなら国際関係学部。他学部は適性検査=教科試験
  2. 看護・経営情報の志望者は、数学Ⅰ・A(場合の数と確率、図形の性質)を仕上げる
  3. 薬・食品栄養の志望者は、理科の適性検査300点が主戦場。薬学部の小論文対策は共通テストを課す型・一般選抜向けとして使う
  4. 住民票の期間要件(2025年12月1日から継続)を保護者に確認する
  5. 共通テストを課す型は2027年2月6日。一般選抜と並行して準備できる

どちらの大学も、要項を1枚に要約してから志望を決めるのが正解です。学部を先に決めてしまうと、小論文が出ない学部に小論文の対策をすることになりかねません。手順は大学別対策の作り方にまとめています。

まとめ

  • 愛知県立大学の日本文化・教育福祉学部は、第1次選考が小論文だけ。ここを通らないと面接に進めない
  • 愛知県立大学 看護学部は小論文200点/300点。小論文と面接だけで決まる
  • 愛知県立大学 外国語学部に小論文はない。英語の適性検査(筆記150+リスニング50)
  • 静岡県立大学で小論文があるのは国際関係学部だけ。ただし配点の半分を占める
  • 静岡県立大学の「適性検査」は、実質理科または英語・数学Ⅰ Aの教科試験
  • 経営情報学部は専門学科・総合学科5名程度 → 県内20名程度 → 全国の順で選抜する
  • 看護学部は面接評価のみで不合格になることがあると要項に明記されている
  • 両校とも校長推薦は1校1〜2名。校内選考が実質的な第1関門

公立大学の推薦入試全体の位置づけは総合型選抜の完全ガイドに、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。

北海道・東北の公立大学の総合型選抜は、北海道の公立大学(公立はこだて未来・札幌市立・公立千歳科学技術・旭川市立・札幌医科・名寄市立)と東北の公立大学(宮城・秋田県立・岩手県立・福島県立医科・青森公立・山形県立保健医療・東北公益文科・東北農林専門職)の記事にまとめました。

東海の公立大学の総合型選抜は別記事にまとめました。愛知県立芸術大学・名古屋市立大学・愛知県立大学の3校で、愛知県立大学の総合型選抜(小学校教育コース)は共通テストを課して1月に出願する形です。静岡県立大学には総合型選抜の区分がありません。

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