小論文キャンパス
大学別対策

京都大学 特色入試の対策。共通テスト8割超が前提の、論文試験

約11分で読めます

京都大学の特色入試を令和9年度の募集要項に沿って整理しました。学部ごとに総合型と学校推薦型に分かれる仕組み、共通テスト84%・85%といった高い基準、英語の文章を題材にする法学部の小論文、1日で4時間書く文学部までを解説します。

京都大学の特色入試は、このサイトで扱ってきた国公立の総合型・推薦のなかで、共通テストの要求水準がもっとも高い入試です。

学部によって基準は違いますが、目安は8割から85%。しかも学部によっては、そのうえで特定の科目で9割を求められます。

そして第2次選考は、多くの学部で論文試験です。

この記事は、公開されている令和9(2027)年度の学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・基準は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:京都大学 特色入試/令和9年度 京都大学特色入試 学生募集要項(PDF)

最初に押さえる3つの事実

1. 学部によって「総合型」と「学校推薦型」が違う

同じ特色入試という名前ですが、試験実施方式は学部で分かれます。

総合型選抜 学校推薦型選抜
総合人間学部・文学部・教育学部・理学部・医学部人間健康科学科・薬学部・農学部 法学部・経済学部・医学部医学科・工学部

学校推薦型選抜のほうは学校長等の推薦が要ります。志望先がどちらかで、高校に相談を始める時期が変わります。

募集人員は一般枠196人+女性募集枠39人。女性募集枠があるのは理学部と工学部の一部です。

2. 提出書類が独特——「学びの設計書」

特色入試には、他大学にない名前の書類が3つあります。

  • 学業活動報告書……高等学校等が作成
  • 学びの設計書(志望理由書)……志願者本人が作成
  • 学びの報告書……学部によって求められる

要項は、この設計の意図をこう説明しています。

志願者が作成する「学びの設計書」等をもとに、高等学校での活動内容から本学において何を学びたいのか、卒業後どういった仕事に就きたいのかといった、志願者自らの学ぶ意欲や志について書類審査を通じて評価します。

「設計書」という名前がすべてです。過去の実績を並べる書類ではなく、これから何をどう学ぶかを設計して見せる書類だと考えてください。

「学業活動報告書」には、数学オリンピックや国際科学オリンピック、各種大会の入賞、教育委員会賞、国際バカロレア、SAT・TOEFL・TOEIC・英検の成績などを記載します。これは高校が作成する書類です。早めに相談してください。

なお、各種様式と「学業活動報告書作成の手引き」は特色入試のWebサイトからダウンロードできます。

3. 共通テストの基準が高い

学部ごとの基準を並べます。

学部 共通テストの基準
総合人間学部 850点満点中 概ね85%以上
文学部 1000点満点中 概ね840点以上(84%)
法学部 950点満点中 概ね80%以上
経済学部 1000点満点中 概ね80%以上、かつ特定科目が概ね90%以上

経済学部の条件は特に厳しいので、後で詳しく見ます。

出願要件にも成績条件があります。総合人間学部は「調査書の全体の学習成績の状況が4.3以上」です。東大の学校推薦型選抜が共通テスト8割、阪大が75%でしたから、京大はそれより上に置かれています。

日程——12月に第2次選考、決着は2月

主な学部の日程です。

学部 出願 第1次選考結果 第2次選考 最終合格
総合人間・文・教育・法・薬・農 11月5日〜11日 11月27日 12月12日 2月10日
医学部 医学科 11月5日〜11日 11月27日 12月12日・13日 1月22日
理学部(数理科学入試) 10月1日〜7日 11月5日 11月14日・15日 2月10日
医学部 人間健康科学科 10月1日〜7日 11月5日 11月14日・15日 2月10日
経済学部 11月5日〜11日 なし なし 2月10日

理学部と医学部人間健康科学科は出願が10月1日〜7日です。1か月早い。志望先の締切を最初に確認してください。

そして経済学部には第2次選考がありません。書類と共通テストだけで決まります。

論文試験がある学部

このサイトの読者にとって、いちばん重要なところです。

学部 第2次選考の内容
文学部 論述試験(90分)+論文試験(150分)
法学部 小論文試験(120分)
教育学部 小論文(課題)+口頭試問
総合人間学部 能力測定考査(文系総合問題120分+理系総合問題150分)
理学部 小論文試験
医学部 医学科 論文試験+面接試験
薬学部 論文試験+面接試験
農学部(学科による) 小論文試験+面接試験 など
経済学部 なし(書類と共通テストのみ)

書かない学部のほうが少ない入試です。

文学部——1日で4時間書く

文学部の第2次選考は、令和8年12月12日(土)に行われます。

  • 10時00分〜11時30分……論述試験(90分)
  • 13時00分〜15時30分……論文試験(150分)

合計240分。午前と午後で、性格の違う2つの記述試験を受けます。

論述試験は「学びの設計書に関連する」と要項に明記されています。つまり、自分が出した書類の内容が試験問題の土台になります。書いたことを、その場でもう一度掘り下げて論じられるかを見られる、という設計です。

合否の決め方も独特です。

①「学びの設計書」に関連する論述試験及び提出書類、②論文試験についてA〜Cの3段階評価を行い、①及び②の両方がAの者で、かつ大学入学共通テストの得点の合計が1000点満点中概ね840点以上の者を合格者とします。

両方Aでなければ合格しません。片方が優秀でも、もう片方がBなら届かない。点数の合計で調整される仕組みではありません。

そのうえで共通テスト84%です。3つの関門をすべて越える必要があります。

法学部——英語の文章を題材に、日本語で書く

法学部は学校推薦型選抜で、第2次選考は小論文試験だけです。

  • 令和8年12月12日(土) 14時00分〜16時00分(120分)
  • 配点100点

要項の説明が具体的です。

小論文試験では、英語の文章を題材に、日本語で解答する小論文を課し、読解力、論理的思考力、日本語による表現力などについて評価します。

英文を読んで日本語で論じる形式です。これは名古屋大学 文学部の学校推薦型選抜と同じ設計で、英文課題文の小論文で扱った準備がそのまま必要になります。

評価の観点が「読解力 → 論理的思考力 → 日本語による表現力」の順で並んでいる点に注意してください。まず英文が正確に読めることが前提です。英文が読めていない答案は、日本語がどれだけ整っていても評価されません。

最終合格は、第2次選考に合格したうえで共通テスト950点満点中概ね80%以上の者です。

総合人間学部——文系と理系を1日で

総合人間学部の第2次選考は「能力測定考査」という名前で、文理両方を受けます。

  • 10時00分〜12時00分……文系総合問題(120分・100点)
  • 14時00分〜16時30分……理系総合問題(150分・100点)

要項の説明はこうです。

文系総合問題では広く文化・科学・思想・社会などから出題し、長文の読解力や文章力を検査します。理系総合問題では、数理的思考力や論理的思考力を検査します。

文理融合を掲げる学部らしい設計です。文系志望でも理系総合問題を受けます。どちらか一方が得意でも足りません。

第1次選考は書類審査で上位50人程度に絞られます。募集人員は5人です。共通テストは850点満点中概ね85%以上。

「長文の読解力や文章力」とあるので、文系総合問題は課題文型に近いと考えられます。課題文型の手順と要約の技術が土台になります。

教育学部——パフォーマンス評価という考え方

教育学部の第2次選考は、課題と口頭試問です。要項は評価方法そのものに名前を付けています。

パフォーマンス評価とは、知識やスキルを活用・応用・総合する力をみるために、学習の成果物やそれに関わる活動を評価する方法です。

そのうえで中身はこうです。

・課題では、日本語で解答する小論文を課し、論理的・批判的思考力などについて評価します。 ・口頭試問では、学びの報告書及び学びの設計書に記載された内容に関する試問を行い、探究力、洞察力、学修への意欲などについて評価します。

配点は課題100点、口頭試問100点の計200点です。

口頭試問が「学びの報告書及び学びの設計書に記載された内容」を対象にすると明記されています。書類に書いたことは、必ず聞かれます。書類と面接の一貫性は、この入試では前提条件です。

「論理的・批判的思考力」という並びにも注目してください。批判的(クリティカル)に考えられるかを測る、と書いています。課題文や資料をそのまま受け入れる答案は評価されません。

経済学部——試験がないぶん、共通テストが極端

経済学部には第2次選考がありません。書類と共通テストだけで決まります。その代わり、共通テストの条件が独特です。

文系型入試

大学入学共通テストの合計得点が1000点満点中概ね80%以上であり、【地歴・公民】のうち得点がより高い科目及び【外国語】の2科目についてはいずれも得点率が概ね90%以上の者について、提出書類をA・B・C・Dの4段階で評価し、Aの者を合格とします。

理系型入試

…『数学Ⅰ、数学A』、『数学Ⅱ、数学B、数学C』の2科目、『物理』、『化学』、『生物』、『地学』のうち得点がより高い1科目についてはいずれも得点率が概ね90%以上の者について、提出書類をA・B・C・Dの4段階で評価し、Aの者を合格とします。

総合8割かつ、指定科目で9割。そのうえで書類がAでなければ通りません。

書く試験がないぶん、「学びの設計書」の質だけが最後の判断材料になります。文系型10人・理系型10人という枠に対して、4段階評価のAだけが合格する仕組みです。

併願のルール

要項の注記に、条件がまとまっています。

  • 学部・学科・コース間の併願はできません。経済学部の文系型・理系型、理学部の5つの入試区分も、複数に出願できません
  • 国公立大学の学校推薦型選抜に出願できるのは1つの大学・学部まで
  • 合格した場合に入学することが確約できる者に限ります(専願)
  • 特色入試に出願しても、前期日程から1つ、後期日程から1つの計2つに出願できます
  • ただし特色入試の合格者は、辞退が許可された場合を除き、他の国公立を受験しても合格者になりません

東大や一橋、神戸と同じく、国公立の推薦・総合型は1つに絞るという原則の中にあります。

なお、要項には次の注意もあります。

入学許可後、出願書類の記載事項が事実に相違していることが判明した場合は、入学許可を取り消すことがあります。

何から始めるか

  1. 志望学部の試験実施方式を確認する(学校推薦型なら学校長の推薦が要る)
  2. 出願時期を確認する(理学部・医学部人間健康科学科は10月1日〜7日。ほかは11月5日〜11日)
  3. 共通テストの基準を確認する(84%・85%・80%+科目別90%。ここが最大の関門)
  4. 「学びの設計書」を書き始める。何を学び、卒業後に何をするかまで設計する
  5. 「学業活動報告書」を高校に依頼する(作成するのは高校。早めに)
  6. 論文試験がある学部なら、時間を計って書く練習を積む(文学部は1日240分)

京都大学の特色入試は、総合型選抜の全体像のなかでは学力型の極にあります。活動実績で共通テストの不足を補える設計ではありません。

逆に言えば、共通テストで8割超を取れる学力があり、かつ書く力がある人にとっては、一般選抜とは別の入口が1つ増えるということです。募集人員235人という枠は、国公立の総合型・推薦としては大きい部類に入ります。

共通テストを課さない形の総合型選抜を探しているなら、同じ京都府の京都工芸繊維大学 ダビンチ入試や、奈良女子大学 探究力入試「Q」、滋賀大学の記事も参考にしてください。

Related

関連記事

← 「大学別対策」の記事一覧へ