埼玉大学 総合型選抜・学校推薦型選抜の対策。講義を2コマ聞いて小テストを受ける理学部
埼玉大学の総合型選抜・学校推薦型選抜を令和9年度の特別選抜学生募集要項に沿って整理しました。講義と小テストで選ぶ理学部、Ⅰ型とⅡ型に分かれる教養学部、小論文の出題意図が専修ごとに公開されている教育学部、工学部の女子枠までを解説します。
埼玉大学の特別選抜は、総合型選抜が3学部、学校推薦型選抜が4学部という構成です。
そのなかに、講義を2コマ聞いて小テストを受ける学科があり、小論文の出題意図が専修ごとに公開されている学部があります。
この記事は、公開されている令和9(2027)年度の特別選抜学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・配点は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:埼玉大学 学生募集要項/令和9年度 特別選抜学生募集要項(総合型選抜・学校推薦型選抜)PDF/令和9年度 入学者選抜に関する要項(PDF)
実施学部の全体像
| 選抜 | 学部 |
|---|---|
| 総合型選抜 | 経済学部(昼間コース)・理学部・工学部 |
| 学校推薦型選抜 | 教養学部・教育学部・理学部・工学部 |
教養学部と教育学部には総合型選抜がなく、経済学部には学校推薦型選抜がありません。志望学部によって入口が1つに決まります。
そして重要な併願ルールがあります。
本総合型選抜に出願した場合、他の総合型選抜及び学校推薦型選抜へ出願することはできません。ただし、総合型選抜に出願し、第1次選抜で不合格となった場合には、他の総合型選抜又は学校推薦型選抜に出願できます。
学内での併願は原則不可。ただし1次で落ちれば次に出せる。日程の前後関係を確認して組み立ててください。
なお、総合型選抜に出願しても国公立の前期日程・後期日程には出願・受験できます(合格して入学手続をした場合を除く)。
理学部 生体制御学科——講義2コマと小テスト
このサイトの読者に、いちばん見てほしいのが理学部生体制御学科の総合型選抜(6名)です。大学入学共通テストを免除します。
令和8年9月26日(土)の1日で、こう進みます。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 10:00〜11:00 | 講義(1コマ目) |
| 講義終了後(20分程度) | 小テスト |
| 13:00〜14:00 | 講義(2コマ目) |
| 講義終了後(20分程度) | 小テスト |
そのうえでレポートの提出があり、第1次選抜合格者発表が10月26日、面接が11月21日(土)13:00〜という流れです。
配点は、調査書・志望理由書・活動報告書が20点、小テストとレポートが40点、そこに面接が加わります。
講義を聞いて、その場で小テスト。これを2回くり返します。この形式は新潟大学 創生学部の「理系・文系2つの講義を聴講し、それぞれ課題レポート」に近く、広島大学 総合科学部や神戸大学の「志」特別選抜、岡山大学 医学部保健学科とも同じ系統です。
ただし埼玉大学は「小テスト」という名前です。長い論述ではなく、講義内容の理解を短く問う形が想定されます。聞きながら要点をメモする技術が、そのまま点になります。
経済学部——小論文で1次、共通テストで2次
経済学部(昼間コース)経済学科の総合型選抜は募集15名です。
【第1次選抜】調査書、自己推薦書(志望の理由を含む。)、小論文及び面接の成績により選抜します。 【第2次選抜】第1次選抜の合格者に対して、大学入学共通テストの成績により選抜します。
1次が小論文と面接、2次が共通テストという順番です。共通テストは英語200点と地歴公民から1科目。
出願要件が2つあります。
- 調査書の全体の学習成績の状況が3.8以上
- 次のいずれかの外部英語能力試験のスコア(出願時までの2年以内に取得)
- ケンブリッジ英語検定 140/実用英語技能検定 1950(一次試験のみのスコアは不可)/GTEC 930(4技能オフィシャルスコア)/IELTS 4.0/TEAP 225/TOEFL iBT 42/TOEIC L&R + S&W 1150
英語のスコアがないと出願できません。評定3.8以上と合わせて、早めに確認してください。
教養学部——Ⅰ型に小論文、Ⅱ型に小論文なし
教養学部の学校推薦型選抜は、Ⅰ型20名・Ⅱ型20名に分かれます。中身がはっきり違います。
Ⅰ型
| 区分 | 配点 |
|---|---|
| 小論文 | 100 |
| 面接 | 100 |
| 合計 | 200 |
(2)小論文の採点・評価基準 論理的な考察力、記述力、表現力などを調べます。 合否判定基準 小論文及び面接の総合点順に合否を決定します。総合点が同点の場合は、面接点が高い方を上位とします。
Ⅱ型
大学入学共通テストを課し、学校長からの推薦書、志望の理由、調査書及び面接によります。 合否判定基準 面接及び大学入学共通テストの総合点順に合否を決定します。
Ⅱ型に小論文はありません。共通テストと面接です。同じ教養学部でも、Ⅰ型を選ぶかⅡ型を選ぶかで準備がまるで変わります。
志望の理由に、書く内容の指定がある
Ⅱ型の「志望の理由」には、要項に問いそのものが書かれています。
本学教養学部を志望する理由を「高等学校であなたがどのように学んできたか」と「教養学部で学んでいる自分をどのようにイメージするか」に触れながら書きなさい。面接の際の資料とする。(1200字以内)
2つの要素を必ず入れる、1200字以内。構成はほぼ決まっているので、あとは中身です。志望理由書の書き方を土台に、字数に合わせて広げてください。
なお面接については「グループディスカッションは行いません」「面接は日本語で行います」と明記されています。
教育学部——小論文の出題意図が専修ごとに公開されている
教育学部の学校推薦型選抜は、専修ごとに選抜方法が違います。
学校長からの推薦書、調査書、志望の理由、小論文、面接及び大学入学共通テストによります。
そして要項には、専修ごとの「小論文の出題意図、採点・評価基準」が一覧で載っています。これは対策の方向を確定させる情報です。
| 専修 | 出題意図・評価基準(要項より) |
|---|---|
| 教育学専修 | 教育に関する関心、基礎的・総合的な思考力をみます。出題内容の理解、論理的思考、記述力を評価します。 |
| 乳幼児教育専修 | 乳幼児教育・保育に関する理解、思考力及び表現力をみます。出題内容の理解と文章表現能力、論理構成能力を総合的に評価します。 |
| 特別支援教育専修 | 特別支援教育を学んでいく上で必要な基礎的・総合的な学力と創造的な思考力を問う問題を出題します。 |
| 国語専修 | 国語及び国語教育にかかわるテーマについて小論文を課します。テーマを正確に理解した上で、考察を進めているか、論理的に結論を導き出しているか、等の観点から、複数の試験官が採点・評価します。 |
| 家庭科専修 | 家庭科教育を学んでいく上で必要な総合的思考力をみます。 |
| 保健体育専修 | 保健に関する基礎的・総合的な学力を問う問題を出題します。保健に関する知識・理解、論理的考察力、記述力を総合的に評価します。 |
専修ごとにテーマ領域が指定されています。国語専修なら「国語及び国語教育にかかわるテーマ」、保健体育専修なら「保健に関する」問題。汎用の小論文練習では届きません。
音楽専修・図画工作・美術専修・保健体育専修には実技検査があり、その採点基準も公開されています(音楽は「演奏技術、音楽性、表現力、曲の解釈」、図画工作・美術は「意欲、表現力、素描力、色彩感覚」)。
教育学部の小論文で何が問われるかは教育学部の小論文対策にまとめています。
全国枠と地域枠
教育学部には全国枠と地域枠があり、注記があります。
※地域枠と全国枠を併願し、地域枠で合格した者は、全国枠の合否対象から除外します。
併願はできるが、先に地域枠で決まればそこで確定する、ということです。
工学部——女子枠が一般枠より多い学科がある
工学部の学校推薦型選抜には、学科ごとに一般枠と女子枠が設定されています。
| 学科 | 一般枠 | 女子枠 |
|---|---|---|
| 機械工学・システムデザイン学科 | 3名 | 7名 |
| 電気電子物理工学科 | — | 7名 |
| 情報工学科 | — | 6名 |
機械工学・システムデザイン学科は、女子枠7名に対して一般枠3名。女子枠のほうが多い設計です。要項には「埼玉大学は、ダイバーシティ推進拠点としての機能を強化する…」という趣旨の記述が添えられています。
京都大学、名古屋大学、広島大学、千葉大学にも女子枠がありますが、一般枠を上回る比率は多くありません。理工系を志望する女子受験生にとっては、実質的に大きな入口です。
工学部の総合型選抜は情報工学科(5名)で実施され、こちらは個人面接が中心です。
何から始めるか
- 志望学部にどの入口があるかを確認する(教養・教育は推薦のみ、経済は総合型のみ)
- 学内併願は原則不可。ただし1次で落ちれば他に出せる。日程の前後を確認する
- 経済学部なら、評定3.8以上と外部英語試験のスコア(英検1950/TOEFL iBT 42など、2年以内)を先に揃える
- 理学部生体制御学科なら、講義2コマ+小テストに備える。聞きながらメモを取る訓練を
- 教養学部なら、Ⅰ型(小論文あり)かⅡ型(小論文なし)かを決める
- 教養学部Ⅱ型なら、1200字以内・2要素必須の志望の理由を書く
- 教育学部なら、自分の専修の出題意図を要項で読む。テーマ領域が指定されている
- 理工系の女子受験生は女子枠を確認する
埼玉大学は、総合型選抜の全体像でいえば「入口が1学部1つに絞られている」タイプです。千葉大学のように選抜の種類が多い大学とは逆で、選択肢は少ないぶん迷いません。
講義を聞いてから書くという点では、東京農工大学のゼミナール入試(実験を約60分見学して100分でレポート)も同じ系統です。
そして、要項に書いてある情報の密度が高い大学です。専修ごとの小論文の出題意図、志望の理由に入れるべき2要素、面接でグループディスカッションを行わないことまで書かれています。募集要項の読み方で書いたとおり、書いてあることを全部使ってください。
同じように講義を聞いてから書かせる国立大学は、宇都宮大学(30分の講義動画+60分のレポート)と東京海洋大学(模擬講義の聴講論文120分)にもあります。北関東では茨城大学と群馬大学も扱っています。