山口大学 総合型選抜の対策。第2次は「講義を聞いてレポート」、過去3年のテーマが要項に載っている
山口大学の総合型選抜(7学部・計117人)を2027年度の学生募集要項から整理しました。第1次選抜の加点評価項目表、学部ごとに中身が違う講義等理解力試験、令和6〜8年度の出題テーマ、志望理由書と自己アピール書の設問まで解説します。
山口大学の総合型選抜の第2次選抜は、「講義等理解力試験」という名前です。
中身は学部によって違いますが、基本は大学の講義を聞いて、その場でレポートを書くというもの。人文学部なら講義90分+レポート90分、経済学部はそこにグループディスカッション25分が加わり、工学部の機械系と建築学科、情報学部は英語のCBTが120分付きます。
そして過去3年分の出題テーマが募集要項に一覧で載っています。
- 人文学部:物語の語り方、信頼できない語り手、伝記と歴史
- 理学部 物理・情報科学科:ベイズの定理、最適化問題、データから因果を見つける方法
- 工学部 機械系:平面内の回転運動と、回転と仕事の伝達
- 国際総合科学部:Information Society、地球環境と人間社会、環境心理学
どんな水準の講義が来るかが、事前にわかる入試です。
この記事は、公開されている2027年度(令和9年度)総合型選抜 学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:山口大学 総合型選抜学生募集要項/令和9年度 総合型選抜 学生募集要項(PDF)
募集人員は7学部で117人
| 学部 | 学科・課程等 | 募集人員 |
|---|---|---|
| 人文学部 | 人文学科 | 7 |
| 教育学部 | 学校教育教員養成課程(小学校教育コース 小学校総合選修) | 10 |
| 経済学部 | 経済学科・経営学科・観光政策学科(学部一括) | 30 |
| 理学部 | 物理・情報科学科5/化学科4/地球圏システム科学科4 | 13 |
| 工学部 | 創成工学科(機械系6/国土・環境デザイン系8/化学系10/電気電子系8)、建築学科3 | 35 |
| 情報学部 | 情報学科 | 12 |
| 国際総合科学部 | 国際総合科学科 | 10 |
| 合計 | 117 |
経済学部は学科ごとの募集人員を設けず学部一括で募集し、学科・コースへの配属は入学後の希望調査と1年次前期の成績で決まります。
山口大学は2002年度入試からAO入試を実施してきた大学で、総合型選抜はその後継にあたります。合格者には入学前指導があり、入学後は全員がTOEICを受けます。
日程
| 日程 | |
|---|---|
| ネット出願登録・検定料支払い | 8月28日〜9月4日17時 |
| 出願書類の提出(必着) | 9月1日〜9月4日17時 |
| 第1次選抜の結果 | 9月14日 |
| 第2次選抜 | 9月28日〜30日(学部ごとに日が違う) |
| 合格発表 | 11月2日 |
| 入学手続 | 11月2日〜9日 |
第1次選抜は、志願者が募集人員の3倍を超えた募集単位でだけ実施されます。3倍を超えなければ、全員が第2次選抜に進みます。第1次選抜で不合格になった人には、検定料の一部が返還されます。
台風などで9月28日〜30日に実施できない場合は、10月10日〜12日に行うと決められています。
第1次選抜——加点される項目が一覧になっている
第1次選抜の配点は、全学共通評価項目70%+学部指定評価項目30%という比率です。
| 区分 | 項目 | 比率 |
|---|---|---|
| 全学共通 | 調査書・志望理由書・自己アピール書・活動実績報告書 | 50% |
| 全学共通 | 英語の資格・検定試験等 | 10% |
| 全学共通 | 高校における活動(部活動の部長、生徒会長) | 10% |
| 学部指定 | 資格・検定試験等、各種大会等での活動・顕彰、その他の活動 | 30% |
全学部共通で加点対象になる英語は、英検CSEスコア1950点以上/TOEIC(L&R)550点以上/GTEC 930点以上と、その一段下の英検CSE 1700〜1949点/TOEIC 225〜545点/GTEC 680〜929点の2段階です。
学部指定の項目は学部ごとに違い、日商簿記1級(経済)、情報処理技術者試験(理・工・情報)、実用数学技能検定、科学オリンピック(物理チャレンジ、情報オリンピック、数学オリンピック、化学グランプリ、生物学オリンピック、地学オリンピック。予選参加の段階から対象になるものがあります)、SSHカリキュラムの受講、14日以上の海外留学・海外研修、通算14日以上のボランティア活動などが並びます。
英語の資格以外は調査書の所定の欄に記入することで足り、合格証明書などの提出は不要です。逆に言えば、調査書に書いてもらう段階で漏れると加点されません。
第2次選抜——学部ごとに中身が違う「講義等理解力試験」
第2次選抜は面接試験30%+講義等理解力試験70%の比率(経済学部のみ50%と50%)で評価します。両方を受験する必要があります。
面接は、人文学部と理学部が個人面接、教育・経済・工・情報・国際総合科学部が集団面接です。
| 学部 | 講義等理解力試験の中身(時間は目安) |
|---|---|
| 人文学部 | 講義90分+レポート90分 |
| 教育学部(小学校総合選修) | 前半:講義50分+課題とレポート60分/後半:別の課題を示され、A3用紙2枚の資料を30分で作り、3分以内で発表+質疑 |
| 経済学部 | 講義90分+レポート90分+グループディスカッション25分 |
| 理学部 物理・情報科学科/化学科 | 講義70分+レポート70分+質疑応答15分 |
| 理学部 地球圏システム科学科 | 講義70分+レポート70分+グループディスカッション120分 |
| 工学部 機械系・建築学科 | 講義90分+レポート作成や試験60分+英語CBT 120分 |
| 工学部 国土・環境デザイン系 | 模擬講義60分+レポート30分+小テスト30分+個別の質疑応答15分 |
| 工学部 化学系 | 講義と理解度の確認90分+個別質疑応答15分 |
| 工学部 電気電子系 | 数学と物理の設問に対話形式で解答(各10分) |
| 情報学部 | 講義75分+小テスト60分+英語CBT 120分 |
| 国際総合科学部 | 講義60分(一部は英語)+レポート50分(一部は英語で解答)+グループディスカッション50分(日本語) |
工学部・情報学部・国際総合科学部では、講義に使う資料に英語が含まれることがあると明記されています。
過去のテーマが3年分公開されている
募集要項には、令和6〜8年度の講義等理解力試験のテーマが一覧で載っています。
| 学部・学科 | テーマの例 |
|---|---|
| 人文学科 | 物語の語り(『源氏物語』橋姫巻の方法)/信頼できない語り手/伝記と歴史 |
| 教育(小学校総合選修) | 子どもの体力と運動発達/新たな教師の学び/PISA調査と授業改善 |
| 経済(全学科) | 経済成長を決める要因/子どもの起こした事故についての親の責任/株式会社の所有と経営 |
| 理 物理・情報科学科 | ベイズの定理/最適化問題/データから因果を見つけるには? |
| 理 化学科 | 物質の色/有機化学の基礎/有機化合物の異性体 |
| 理 地球圏システム科学科 | 隕石からわかる地球のこと/地質時代と人新世/石灰岩が語る太古の海 |
| 工 創成工学科(改組前を含む) | ねじの設計/コンクリート工学/キャッシュメモリの基礎/平面内の回転運動 |
| 情報学科 | ニューラルネットワークの基礎 |
| 国際総合科学科 | Information Society/地球環境と人間社会/環境心理学 |
大学1年生の最初の授業くらいの水準だとわかります。高校の教科書の少し先にある話を、90分聞いて自分の言葉で書けるかが問われています。
出願書類——志望理由書と自己アピール書
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 志望理由書 | 学部・学科等を志望する理由、将来の目標や学びたいこと、それに向けて具体的に取り組んでいること。A4判1枚・本人が黒のボールペンで手書き |
| 自己アピール書 | 2024年4月以降に、自ら問いを立て、考え、課題解決のために努力した探究的な取り組みをふまえて自分をアピールする。A4判1枚・手書き |
| 活動実績報告書 | 調査書が発行できない人や、高校卒業後5年以上たった人などが提出(3項目以内) |
自己アピール書の「探究的な取り組み」は、総合的な探究の時間の授業に限りません。課題研究、資格取得、委員会活動、課外活動、学外活動、海外経験など、活動の形式は問わないとされています。複数人で取り組んだものは、自分の役割がわかるように書きます。
2024年4月以降という時期の指定があるので、中学時代の実績は対象外です。
どこから手をつけるか
まず、第1次選抜の加点項目を、いまの調査書と照らし合わせてください。
英語の資格、部活動の部長、生徒会長、科学オリンピックへの参加、SSHカリキュラムの受講、14日以上の海外留学・海外研修、通算14日以上のボランティア活動。条件を満たしているのに調査書に書かれていないという状態がいちばんもったいない。英語以外は調査書への記入で足りるので、担任の先生に早めに相談してください。
英語は、英検CSEスコア1950点/TOEIC(L&R)550点/GTEC 930点が一段目の目安です。学部指定で、さらに上の段(英検CSE 2300点以上など)を評価する学部もあります。
次に、講義を聞いてレポートを書く練習です。
過去3年のテーマが公開されているので、同じ水準の講義を自分で探せます。大学の公開講座や入門講義の動画を1本選び、90分聞いてから90分で書く。3回やれば形式に慣れます。聞いた内容を整理する練習は課題文の要約と共通です。
経済学部・理学部地球圏システム科学科・国際総合科学部はグループディスカッションもあります。グループディスカッションの対策を読んでおいてください。国際総合科学部は講義とレポートの一部が英語なので、英文課題文型の小論文も確認しておきましょう。
教育学部は30分で資料を作って3分で話す形式です。A3用紙2枚という制約の中で何を書き、何を話すか。プレゼン型入試の対策で組み立て方を確認してください。
工学部の機械系・建築学科と情報学部は、英語CBTが120分あります。講義理解とは別に、英語の準備が要ります。
そして、自己アピール書に書く「探究的な取り組み」を2024年4月以降から選ぶこと。形式は問われないので、授業の課題研究でも、委員会活動でも、学外活動でもかまいません。探究活動 完全ガイドで、問いの立て方と振り返り方を確認してください。
まとめ
- 山口大学の総合型選抜は7学部で117人。経済学部の30人は学部一括で募集する
- 出願は9月1日〜4日17時必着(ネット登録は8月28日から)
- 第1次選抜は、志願者が募集人員の3倍を超えた募集単位でだけ実施。不合格者には検定料の一部を返還
- 第1次の配点は全学共通評価項目70%+学部指定評価項目30%。英語資格・部長・生徒会長・科学オリンピック・SSH・海外研修・ボランティアなどが加点対象
- 英語以外の加点項目は調査書への記入で足りる(合格証明書の提出は不要)
- 第2次選抜は面接30%+講義等理解力試験70%(経済学部は50%ずつ)
- 講義等理解力試験は学部別。人文は講義90分+レポート90分、教育はA3用紙2枚を30分で作り3分で発表、工学部の機械系・建築学科と情報学部は英語CBT 120分つき
- 令和6〜8年度の出題テーマが要項に一覧で公開されている
- 出願書類は志望理由書と自己アピール書(ともにA4判1枚・本人が手書き)。自己アピール書は2024年4月以降の探究的な取り組みが対象
- 第2次選抜は9月28日〜30日、合格発表は11月2日。入学後は全員がTOEICを受験する
中国地方の国立大学は、鳥取大学、島根大学 へるん入試、岡山大学、広島大学 光り輝き入試の記事で扱っています。公立大学は中国・九州の公立大学 学校推薦型選抜にまとめ、鳥取県・島根県・山口県の公立大学の総合型選抜は鳥取・島根・山口の公立大学、岡山県・広島県は岡山・広島の公立大学で扱っています。学部別の傾向は経済学部の小論文や情報・理工学部の小論文を参照してください。