明治大学 自己推薦特別入学試験の対策。学部ごとに、まったく別の入試
明治大学の自己推薦特別入学試験を、学部ごとの募集要項に沿って整理しました。文学部・国際日本学部・農学部・理工学部・総合数理学部で異なる選考方法、評定要件、自己推薦書2000字までを解説します。
「明治大学の総合型選抜の対策」という言い方は、実は成立しません。
明治大学の自己推薦特別入学試験は、学部ごとに独立した入試です。募集要項が別々に作られ、選考方法も、評定要件も、日程も違います。同じ学部の中でさえ、学科によって試験内容が変わるところがあります。
だから最初にやることは、対策ではなく「自分の志望学部の要項を読むこと」です。この記事は、その読み方を示すためのものです。
必ず志望学部の最新の募集要項で確認してください。この記事は複数学部の要項を横断的に整理したもので、個別の要項の代わりにはなりません。日程・要件は年度によって変わります。 出典:明治大学 総合型選抜・その他 各入試要項
実施している学部と、選考方法の違い
記事執筆時点で自己推薦特別入学試験を実施しているのは、次の5学部です。2次選考の中身が、まったく違います。
| 学部 | 第2次選考の内容 |
|---|---|
| 文学部 | 小論文+面接(口頭試問) |
| 国際日本学部 | 小論文(60分)+口頭試問(20分) |
| 農学部 | 特別講義受講(60分程度)→ 特別講義に関する筆記試験(60分)→ 個別面接(10〜15分) |
| 理工学部 | 学科により異なる。口頭試問/建築学科は成果物・造形による試験+プレゼンテーション+口頭試問 |
| 総合数理学部 | 学科により異なる。数学の学力考査(90分)+口頭試問/数学確認テスト(60分)+自作プログラムのプレゼン(5分) |
商学部は「公募制特別入学試験」という別の制度で、大学入学共通テストを利用する方式と、全国商業高等学校長協会の会員校を対象とする方式があります。
この表を見れば、対策が学部で分かれることが分かります。文学部と国際日本学部は小論文の訓練が必要ですが、総合数理学部は数学の学力が問われ、理工学部建築学科では造形の実技が課されます。
農学部の形式に注目
農学部の「特別講義を受けてから、その内容についての筆記試験を書く」という形式は、慶應法学部FIT入試A方式と同じ構造です(慶應法FIT入試)。同型の入試は中央大学法学部チャレンジ入試、立命館大学の政策科学セミナー方式、九州大学共創学部にもあります。1つの対策が他大学にも効きます。
要項はこう説明しています。
特別講義では、各学科の専攻に関連した講義を行います。筆記試験では、特別講義の内容を踏まえ、単に知識だけでなく、思考力・判断力・表現力を問います。
事前に用意した知識では対応できません。その場で聞いた講義を理解し、整理し、自分の言葉で書く力が測られます。準備は後述します。
併願の扱い——独特の書き方をしている
文学部と国際日本学部の要項に、同じ表現があります。
当入試制度で合格した場合は本学部に入学することを前提として、他大学・他学部との併願を認めます。
併願は認めるが、合格したら入学する前提。上智の公募推薦のような「第一志望であることが出願資格」とは、書き方が違います(上智の公募推薦)。
実務的な意味はこうです。出願の時点では他大学も受けられます。ただし合格したら入学する意思が前提なので、「滑り止めとして受ける」入試ではありません。文学部の要項も出願資格に「本学部の各専攻で勉学を強く希望し、第一志望として入学を志す者」と明記しています。
なお、一般選抜の準備は止めないでください。文学部の2次選考結果発表は11月中旬、国際日本学部は12月上旬です。不合格だった場合に切り替える時間は残ります(総合型選抜と一般入試の両立)。
評定要件——学部どころか学科で違う
ここが最も注意すべき点です。同じ明治大学でも、要求される評定がまったく違います。
| 学部・学科 | 学習成績の状況の要件 |
|---|---|
| 文学部 | 全体3.5以上(第3学年1学期末または前期末まで) |
| 国際日本学部 | 全体4.0以上 |
| 農学部 農学科・生命科学科 | 全体4.0以上(活動歴ルートは別条件) |
| 農学部 農芸化学科 | 全体4.3以上(活動歴ルートは別条件) |
| 理工学部 | 数学・理科・英語3教科の全履修科目で3.8以上または4.0以上(出願資格の型による) |
| 総合数理学部 | 数学4.0以上かつ理科3.8以上 |
文学部の3.5は、私立の総合型選抜としてはかなり低い水準です。一方、農芸化学科の4.3や、理工・総合数理の教科別要件はハードルが高い。
理工学部と総合数理学部が「全体」ではなく教科別で見ていることにも注意してください。全体が高くても数学が届かなければ出願できません。逆に、全体が平凡でも理系科目が突出していれば出願できます。
文学部には、専攻ごとの追加要件がある
文学部は14専攻それぞれに募集人員(2〜5名)が設定されていますが、史学地理学科の4専攻には履修科目の条件が追加されます。
| 専攻 | 追加要件 |
|---|---|
| 日本史学 | 日本史探究または世界史探究(等)を3単位以上履修 |
| アジア史 | 世界史探究(等)を3単位以上履修 |
| 西洋史学 | 世界史探究(等)を3単位以上履修し、かつ英語の学習成績の状況4.0以上 |
| 地理学 | 地理探究(等)を3単位以上履修 |
要項は「上記の『準じる科目』に、歴史総合、地理総合やこれらに準じる科目は含まない」と明記しています。歴史総合を取っただけでは条件を満たしません。
高2の科目選択で決まってしまうので、志望が固まっているなら早めに確認してください。
農学部には2つのルートがある
農学部の公募生Aには、評定で出願する道と、活動歴で出願する道の2つが用意されています。②のルートは「在学中に学業以外に優れた活動歴がある者」で、評定の条件が別に設定されています。
要項が挙げる「優れた活動歴」の例は具体的です。国際科学技術コンテスト(数学・化学・生物学オリンピック等)、日本学校農業クラブ全国大会、各種懸賞論文、高度な資格、ボランティア・地域活動での指導的役割、文化・芸術分野のコンクールなど。
ただし「スポーツ競技は除く」と明記されています。ここは見落とすと出願できません。
文学部の自己推薦書——2000字を自筆で
文学部の要項は、この入試で何が最も重要かをはっきり書いています。
第一次選考(書類選考)では、みなさんから提出された書類すべてが評価対象になります。(中略)とりわけ重要なのは、みなさんの意志が強く表わされる自己推薦書の内容です。
そして自己推薦書の指定はこうです。
- 本学部所定用紙、A4判 片面印刷
- 消えない黒のボールペンを使用し、本人自筆
- ア・イ合わせて2,000字以内
- クリップ止め(ホチキス止めはしない)
課題は2つです。
| 課題 | |
|---|---|
| ア | この制度を生かして、志望する学科・専攻で具体的に何を学びたいか。将来の希望も含めて |
| イ | 自ら最も高く評価する特定分野、あるいは高校時代に行ってきた「研究」または「学習」をアの内容と関連させて述べる。また、その際に読んだ著作について、あなたの意見を述べる |
イの後半を落とさない
「読んだ著作について、あなたの意見を述べる」——ここを落とす答案が出ます。
これは実質的に、本を読んでいることが出願の前提だという意味です。志望専攻の分野の本を1冊以上、きちんと読み、それについて自分の考えを持っている必要があります。要約ではなく「意見」が求められている点にも注意してください。
高3の夏から慌てて読むと、浅い記述になります。志望が固まった時点で読み始めてください。読んだものへの応答の書き方は課題文型の手順と課題文の要約が土台になります。
実績の「大きさ」は問われていない
文学部の要項には、この入試の性格を決める一文があります。
コンクール等での入賞実績の優劣で合否が決まることはありません。重要なのは、入学後の学びにつながる活動や努力を明確に説明できることです。
そして「学内外の特定分野」の定義も明示されています。
正規授業のほかの自主的でユニークな学習・活動であり、それらが入学後の文学部および各専攻での学びに結びつく分野
受賞歴は要りません。自分で始めた読書、調査、制作、活動——それが専攻での学びにつながることを説明できればよい。探究活動がそのまま材料になります。実績が思いつかない場合は活動報告書に書くことがない人への掘り方を使ってください。
書き方の土台は志望理由書の完全ガイド、2000字の配分は800字の構成の考え方を拡張して組んでください。
なお、評価書は「高等学校におけるあなたの生活全体を最も良く把握している担当教員、指導教員等」に依頼します。先生への依頼は早めに。
国際日本学部——英検準1級が出願要件
国際日本学部は、出願の段階で英語力が求められます。募集人員は12名です。
要項の出願資格(3)は、英語資格・検定試験で基準を満たすことを求めています。
| 試験 | 基準 |
|---|---|
| 実用英語技能検定(英検) | 準1級以上 |
| TEAP(4技能パターンに限る。TEAP CBTは不可) | 309以上 |
| TOEFL iBT(Home Editionは不可、MyBest Scoresは不可) | 72以上(新スケールは4以上) |
| IELTS(アカデミック・モジュールに限る。Onlineは不可) | 要項の基準を参照 |
そして重要な条件があります。
2024年9月10日以降に受験し、かつ証明書類を提出締切日までに提出できる1種類かつ1回のものを有効とします。
古いスコアは使えません。そして「1種類かつ1回」なので、複数回の best score を組み合わせることもできません(TOEFLのMyBest Scoresが明示的に不可とされているのはこのためです)。
加えて、評定4.0以上と、活動実績(都道府県以上の大会、生徒会、英語以外の語学検定や国家資格、学校外での諸活動など5類型のいずれか)が必要です。
2次は小論文60分+口頭試問20分
そして国際日本学部には、受験生にとってありがたい情報公開があります。要項から過去問題にリンクが張られています。
必ず解いてください。60分という時間は短く、時間配分と構成メモを事前に決めておかないと書き切れません。過去問の使い方は過去問の使い方にまとめています。
テーマの方向は、学部の目的から読み取れます。要項は「日本と世界のさまざまな文化や社会システム、国際関係、人々の共生に強い関心を抱き」と書いています。国際系の小論文対策を土台に、グローバル化、多様性と共生、外国人労働者、言語と思考、観光と地域あたりを押さえておくと安心です。
口頭試問20分の準備は口頭試問の対策を参照してください。面接ではなく試問なので、志望動機を語る場ではありません。
農学部——「特別講義を聞いて書く」試験の対策
農学部の2次選考は、朝9時集合で夕方まで続く1日仕事です。特別講義60分程度、筆記試験60分、そして個別面接。
この形式の対策は3つです。
1. 聞きながらメモを取る訓練 講義を聞きながら、主張・根拠・具体例を区別してメモする。課題文への線の引き方の記号を、音声に対して使う練習です。学校の授業がそのまま教材になります。
2. 短時間で構成を組む訓練 筆記は60分。構成メモを数分で組み、残りを書く時間に充てる型を作っておいてください。
3. 講義内容を「自分の判断」に接続する訓練 要項が「単に知識だけでなく、思考力・判断力・表現力を問います」と書いている以上、要約だけでは足りません。理解したうえで自分がどう考えるかまで書く。設問の動詞の読み分けで、要約が求められているのか論述が求められているのかを見極めてください。
分野の背景は農学系の小論文対策を土台に、食と農業、環境と経済、生物多様性と開発、気候変動への適応を押さえてください。
なお、面接は受験番号順で、待機時間が3〜4時間程度になることがあると要項が明記しています。遠方から受験する人は、帰りの交通手段に余裕を持ってください。
理工学部・総合数理学部——学科ごとに試験が違う
この2学部は、学科によって試験内容が変わります。要項の記載から例を挙げます。
| 学科 | 試験内容 |
|---|---|
| 理工学部 機械情報工学科 | 出願書類、口頭試問。レポートを口頭試問終了時にその場で提出 |
| 理工学部 電気電子生命学科 | 出願書類、資格・検定試験の成績、口頭試問 |
| 理工学部 建築学科 | 出願書類、成果物等・造形による試験、プレゼンテーション・口頭試問 |
| 総合数理学部 現象数理学科 | 数学の学力考査(90分)、口頭試問(20分) |
| 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 | 数学確認テスト(60分)、作成したコンピュータプログラムのプレゼンテーション(5分) |
小論文が課される学科と、課されない学科があります。建築学科の造形試験、先端メディアサイエンス学科のプログラム発表は、それぞれ長期の準備が要る内容です。
理系志望の人は、この記事ではなく、志望学科の要項そのものを読んでください。準備の中身が根本的に変わります。プレゼンが課される学科についてはプレゼン型入試を参照してください。
準備の順番
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1〜高2 | 志望学部を絞り、要項の評定要件と履修条件を確認。文学部史学地理学科や理工・総合数理は科目選択で決まる |
| 高2〜高3春 | 国際日本学部志望なら英検準1級を取る(2024年9月以降の受験に限る) |
| 高2〜高3春 | 志望専攻の分野の本を読み始める。文学部は自己推薦書で「読んだ著作への意見」を求められる |
| 高3 4〜6月 | 自己推薦書・志望理由書の下書き。文学部は自筆2000字 |
| 高3 6〜7月 | 評価書を先生に依頼。調査書も依頼 |
| 高3 8月 | 学部の2次形式に合わせた演習を開始(小論文/講義メモ/数学/造形) |
| 高3 9月 | 1次出願(学部により9月上旬〜10月上旬と幅がある) |
| 高3 10〜11月 | 1次発表→2次出願→2次選考 |
出願時期が学部でずれます。農学部と国際日本学部は9月上旬、文学部は9月下旬〜10月上旬。複数学部を検討している場合は、カレンダーに書き出してください。
出願実務の落とし穴は出願直前チェック17項目、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。
まとめ
- 明治大学の自己推薦特別入学試験は学部ごとに独立した入試。要項も選考方法も日程も別
- 2次選考は学部で全然違う。小論文(文・国際日本)/特別講義+筆記(農)/数学・造形・プレゼン(理工・総合数理)
- 評定要件は文学部3.5、国際日本4.0、農芸化学科4.3。理工・総合数理は教科別
- 文学部史学地理学科には履修科目の追加要件がある。歴史総合・地理総合は算入されない
- 文学部の自己推薦書は自筆2000字。「読んだ著作についての意見」が課題に含まれる
- 文学部は「入賞実績の優劣で合否が決まることはありません」と要項に明記
- 国際日本学部は英検準1級以上が出願要件。2024年9月以降の1種類・1回のスコアのみ有効
- 国際日本学部は過去問題を公開している
- 併願は認められるが、合格したら入学する前提
- 必ず志望学部の最新の募集要項で確認する
GMARCHで唯一まとめていなかった学習院大学 総合型選抜・公募推薦も記事にしました。学習院の総合型(AO)は専願ではありません。