課題文の要約のコツ。「短くする」のではなく「骨組みを抜く」
要約が苦手な人は、文章を削って短くしようとしています。正しくは、筆者の論の骨組みを抜き出して組み立て直す作業です。手順と減点されるパターンを解説します。
「本文を200字以内で要約せよ」という設問で、多くの受験生が同じ間違いをします。
本文を上から順に削って、短くしようとするのです。
この方法では、字数は縮んでも要約にはなりません。大事な一文を残して接続すると、文と文のつながりが失われた「ダイジェスト」ができあがります。読み手には、筆者の主張がむしろ見えなくなります。
要約とは「骨組みを抜く」こと
要約は、削る作業ではなく抜き出して組み立て直す作業です。抜き出すのは次の3点だけです。
| 要素 | 問い | 目安 |
|---|---|---|
| 主張 | 筆者は結局、何と言いたいのか | 1文 |
| 根拠 | なぜそう言えるのか | 1〜2文 |
| 前提・対比 | 何に反対して/何を受けて言っているのか | 0〜1文 |
この3つが入っていれば、本文の順番どおりでなくても要約として成立します。逆に、この3つのどれかが欠けた要約は、どれだけ丁寧に書いても点になりません。
手順1:主張の一文を特定する
主張は、次の場所にあることが多いです。
- 最終段落(結論として置かれる)
- 「つまり」「すなわち」の直後(言い直しは主張の合図)
- 「〜ではないだろうか」「〜べきだ」の文(筆者の立場表明)
見つけたら、その一文に線を引いてください。要約の中心はこの一文の言い換えになります。
注意したいのは、具体例の中の印象的な一文を主張と取り違えることです。具体例は主張を支える材料であって、主張ではありません。「たとえば」以降の文は、どれだけ目立っても中心にはなりません。
手順2:根拠を1つに絞る
筆者が根拠を複数挙げている場合、要約にすべて入れる必要はありません。主張に最も直結する根拠を1つ選びます。
選ぶ基準は、「この根拠を消したら主張が成り立たなくなるか」です。成り立たなくなるものが本筋の根拠、消しても主張が生きるものは補強です。
手順3:自分の言葉で書き直す
本文の言い回しをそのまま写すと、次の問題が起きます。
- 文脈から切り離された言葉は、意味が通らなくなる
- 指示語(「それ」「この」)が宙に浮く
- 比喩表現が説明なしに残る
指示語と比喩は、要約では必ず中身に置き換えてください。「そのような風潮」と書いてある部分は、何の風潮なのかを自分の言葉で明示します。比喩は元の意味に戻します。
本文:情報の海に溺れる私たちは… 要約:大量の情報を処理しきれない現代人は…
減点される要約のパターン
自分の意見が混ざる
要約は筆者の論の再現です。「筆者の主張はもっともであり」のような評価を入れた時点で、要約の枠を外れます。意見は意見を求める設問で書きます。
具体例をそのまま入れる
具体例は原則としてカットします。字数に余裕がある場合のみ、「〜の例を挙げながら」と抽象化して一言で触れます。
「〜について述べている」で終わる
筆者は現代のコミュニケーションについて述べている。
これはテーマの紹介であって、要約ではありません。何について「何と」述べているのかまで書いて、初めて要約です。
字数配分の目安
200字要約の場合の配分です。
| 内容 | 字数 |
|---|---|
| 前提・対比(何に対して言っているか) | 40字 |
| 根拠 | 60字 |
| 主張 | 100字 |
主張に半分を使う配分にすると、自然と「骨組みの再現」になります。前提から書き始めると流れが作りやすく、主張で締めると採点者に伝わりやすくなります。
練習方法
要約力は、添削を受けなくても自分で鍛えられる数少ない技術です。
- 新聞のコラムや社説を1本選ぶ
- 主張の一文に線を引く
- 100字で要約する
- 翌日、要約だけを読み返して、元の文章の論が再現できるか確かめる
4が重要です。時間を置いて読み返したとき意味が通らない要約は、書いた時点で骨組みが抜けています。週に2〜3本、1か月続けると、課題文の読み方そのものが変わります。
まとめ
- 要約は削る作業ではなく、骨組みを抜いて組み立て直す作業
- 抜くのは主張・根拠・前提の3点だけ
- 指示語と比喩は必ず中身に置き換える
- 意見を混ぜない。具体例は原則カット
- 主張に字数の半分を使う
形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。