国際系学部の小論文対策。「相互理解が大切」から抜け出す
国際・グローバル系学部の小論文で最も多い失敗は、相互理解や多文化共生を結論にしてしまうことです。頻出テーマ、対立の扱い方、英文課題文への備えをまとめました。
国際系学部の小論文で、最も多い結論がこれです。
互いの文化を理解し、尊重し合うことが大切である。
反対する人はいません。反対する人がいない主張は、論述になりません。
国際系が見たいのは、理解し合えなかったときにどうするかです。
国公立で小論文の比重が大きい例。静岡県立大学 国際関係学部の学校推薦型選抜(共通テスト免除)は、小論文100点・書類と面接100点の200点満点。募集人員は国際関係学科14人・国際言語文化学科28人で、国際言語文化学科は定員120人の約4分の1にあたります。
私大で英語のまま書かせる例。明治学院大学 国際学部国際キャリア学科の自己推薦AOは「論文(英語で解答する)」を課します。同大学の国際学科は、出願時に志望理由書800字+レポート800字を提出し、レポートには「これまでに読んだ本や学んだことに積極的に言及」するよう求められます。
何を見られているか
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 対立を扱う力 | 価値観がぶつかったとき、どう決着させるか |
| 相対化 | 自分の常識を、いったん外から見られるか |
| 力関係への視点 | 対等でない関係を、対等なふりで語っていないか |
| 具体への接地 | 「世界」ではなく、誰の話かを書けるか |
3つ目が国際系らしい観点です。文化交流と言いながら、実際には一方が影響を与え、一方が受け取っているという構図は珍しくありません。ここに気づけるかどうか。
頻出テーマ
| テーマ | 出題の角度 |
|---|---|
| グローバル化 | 最頻出。均質化と多様性 |
| 多様性と共生 | 共生の条件は何か |
| 外国人労働者 | 受け入れと権利 |
| 宗教と社会 | 政教分離、信教の自由 |
| 言語と思考 | 言語と世界の見え方、言語の消滅 |
| メディアと報道 | 情報が国境を越えるとき |
| 食と農業 | 貿易と食料安全保障 |
| 環境と経済 | 先進国と途上国の責任の分担 |
差がつく3つの視点
1. 「価値観の違い」で止めない
女性の権利、言論の自由、死刑。国によって扱いが違うテーマがあります。
ここで「文化が違うのだから尊重すべき」と書くと、深刻な問題を回避したことになります。文化を理由に人権の制限を認めるのか。認めないなら、その基準はどこから来るのか。
文化相対主義と普遍的人権の緊張——この対立に踏み込めるかどうかが、国際系での分岐点です。
2. 誰にとっての利益かを分ける
グローバル化で利益を得た人と、失った人がいます。「世界全体では豊かになった」という総量の話は、失った側の説明になりません。
国と国、国内の地域間、世代間。どの単位で損得を見るかで結論が変わることに触れられると強い。
3. 主語を大きくしない
「日本人は集団主義的で、欧米人は個人主義的だ」——こうした一般化は、国際系ではむしろ減点対象です。国の中にも多様性があり、個人差が国家間の差より大きいことは珍しくありません。
主語を小さくする。「誰が」を具体的に書く。これだけで答案の精度が上がります。
英文課題文への備え
国際系は、課題文が英語で出題されることがあります。英語力の試験ではなく、必要な情報を拾って日本語で論じられるかを見ています。
全訳しようとして時間切れになるのが典型的な失敗です。設問から逆算して読む手順は課題文が英文の小論文にまとめています。志望校に英文出題があるなら、必ず先に読んでください。
落ちる答案の共通点
留学体験を感想で終わらせる
体験は使えますが、そこで何が起きていたのかを構造として説明する必要があります。「異なる価値観に触れて視野が広がった」で止めると、感想文になります。手順は具体例の作り方にあります。
「架け橋になりたい」で締める
志望理由書でも小論文でも頻出する表現です。何と何を、どうつなぐのかが空欄のままだと、印象に残りません。
英語ができることを能力の中心に置く
英語は手段です。手段しか書いていない答案は、何をしたいのかが伝わりません。
対策の順番
まとめ
- 「相互理解が大切」は反対する人がいない。論述にならない
- 理解し合えなかったときにどうするかが問われている
- 文化相対主義と普遍的人権の緊張に踏み込めるかが分岐点
- 主語を大きくしない。「日本人は」で始まる一般化は減点される
- 英文課題文が出る場合は、読み方を先に固める
国際系の大学別対策では東京外国語大学 学校推薦型選抜が特殊です。国際社会学部は課題図書があらかじめ公開され、本を試験会場に持ち込めます。