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課題文型小論文の解き方。読む前に決めておく4つの手順

約9分で読めます

課題文型の小論文で時間が足りなくなるのは、読み終えてから考え始めているからです。読む前に決めておくべきことと、60分の時間配分を具体的に示します。

課題文型の小論文で「時間が足りなかった」という感想が出るとき、原因はほぼ1つに絞られます。

課題文を読み終えてから、何を書くか考え始めていることです。

読解と構想を直列でやると、どれだけ速く読んでも間に合いません。手順を先に決めておけば、読みながら構想が進みます。

課題文が桁違いに長い入試もあります。成城大学 法学部の総合型選抜は、一次試験で6,000字から10,000字程度の文章を提示し、90分で読解と意見の記述を求めます。新書1章分の分量です。この手順を、新書でそのまま練習しておくと効きます。

手順1:設問を先に読む(2分)

課題文より先に設問を読みます。当たり前に思えますが、実際の答案を見ていると、設問を最後に読んでいるとしか思えないものが多くあります。

設問で確認するのは3つです。

確認事項 見るポイント
要約の有無 「要約せよ」があるなら、読み方が変わる
問われ方 「あなたの考え」か「筆者の主張への意見」か
字数 400字と800字では構成が別物になる

とくに2番目が重要です。「あなたの考えを述べよ」は自由作文ではありません。課題文の論点に対して答える必要があります。

手順2:課題文は「対立軸」を探して読む(15分)

課題文型の出題で、意見が1つしかない文章はまず出ません。必ず何かと何かが対立しています。

読みながら、次を鉛筆で囲みます。

  • しかし・だが・むしろ … 対立の合図
  • つまり・すなわち … 筆者の主張の言い直し
  • たしかに〜だが … 譲歩。ここに反論の材料がある

読み終えた時点で、「Aに対してB」という形の一文が作れていれば成功です。

効率を重視する立場に対して、筆者は非効率の中にこそ学びがあると考えている。

この一文が作れないうちに書き始めると、途中で必ず迷子になります。

手順3:立場を決めてから、構成をメモする(8分)

いきなり書き始めないでください。8分のメモが、後半の30分を救います。

800字の場合の型です。

段落 内容 目安
第1段落 課題文の論点整理+自分の立場表明 150字
第2段落 理由。なぜその立場を取るのか 250字
第3段落 具体例。理由を支える事実 250字
第4段落 反論への応答+結論 150字

第4段落を最初から予定に入れておくのがコツです。ここを書ける答案は多くありません。

字数が800字でない場合

字数が変われば、削る場所も決まっています。

字数 段落数 削る/足す場所
400字 2〜3 反論への応答を1文に圧縮。具体例は1つで短く
600字 3〜4 反論を1〜2文残す。理由か具体例のどちらかを薄くする
800字 4〜5 標準形
1200字 5〜6 具体例をもう1つ足すか、反論の検討を厚くする

400字でも反論に触れる価値はあります。「たしかに〜。しかし〜」の1文だけでも、触れない答案とは差がつきます。

1200字で具体例を2つ使う場合は、性質の違うものを選んでください。自分の経験と社会的な事例、というように種類を変えないと、同じことの繰り返しになります。

段落の分け方そのものは小論文の段落構成にまとめました。

手順4:書く(30分)+見直す(5分)

見直しの5分では、内容を直さないでください。直すべきなのは次だけです。

  • 誤字脱字
  • 主語と述語のねじれ
  • 「〜だと思う」の連発(1回に減らす)
  • 指定字数の8割を超えているか

内容に手を入れ始めると、消しゴムで消した部分を書き直す時間が足りなくなります。

60分の配分まとめ

設問 2分 → 読解 15分 → 構成 8分 → 執筆 30分 → 見直し 5分

執筆に30分しか使わないことに驚くかもしれません。しかし、構成が決まっていれば800字は30分で書けます。書けないのは、構成が決まっていないからです。

課題文の言葉を、どこまで使ってよいか

見落とされがちですが、ここで差がつきます。

そのまま写してよいのは「鍵語」だけ

課題文の中心にある語(筆者が繰り返し使っている語)は、そのまま使ってください。言い換えると、同じことを論じているのかどうかが読み手に分からなくなります。

筆者のいう「効率」とは、時間あたりの成果を指している。この意味での効率を追えば〜

鍵語を引き取り、自分がどの意味で使うかを示す。これができている答案は多くありません。

文はそのまま写さない

課題文の文をそのまま書き写すのは、字数稼ぎと見なされます。要約が求められている場合でも、自分の言葉で組み立て直してください。

引用するなら短く、必ず処理する

筆者は「非効率の中にこそ学びがある」と述べる。しかし、この主張は〜という前提に立っている。

引用した直後に、その引用に対する自分の処理(賛成・反対・条件づけ)が来る形にします。引用して、そのまま次の話に進むのが最も弱い書き方です。

設問が2つ以上あるとき

「本文を200字で要約し、その上であなたの考えを600字で述べよ」という形の出題があります。

配分は指定字数の比で決める

要約200字・意見600字なら、時間も1対3で配分します。要約に時間をかけすぎるのが典型的な失敗です。

要約を先に完成させる

意見から書き始めないでください。要約は課題文の理解そのものなので、先に終えると意見が書きやすくなります。手順は小論文の課題文要約へ。

要約と意見をつなげる

意見の1文目で、要約した内容を受け直します。

以上の主張に対して、私は〜という点で条件をつけたい。

要約と意見が独立した2つの文章になっている答案は、設問の意図を外しています。

立場が決まらないとき

筆者に賛成とも反対とも決めきれないことがあります。3つの手があります。

1. 条件をつける

筆者の主張は、〜という場面では成り立つ。しかし〜の場合には当てはまらない。

最も安全で、最も評価されます。ただし条件は1つに絞ってください。

2. 論点をずらす

筆者は〜を問題にしているが、より根本的なのは〜ではないか。

強い書き方ですが、課題文を十分に検討したあとでなければ、読めていないと判断されます。

3. 具体例を持っている側で決める

どうしても決まらなければ、これで構いません。立場そのものは評価されません。書ける材料がある側を選んでください。

筆者の主張がつかめなかったとき

読み取りに自信がないまま書き始めることになる場合の保険です。

断定を避け、自分の読みを明示してください。

筆者の主張は、〜という点にあると私は読んだ。この読みに沿って考えると、〜

こう書いておけば、多少読みがずれていても「読み違えたまま断定した答案」にはなりません。読解を誤ったこと自体より、誤ったまま強く断定することのほうが減点は大きい。

ただし、この形を何度も使わないでください。序論で一度だけです。

よくある失敗

課題文の要約が長すぎる

第1段落が300字を超えている答案をよく見ます。要約を求められていない限り、課題文の紹介は最小限で構いません。読み手は課題文を知っています。

具体例が「たとえば〜など」で終わる

たとえば、環境問題や少子高齢化などが挙げられる。

これは具体例ではなく、単語の列挙です。具体例は1つに絞って、掘り下げるのが原則です。3つ挙げて全部浅いより、1つで深いほうが評価されます。

反論を書いて、そのまま終わる

第4段落で反論に触れたあと、応答せずに終わる答案があります。反論を書く目的は、それでも自分の立場が成り立つと示すことです。触れるだけなら書かないほうがましです。

課題文を離れて持論を展開する

途中から、課題文と関係のない自分の意見だけが続く答案があります。設問は課題文への応答を求めています。各段落のどこかで、課題文の論点に接続してください。

筆者を人格ごと批判する

筆者の考えは古く、現代の実情を分かっていない。

主張への批判と、書き手への評価は別です。論点を検討せずに退けた答案として読まれます。

答案の骨格の例

800字の場合の、実際の書き出しの形です。

筆者は、効率を追う姿勢が学びの質を損なうと述べている。私はこの主張に、条件をつけて賛成する。(第1段落・論点整理と立場) 効率が問題になるのは、何を成果とみなすかが先に決められている場合である。到達点が固定されていれば、そこへ最短で進むことが最善になり、途中で立ち止まる余地が失われるからだ。(第2段落・理由) 私は昨年、文化祭の準備で作業手順を決める係になった。最短の段取りを組んだところ、確かに早く終わったが、作業の意味を知らないまま手を動かしていた人が多く、翌年に引き継げる記録は何も残らなかった。(第3段落・具体例) たしかに、限られた時間の中では効率を優先せざるをえない場面がある。だが、そこで失われるのは時間ではなく、次に同じことをする人が使える経験である。効率を選ぶなら、何を残さないことにしたのかを自覚しておく必要がある。(第4段落・反論への応答と結論)

第3段落が、他の受験生には書けない部分です。ここに自分の経験が入っているかどうかで、答案の価値が決まります。

まとめ

  • 設問を先に読む
  • 対立軸を探しながら読む
  • 「Aに対してB」の一文が作れてから書き始める
  • 構成メモに8分使う。字数が変わっても削る場所は決まっている
  • 課題文の鍵語はそのまま引き取り、自分がどの意味で使うかを示す
  • 引用したら、その場で処理する。写しただけにしない
  • 要約つきの設問では、要約を先に完成させ、意見の1文目で受け直す
  • 立場が決まらないときは、条件をつけるのが最も安全
  • 読みに自信がなければ「私はこう読んだ」と明示する。断定しない
  • 見直しでは内容を直さない

形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。

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