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成蹊大学・成城大学 総合型選抜の対策。文献資料を読ませる成蹊と、1万字を読ませる成城

約16分で読めます

成蹊大学の自己推薦型と成城大学の総合型選抜を2027年度の要項に沿って整理しました。和文・英文の資料を読ませて記述させる成蹊、6,000〜10,000字の文章を90分で読ませる成城法学部、課題図書が指定されている社会イノベーション学部までを解説します。

成蹊大学と成城大学の総合型選抜には、はっきりした共通点があります。どちらも「読ませてから書かせる」という設計です。

活動実績を語らせて終わりにせず、その場で資料を配って読ませる。探究の実績がなくても、読解と論述で勝負できる入試だということでもあります。

この記事は、公開されている2027年度の要項・入試ガイドの記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・審査方法は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:成蹊大学 総合型選抜入試概要(S-NET)/成蹊大学 2027 入試ガイド(PDF)/成城大学 2027年度総合型選抜学生募集要項(PDF)/成城大学 学生募集要項

成蹊大学 自己推薦型——学部ごとに、審査の名前が違う

成蹊大学の総合型選抜は「基礎学力型」と「自己推薦型」の2本立てです。基礎学力型は基礎学力試験(2教科)と書類審査の得点を合算する方式。この記事で扱うのは、書く力が問われる自己推薦型のほうです。

これまでに注力した課外活動や探究学習、自身の夢の実現に向けて、成蹊大学で何を学んでいきたいかなど、書類審査と各学部における課題審査の2段階で総合的に合否を判定します。

募集人員はこうです。

学部 学科・専攻 自己推薦型の募集人員
経済学部 経済数理学科/現代経済学科 4/10
経営学部 総合経営学科 25
法学部 法律学科/政治学科 9/6
文学部 英語英米文/日本文/国際文化/現代社会 実施なし
国際共創学部 国際日本学専攻/環境サステナビリティ学専攻 5/7
理工学部 理工学科(5専攻) 15

文学部は自己推薦型を実施しません。成蹊の文学部を総合型で狙うことはできない、ということです。募集人員がいちばん大きいのは経営学部の25名、次いで理工学部の15名です。

審査の中身は、学部ごとに別物

入試ガイドには、学部別の審査名称と概要が載っています。

学部 一次審査 二次審査
経済学部 書類審査(調査書・志望理由書・活動報告書・課題レポート)/事前学習確認審査 発表審査
経営学部 書類審査(同上)/総合分析力審査 討論力審査
法学部 書類審査(調査書・志望理由書・活動報告書・学修計画レポート・その他)/基礎読解力審査 討論力審査
国際共創学部 書類審査(同上+英語外部検定試験成績・課題レポート)/理解力・思考力審査 発表・質疑応答審査
理工学部 書類審査(調査書・志望理由書・活動報告書・その他)/思考力審査/表現力審査 面接審査

名前が違うだけでなく、中身も違います。

経済学部の事前学習確認審査

課題となる文献資料(和文・英文の文章、数値や図表など)を参照しつつ、それに基づいた筆記試験を行います。文献資料を正確に理解し、分析に必要な基礎力を審査します。

資料を見ながら書ける形式です。二次の発表審査では「課題となる文献資料を正確に分析・理解し、それを基に自分自身の考えを表現する力を対面による個人面接で審査」。同じ文献資料が一次と二次の両方で使われる構造です。

経営学部の総合分析力審査

配布された資料(和文・英文の文章、数値や図表など)を基に記述式の試験を行います。和文・英文の文章を正確に読み取る読解力、問題文から解を求める基礎的な数学的思考力、および図表のデータから必要な情報を読み取り分析する思考力などを審査します。

英語と数学が両方入っています。経営学部志望でも、数的処理から逃げられません。資料・グラフ型の小論文と英文課題文型の両方が必要になります。

二次の討論力審査は「課題レポートのテーマについて、少人数で討論してもらいます。明確かつ論理的に表現する力を審査します」。自分が出したレポートの内容で討論するので、書いた内容を自分で説明できないと詰みます。

法学部の基礎読解力審査

文章を正確に読み取り理解する基礎的な力が問われます。総合型選抜「基礎学力型」の『国語』と同一の問題です。

基礎学力型の国語と同じ問題だと明記されています。つまり、自己推薦型でも国語の学力試験を受けるのと変わりません。

二次の討論力審査は「発表されるテーマについて、5〜7名程度でグループ討論を行い、各受験者の参加姿勢や発言内容に基づいて審査します」。対策はグループディスカッションの対策にまとめました。

理工学部は3本立て

一次審査だけで、書類・思考力審査(数学的な思考力に関する演習)・表現力審査(当日出題される科学技術に関するテーマについて記述式)の3つがあります。二次の面接審査では「表現力審査の内容を中心に、理工学部にて学ぶ意欲や志望動機、理工学に関する知識について口頭試問」。書いた答案の中身をそのまま聞かれます。理系の書き方は情報・理工系学部の小論文対策にまとめています。

日程は、出願が9月下旬

内容
出願期間 2026年9月23日(水)〜10月7日(水)【消印有効】
一次審査合格発表 11月6日(金)
二次審査 11月14日(土)(経済・経営・国際共創・理工)/11月28日(土)(法)

課題レポートは出願時に提出します。9月末が締切なので、夏休みが実質の作業期間です。

成城大学 総合型選抜——学部で入試の重心がまるで違う

成城大学は4学部すべてで総合型選抜を実施します。一次で筆記があるかどうかが、最初の分かれ目です。

学部・学科 募集人員 一次試験 二次試験
経済学部 経済学科/経営学科 各10 書類審査のみ 小論文90分(1,200字程度)+個別面接20分
文芸学部 4学科 各若干名 書類審査のみ 学科ごとに別(要約+面接/5分プレゼン/個人面接)
法学部 法律学科 10 書類審査+文章読解力・表現力審査(90分) 面接による資料分析力・表現力審査
社会イノベーション学部 政策イノベーション/心理社会 各10 書類審査+論述審査(90分・課題図書) 書類審査+面接審査

経済学部——小論文の内容を、その場で説明させられる

経済学部の二次試験の中身です。

審査内容 小論文:90分(1,200字程度) 個別面接:20分程度(小論文の内容説明<3〜5分>および提出書類の内容に関する質疑応答) ※一次試験の結果は二次試験に反映されません。

書いた小論文を、直後に自分で3〜5分説明する形式です。書きっぱなしにできません。答案の構成を頭に入れたまま面接に入る必要があります。

そして「一次試験の結果は二次試験に反映されません」。一次の書類審査は通過判定だけで、合否は二次の小論文と面接だけで決まるということです。書類で稼いだ分は持ち越されません。

出願要件は2つあります。

② 高等学校生徒指導要録による5段階評定で、高等学校で学んだ全ての教科・科目の評定平均が3.8以上の者。 ③ 英語の能力が本学部の定める下表のいずれかの基準を満たしている者。

英語の基準はこうです。

検定 基準
実用英語技能検定 2級合格、または準1級以上の受験かつCSEスコア1,980以上(合否は問わない)
GTEC CBTタイプ 900以上
TOEFL iBT (新)3以上/(旧)44以上
TOEIC L&R(公開テスト) 520以上
英語科目の評定平均 4.2以上

検定を持っていなくても、英語の評定平均4.2以上で代替できます。ここを知らずに諦める受験生がいます。

1,200字・90分の小論文は、書く速度の練習が要ります。手順は小論文の書き方 完全ガイド、経済系のテーマは経済学部の小論文対策にまとめました。

法学部——6,000字から10,000字を、90分で読む

成城大学法学部の一次試験は、この記事で扱ったなかで最も重い読解課題です。

イ)筆記試験による文章読解力・表現力審査(90分):6,000字から10,000字程度の論理的かつ主張のある文章を提示し、客観的かつ批判的な読解力および読解に基づく自己の意見の表現力を審査します。

新書1章ぶんに近い分量を90分で読み、意見まで書きます。一般的な課題文型小論文の課題文が1,500〜3,000字であることを考えると、2倍から5倍の分量です。

対策は明確で、長文を読み慣れることに尽きます。課題文型の手順の線の引き方を、新書1章分でそのまま練習してください。速く読む練習ではなく、論の骨格を取り出す練習です。

二次試験も独特です。

面接による資料分析力・表現力審査:特定のテーマについての資料を読み(約15分)、その資料をもとに議論を論理的に展開することが出来るか、社会問題に関心があるかを個人面接(約20分)で審査します。 ※二次試験では、面接審査の結果のみで、選考が行われます。

15分読んで、20分話す。書かずに口頭で論じる試験です。しかも二次は面接の結果のみで選考されます。

なお法学部には評定平均や英語検定の出願要件がありません。それどころか、要項にこう書かれています。

※卒業見込み者のうち、調査書内に卒業見込みと記載があれば調査書でも差し支えない。ただし、調査書で提出された場合であっても、成績は評価対象としない。

成績を見ないと明記されています。読解力と表現力だけで受けられる入試です。

社会イノベーション学部——課題図書が指定されている

一次試験は書類審査と論述審査(90分)ですが、その出題範囲が公開されています。

イ)論述審査(90分):課題図書に基づいて出題します。 ◎論述審査の課題図書 植原 亮 (2025)『科学的思考入門』(講談社現代新書) ※課題図書は、審査までに、全体の組立まで含めて丁寧に読んでおいてください。 ※課題図書を試験中に参照することはできません。

本を1冊読んでから受ける試験です。そして試験中に本は見られません。國學院大學の法学部政治専攻と文学部哲学科も課題図書から出題しますが、あちらは本を持ち込めるという違いがあります。要項が「全体の組立まで含めて」と書いているとおり、章ごとの内容ではなく本全体の論の構造を頭に入れておく必要があります。

やることは決まっています。

  1. 課題図書を通読する
  2. 章ごとの主張を1文ずつ書き出す
  3. 章と章のつながり(前章を受けて何を足しているか)を書く
  4. 本の主張に対する自分の立場を、賛成・反対の両方向で作っておく

この作業は探究の先行研究整理と同じです。手順は探究の調べ方と一次情報の集め方が使えます。

出願要件は英語外部検定試験(4技能)のスコアです。「出願時に提出する英語外部検定試験の証明書は1種類(1通)に限ります」という制限もあります。

文芸学部——学科ごとに、二次の形式が違う

文芸学部は一次が書類審査のみ。二次で学科ごとに分かれます。

学科 二次試験の流れ(要項より)
英文学科 特定のテーマについての資料(日本語)を読み、その内容を要約し、自分の意見をまとめた上で個人面接
文化史学科 1人15分。最初の5分(時間厳守)を高校時代の活動内容と志望動機のプレゼン。パワーポイントや模造紙を事前準備・当日使用可。残り10分が質疑
マスコミュニケーション学科 1人15分。最初の5分(時間厳守)を志望動機のプレゼン。パワーポイント、模造紙、説明パネルを使用可。残り10分が質疑
ヨーロッパ文化学科 個人面接(受験票以外の持ち込み不可)

英文学科は「日本語の資料を読んで要約+意見」です。英語の試験ではありません。要約の練習は課題文の要約にまとめました。

文化史学科とマスコミュニケーション学科は5分のプレゼンが時間厳守。パソコン(Windows)とホワイトボードは会場に用意されています。持ち込み可なのは模造紙・パネルまで含むので、紙で作っていくのも選択肢です。準備はプレゼン型入試の対策を使ってください。

日程は学部ごとに、1週間ずつずれる

経済学部 文芸学部 法学部 社会イノベーション学部
一次出願 9月15日〜9月25日 9月8日〜9月18日 9月1日〜9月11日 9月1日〜9月11日
一次試験 書類審査のみ 書類審査のみ 10月4日(日) 10月3日(土)
一次発表 10月22日(木) 10月16日(金) 10月9日(金) 10月9日(金)
二次出願 10月22日〜11月2日 10月16日〜10月26日 10月9日〜10月19日 10月9日〜10月19日
二次試験 11月22日(日) 11月15日(日) 11月8日(日) 11月8日(日)
二次発表 11月26日(木) 11月20日(金) 11月13日(金) 11月13日(金)

法学部と社会イノベーション学部は9月11日締切です。3年生の夏休みが終わる前に書類が完成している必要があります。

なお成城大学は「他学部及び他大学の総合型選抜との併願は認めます」(学部内の学科併願は不可)。法学部と社会イノベーション学部を併願する場合は「試験時間に影響が出ないように調整します」という注記もあります。

2校を並べると見えること

成蹊大学(自己推薦型) 成城大学(総合型選抜)
出願時に書く課題 課題レポート(経済・経営・国際共創)/学修計画レポート(法) 志願理由書・活動報告書
その場で読ませる資料 和文・英文の文章、数値・図表 経済=小論文/法=6,000〜10,000字/文芸英文=日本語資料
事前に読ませる本 — 社会イノベーション=課題図書1冊
討論 経営・法でグループ討論 なし
プレゼン 国際共創で発表・質疑応答 文化史・マスコミで5分
評定の要件 学部により英語外部検定 経済=3.8以上/法=成績を評価対象としない
実施しない学部 文学部 なし

共通するのは、当日その場で読む素材が用意されていることです。活動実績が薄くても、読解と論述で戦えます。逆に、実績だけで押し切ることはできません。

準備の分かれ目は3つです。

  1. 出願時に提出する記述課題があるか。成蹊はほぼ全学部で課題レポートが要る。9月末が締切
  2. その場で読む素材が、どれくらいの分量か。成城法学部の6,000〜10,000字は別格
  3. 書いたものを口頭で説明させられるか。成蹊経済・成蹊理工・成城経済は、答案の中身をそのまま聞かれる

同じ「成成明学」の明治学院大学 自己推薦AO入試は、16区分で試験科目が全部違う入試です。英文学科は小論文が英語のエッセイ、政治学科は面接のみ。

獨協大学の自己推薦入試は、推薦状が不要で1学科のみ出願という設計。小論文100点+面接60点が基本形ですが、経済学部には小論文がなく、法学部は英語と小論文の両方を課します。

同じMARCH下位〜日東駒専上位の帯では、日東駒専、明治大学 自己推薦特別入学試験、中央大学 総合型選抜、法政大学 自己推薦入試、青山学院大学 自己推薦にもそれぞれ別の設計があります。

何から始めるか

成蹊大学を狙うなら

  1. 文学部には自己推薦型がない。まずここを確認する
  2. 出願は9月23日〜10月7日。課題レポート・学修計画レポートを夏に仕上げる
  3. 経済・経営志望なら、和文と英文の資料を読んで記述する練習をする。経営は数的処理も入る
  4. 法学部志望なら、基礎学力型の『国語』と同じ問題を受ける。国語の学力対策がそのまま効く
  5. 経営・法はグループ討論が二次。経営は自分の課題レポートで討論する
  6. 理工学部志望なら、科学技術のテーマで記述する練習と、答案を口頭で説明する準備

成城大学を狙うなら

  1. 志望学部の一次に筆記があるかを確認する(法・社会イノベーションはある)
  2. 法・社会イノベーション志望なら、出願は9月11日締切
  3. 経済学部志望なら、評定平均3.8以上と英語の基準。英語の評定平均4.2以上でも代替できる
  4. 社会イノベーション志望なら、課題図書『科学的思考入門』を全体の組立まで読む。試験中は参照不可
  5. 法学部志望なら、新書1章分(6,000〜10,000字)を90分で読んで書く練習を積む
  6. 経済学部は、書いた小論文を3〜5分で自分で説明する。答案の構成を覚えて面接に入る

まとめ

  • 成蹊の自己推薦型は文学部だけ実施しない。募集人員は経営25名・理工15名が大きい
  • 成蹊は学部ごとに審査名称が違うが、共通するのは和文・英文の資料を読ませて記述させること
  • 成蹊法学部の基礎読解力審査は、基礎学力型の『国語』と同一問題
  • 成蹊は経営・法でグループ討論、国際共創で発表・質疑応答が二次審査
  • 成城経済学部は小論文90分・1,200字のあと、その内容を3〜5分で説明する面接
  • 成城経済学部の英語要件は英語の評定平均4.2以上でも代替できる
  • 成城法学部は6,000〜10,000字を90分で読ませ、二次は面接の結果のみで選考する
  • 成城法学部は、調査書の成績を評価対象としないと要項に明記している
  • 成城社会イノベーション学部は課題図書『科学的思考入門』から出題し、試験中の参照は不可

総合型選抜全体の位置づけは総合型選抜の完全ガイドに、志望校の傾向を自分で読み解く手順は大学別対策の作り方にまとめています。

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