小論文キャンパス
志望理由書

グループディスカッションの対策。仕切る人が受かるわけではない

約7分で読めます

総合型選抜のGDで評価されるのは発言量でも仕切りでもありません。何が見られているか、5つの役割と自分に合う立ち回り、議論を進める型、落ちる4パターンを解説します。

総合型選抜で課される選抜方式の一つです。受験生が最も誤解しているのが、この形式です。

たくさん発言して、司会役をやった人が受かる。

違います。仕切った人が落ち、静かだった人が受かることは普通に起こります。理由は、評価されているものが「目立ち方」ではないからです。

国公立で課される例。京都府立大学 環境科学部 森林科学科の学校推薦型選抜は、テーマ作文・面接に加えてグループディスカッションを課します。同大学11学科のうち、他の受験生と同じ場で評価されるのはこの学科だけです。

司会も受験生がやる例。北海学園大学 経済学部の総合型選抜は、3〜5人1グループでテーマは当日発表、司会進行役は受験生が担当(30分)。要項は「高校生がその場で聞いても議論できるテーマを提示する予定」とし、評価は「議論中の積極性・論理性・協調性」と明記しています。

1次選考が集団討論という例もあります。北九州市立大学 地域創生学群の総合型選抜は、集団討論(200点)で2次選考対象者を絞り、小論文と個別面接はそのあとです。募集60名に対して2次に進めるのは100名程度。要項には「グループワークを行うこともあります」という注記もあります。

私大では成蹊大学の自己推薦型が二次審査に討論を置いています。法学部は5〜7名程度のグループ討論、経営学部は自分が出願時に提出した課題レポートのテーマで少人数討論です。

何が見られているのか

グループディスカッション(GD)は、大学が「入学後の授業やゼミでの姿」を見るための場です。大学の学びは、討論・グループ研究・実習といった協働の連続だからです。

見られているのは主に4点です。

観点 具体的に
貢献 議論全体を前に進めたか。発言量ではない
傾聴 他人の意見を正確に受け取り、使ったか
論理 根拠を示して話しているか
協働 対立を扱えるか。潰しにいっていないか

重要な前提が1つあります。GDは競争ではありません。同じグループから複数人が合格することも、全員不合格になることもあります。隣の受験生は敵ではなく、共同作業の相手です。ここを取り違えると、全部の振る舞いがずれます。

5つの役割——自分に合うものを選ぶ

役割は司会だけではありません。どれも等しく評価されます。

役割 仕事 向いている人
進行 時間配分、話題の交通整理 全体を見るのが得意な人
記録 出た意見を書き留め、整理して返す 聞くのが得意な人
発案 論点や切り口を出す アイデアが浮かぶ人
検証 「それは〜の場合も成り立つ?」と確かめる 慎重に考える人
橋渡し 対立した意見の共通点を見つける、発言の少ない人に振る 空気が読める人

苦手な役を無理に取ると、たいてい失敗します。司会が苦手なら、記録役として「いま出ている意見は3つですね」と整理するだけで、議論への貢献としては十分すぎるほどです。

橋渡し役は、最も評価されやすく、最も空きやすい役です。全員が意見を言おうとする場で、「Aさんの案とBさんの案は、実は◯◯という点では同じですよね」と言える人は貴重です。

議論を前に進める型

GDで最も価値のある発言は、新しい意見ではなく、議論の構造を整える発言です。使える型を5つ挙げます。

1. 定義を置く(序盤)

「まず『地域の活性化』を何と考えるか決めませんか。人口が増えることか、経済が回ることか」

議論が空回りする最大の原因は、言葉の意味がバラバラなまま進むことです。序盤にこれができる人は、その時点で貢献しています(問いの立て方の「測れる言葉に置き換える」と同じ操作です)。

2. 論点を整理する(中盤)

「いま2つの論点が混ざっています。実現できるかと、やるべきかは分けませんか」

3. 反対意見を受けてから返す

「その懸念はもっともです。ただ、◯◯という条件なら回避できませんか」

反論への応答の譲歩→限定→再主張が、そのまま口頭で使えます。否定から入らない。

4. 発言していない人に振る

「Cさんはどう思いますか」

これは点数稼ぎではなく、実際に議論の質を上げます。評価者は、この一言を必ず見ています。

5. 時間を意識する

「残り5分なので、そろそろ結論の形をまとめませんか」

時間の使い方

30分のGDなら、目安はこうです。

時間 やること
最初の5分 前提を揃える。言葉の定義、ゴールの確認、時間配分
中盤15分 意見を出し、論点を整理する
残り10分 結論に向けて絞る。まとまらない場合は「条件つきの結論」に

最初の5分を惜しんで意見を出し合うと、バラバラの前提のまま20分が過ぎます。急がば回れです。

結論が割れたときは、無理に一本化しなくて構いません。「◯◯の場合はA、△△の場合はB」という条件つきの結論は、逃げではなく上等な着地です(結論の書き方の型1と同じ)。

落ちる4パターン

1. 仕切りたがり

司会を取ったのに時間管理をせず、自分の意見ばかり通す。役割は権限ではなく仕事です。取ったなら、全員に話させてください。

2. クラッシャー

他人の意見を「でもそれは無理ですよね」と潰し続ける人。議論に勝っても、選抜には落ちます。協働できない人だと判断されるからです。

3. 沈黙

苦手なら苦手なりに、うなずく・メモを取る・整理して返すという参加の仕方があります。1回でいいので、中盤に「いま出ている意見は〜ですね」と言えれば、評価対象に乗ります。

4. 出来レースの演技

明らかに練習してきた台詞(「まず定義を確認しましょう」だけ言って、以後沈黙)は見抜かれます。型は使うためのもので、見せるためのものではありません。

準備の方法

GDは一人では練習できません。だからこそ、日常の場を練習に使ってください。

  • 授業のグループワークで、毎回1つ役割を決めて意識的にやる
  • 部活や委員会の話し合いで、「論点を分ける」発言を1回入れてみる
  • 友人との議論で、否定から入らずに返す練習をする

知識面では、頻出テーマを志望分野で5つ押さえておけば、たいていの課題に対応できます。GDのテーマは小論文の頻出テーマとほぼ重なります。

学校の先生に依頼して、同じ志望の生徒数人で1回でも通してやっておくと、当日の緊張がまったく違います。

当日の実務

  • 他の受験生の名前(受験番号)を最初にメモする。名前で呼べると議論が回ります
  • メモは常に取る。手が動いている人は、参加している人に見えます
  • 発言は結論から。「私は賛成です。理由は〜」
  • 時計を確認できる位置に置く

ディスカッションが選考の中心になる入試

東大法学部の学校推薦型選抜は、課題文10分・議論80分という長丁場で、しかも「全員が同じ結論に到達する必要はない」と要項に明記されています。合意形成そのものが目的ではない、という設計です。

東京女子大学の「知のかけはし入学試験(ディスカッション型)」は、名称そのものが示すとおり議論が選考の柱です。実際に使用した講義の動画が大学サイトで公開されているので、対策する人は必ず見てください。

まとめ

  • 発言量でも仕切りでもなく、議論を前に進めたかが見られている
  • 隣の受験生は敵ではない。競争ではなく共同作業
  • 役割は5つ。司会以外でも等しく評価される。橋渡し役は空きやすく、評価されやすい
  • 最初の5分で言葉の定義とゴールを揃える
  • 落ちるのは、仕切りたがり・クラッシャー・沈黙・演技の4パターン
  • 結論が割れたら、条件つきの結論で着地してよい

グループディスカッションが選考の中心になる大学の例は日本歯科大学の総合型選抜にあります。50分のグループディスカッションのあとに個人面接という日程です。

Related

関連記事

← 「志望理由書」の記事一覧へ