群馬大学 総合型選抜の対策。黒板に書きながら発表する数学専攻と、資格が点数になるiTFL入試
群馬大学の総合型選抜3種類(共同教育学部・専門学科/総合学科特別選抜・iTFL入試)を、令和9年度(2027年度)の学生募集要項から整理しました。500点の配点、廃止された小論文、公開されている資格の加点表までを解説します。
群馬大学の総合型選抜には、発表用の資料を作らない入試があります。
・事前及び当日の発表資料の提出は求めません。 ・直接、ホワイトボードあるいは黒板(マーカーやチョークは3色使用可)に書きながら、面接官に向けて発表いただきます。(共同教育学部 数学専攻)
そして情報系のiTFL入試には、資格が何点になるかの表が公開されています。統計検定1級で3点、ITパスポート試験で1点、というところまで書いてあります。
この記事は、公開されている2027年度(令和9年度)の学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:群馬大学 学生募集要項/2027年度総合型選抜<共同教育学部>学生募集要項(PDF)/共同教育学部 総合型選抜における「選抜のイメージ」について(PDF)/2027年度総合型選抜<専門学科・総合学科特別選抜>学生募集要項(PDF)/2027年度総合型選抜<iTFL入試>学生募集要項(PDF)
3つの総合型選抜
| 選抜 | 対象 | 募集人員 | 共通テスト | 試験日 |
|---|---|---|---|---|
| 総合型選抜<共同教育学部> | 学校教育教員養成課程 5専攻 | 15名 | 技術専攻のみ課す | 9月25日(技術専攻は11月21日) |
| 総合型選抜<専門学科・総合学科特別選抜> | 理工学部 2類 | 12名 | 課さない | 10月1日 |
| 総合型選抜<iTFL入試> | 情報学部・理工学部 電子・機械類 | 若干名 | 課さない | 10月3日 |
このほか<外国人生徒等入試>もあります。
3つとも別々の募集要項で、出願書類の様式も違います。まず自分がどれに当たるかを決めてください。
共同教育学部——5専攻すべて500点満点
募集人員
| 系 | 専攻 | 募集人員 |
|---|---|---|
| 人文社会系 | 社会専攻 | 2名 |
| 自然科学系 | 数学専攻 | 5名 |
| 自然科学系 | 理科専攻 | 3名 |
| 自然科学系 | 技術専攻 | 2名 |
| 芸術・生活・健康系 | 音楽専攻 | 3名 |
配点は全専攻500点。中身だけが違う
| 専攻 | 出願書類 | 小論文 | プレゼン | 実技 | 面接 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 社会専攻 | 50 | 250 | — | — | 200 | 500 |
| 数学専攻 | 50 | — | 250 | — | 200 | 500 |
| 理科専攻 | 50 | — | 250 | — | 200 | 500 |
| 技術専攻 | 50 | 125 | 125 | — | 200 | 500 |
| 音楽専攻 | 50 | — | — | 250 | 200 | 500 |
面接が全専攻で200点(4割)を占めます。そして重要な注意があります。
面接、小論文、プレゼンテーション、実技検査、出願書類及び大学入学共通テストのいずれかに不良のものがあった場合は、不合格とします。
理科専攻は2027年度から小論文を廃止
要項の冒頭に変更点が明記されています。
理科専攻の総合型選抜において、小論文を廃止します。
過去問や先輩の話で「理科専攻は小論文がある」と聞いていたら、それはもう古い情報です。
出願書類——志願理由書400字、自己推薦書800字
| 書類 | 内容 | 分量 |
|---|---|---|
| 志願理由書(様式1) | 入学後に学びたいこと、取り組みたいことを含め、志願専攻への進学を希望する理由 | 400字程度・パソコン入力(自筆も可) |
| 自己推薦書(様式2/社会・理科・技術・音楽) | これまでの活動や体験に基づいて、志願専攻で学修する適性と意欲をアピール | 800字程度・パソコン入力(自筆も可) |
| 自己推薦書(様式3/数学専攻のみ) | 下記参照 | 字数制限なし・黒のボールペンで自筆(パソコン入力不可) |
数学専攻の自己推薦書だけ、書く中身が違います。
特に、これまでの志願者自身の学びの中で興味深く思った数学的内容(例えば数学的概念、定理、公式、問題など)と、その内容についてあなた自身が考察したことを記述してください。(必要に応じて数式や図などを用いてください)
「好きな定理と、それについて自分が考えたこと」を書く欄です。志望動機を書く場所ではありません。字数制限がない代わりに手書き、数式や図を使ってよい——実質的に小さな数学レポートです。
自己推薦書には、証明資料を3点以内(全体でA4用紙3枚以内)添付できます。例として挙がっているのは、SSH活動への参加や発表、職業分野の資格・検定試験、ジュニアマイスターの受賞、コンクール・コンテストへの参加や受賞、留学経験、社会貢献活動、論文・発表資料など。
団体での活動なら、志願者本人が含まれることが分かる名簿等を添えます。それが難しい場合は、担当した部分を説明した別紙を付けます。
数学専攻——黒板に書きながら、当日指定された課題を発表
これがこの入試でいちばん特徴的な形式です。
- 数学の課題の中から試験当日に指定する部分について発表
- 1人ずつ実施。実施時間は15分程度(発表7分程度、質疑応答8分程度)
- 事前・当日とも発表資料の提出は求めない
- ホワイトボードまたは黒板に書きながら発表(マーカー・チョークは3色使用可)
- スマートフォンやタブレット等の電子機器は使用不可
- 自分が確認するためのメモ(A4用紙1枚・両面可)は持ち込み可
スライドを作る準備はいりません。その代わり、板書しながら数学を説明するという、教員の仕事そのものを7分間やらされます。
面接(個人なら約10分、集団なら約20分)には基本的な数学の知識を問う口頭試問が含まれます。
理科専攻——受験生同士で質疑応答するグループ活動
数名でのグループ活動を実施します。グループ活動では、1名ずつ10分程度のプレゼンテーションを行い、それぞれの内容についてグループ内の他の志願者と質疑応答を行います。
テーマの条件が広く取られています。
これまでに行った『探究活動』に基づいてテーマを設定してください。『探究活動』には、「総合的な探究の時間」や「理数探究」における活動の他、学校内外で行った課外活動など、さまざまな機会における活動が含まれます。また、テーマは厳密な意味での「理科」および「科学」に限定しません。
理科でなくてもよいと明記されています。複数名で取り組んだ探究も対象ですが、その場合は担当部分を説明した別紙が必要です。
発表の道具は2択です。
| 方法 | ルール |
|---|---|
| ①ポスター | 幅85cm×高さ120cmの範囲に収まるように作成し持参。各自でホワイトボードに貼る(磁石は大学が用意) |
| ②スライド(PDF形式) | 電子データを2026年9月14日〜17日にアップロード。大学のパソコンで投影 |
どちらも氏名は書かず、受験番号を書きます。指示棒とレーザーポインターは大学が用意。探究で作った物品を補助資料として持参してもかまいません(1人で扱える大きさ・重さのもの)。
そして出願時に「プレゼンテーションの概要」(A4・1枚・片面)を提出します。これには使い道があります。
「プレゼンテーションの概要」は氏名が見えない状態にして大学で白黒コピーをとり、試験当日、グループ活動の資料として他の志願者にも配付します。
自分の概要が、他の受験生の手元に配られるということです。読んだ人が質問しやすいように書く、という視点が要ります。
なお、グループ活動なので遅刻すると参加できません。
試験の公平性を保つため、試験開始時間に遅刻した場合には、原則、グループ活動には参加することができません。
音楽専攻——課題曲は《夏の思い出》1曲だけ
実技は①ピアノ弾き歌い+②自由曲を合わせて8分程度です。
①ピアノ弾き歌い
- 曲は《夏の思い出》(江間章子 作詞/中田喜直 作曲)のみ
- 暗譜の必要はなし。楽譜は紙媒体に限る
- 調性・伴奏譜の選択は任意
- 2番まで演奏する
採点対象外になる条件まで書かれています。
・全体を通して伴奏しないで歌だけを歌った。 ・全体を通して歌を歌わないで伴奏だけを弾いた。 ・歌と同じ単旋律のみを弾きながら歌を歌った。
②自由曲
ピアノ、歌唱(無伴奏または弾き歌いも可)、管弦打楽器(無伴奏、ドラムセット以外)、和楽器などから1つの演奏形態を選びます。自作曲(独奏)も可。アコースティックの演奏に限ります。
楽器は自分で持参できるものに限る(ピアノ・マリンバは大学のものを使用。マリンバのマレットは持参)。大型楽器を車で搬入する必要がある場合は、出願前に大学に相談します。
技術専攻だけ共通テストがある
技術専攻は6教科8科目の共通テストを課します。ただし使い方が限定的です。
技術専攻における大学入学共通テストの成績は、学力水準の到達度を判定するために使用します。
英語はリーディング160点・リスニング40点、情報は0.5倍という傾斜です。試験日も他専攻と違い11月21日(他は9月25日)です。
面接には基本的な数学や理科、情報の知識を問う口頭試問が含まれます。
専門学科・総合学科特別選抜——職業学科・総合学科の出身者だけ
理工学部の物質・環境類5名、電子・機械類7名。
出願資格が限定されている
高等学校若しくは中等教育学校の職業に関する学科又は総合学科を卒業した者、又は2027年3月31日までに卒業見込みの者
さらに単位の要件があります。
| 類 | 要件 |
|---|---|
| 物質・環境類 | 職業に関する教科・科目を20単位以上修得(農業・工業・商業・水産・家庭・看護・情報・福祉の各専門教科+「産業社会と人間」) |
| 電子・機械類 | 工業または情報に関する教科・科目を20単位以上修得 |
普通科からは出願できません。専門高校・総合学科のための入試です。
2段階選抜。共通テストは課さない
| 段階 | 内容 | 発表 |
|---|---|---|
| 第1次選抜 | 出願書類(調査書・志願理由書・自己推薦書)による審査 | 9月25日 |
| 第2次選抜 | 面接(個人面接・約20分)。理工学教育を受けるための基礎能力に関する口頭試問を含む | 最終発表11月2日 |
試験は10月1日、面接だけです。小論文も筆記試験もありません。
志願理由書は2項目、各400字程度。
- その類への進学を希望する理由
- 大学卒業後の進路・将来の希望
自己推薦書は800字程度。証明資料は3点以内(A4用紙3枚以内)で、例に公的職業資格の資格証、検定試験の成績証、高大連携プログラムへの参加記録、理工学に関わるコンテスト・研究発表会等への参加・入賞記録、理工学に関わるクラブ活動記録が挙げられています。
専門高校で取った資格が、そのまま材料になる設計です。
iTFL入試——コンテスト参加歴が出願資格
情報学部 情報学科と理工学部 電子・機械類で、それぞれ若干名。
出願要件がはっきりしている
合格した場合は入学することを確約でき、高等学校等在学中に情報系や科学技術系コンテストの参加歴又は入賞歴(官公庁、自治体、研究会、大学及び企業等が主催するもの)がある者
入賞していなくても、参加歴があればよいという書き方です。ここは見落としやすいところです。
出願時に情報学部2プログラム(データサイエンス/計算機科学)と理工学部3プログラム(機械/知能制御/電子情報通信)から1つを選択します。
第1次選抜は30点。資格が加点される
第1次選抜は調査書・志願理由書・実績報告レポート(様式任意)で30点。ここに資格の加点が乗ります。
| 資格 | 加点 |
|---|---|
| 統計検定1級 | 3点 |
| 統計検定 準1級 | 2.5点 |
| 統計検定 2級 | 2点 |
| 統計検定 3級 | 1点 |
| 情報処理技術者試験(下記以外の試験) | 3点 |
| 情報セキュリティマネジメント試験 | 2点 |
| 基本情報技術者試験 | 2点 |
| ITパスポート試験 | 1点 |
| プログラミング能力検定 テキスト言語版レベル6 | 3点 |
| プログラミング能力検定 テキスト言語版レベル5 | 2点 |
| プログラミング能力検定 テキスト言語版レベル4 | 1点 |
| 実用数学技能検定 1級 | 3点 |
| 実用数学技能検定 準1級 | 2点 |
| 日商プログラミング検定 EXPERT | 3点 |
| 日商プログラミング検定 STANDARD | 2点 |
注意点が2つあります。
- 複数持っていても、最も高い点数の1つだけが加点される
- 加点しても第1次選抜の得点は30点が上限
そして通過人数が決まっています。
第1次選抜では、高得点順に学部ごと最大5名程度を合格者とします。
学部ごとに5名程度。若干名の募集に対して、ここを通ることが最初の関門です。
第2次選抜は70点。自分のPCで発表する
| 内容 | 時間 |
|---|---|
| プレゼンテーション(実績報告レポートを基に説明) | 10分以内 |
| 面接(プレゼンに関する質問を含む) | 20分以内 |
| 配点 | 70点 |
資料の扱いが独特です。
印刷時にA4で出力できるPDFやパワーポイント等の電子データで作成し、ファイル名を自身の「受験番号_カナ氏名」として、2026年9月25日〜9月29日の間にデータをアップロードしてください。(中略)当該資料データの提出後の内容更新は、原則、認めません。
そして当日。
HDMIでスクリーンと接続し、志願者自身のPC等を使用して発表してもらいます。大学側で変換アダプタ(USB、Type-C)を用意しますが、普段使用しているアダプタがありましたら、念のために持参してください。なお、PC等に不具合が発生した場合でも、そのまま試験を実施します。
自分のパソコンを持ち込む入試です。多くの大学が「個人PCの持ち込み禁止」とする中で逆を行っています。情報系の入試らしい設計ですが、壊れても試験は進むと明記されているので、予備の準備は自己責任です。
第1次選抜合格発表は9月25日、第2次選抜は10月3日です。
どこから手をつけるか
1. 専攻を決めると、作るものが決まる
| 志望 | 出願までに作るもの | 当日やること |
|---|---|---|
| 共同教育 社会専攻 | 志願理由書400字+自己推薦書800字 | 小論文250点+集団面接30分 |
| 共同教育 数学専攻 | 志願理由書+手書きの数学レポート(字数制限なし) | 黒板に書きながら7分発表 |
| 共同教育 理科専攻 | 志願理由書+自己推薦書+プレゼン概要A4 1枚 | 10分発表+受験生同士の質疑 |
| 共同教育 技術専攻 | 志願理由書+自己推薦書 | 小論文+プレゼン+共通テスト |
| 共同教育 音楽専攻 | 志願理由書+自己推薦書+実技届出用紙 | 《夏の思い出》+自由曲で8分 |
| 専門学科・総合学科 | 志願理由書400字×2項目+自己推薦書800字 | 面接20分だけ |
| iTFL | 志願理由書+実績報告レポート | 10分プレゼン+面接20分 |
2. 数学専攻は「板書して説明する」練習を
スライドを作らない代わりに、チョーク3色で、7分で数学を説明する必要があります。
家でできる練習があります。自分が好きな定理を1つ選び、白い紙に書きながら声に出して7分説明する。それを録画して見返すと、字の大きさ、書く順番、話す速さの問題がすぐ分かります。
そして自己推薦書(様式3)で書く「興味深く思った数学的内容と、それについて考察したこと」は、そのままプレゼンの下地になります。別々に準備する必要はありません。
3. 理科専攻は「他人に配られる前提」で概要を書く
プレゼン概要が他の受験生に配付されます。読むのは同じ日に発表する高校生です。専門用語を減らし、図を1つ入れ、結論を先に書く。そのほうが良い質問を引き出せます。
質疑応答も評価対象なので、他人の概要を読んで質問を作る側にもなります。当日配られた資料を10分で読んで質問を1つ作る、という練習をしておくと差が出ます。
4. iTFLは資格を1つ取ってから出願する
加点は最大でも3点、上限は30点なので決定的な差ではありません。しかし第1次選抜が「学部ごと最大5名程度」まで絞られる以上、1点は効きます。
統計検定・情報処理技術者試験・プログラミング能力検定・数検・日商プログラミング検定のうち、いま取れそうなものを1つ。ITパスポートや数検準1級あたりが現実的な選択肢です。
そして出願要件の「コンテストの参加歴」は、入賞していなくても構いません。高2のうちに1つ参加しておくだけで、出願資格が開きます。
まとめ
- 群馬大学の総合型選抜は3種類(共同教育学部/専門学科・総合学科特別選抜/iTFL入試)。募集要項も様式も別々
- 共同教育学部は5専攻すべて500点満点。出願書類50・小論文/プレゼン/実技250・面接200
- 理科専攻は2027年度から小論文を廃止
- 共同教育学部はいずれかの試験に「不良のもの」があると不合格
- 数学専攻は発表資料を作らない。黒板やホワイトボードに書きながら7分発表し、8分質疑
- 数学専攻の自己推薦書は字数制限なし・自筆・数式や図を使ってよい。「興味深く思った数学的内容と、それについて考察したこと」を書く
- 理科専攻はグループ活動で1人10分発表し、受験生同士で質疑応答。テーマは理科・科学に限定されない
- 理科専攻のプレゼン概要は他の受験生にも配付される
- 理科専攻のポスターは幅85cm×高さ120cm、スライドは9月14日〜17日に事前アップロード
- 音楽専攻の課題曲は《夏の思い出》のみ(暗譜不要・2番まで)。自由曲と合わせて8分程度
- 技術専攻だけ共通テストを課し、試験日も11月21日と別
- 専門学科・総合学科特別選抜は職業学科・総合学科出身者限定。20単位以上の要件があり、当日は面接20分だけ
- iTFL入試の出願要件はコンテストの参加歴または入賞歴。入賞は必須ではない
- iTFLの第1次選抜は30点で、資格の加点表が公開されている(統計検定1級3点など)。加点は最も高い1つだけ
- iTFLの第1次選抜は学部ごと最大5名程度まで絞られる
- iTFLの第2次選抜は自分のPCをHDMIでつないで10分発表。資料は9月25日〜29日に事前アップロードし、提出後の更新は不可
同じ関東の国立大学では茨城大学、宇都宮大学、筑波大学のAC入試、埼玉大学も扱っています。教育学部志望なら東京学芸大学と北海道教育大学、専門学科からの進学は東海大学にも枠があります。志望校の傾向を自分で読み解く手順は大学別対策の作り方、総合型選抜全体の位置づけは総合型選抜の完全ガイドにまとめています。