小論文キャンパス
大学別対策

山梨大学 総合型選抜の対策。当日に化学実験か物理の課題を解く工学部と、共通テストだけで決まる総合型選抜Ⅱ

約12分で読めます

山梨大学の総合型選抜Ⅰ・Ⅱを、令和9年度(2027年度)の学生募集要項から整理しました。当日に課される実験課題、平均点の1.1倍という合格条件、面接1,000点の環境科学科までを解説します。長岡技術科学大学に総合型選抜がないことも要項で確認しています。

山梨大学の総合型選抜Ⅰ(工学部)は、当日に実験の課題を解きます。

化学実験に関する基礎的な技術や技能、実験結果に対する観察力、データ処理能力などに加え、論理的思考力、考察力、表現力を評価します。(クリーンエネルギー化学コース・応用化学コース)

一方、総合型選抜Ⅱ(工学部)には面接も小論文もありません。書類の適否判定と、共通テストの点数だけで決まります。しかも合格の条件が数字で書かれています。

判定に用いる大学入学共通テストの得点の本学科の検査の配点による合計が、大学入試センターが公表するそれぞれの科目の平均点を同様に合計した点の1.1倍未満の場合は不合格になります。

この記事は、公開されている令和9年度(2027年度)特別選抜(学校推薦型選抜・総合型選抜)学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:山梨大学 募集要項/令和9年度特別選抜(学校推薦型選抜・総合型選抜)学生募集要項(PDF)/令和9年度入学者選抜要項(PDF)

総合型選抜があるのは工学部と生命環境学部だけ

学部 学科・コース 総合型選抜Ⅰ 総合型選抜Ⅱ
工学部 クリーンエネルギー化学コース 6 3
工学部 応用化学コース 6 3
工学部 土木環境工学コース 3 3
工学部 コンピュータ理工学コース 6 12
工学部 機械工学コース 3 3
工学部 メカトロニクスコース 3 3
工学部 電気電子工学コース 3 3
工学部 計 30 30
生命環境学部 地域食物科学科 — 2
生命環境学部 環境科学科 — 5
生命環境学部 地域社会システム学科 — 3
合計 30 40

教育学部と医学部には総合型選抜がありません。教育学部は学校推薦型選抜Ⅰ(教科別推薦入試・専門総合学科推薦入試・山梨県の小学校教員志望者推薦入試)、医学部医学科は学校推薦型選抜Ⅱです。

総合型選抜Ⅰ 総合型選抜Ⅱ
大学入学共通テスト 課さない 課す
実施 工学部のみ 工学部・生命環境学部
選抜日 2026年10月17日 第1段階:11月21日(工学部は実施なし)
入学手続 2027年2月11日〜17日

総合型選抜Ⅰ(工学部)——実験の課題を当日に解く

出願要件は評定か数学の成績

(4) 高等学校等の成績が優秀で、「調査書」の学習成績の状況が下記の方 全体の学習成績の状況:3.8以上、又は数学の学習成績の状況:4.0以上

どちらか一方でかまいません。全体が3.8に届かなくても、数学が4.0以上あれば出願できます。

そしてもう1つ条件があります。

(7) 合格した場合は、本学が実施する入学前教育を受講することを確約できる方 合格発表後に、入学前教育を諸事情のため受けられなかったとしても不合格とはしませんが、受講状況等が芳しくない場合には合格を取り消すことがあります。

合格が取り消されうると明記されています。

なお、出願できるのは1コースのみです。

配点は100点

調査書 多面的・総合的な評価のための申告書 面接(口頭試問を含む) その他(課題) 合計
20点 適否 50点 30点 100点

「多面的・総合的な評価のための申告書」は点数ではなく適否で判定されます。

課題の中身がコースで2つに分かれる

コース 口頭試問 当日の課題
クリーンエネルギー化学/応用化学 化学に関する基礎知識 化学実験に関する課題
土木環境工学/コンピュータ理工学/機械工学/メカトロニクス/電気電子工学 物理に関する基礎知識・興味 物理に関する課題

化学系は「化学実験に関する基礎的な技術や技能、実験結果に対する観察力、データ処理能力」、物理系は「物理に関する基礎的な技術や技能、実験結果に対する観察力、データ処理能力など物理に関する知識・技能・応用力」を見ます。

実験そのものをやらせるという点が、この入試の核です。教科書を読むだけでは備えられません。学校の実験の時間に、手を動かして、データを取って、考察を書く——その経験がそのまま試験内容になります。

試験は10月17日(土)9:00集合。化学系は甲府西キャンパス、それ以外は甲府東キャンパスです。

そして注意点があります。

ただし「多面的・総合的な評価のための申告書」、面接または課題の評価が合格判定基準を満たしていない者は不合格とします。

総合型選抜Ⅱ(工学部)——共通テストだけで決まる

工学部の総合型選抜Ⅱには、第1段階選抜がありません。そして個別学力検査等は「多面的・総合的な評価のための申告書」の適否のみ。

配点は共通テスト600点満点だけです。

コースごとに使う科目が違う

コース 共通テスト600点の作り方
クリーンエネルギー化学/応用化学 化学(300)は必須。数ⅠA・数ⅡBC・物理・生物・英語の5科目を各150点に換算し、合計が最も高くなる2科目に化学を加えて600
土木環境工学 物理・化学・生物から選択した2科目を各300点に換算して600
コンピュータ理工学 ㋓型:数ⅠA・数ⅡBCを各300点で600/㋔型:数ⅠA(100)+数ⅡBC(100)+英語(200)+理科2科目(各100)
機械工学 数ⅠA(100)+数ⅡBC(100)+物理(100)+英語(200)+化学か生物1科目(100)
メカトロニクス/電気電子工学 ㋒型:物理(300)+化学か生物1科目(300)/㋓型:数ⅠA・数ⅡBCを各300点で600

コンピュータ理工学・メカトロニクス・電気電子工学は「型」を選べます。数学だけで勝負するか、理科を含めるか。自分の得意に合わせて選ぶ設計です。

「平均点の1.1倍」という条件

不合格になる条件がコースごとに明記されています。

コース 不合格になる条件
クリーンエネルギー化学/応用化学 共通テストの化学の得点が平均点未満
土木環境工学 受験した理科2科目の両方が、いずれも平均点未満
コンピュータ理工学/機械工学/メカトロニクス 判定に用いる得点の合計が、それぞれの科目の平均点を同様に合計した点の1.1倍未満
電気電子工学 理科重視型(物理)は物理が平均点未満/数学重視型は数ⅠAと数ⅡBCの両方が平均点未満

「平均点の1.1倍」という基準は珍しいものです。単純に「何割」ではなく、その年の難易度に応じて動きます。

総合型選抜Ⅱ(生命環境学部)——第1段階に面接がある

生命環境学部は工学部と違い、11月21日に第1段階選抜(面接)があります。

学科 第1段階選抜 最終選抜
地域食物科学科(2) 面接・調査書・申告書(すべて適否) 共通テスト1,000点
環境科学科(5) 面接1,000点+調査書・申告書(適否) 共通テスト1,000点+第1段階の面接1,000点=2,000点
地域社会システム学科(3) 面接・調査書・申告書(すべて適否) 共通テスト850点

環境科学科だけ、面接が1,000点として最終選抜まで持ち越されます。他の2学科は面接が適否判定で、最終的には共通テストの点数で決まります。

面接で見るものも学科ごとに違います。

学科 面接の観点
地域食物科学科 農業や食品産業への興味の強さ、目的意識、論理性、適性
環境科学科 自然や社会への興味、思考力・判断力・表現力、および課題の認識力と設定力
地域社会システム学科 社会科学をはじめとする本学科での学びの基礎となる学力の3要素の定着度合い、志望動機、目的意識の明確性、応答の的確性

環境科学科の「課題の認識力と設定力」は、探究活動をしてきた人には答えやすい観点です。自分が立てた問いと、なぜそれを問いにしたかを語れる状態にしておいてください。

生成AIについて、山梨大学ははっきり禁じている

要項の出願手続のところに、独立した項目があります。

入学者選抜において、出願時に自ら作成して提出する書類(多面的・総合的な評価のための申告書、志望理由書、研究計画書など)は、本学への適性や能力を確認するために大変重要なものです。よって、生成AIにより生成された文章等をそのまま使用することは一切認められません。判明した場合は、不正行為とみなし合格を取り消します。

「不正行為とみなし合格を取り消す」まで書いている大学は多くありません。山梨大学に出願するなら、出願書類は全部自分で書いてください。

長岡技術科学大学には総合型選抜がない

甲信越の国立大学を扱う以上、長岡技術科学大学にも触れておきます。

長岡技術科学大学は、工学部第1学年の総合型選抜を実施していません。大学が公表している学部1年の学生募集要項は、学校推薦型選抜・一般選抜(前期日程)・私費外国人留学生入試の3つだけです。

学校推薦型選抜の募集人員は、入学定員80人に対して20人。内訳は工業等に関する学科・総合学科から10人、普通科・理数科等から5分野に各4人という構成です。

長岡技術科学大学は高等専門学校卒業者を第3学年に受け入れるのが中心の大学で、第1学年の入口は限られています。第3学年編入学の学生募集要項は別に公表されています。

どこから手をつけるか

1. 工学部を狙うなら、ⅠとⅡで準備がまったく違う

総合型選抜Ⅰ 総合型選抜Ⅱ
準備するもの 実験の課題+口頭試問(化学または物理) 共通テストの得点
評定 3.8以上、または数学4.0以上 要件なし
決着 年内 共通テスト後

Ⅰは実験ができるかどうか、Ⅱは共通テストの点数。同じ大学の同じコースでも、見られているものが違います。

なお、出願できるのは1コースのみです。ⅠとⅡで違うコースを選ぶこともできますが、要項で出願資格を確認してください。

2. Ⅰ型の対策は「実験レポートを書く」こと

化学実験・物理実験の課題で見られるのは、観察力とデータ処理能力です。学校で実験をしたら、結果の表を自分で作り、誤差の原因を1つ書く。この習慣がそのまま点になります。

口頭試問は化学系なら化学、それ以外は物理。範囲は高校の基礎的な内容なので、教科書レベルの用語を口で説明できるようにしておけば足ります。

3. Ⅱ型は「型」を先に決める

コンピュータ理工学・メカトロニクス・電気電子工学は、数学だけの型と理科を含む型を選べます。模試の結果を見て、どちらの型なら平均点の1.1倍を超えられるかを先に判断してください。

4. 生命環境学部は環境科学科だけ面接が重い

環境科学科は第1段階の面接1,000点が最終選抜にそのまま持ち越されます。共通テスト1,000点と同じ重さです。他の2学科は面接が適否なので、共通テストの比重がはるかに大きくなります。

まとめ

  • 山梨大学の総合型選抜は工学部(Ⅰ30人・Ⅱ30人)と生命環境学部(Ⅱ10人)のみ。教育学部・医学部にはない
  • 総合型選抜Ⅰは共通テストを課さず、当日に化学実験または物理の課題を解く
  • Ⅰの出願要件は全体の評定3.8以上、または数学の評定4.0以上のどちらか
  • Ⅰの合格者は入学前教育の受講が確約条件。受講状況が芳しくないと合格を取り消すことがある
  • Ⅰの配点は調査書20+面接50+課題30=100点。申告書は適否判定
  • 総合型選抜Ⅱ(工学部)には第1段階選抜も面接もない。共通テスト600点と申告書の適否だけ
  • Ⅱはコースごとに使う科目の組み合わせが違い、3コースは「型」を選べる
  • Ⅱの不合格条件が数字で書かれている。「平均点の1.1倍未満」というコースが3つある
  • 生命環境学部は11月21日に第1段階選抜(面接)がある。環境科学科だけ面接1,000点が最終選抜に持ち越される
  • 山梨大学は生成AIで作った文章をそのまま使うと「不正行為とみなし合格を取り消す」と明記している
  • 長岡技術科学大学は学部第1学年の総合型選抜を実施していない(学校推薦型選抜20人と一般選抜のみ)

同じ北陸・甲信越では上越教育大学、新潟大学、信州大学、金沢大学のKUGS特別入試も扱っています。当日に実験や実習をさせる国立大学は東京農工大学や工学院大学にもあります。志望校の傾向を自分で読み解く手順は大学別対策の作り方、総合型選抜全体の位置づけは総合型選抜の完全ガイドにまとめています。

Related

関連記事

← 「大学別対策」の記事一覧へ