早稲田大学社会科学部 全国自己推薦入試の対策。7ブロック制と800字の使い方
早稲田大学社会科学部の全国自己推薦入学試験を、募集要項の記載に沿って整理しました。出願資格5条件、7地域ブロック制の意味、志望理由書800字の3要素、活動記録報告書の枚数制限と厳封の定義までを解説します。
早稲田大学社会科学部の全国自己推薦入学試験は、名前のとおり全国から採ることを制度に組み込んだ入試です。
そして、総合型選抜の中では珍しく、出願の時点でかなり絞られます。ここを最初に理解しないと、対策の順番を間違えます。
この記事は、公開されている募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・出願資格・基準点は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:早稲田大学社会科学部 入試情報/全国自己推薦入学試験要項(PDF)
最初に:出願資格は5つ全部を満たす必要がある
要項には「出願する者は、次の ⑴ ~ ⑸ にすべてに該当していなければなりません」とあります。どれか1つでも欠けたら出願できません。
| 条件 | |
|---|---|
| ⑴ | 高校卒業(見込)であること |
| ⑵ | 全体の評定平均値 4.0以上 |
| ⑶ | 調査書記載の欠席日数 45日以内 |
| ⑷ | 活動実績が4つの類型のいずれかに該当 |
| ⑸ | 英語4技能テストの基準点を1つ提出できる |
この5条件は、対策よりも先に確認すべきものです。評定と欠席は、高3の夏に頑張っても動きません。
⑵の評定4.0は「全体の」平均値
科目指定ではなく全体の学習成績の状況です。在学生は1年1学期から3年1学期まで、既卒者は卒業時点の数値が対象になります。
4.0に届かない場合、この入試は選択肢から外れます。その前提で評定が低い人の総合型選抜を読んでください。他の道はあります。
⑶の欠席45日には配慮の窓口がある
要項には、本人に帰責されない身体・健康上の理由(病気・事故等。感染症の罹患後症状や月経随伴症状なども例示されています)でやむを得ず45日を超えた場合、不利益を被らないよう配慮の対象とする旨が明記されています。
ただし期限までに問い合わせることが条件です。該当しそうな人は、要項の窓口に必ず事前連絡してください。黙って出願すると配慮を受けられません。
⑸の英語4技能スコアは「持っているか」を見る条件
要項が挙げる基準点は次のとおりです。
| テスト | 基準点 |
|---|---|
| 実用英語技能検定(CSEスコア) | 1,950以上 |
| GTEC CBT | 930以上 |
| IELTS | 4.0以上 |
| TEAP | 225以上 |
| TOEFL iBT | 3.0以上 |
| TOEIC L&R / TOEIC S&W | 1,150以上 |
英検については、受検する級や合否に指定はありませんと要項に書かれています。つまり合格していなくてもCSEスコアが基準を超えていればよい。GTECはCBTタイプ以外は対象外、TEAPはCBTのスコアが対象外、といった細かい指定があるので、受ける前に要項を見てください。
そして見落としやすいのがここです。
自宅等から受験可能な外部試験(TOEFL iBT Home Edition、TOEFL iBT Paper Edition、IELTS Online を含む)は無効となります。
自宅受験で取ったスコアは使えません。会場で受け直す必要があります。受験には申込から結果まで時間がかかるので、逆算して早めに動いてください。
7地域ブロック制——この入試の設計思想
要項によれば、全国を7つの地域ブロックに分け、ブロック単位で合格者を出す方式です。募集人員は社会科学科35名で、各ブロックから5名程度とされています。
| ブロック | 都道府県 |
|---|---|
| ①北海道・東北 | 北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島 |
| ②北関東・甲信越 | 茨城・栃木・群馬・新潟・山梨・長野 |
| ③南関東 | 埼玉・千葉・東京・神奈川 |
| ④東海・北陸 | 岐阜・静岡・愛知・三重・富山・石川・福井 |
| ⑤関西 | 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山 |
| ⑥中国・四国 | 鳥取・島根・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛・高知 |
| ⑦九州・沖縄 | 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄 |
ブロックは原則として出身高校の所在地で決まります(通信制高校の場合は調査書記載の現住所)。
この設計が意味することは1つです。あなたの競争相手は、同じブロックの受験生だということ。
南関東ブロックは1都3県で5名程度。一方、たとえば北海道・東北ブロックも5名程度です。人口規模がまったく違うのに、枠は同じなのですから、地方の受験生にとってこれは実質的に有利な制度です。
地方在住で「早稲田は遠い」と感じている人ほど、この入試は検討する価値があります。
志望理由書は800字。ただし「志望理由」だけを書く欄ではない
ここが最大のつまずきポイントです。要項の指定を読んでください。
①あなたの最もアピールしたい活動についての詳細(どのように取り組んだか、どのような役割をしたのか、どのような出来事があり、どのように解決したのか、など)②そこから学んだこと ③合格したら、社会科学部での4年間において、それをどのように活かしたいかについて、それぞれバランスよく記述し(800字以内)
「志望理由書」という名前ですが、中心は活動の記述です。そして要項は「それぞれバランスよく」と明示しています。
800字の配分
3要素に「バランスよく」と指定がある以上、極端に偏らせるのは指示違反です。目安を示します。
| 要素 | 字数の目安 | 書くこと |
|---|---|---|
| ①活動の詳細 | 350字 | 役割・起きた問題・自分がどう動いたか |
| ②そこから学んだこと | 200字 | 一般化した気づき。事実から出発する |
| ③社会科学部の4年間でどう活かすか | 250字 | 学部の科目・分野に接続する |
①で最も多い失敗は、活動の説明だけで終わることです。要項が聞いているのは「どのような出来事があり、どのように解決したのか」。つまり問題と、あなたの行動です。大会の規模や結果は活動記録報告書に書く欄があるので、ここで繰り返す必要はありません。
②で多い失敗は、「協調性の大切さを学びました」で終わることです。その活動でしか出てこない言葉になっているかを確認してください。他の誰の答案に貼っても成立する文は、書いていないのと同じです。
③は、社会科学部という学部の性格に接続する必要があります。社会科学部は政治・法律・経済・社会・商学などを横断的に学ぶ学際的な学部です。1つの学問分野に閉じない設計になっているので、「私の関心は複数分野にまたがる」ということ自体を、志望の理由として書けます。
書き方の土台は志望理由書の完全ガイドと800字の構成にあります。ただしこの学部の設問は3要素指定なので、一般的な志望理由書の型をそのまま当てはめないでください。設問の分解については設問の動詞の読み分けが使えます。
生成AIについての記載
要項には次の記載があります。
「志望理由書」は、本学部に自分自身について説明する機会となりますので、ご自身で作成してください。生成 AI を使用してこれらの書類を作成し、自分で書いたものとして提出した場合、不正行為とみなされる可能性や、選考上の評価に影響を及ぼす可能性があります。
二次選考には面接があります。書類の中身を聞かれたときに自分の言葉が出てこなければ、そこで分かります。
活動記録報告書——枚数制限と「厳封」の定義
活動記録報告書は3種類あり、それぞれ提出できる枚数が決まっています。
| 書類 | 内容 | 枚数 |
|---|---|---|
| ①大会記録 | 大会・コンクール・展示会・発表会など | 2枚まで |
| ②生徒会活動・学校外での諸活動等 | 生徒会、ボランティアなど | 2枚まで |
| ③資格等 | 資格の級・段位など | 1枚だけ |
③はさらに、記入できる資格が2つまでと指定されています。
つまり、全部は出せません。手持ちの実績から選ぶ必要があります。選ぶ基準は「すごさ」ではなく、証明できるかどうかです。理由は次のとおりです。
立証責任は志願者にある
要項の冒頭に、はっきり書かれています。
出願に際し、出願資格や活動記録などの立証責任は、志願者本人にあります。よって、必要書類の不足、記入漏れ、証明内容の不備がある場合は、志願者にとって不利に扱われる場合があります
証明の要求はかなり具体的です。
- 賞の名称から順位が分からないものは、その賞が全体の何位にあたるかが客観的に分かる資料を必ず添付する
- 「大会への参加者(校)数」は、自分と同じ種目・等級でエントリーした人数を正確に書く(大会全体の参加者数ではない)
- 団体競技の場合は、部長・レギュラー・補欠など自分の役割が客観的に分かる資料(メンバー表、記録票のコピーなど)を必ず添付する
- 流派のある資格(書道・華道・武道など)で「皆伝」のように級・段位が分かりにくいものは、関係機関に説明を書いてもらう。説明がないと不利に扱われる場合がある
いずれも「主催者側にとって当たり前のこと」を、審査する側が判断できる形に翻訳する作業です。あなたの実績のすごさは、資料がなければ伝わりません。
「厳封」の定義が厳しい
活動記録報告書は在籍校または関係機関の記入・捺印を受け、厳封したものを提出します。開封されたものは無効です。そして要項は、厳封の定義を明示しています。
要項によれば、学校や関係機関の印または封緘印が押されているものが厳封です。手書きの「緘」の字、手書きのサイン、担当者の個人印は、この入試では厳封と見なされません。
一般には厳封として通ることが、ここでは通りません。先生に依頼するときに、この一文を見せてください。
証明資料の作り方
要項の指定はこうです。
- すべてA4判に統一する。大きいものは縮小、小さいものは拡大コピー
- パンフレット等をそのまま提出することは認められない
- DVD等の磁気・電子媒体による提出は認められない
- 示したい部分をマーカーで塗るなど、分かるようにする
- 資料番号ごとに「活動証明資料表紙」を付けてホチキス留めする
- 各「活動記録報告書」は、証明書類と一緒に綴じない
そして、量についての一文があります。
資料の分量で合否が決まるわけではありません。わかりやすく、簡潔にまとめる工夫を心がけてください。
分厚くすることに意味はありません。むしろ、読み手が探さないと見つからない資料は、評価につながりません。
書くことが思いつかない場合は活動報告書に書くことがない人へ、まとめ方は自己PRの書き方を参照してください。
二次選考——小論文と面接
要項に記載されている選考方法は、「小論文 + 面接」です。
一次選考は書類選考で、成績評価・活動記録・出席状況・その他を考慮すると要項にあります。ここを通ったうえで、二次に進みます。
小論文の準備方針
要項には、小論文の形式(課題文型か、資料型か、テーマ型か。字数、時間)についての記載がありません。だから形式を決め打ちした準備は危険です。
現実的な備え方は、どの形式が来ても書ける状態にしておくことです。順番はこうなります。
- 完全ガイドで構成の型と原稿用紙の使い方を固める
- 課題文型の手順——課題文が出た場合の要約と反応の作り方
- 資料・グラフ型——数表やグラフが出た場合の読み取り
- テーマ型——一行のテーマだけが与えられた場合
- 時間配分と構成メモで、当日の手順を決めておく
テーマの方向は、社会科学部の守備範囲から考えてください。社会学系の小論文対策を土台に、格差と再分配(記事)、都市と地方(記事)、働き方(記事)、多様性と共生(記事)、地方自治(記事)あたりは、対立軸ごと押さえておくと安心です。
面接の準備方針
聞かれるのは、ほぼ提出書類の中身です。出願書類のコピーは必ず取っておいてください。要項でも、志望理由書は自分で作成するものと明記されています。
準備の手順は面接の頻出10問を土台に、志望理由書と活動記録報告書を1行ずつ読んで、質問を作るのが最も効率的です。書類と面接の答えがずれないようにする方法は書類と面接の一貫性にまとめています。
併願について——専願ではない
要項には、はっきり書かれています。
他大学・他学部との併願、本学部一般選抜などとの併願を妨げることは一切ありません。
専願ではありません。これは実務上とても重要です。一般選抜の準備を止める理由がないということですから、並行して進めてください(総合型選抜と一般入試の両立)。
なお、入学検定料は一次10,000円・二次25,000円で、二次に進むと追加で振込が必要です。二次検定料を振り込んでいないと受験できません。金銭面の段取りは保護者向けのお金と事務の記事も参照してください。
準備の順番
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1〜高2 | 評定4.0と欠席45日以内を維持する。これが土台 |
| 高2〜高3春 | 英語4技能テストを会場で受験し、基準点を超える |
| 高3 4〜6月 | 活動実績の棚卸し。証明資料が取れるかを確認 |
| 高3 6〜7月 | 先生・関係機関に活動記録報告書の記入と厳封を依頼 |
| 高3 7〜8月 | 志望理由書800字を3要素で書く。証明資料をA4に整える |
| 出願直前 | チェックリストで確認。書類は全部コピーを取る |
| 一次合格後 | 小論文の演習と、書類ベースの面接練習 |
先生への依頼が律速です。厳封つきの書類を3種類まで頼むことになるので、夏休み前には話を通しておいてください。出願実務の落とし穴は出願直前チェック17項目、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。
まとめ
- 出願資格は5つすべてを満たす必要がある。評定4.0と欠席45日以内は高3では動かせない
- 英語4技能スコアが必須。自宅受験型のスコアは無効なので会場受験で取る
- 7ブロック制で各ブロック5名程度。競争相手は同じブロックの受験生
- 志望理由書800字は「活動の詳細/学んだこと/4年間でどう活かすか」の3要素をバランスよく
- 活動記録報告書は①2枚・②2枚・③1枚まで。立証責任は志願者本人にある
- 「厳封」の定義が厳しい。手書きの緘・サイン・個人印は無効
- 二次は小論文+面接。形式の記載がないので、どの形式でも書ける準備を
- 専願ではないので、一般選抜の準備は止めない
- 日程・基準点は必ず最新の募集要項で確認する