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早稲田大学 地域探究・貢献入試の対策。課題レポート4枚と、共通テスト8割の壁

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早稲田大学の地域探究・貢献入試を募集要項に沿って整理しました。6学部の募集、課題レポート5項目の書き方、120分の総合試験、そして最終選考の共通テスト240点/300点という条件までを解説します。

早稲田大学の地域探究・貢献入試は、探究活動をしてきた高校生にとって、最も相性のよい入試の1つです。

ただし、この入試には多くの人が見落とす条件があります。最終選考で共通テストを使い、しかもその基準がかなり高い。ここを知らずに準備を始めると、時間の使い方を間違えます。

この記事は、公開されている募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集学部・共通テストの指定科目は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:早稲田大学 地域探究・貢献入試/入学試験要項(PDF)

最初に:3段階の選考で、最後が共通テスト

この入試の構造を、先に押さえてください。

段階 内容 時期の目安
1次選考 書類審査(課題レポート等) 出願9月上旬/発表10月上旬
2次選考 総合試験(筆記)120分 10月下旬
最終選考 大学入学共通テストの成績 1月/発表2月

そして、合否判定の条件が要項に明記されています。

2次選考合格者のうち、共通テスト(配点 300 点)の得点が 240 点以上の者を合格とします。

240点/300点。8割です。これは記事執筆時点の要項で、募集6学部すべてに共通して書かれている条件です。

つまりこの入試は、書類と筆記を通過しても、共通テストで8割を取れなければ合格しません。逆に言えば、8割を超えれば「上位から何人」ではなく基準を満たした人が合格する設計です(要項の書きぶりは競争ではなく基準の形をとっています)。

この事実が、準備計画を決める

総合型選抜というと「教科の勉強をしなくていい入試」と思われがちですが、この入試は違います。

  • 探究活動と課題レポートの準備 → 1次を通るために必要
  • 論理的思考力の訓練 → 2次を通るために必要
  • 共通テスト3教科で8割 → 最終合格に必要

3つとも要ります。教科の勉強を止めた瞬間に、この入試の合格はなくなります。

これは負担のようでいて、実は安心材料でもあります。共通テストの勉強は一般選抜とそのまま重なるからです。落ちても手元に何も残らない、という総合型選抜にありがちな事態にはなりません(総合型選抜と一般入試の両立)。

募集学部——6学部、各若干名

記事執筆時点の要項では、次の学部・学科が募集単位です。

学部 募集単位
法学部 学部単位
教育学部 教育学専攻生涯教育学専修/教育学専攻教育心理学専修/初等教育学専攻/国語国文学科/社会科地理歴史専修/理学科地球科学専修
文化構想学部 学部単位
文学部 学部単位
人間科学部 人間環境科学科/健康福祉科学科/人間情報科学科
スポーツ科学部 学部単位

募集人員は各募集単位で若干名です。

併願のルールは厳しい

要項の指定を正確に読んでください。

  • 学部の併願はできません。出願時に1つ選びます
  • 教育学部・人間科学部は、同一学部内の学科・専攻・専修の併願もできません
  • 出願後の志望変更は認められません

一方で、こうも書かれています。

本入試は専願入試ではありません。本学の他の入試制度および他大学の受験も可能です。

専願ではない。早稲田の他の入試も、他大学も受けられます。ここは大きな利点です。

ただし要項には注意書きがあります。2次選考の実施日が国際教養学部のAO入試(4月入学・国内選考)と同一試験日のため、実質的に併願できないとされています。国際教養学部を考えている人は、どちらかを選ぶことになります。

「地域」の意味を誤解しない

この入試でいちばん多い誤解が、ここです。要項にはこう書かれています。

出身高校や居住地は問いません。地域の多様性を大切にしており、すべての都道府県からの受験を歓迎しています。

地方在住者限定の入試ではありません。東京都内の高校生も出願できます。「地域」とは出願者の属性ではなく、取り組むテーマの性質を指しています。

入試の目的は要項に定義されています。

地域が抱える課題の解決や地域の発展に向けて、グローバルな視野を持ちつつ、自ら主体的に学び(「地域探究」)、社会的・文化的・学術的に貢献(「地域貢献」)する意欲のある人材を育成・輩出することを目的とします。

そして「社会的=広く地域社会全体を視野に入れた貢献(官民、分野等は問いません)」「文化的=地域文化の重視」「学術的=専門教育・高度な研究成果の活用」と補足されています。

範囲は思っているより広い。過疎や商店街だけが「地域の課題」ではありません。都市の待機児童、通学路の安全、外国にルーツを持つ住民への支援、地元の川の水質、伝統行事の継承——自分が実際に手を動かせた範囲であれば、それが地域です。

テーマ設定に迷う場合は探究テーマが決まらない人へと問いの立て方を読んでください。

課題レポート——形式指定が独特

出願書類は、チェックリスト・入学志願票・出願資格を証明する書類(調査書等)・課題レポート・課題レポート別紙(任意)です。実質的に評価されるのは課題レポートです。

形式のルール

要項の指定は、他の入試とかなり違います。

項目 指定
用紙 所定用紙4枚以内(A4・片面印刷)
作成方法 パソコンでの作成を原則とし、手書きでの作成は不可
文字サイズ 11ポイント以上。それ以外の設定は変更しない
文字数 指定なし
項目表示 本文中に①〜⑤の番号を明記し、どの記述がどの項目かが明快に分かるようにする

そして、見落とすと損をする一文があります。

記入した分量が3枚以内に収まる場合であっても、4枚目まで必ずつけてください。

空白でも4枚目を綴じる。うっかり3枚だけ出すと不備になります。

また「所定の様式以外の様式で作成した場合は、採点の対象外となることもあります」とも書かれています。フォーマットをいじらないでください。余白を詰めて字を増やす、といった小細工は、この入試では危険です。

なお、課題レポート以外の書類は手書き(黒ボールペン)と指定されています。逆になっているので注意してください。

5項目の設計

要項が指定する項目は次の5つです。

項目
① どのようなことを地域の課題と考えているか
② 志願者自身がその課題があることを意識したのはなぜか
③ その課題に関連して今までどのような活動を行ってきたのか
④ 本学のどの学部に入学し、何を学修したいと考えているか
⑤ 卒業後にどのように地域へ貢献することを考えているのか

この並びは、探究活動の構造そのものです。課題認識 → 動機 → 実践 → 学び直し → 還元。順番に意味があります。

字数指定がないので配分は自由ですが、4枚のうちどこに厚みを置くかは考えておいてください。目安を示します。

項目 分量の目安 書くときの要点
① 4枚のうち0.5〜0.7枚 範囲を絞る。「少子高齢化」では広すぎる。どこの、誰の、何の問題か
② 0.5枚 個人的な経緯でよい。むしろ一般論だと弱い
③ 1.5枚(最も厚く) 手を動かした事実。やったこと、分かったこと、うまくいかなかったこと
④ 1枚 学部の科目名・分野で書く。なぜその学部でなければならないか
⑤ 0.5枚 大きくしすぎない。③と④から自然に出る範囲で

③が中心。ここで差がつく

①②④⑤は、調べれば誰でもそれらしく書けます。③だけは、実際にやっていないと書けません。

そして③で評価されるのは、成果の大きさではありません。あなたが何を考え、どう動き、何が分かったかです。

書きにくい人が多いので、型を挙げておきます。

  • 何をしたか——いつ、誰と、どこで、何回
  • 何が起きたか——予想と違ったこと、断られたこと、数字が合わなかったこと
  • どう対応したか——方法を変えた、対象を変えた、聞く相手を変えた
  • 何が分かったか——事実として言えること
  • 何が分からなかったか——ここが④の入り口になる

最後の「分からなかったこと」を書けるかどうかが分かれ目です。③で残った問いが、そのまま④の「大学で学びたいこと」になる。そうつながると、レポート全体が一本の線になります。逆に、③と④が無関係だと「大学案内を写しただけ」に見えます。この接続の作り方は探究を志望理由書につなげる方法にまとめています。

活動の進め方そのものは探究活動の完全ガイド、調べ方は一次情報の取り方とアンケート・インタビューの作法を参照してください。うまくいかなかった探究にも書きようがあります(探究が失敗したとき)。

別紙は任意。でも使うべき

課題レポート別紙は書式自由で、A4用紙の両面を使用し、2枚(4面)まで提出できます。

「4.課題レポート」に記載した内容を補強・説明するような資料がある場合は、A4サイズの白紙に貼り付けて提出してください。

課題レポートはパソコンで作る文章だけの書類です。写真、地図、集めたデータの図、作ったものの記録は、別紙にしか置けません。③の説得力を上げる手段として使ってください。

なお、団体で活動している場合は、所属していることを証明する資料も添付するよう指定があり、それも枚数に含まれます。

生成AIについての記載

要項に明記があります。

出願書類は、必ずご自身で作成してください。生成 AI を使用してこれらの書類を作成し、自分で書いたものとして提出した場合、不正行為とみなされる可能性や、選考上の評価に影響を及ぼす可能性があります。

課題レポートはパソコン作成が原則なので誘惑はありますが、③に書くべきことは、あなたしか持っていない事実です。生成できるような③は、そもそも評価されません。

2次選考——120分の「総合試験」

要項に記載されている2次選考は、全学部共通です。

選考方法 試験時間 備考
総合試験(筆記) 12:00〜14:00(120分) 論理的思考力を問う総合試験

面接はありません。筆記1本です。

要項の記載は「論理的思考力を問う総合試験」という一行だけで、形式(課題文型か、資料型か、記述量)は書かれていません。だから形式を決め打ちした準備は危険です。

120分という長さから言えるのは、読む量が相応にあるということです。備え方の順番を示します。

  1. 完全ガイドで構成の型を固める
  2. 課題文型の手順と線の引き方——長文が出た場合に読み切る技術
  3. 資料・グラフ型と複数資料の扱い——データが出た場合
  4. 設問の動詞の読み分け——「説明せよ」と「論じよ」を混同しない
  5. 時間配分——120分をどう割るか、事前に決めておく

「論理的思考力」と明示されている以上、主張と根拠の関係を崩さないことが最優先です。凝った表現よりも、接続詞で筋が追えることのほうが効きます。反対意見の扱いは反論への応え方を見てください。

最終選考——共通テストの指定科目

学部ごとに指定が違います。記事執筆時点の要項では、3教科3科目で配点300点という枠は共通ですが、科目の選び方が異なります。

学部 おおまかな指定
法学部 外国語・国語・(地歴公民または数学)
教育学部 専修により2パターン。外国語・国語・(地歴公民または数学)/外国語・数学・理科
文化構想学部・文学部 外国語(英語)・国語・地歴(世界史探究または日本史探究)
人間科学部 外国語(英語)・(国語または数学)・理科
スポーツ科学部 外国語(英語)必須+(国語・地歴公民・数学・理科から2教科2科目)

志望学部によって、必要な科目がまったく違います。文学部志望なら地歴が必須、人間科学部志望なら理科が必須。出願学部を決めた時点で、共通テストの学習計画も決まります。

落とすと即アウトの実務

要項には厳しい注意が並んでいます。

  • 前年度以前の共通テスト成績は使えません。当年度のみ
  • 共通テスト成績請求チケットを期間内に提出しないと、判定の対象外になります。しかも「本学から志願者にその旨の連絡は行わず、入学検定料は返還しません」
  • 地歴・公民および理科で指定科目を第1解答科目にしなかった場合も対象外になります

3つ目は特に注意してください。当日の解答順で失格になりえます。2科目受験する場合、どちらを第1解答科目にするかを、必ず事前に確認しておいてください。

なお、共通テストは2次選考合格者が受けるものですが、出願は本入試の出願と並行して行う必要があります。要項も「本入試の出願と合わせて、共通テストにも必ず出願してください」としています。

入学後の位置づけ

要項には、入学後の仕組みも書かれています。この入試で入学した学生向けの演習科目「地域連携基礎演習」が開講され、全学副専攻「地域連携・地域貢献」を修了することもできる、とされています。オリエンテーション、個別面談、キャリア面談も実施されると明記されています。

入試で終わる制度ではないということです。課題レポートの⑤に書く「卒業後の地域貢献」は、大学側にとって単なる作文ではなく、入学後4年間の設計そのものだと考えてください。

準備の順番

時期 やること
高1〜高2 探究活動を実際にやる。記録と写真を残す(別紙で使う)
高2〜高3春 出願学部を1つに決める。共通テストの指定科目を確認
高3 4〜6月 課題レポートの①〜⑤を書き出す。③が薄ければ、追加で動く
高3 7〜8月 課題レポートを4枚に組む。別紙の資料をA4に整える
高3 9月 出願(簡易書留・速達。ポスト投函不可)。共通テストにも出願
高3 10月 1次発表→2次検定料納入→総合試験(120分)
高3 11月〜1月 共通テスト3教科で8割を取る。ここが本番

10月末に2次が終わってから、共通テストまで2か月半あります。この期間の使い方が合否を分けます。2次に通った時点で気を抜くと、240点に届きません。

出願実務の落とし穴は出願直前チェック17項目、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。

この入試が向いている人

  • 探究活動を実際に手を動かしてやった人
  • 教科の勉強も並行してやれる人。共通テスト8割が条件
  • 志望学部が1つに定まっている人(併願できないため)
  • 一般選抜も受けるつもりの人(専願ではないので無駄にならない)

逆に、共通テストの学習を始めていない人が、9月から準備して間に合う入試ではありません。探究の記録がある人が、教科の勉強を続けたまま挑む——そういう設計になっています。

まとめ

  • 6学部で募集、各若干名。学部の併願はできないが、専願ではない
  • 「地域」は出身地の話ではない。出身高校や居住地は問わないと要項に明記
  • 課題レポートは所定用紙4枚以内・パソコン作成・11ポイント以上。3枚で収まっても4枚目を綴じる
  • 5項目のうち③(これまでの活動)が中心。ここだけは実際にやっていないと書けない
  • 別紙はA4両面2枚まで。写真・図・データを置ける唯一の場所
  • 2次は120分の総合試験(筆記)のみ。面接はない
  • 最終選考は共通テスト。300点満点で240点以上が合格条件
  • 指定科目は学部ごとに違う。第1解答科目を間違えると判定対象外
  • 日程・募集学部・指定科目は必ず最新の募集要項で確認する

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