総合型選抜の面接で聞かれる質問。頻出10問の意図と答えの組み立て
面接の質問は4系統に分類でき、それぞれ確かめたいことが違います。志望動機・自己理解・学問への関心・確認系の頻出10問について、質問の意図と答えの組み立て方を示します。
面接の準備で最初にやるべきことは、想定問答集の暗記ではありません。
質問の分類を知ることです。
総合型選抜の面接で聞かれることは、ほぼ4系統に収まります。系統ごとに「確かめたいこと」が違うので、同じ準備で対応できます。逆に、系統を知らずに1問ずつ答えを暗記すると、少しひねられただけで崩れます。
前提として、面接は書類の口頭試問です。聞かれることの大半は、あなたが出した書類の中にあります(面接で聞かれることは書類に全部書いてある)。この記事は、その上で「どう答えを組み立てるか」を扱います。
4つの系統
| 系統 | 確かめたいこと |
|---|---|
| A 志望動機系 | 本学でなければならない理由があるか |
| B 自己理解系 | 自分の経験を意味づけできているか |
| C 学問関心系 | 入学後に自走できるか |
| D 確認系 | 入学の意思、齟齬の有無 |
以下、頻出10問を系統別に見ていきます。
A:志望動機系
1.「本学を志望した理由を教えてください」
ほぼ必ず聞かれます。ここで見られているのは、志望理由書を暗唱できるかではなく、書類と同じ内容を、自分の言葉で、短く言い直せるかです。
組み立ては「結論→根拠→接続」の3文で足ります。
〇〇を学びたいからです。(結論) きっかけは探究で△△を調べ、□□が分からず残ったことです。(根拠) それを学べるのが、貴学の◇◇の授業とゼミだと考えています。(接続)
書類の要約を1分で言えるように準備してください。3分話す練習より、1分で切り上げる練習のほうが重要です。長い答えは、要点を選べない人に見えます。
2.「他の大学ではだめなのですか」
圧迫ではなく、志望理由の精度を測る質問です。「この分野を学べる大学は他にもありますよね」と続くこともあります。
ここで唯一機能する答えは、固有名詞の比較です。
同じ分野を学べる大学は他にもありますが、〜という切り口で学べるのは貴学の◯◯先生のゼミ/◯◯という実習だと考えています。
カリキュラム・教員・実習先・研究テーマ。他大学と比べた上で選んだことが伝われば、この質問は加点の機会に変わります。準備には大学別対策の作り方の逆算がそのまま使えます。
3.「本学に入って何をしたいですか」
志望理由の「未来側」を聞いています。1年目に何をするかまで具体化してある答えは強い。
まず1年次の◯◯で基礎を固め、2年から△△のゼミで、探究で残った問いを続けたいです。
「頑張りたい」「成長したい」は中身がありません。履修案内から実際の科目名を2つ拾っておくだけで、答えの具体度が変わります。
B:自己理解系
4.「高校生活で最も打ち込んだことは何ですか」
実績の華やかさを競う質問ではありません。経験を構造化して語れるかを見ています。
組み立ては「事実→壁→自分の動き→変化」の順です。
吹奏楽部の練習改革です。(事実) コンクール前に全体練習の効率が落ちていました。(壁) 原因を聞いて回ると、パートごとに課題が違うのに全体で同じ練習をしていたと分かり、練習メニューの分割を顧問に提案しました。(自分の動き) 以後、限られた時間の使い方を先に設計する癖がつきました。(変化)
壁と「自分の動き」が入っていれば、実績は日常的なもので構いません。掘り方は活動報告書に書くことがない人へと同じです。
5.「あなたの長所と短所を教えてください」
長所は行動の証拠つきで1つ。短所は対処つきで1つ。これだけです。
短所で失敗するパターンは2つあります。「短所は特にありません」(自己理解を疑われる)と、「短所は優しすぎることです」(長所の偽装と見抜かれる)。
短所は、始める前に考えすぎることです。動きながら直すために、最初の一歩だけは締切を決めて動くようにしています。
短所の告白は減点されません。対処のなさが減点されます。
6.「探究活動について説明してください」
探究をやった人には必ず来ます。聞かれる中身は発表の質疑応答と同じで、方法・定義・解釈・発展の4種類です。
とくに「その調査は何人に聞いたの?」という方法への質問と、「それで、何が分かったの?」という要約要求には即答できるようにしてください。うまくいかなかった探究は、そのまま話して構いません。立て直しの記録は、むしろ面接で最も話が弾む材料です。
C:学問関心系
7.「最近気になったニュースはありますか」
時事知識のテストではなく、志望分野への関心が日常にあるかを見ています。
選ぶ基準は1つ。志望分野に関係するニュースで、自分の意見を1つ言えるもの。大事件である必要はありません。ニュースの選び方と語り方は時事の使いどころにまとめてあります。
◯◯のニュースに注目しています。報道では△△が問題とされていましたが、私は□□の側面が重要だと考えました。
「事実の説明」で終えず、「自分の見方」を一言足す。これだけで水準が変わります。
8.「最近読んだ本を教えてください」
読書家の演出は不要です。志望分野の入門書を1冊、確実に読んで、1つの論点について自分の考えを言える——これで十分です。
背伸びして難しい本を挙げると、内容を問われて崩れます。崩れた瞬間の減点は、平易な本を挙げる減点よりはるかに大きい。
D:確認系
9.「併願していますか」
募集要項が専願なら、答えは事実として一つです。併願可の入試なら、正直に答えて問題ありません。
併願していますが、貴学が第一志望です。理由は〜。
嘘だけが事故になります。入試制度の前提は募集要項の読み方で確認しておいてください。
10.「最後に何か質問はありますか」
「特にありません」は機会の放棄です。かといって、調べれば分かること(学費・入試日程)を聞くのは逆効果です。
入学後の自分を前提にした質問を2つ用意しておきます。
ゼミの選抜では、どんな準備をしている学生が多いですか。 1年次のうちに読んでおくべき本があれば教えてください。
2つ用意するのは、1つが面接中の話題で消化されることがあるからです。
想定外の質問が来たら
準備した10問の外から来る質問は、内容ではなく対応を見ています。
使う型は面接でも発表の質疑でも同じです。
すぐには答えが出ませんが、〜という観点から考えると……
沈黙が3秒続いても構いません。考えてから話し始める人は、誠実に見えます。即答の速さは評価されていません。
練習の仕方
- 書類のコピーを手元に置き、そこから質問を作る(面接官と同じ手順です)
- 学校や塾で本番形式の練習をする。家庭では伝わるかの確認だけに絞る
- 答えは書いて覚えず、要点3語だけ覚えて毎回組み立てる。暗唱は、飛んだときに全部飛びます
小論文がある入試では、小論文で書いた内容も面接で掘られます。答案の再現メモを試験直後に作っておいてください。
志望動機ではなく学問の中身を問われる形式(口頭試問)は、準備の仕方が別です。口頭試問の対策にまとめました。グループディスカッションが課される場合はGDの対策へ。
その場の場面に答える面接(MMI)
医学部を中心に、MMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)という形式が広がっています。5分程度の面接をブースを移動しながら3〜5回くり返し、その場で示された場面についてどう考えるかを問われます。志望動機の準備だけでは対応できないので、MMIの対策を別にまとめました。
まとめ
- 質問は4系統。系統ごとに確かめたいことが違う
- 志望動機は「結論→根拠→接続」を1分で
- 「他大学ではだめか」には固有名詞の比較で答える
- 短所は対処とセットなら減点されない
- 逆質問は入学後の自分を前提に2つ用意する
- 想定外には「考えてから話す」。速さは評価されていない
その場で出された課題に1分考えて口頭で答えさせる面接の例は、ビジネス・ブレークスルー大学の総合型選抜にまとめました。過去の問題が大学のサイトで公開されています。