小論文の接続詞。「しかし」の連発を直すだけで答案が変わる
接続詞は論理の道路標識です。多すぎても少なすぎても読み手は迷います。役割別の使い分けと、答案でよくある誤用、削っていい接続詞の見分け方を解説します。
接続詞は、読み手にとっての道路標識です。「この先、逆方向に曲がります」「ここから具体例です」と予告してくれるから、初見の文章でも迷わず読めます。
答案の接続詞には、決まった失敗が3つあります。同じものを連発する。誤った方向を指す。標識が多すぎて渋滞する。順に直していきます。
役割別・小論文で使う接続詞
| 役割 | 接続詞 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 逆接 | しかし、だが | 対立する見方への転換 |
| 順接・帰結 | したがって、そのため | 理由→結論 |
| 例示 | たとえば、実際に | 抽象→具体 |
| 譲歩 | たしかに〜。しかし〜 | 反論の検討 |
| 言い換え | つまり、すなわち | まとめ・圧縮 |
| 添加 | さらに、また | 論点の追加 |
この6種類で小論文は書けます。「なので」(話し言葉)、「よって」(数学の答案の印象)、「ちなみに」(余談の合図=論述に余談は不要)は使いません。
失敗1:「しかし」の連発
最も多い失敗です。
効率化は重要である。しかし、失われるものもある。しかし、だからといって効率化を否定はできない。しかし……
「しかし」が3回出てくると、読み手は論がどちらを向いているのか分からなくなります。逆接は1つの答案で2〜3回まで。それ以上必要に感じるときは、接続詞の問題ではなく論の設計が行き来しすぎているので、構成メモに戻ってください。
連発を防ぐ実務的な方法は、逆接を使う場所を構成の段階で決めておくことです。800字なら「反論への応答」の段落の頭、多くて序論にもう1回。それ以外の「しかし」は削れないか疑います。
失敗2:方向が合っていない標識
接続詞と中身がずれている答案は、標識が逆を向いた道路と同じです。
高齢化が進んでいる。したがって、地域の見守り活動が活発になっている。
高齢化から見守り活動の活発化は自動的には導けません。「したがって」と書いた瞬間、読み手は因果関係を期待します。期待させて裏切ると、論理の粗として減点されます。
自己チェックの方法は単純で、接続詞の前後の文だけを取り出して声に出すことです。2文だけで聞いて論理がつながらなければ、その接続詞は誤りです。
失敗3:全部の文に接続詞を付ける
私は反対である。なぜなら費用がかかるからだ。さらに時間もかかる。また人材も不足している。したがって実現は難しい。つまり反対である。
全文に標識が付いた道路は、かえって走りにくい。日本語は接続詞がなくても文の並びで論理が通じる言語です。削っても意味が通じる接続詞は削る。目安として、接続詞は3文に1つ程度で足ります。
削る優先順位は「また・さらに」(並べれば分かる)→「つまり」(直後が短ければ不要)→順接。逆接と譲歩は残します。この2つだけは、省くと読み手が道を間違えるからです。
「たしかに〜しかし」は1回だけ、深く
譲歩構文は反論処理の要ですが、便利すぎて乱用されます。
たしかに費用の問題はある。しかし工夫すればよい。
これでは譲歩した意味がありません。反論を1文で流すくらいなら書かないほうがましです。使うなら1回だけ、反論の中身を2〜3文かけて誠実に紹介してから切り返します。反論を強く書けるほど、それを乗り越えた自分の主張が強く見えます。
接続詞以外の話し言葉(「すごく」「ちゃんと」「〜と思う」など)は、言い換え辞典に60語分まとめました。あわせて点検してください。
まとめ
- 接続詞は6種類で足りる。「なので」「ちなみに」は使わない
- 逆接は1答案2〜3回まで。連発は構成の行き来しすぎのサイン
- 接続詞の前後2文だけ取り出して、つながるか声に出して確かめる
- 削っても通じる接続詞は削る。残すのは逆接と譲歩
- 「たしかに〜しかし」は1回だけ、反論を深く書いてから使う
形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。