小論文キャンパス
大学別対策

獨協医科大学の総合型選抜。高校生は出願できず、小論文は英文の長文課題

約13分で読めます

獨協医科大学医学部の総合型選抜は4年制大学の卒業者または2年次修了者が対象で、高校生は出願できません。小論文は英文の長文課題に基づくもの、面接は15分×4回、プレゼンは事前課題と当日課題の2本立て。令和9年度から年齢上限が25歳以下になり、出願条件に「研究経験」が入りました。

獨協医科大学(栃木県下都賀郡壬生町)医学部の総合型選抜は、高校生が受けられない入試です。

出願資格の1つめがこれです。

・4年制以上の大学(外国の大学を含む)を卒業又は卒業見込みの者 ・4年制以上の大学(外国の大学を含む)に在籍し、2年次までの課程を修了している者(出願時の休学者〈留学等による休学を除く〉及び医学部医学科在籍者を除く) ・本学が上記と同等以上の学力を有すると認める者

大学を出た人か、大学2年を終えた人が対象。もともと学士編入学試験を発展的に解消して2004年度に導入された選抜なので、この形になっています。募集人員は3名以内です。

そして中身も独特です。

  • 小論文は「英文の長文課題に基づいた客観的・論理的作文能力」を評価するもの
  • 個人面接を15分×4回
  • プレゼンテーションは事前課題と当日課題の両方
  • 令和9年度から年齢上限が30歳未満→25歳以下になり、出願条件に「研究経験」が加わった

出典:獨協医科大学「総合型選抜」(https://www.dokkyomed.ac.jp/dusm/exam/entrance/ao.html )、「令和9年度(令和8年度実施)医学部入学者選抜の変更点」(https://www.dokkyomed.ac.jp/dusm/exam/change-point.html )、「過去の試験問題等」(https://www.dokkyomed.ac.jp/dusm/exam/past-questions.html )、看護学部「入学者選抜概要(令和9年度)」(https://www.dokkyomed.ac.jp/dmucn/exam/overview/ )。2026年9月22日に確認しました。

なお獨協医科大学のサイトは https://www.dokkyomed.ac.jp/dmu/ が入口です。トップのURLはここへ転送されるだけのページになっています。埼玉県草加市の獨協大学とは別の大学なので、検索するときは注意してください。

看護学部に総合型選抜はありません

先に確認しておきます。獨協医科大学には医学部と看護学部がありますが、看護学部で総合型選抜は実施されていません。

入試区分 募集人員 出願期間 試験日
3年次編入 10名 2026年8月4日〜8月21日 2026年9月3日(木)
学校推薦型選抜(指定校制・公募制) 65名 2026年11月2日〜11月9日 2026年11月14日(土)
一般選抜A日程 75名 2026年12月7日〜2027年1月25日 2027年2月2日(火)
一般選抜B日程 5名以内 2027年2月9日〜2月19日 —

高校から看護学部を目指す場合は、学校推薦型選抜か一般選抜になります。なお助産学専攻科は、廃止に伴う学生募集停止が公表されています。

ここから先は医学部の話です。

令和9年度の日程は終わっている

まず時期を確認します。

段階 期日
出願期間 2026年8月10日(月)〜8月25日(火)締切日必着
第1次試験 2026年9月5日(土)
第1次合格発表 2026年9月15日(火)10:00
第2次試験 2026年9月18日(金)
合格発表 2026年9月30日(水)10:00
入学手続 2026年10月7日(水)

この記事を書いている2026年9月22日の時点で、出願も第1次・第2次試験も終わっています。残っているのは9月30日の合格発表だけです。

つまりこの入試は、8月に出願し、9月のうちに全部終わる。医学部の入試としてはかなり早い設計です。翌年度を狙うなら、春のうちから準備して7月には書類を固めるペースになります。

募集要項を含む入学願書は学務部入試課への請求が必要(TEL 0282-87-2108)で、サイトからダウンロードはできません。ここも早めに動く理由になります。

令和9年度からの変更が大きい

大学は「入学者選抜の変更点」を公開していて、総合型選抜の出願資格が大きく変わっています。

項目 変更前 変更後
条件の数 4つ 6つ
年齢 入学する年度の4月1日現在で30歳未満 25歳以下
3つめの条件 学業のみならず、課外活動や社会活動に積極的に取り組んできた実績があり、本学を第一志望として入学を志す者 教育・研究機関などの施設において、文理・専攻を問わず研究経験を有し、本学を第一志望として入学を志す者
追加された条件 — 本学の学修に適合する分析力・思考力・判断力を有する/入学後、他の学生の模範となれる
最後の条件 卒業後も本学の一員となって医学・医療に貢献する意欲を持つ者 卒業後も本学の一員として、医学・医療分野においてのキャリア形成を強く希望し、研究・教育活動に積極的に取り組む意志を有する者

読み替えると、こうなります。

  • 評価の軸が「課外活動・社会活動の実績」から「研究経験」に移った
  • 年齢の上限が5歳下がった(令和9年4月1日現在で25歳以下=平成13年4月2日以降の出生者)
  • 卒業後に「研究・教育活動に積極的に取り組む」ことまで求められるようになった

「大学で何かをがんばってきた人」ではなく、「研究をしてきて、これからも研究する人」を採る入試に変わったということです。志望理由も、その軸で組み立てる必要があります。

小論文は「英文の長文課題」

第1次試験(9月5日)の内容は3つです。

書類審査:出願書類から推測される日常活動を考慮して社会に向き合う態度、主体性、計画性、医学に対する志、本学への貢献意欲などを評価します。 適性試験:本学の学修に適合する分析力・思考力・判断力等を評価します。 小論文試験:英文の長文課題に基づいた客観的・論理的作文能力を評価します。

小論文の説明が「英文の長文課題に基づいた」となっています。日本語の課題文ではありません。

医学部の入試で英文を読ませる小論文は珍しくありませんが、総合型選抜の第1次でこれを課すのは重い設定です。対策は次のようになります。

  1. 英語の長文を、辞書なしで読み切る速度をつくる。医学・生命科学系の一般向け記事(科学誌のニュース面など)が素材として手頃です
  2. 読んだ内容を日本語で200字に要約する練習。これができないと、そもそも書き出せません
  3. 要約したうえで自分の意見を足す形に慣れる。「客観的・論理的作文能力」と書かれているので、感想ではなく論理が要ります

英文を読んで書くタイプの考え方は英語の課題文が出る小論文、要約の手順は課題文の要約のしかたにまとめてあります。

「小論文は書き方さえ覚えればよい」という発想は、この入試には通りません。大学自身がこう書いています。

総合型選抜は、一般に「学力よりもそれ以外の能力を重視する入学者選抜」として捉えられがちですが、医学部においては、たゆまなく進歩する膨大な医学の知識・技能・態度を効率よく習得することができる能力を求めます。(中略)医学部における総合型選抜入学者はそれに対応できるだけの学習能力をすでに持っていることが大前提になります。

第2次試験は面接4回とプレゼン2本

第1次を通ると、13日後の第2次試験(9月18日)に進みます。

面接試験:1回当たり15分の個人面接を計4回実施し、多面的かつ総合的に評価します。 プレゼンテーション:事前課題と当日課題を課し、思考力・判断力・表現力を総合的に評価します。

面接15分×4回

合計60分。面接官が入れ替わって4回行われると考えるのが自然です。「多面的かつ総合的に評価」とあるので、毎回違う角度から聞かれる前提で準備します。

4回分の準備をどう作るか。大学が公開している「三つのC」が手がかりになります。

  • Compassionate…人の痛みや苦しみを敏感に察知して、それを心からやわらげたいと思える人間性
  • Competent…自分の持っている知識を総動員して目の前の困難を切り開く能力。医学の進歩に対して自己学習を怠らず、自分自身を常に内省し、改善点を見つけては直していく不断の努力
  • Communicate…患者だけでなく、同僚医療人や世界の医学文献から正確な情報収集を行い、それを整理して価値判断を下し、目の前の患者に最適の治療を提供する能力

この3つそれぞれについて、自分の経験から答えられるエピソードを用意しておく。同じ話を4回するのではなく、話の引き出しを分けておくのが対策になります。面接の準備は面接の頻出質問を見てください。

プレゼンは事前課題と当日課題

事前課題は準備できるもの、当日課題はその場で考えるものです。両方を課すということは、準備の質と、その場での対応力の両方を見ています。

当日課題があるプレゼンで効くのは、型を持っていることです。「結論→理由→具体→まとめ」のように、何を聞かれても流し込める骨組みを1つ持っておくと、その場で考える負荷が下がります。プレゼンの組み立てはプレゼン型入試の対策にまとめてあります。

そして最後はここに戻る

大学は、総合型選抜で求めることの結論をこう書いています。

総合型選抜入学者に求められる最も重要なことは、獨協医科大学がどういう大学であるかをよく理解した上で、なぜ本学の一員になりたいのかについて明確な意識を持っていることです。

面接4回でもプレゼンでも、ここに戻ってきます。なぜ他の医学部ではなくこの大学なのか。研究経験が出願条件に入った以上、「この大学のこの分野で研究を続けたい」という具体が要ります。

公開されている小論文の過去問を見ておく

総合型選抜の過去問は公開されていませんが、医学部は一般選抜(第2次試験)の小論文の問題冊子をPDFで公開しています(2026年実施分)。傾向をつかむ材料になります。

試験の条件はこうです。

  • 試験時間60分、問題冊子4ページ、下書用紙1枚と解答用紙1枚
  • 試験開始後30分間および試験終了前5分間は退出できない
  • 問題冊子、下書用紙への記入事項は採点の対象としない

そして設問が、3回とも同じでした。

問1. 本文を200字以内に要約しなさい。 問2. 本文の内容について、あなたの考えを400字以内で述べなさい。

要約200字+意見400字で、合計600字を60分。課題文を読む時間を引くと、書く時間は40分前後です。

課題文そのものは「著作権の都合上,掲載を差し控えております」として非掲載ですが、出典は書かれています。

日程 出典
前期(第1日程) 池田喬 著『「嘘をつく」とはどういうことか 哲学から考える』(筑摩書房)2025年1月10日発行
前期(第2日程) 高橋祥子 著『ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考』(ニューズピックス)2021年1月6日発行
後期 今井むつみ 著『AIにはない「思考力」の身につけ方 ことばの学びはなぜ大切なのか?』(筑摩書房)2024年11月5日発行

3冊とも医学書ではありません。哲学、生命科学、言語と思考。そして発行から1年から5年の新しい本です。

ここから読めるのは、医学の知識を問う小論文ではないということです。ものの考え方を扱った文章を読ませて、要約させ、意見を書かせる。総合型選抜の小論文が「英文の長文課題に基づいた客観的・論理的作文能力」を見るとされているのも、同じ方向を向いています。

要約の練習は課題文の要約のしかた、課題文型の書き方は課題文型小論文の手順にまとめてあります。

どこから手をつけるか

  1. 出願資格を確認する。4年制大学の卒業(見込)か2年次までの課程修了、そして25歳以下です
  2. 研究経験があるかを確認する。令和9年度から出願条件に入りました
  3. 学務部入試課に募集要項を請求する。サイトからは入手できません
  4. 8月出願・9月試験のスケジュールで逆算する。書類は7月には固めておきたいところです
  5. 英語の長文を読んで日本語で要約する練習を始める
  6. 200字要約+400字意見を60分で書く練習をする。一般選抜の過去問が公開されています
  7. 「三つのC」それぞれに対応するエピソードを用意する。面接は15分×4回です
  8. プレゼンの型を1つ決める。当日課題があります
  9. 「なぜこの大学なのか」を研究の言葉で言えるようにする

まとめ

  • 獨協医科大学医学部の総合型選抜は、4年制以上の大学を卒業(見込)した人か、2年次までの課程を修了した人が対象。高校生は出願できません。募集人員は3名以内
  • 令和9年度から年齢上限が30歳未満→25歳以下に変わり、出願条件に「教育・研究機関などの施設において、文理・専攻を問わず研究経験を有し」が入りました
  • 変更前にあった「課外活動や社会活動に積極的に取り組んできた実績」という条件はなくなり、評価の軸が研究経験に移りました
  • 第1次試験(9月5日)は書類審査・適性試験・小論文試験。小論文は「英文の長文課題に基づいた客観的・論理的作文能力」を評価します
  • 第2次試験(9月18日)は面接試験とプレゼンテーション。面接は1回15分の個人面接を計4回、プレゼンは事前課題と当日課題の両方
  • 大学は求める資質を「三つのC」(Compassionate/Competent/Communicate)として公開しています
  • 「学力」を「学んだ力」「学ぶ力」「学ぼうとする力」の三つの力の総和と定義し、学習能力をすでに持っていることが大前提と明記しています
  • 募集要項を含む入学願書は学務部入試課への請求が必要です
  • 一般選抜の小論文の過去問が公開されていて、3回とも「本文を200字以内に要約」+「本文の内容についてあなたの考えを400字以内」の60分でした
  • 看護学部に総合型選抜はありません(3年次編入、学校推薦型選抜65名、一般選抜A・B日程)

総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。栃木の私立大学は足利大学、白鷗大学、作新学院大学、国際医療福祉大学、宇都宮共和大学、文星芸術大学、自治医科大学の記事にもあります。

Related

関連記事

← 「大学別対策」の記事一覧へ