作新学院大学の総合型選抜。当日30分の作文は「参考資料として」と書かれている
作新学院大学(栃木県宇都宮市)の総合型選抜は志願書・面接・調査書で判定し、当日30分程度の作文は「参考資料として」実施されます。ただし学力の三要素では作文が「思考力・表現力」の評価に使われます。志願書は字数指定がなく「文章の長短によって合否は判定いたしません」と明記されています。
作新学院大学(栃木県宇都宮市)の総合型選抜には、試験当日に30分程度の作文があります。ところが要項の書き方が独特です。
志願書(出願書類とともに提出)と面接及び出願書類(調査書)により合否を判定します。 また、参考資料として、当日30分程度で作文作成を実施します。
「合否を判定します」の対象に作文が入っていません。作文は参考資料という位置づけです。
ではどうでもいいのかというと、そうでもありません。同じページの少し下に、こう書かれています。
※志願書により「表現力」、「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」を、面接により「思考力・判断力・表現力」を、出願書類(調査書)により「高校生活における知識・技能の習得状況」を、また当日の作文により「思考力・表現力」を総合的に評価します。
作文は「思考力・表現力」を測る材料として、ちゃんと評価に使われている。この2つの記述をどう読むかが、この大学の対策の出発点になります。
出典:作新学院大学「2027年度 学生募集要項」(https://www.sakushin-u.ac.jp/common/sysfile/content_blocks/ID00003720binary2.pdf )、「総合型選抜」(https://www.sakushin-u.ac.jp/admission/page.php?id=161 )、志願書(所定用紙)。2026年9月21日に確認しました。
学部と募集人員
| 学部(入学定員) | 学科(定員) | 総合型選抜の募集人員 |
|---|---|---|
| 経営学部(200名) | 経営学科(105名)、スポーツマネジメント学科(95名) | 30名 |
| 人間文化学部(75名) | 発達教育学科(25名)、心理コミュニケーション学科(50名) | 15名 |
募集人員は学部単位で、第1回から第3回までの合計です。
総合型選抜は3回。すべて専願
| 回 | 出願手続期間(締切日必着) | 試験日 | 合格発表 | 入学手続期間 |
|---|---|---|---|---|
| 第1回(専願) | 2026年9月28日(月)〜10月7日(水) | 2026年10月17日(土) | 2026年11月2日(月) | 2026年11月4日〜11月17日 |
| 第2回(専願) | 2026年11月16日(月)〜12月2日(水) | 2026年12月12日(土) | 2026年12月18日(金) | 2026年12月21日〜2027年1月12日 |
| 第3回(専願) | 2027年1月25日(月)〜2月10日(水) | 2027年2月19日(金) | 2027年2月26日(金) | 2027年3月1日〜3月16日 |
試験会場は本学(宇都宮市竹下町908)です。
出願の締切は時刻まで決まっています。Web出願登録と入学検定料の支払いは最終日の15時まで、出願書類の送付期限は最終日の16時(必着)。郵送が間に合わない場合は窓口へ持参できますが、窓口は平日9時〜16時のみで、土日祝は開いていません。
入学検定料等は31,045円(入学検定料30,000円+手数料1,045円)です。
そして、3回とも専願です。ここは重い規定があります。
総合型選抜合格者は、専願のため入学辞退は認められません。 専願受験で合格し入学手続をされた方は、一般選抜(大学入学共通テスト利用)への出願はできません。
合格したら入学する。それが前提の入試です。併願を残したい人の考え方は併願戦略の立て方にまとめてあります。
なお、総合型選抜の選考にもれた場合、第2回・第3回や学校推薦型選抜、一般選抜を受けることはできます。ただしあらためて出願が必要です。
当日のスケジュールは受験票で決まる
当日の流れは要項にこう書かれています。
① 日程:作文および面接は午前中に実施します。受験者ごとの作文開始時刻(9時30分 または10時00分)および面接開始時刻は受験票に記載します。
作文の開始時刻が2通りあるのが特徴です。9時30分の組と10時00分の組に分かれ、どちらになるかは受験票で分かります。試験開始20分前までに試験室に入室する必要があるので、自分の時刻を確認してから当日の移動を組んでください。
「参考資料」の作文をどう準備するか
作文のテーマと字数は公開されていません。分かっているのは30分程度ということだけです。
30分で書ける量は、手書きなら400字から600字が現実的な範囲です。800字を課す大学の小論文とは違い、短く、速く、まとまった文章を求められると考えてください。
そのうえで、要項の2つの記述をもう一度並べます。
- 合否判定は「志願書と面接及び調査書」による
- 当日の作文は「思考力・表現力」を評価する材料
この2つを素直に読むと、作文だけで落とされることはないが、書けていれば評価は上がるという位置づけになります。合否のボーダー上にいるときに効く、という理解が実務的です。
準備としてやることは3つです。
- 30分で400〜600字を書く練習を、時間を測って5回以上。書き慣れていないと30分は一瞬で終わります
- 志望学科に関係するテーマで書く。経営学科なら身近な店や企業、スポーツマネジメント学科なら地域のスポーツ、発達教育学科なら学校や子ども、心理コミュニケーション学科なら人と人の関わり
- 型をひとつ決めておく。「結論→理由→具体例→まとめ」で十分です。30分では凝った構成を組む時間がありません
30分の配分は、構想5分・執筆20分・見直し5分。時間の使い方は小論文の時間配分、書き方の土台は小論文の書き方 完全ガイドにまとめてあります。
作文と小論文の違いを気にする人がいますが、入試で求められるものはほぼ同じです。体験を書くにしても、そこから何を考えたかを書かなければ評価されません。「楽しかった」で終わる文章は、作文でも評価されないと考えてください。
志願書は「文章の長短によって合否は判定いたしません」
出願時に提出する志願書は本学所定の用紙で、設問はひとつだけです。
〇本学を志望した理由、入学後に何をどのように学びたいか、将来の希望や進路について記入してください。 ※追加で記入したい方は裏面を利用して記入してください。ただし、文章の長短によって合否は判定いたしません。
字数の指定がありません。そして「長短によって合否は判定しない」とわざわざ書かれています。
これは珍しい書き方です。ふつうは「400字以内」「800字程度」といった指定がありますが、この大学は量を問わないと明言しています。裏面まで使って長く書いても、短くまとめても、そこは評価しないということです。
では何が評価されるのか。要項によれば志願書は「表現力」と「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」を見る書類です。
つまり、長さではなく中身。設問は3つのことを聞いています。
- 本学を志望した理由
- 入学後に何をどのように学びたいか
- 将来の希望や進路
この3つが全部入っていて、しかもつながっているのが理想です。将来こうなりたい → そのためにこれを学ぶ必要がある → それができるのがこの学科、という順番で並べれば、3つが1本になります。
「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」も評価対象なので、人と関わった経験をどこかに入れておくと、評価項目に届きます。書き方の手順は志望理由書の書き方 完全ガイドを見てください。
そして志願書は面接の材料でもあります。配点の中心は面接(思考力・判断力・表現力)ですから、志願書に書いたことを、話して説明できる状態にしておくのが本番の準備です。書類と面接の一貫性、面接の頻出質問も合わせて見てください。
活動報告書もポートフォリオも要らない
出願書類は次のとおりです。
- Web志願票(顔写真データは出願前3か月以内、脱帽・正面・上半身のカラー、縦4cm×横3cm、JPEG形式)
- 調査書(出身学校長が作成し、厳封したもの)
- 志願書(本学所定の用紙)
- 宛名ラベル(Web出願システムからA4サイズで印刷)
そして要項には、こう明記されています。
※「活動報告書」及び「e.ポートフォリオ」の提出は求めません。
総合型選抜というと活動実績をそろえる必要があると思われがちですが、作新学院大学は要らないと書いています。
これは受験生にとって大きな意味があります。大会の実績や資格がなくても、志願書と面接で勝負できるということです。大学のページにも「意欲のある人はだれでも申し込むことができます。面接を通じて、自分自身を十分にアピールしてください」と書かれています。
準備すべきものが少ないぶん、志願書と面接に時間を全部かけられる入試だと考えてください。
学科ごとに「求める学生像」が具体的
大学は総合型選抜で求める学生像を学科別に公開しています。志願書と面接で語る内容は、ここに合わせるのが近道です。
| 学科 | 興味・関心の対象 | 想定される進路 |
|---|---|---|
| 経営学科 | 企業の経営や会社の仕組み、それを支える会計やコンピューター | 教員、NPO職員、一般企業、公務員など |
| スポーツマネジメント学科 | プロスポーツの運営、スポーツビジネス、地域のスポーツ振興、スポーツを通じた健康増進啓発活動 | 会社員、公務員、銀行員、スポーツに関わるビジネスパーソン |
| 発達教育学科 | 児童・生徒の教育 | 小学校や特別支援学校等の教育現場 |
| 心理コミュニケーション学科 | 人間の心理(心理学)、社会の中の人間(社会学)、言語や文学(言語学・日本文学など) | 臨床心理士、公認心理師、公務員、企業の社員など |
とくにスポーツマネジメント学科は「スポーツをする」ではなく「スポーツの運営・ビジネス・地域振興」と書かれています。競技経験そのものより、運営する側への関心を語るほうが噛み合います。
心理コミュニケーション学科も心理学だけでなく社会学・言語学・日本文学が並んでいます。志望理由を心理学一本に絞る必要はありません。
合格した後も、学費を下げる道が残っている
作新学院大学には学業奨学生制度があり、これが総合型選抜の合格者にも開かれています。
| 区分 | 対象 | 免除内容 | 初年度学納金 |
|---|---|---|---|
| 学業特待奨学生 | 英語・国語の2科目合計で得点率80%以上(160点以上) | 入学料300,000円と授業料全額650,000円の計950,000円 | 370,000円 |
| 学業奨励奨学生 | 英語・国語の2科目合計で得点率60%以上(120点以上) | 授業料の一部450,000円 | 870,000円 |
選抜は「奨学生選抜試験を兼ねている一般選抜(第1回・第2回)」を受ける形で行われます。そして、ここが重要です。
※ 総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜(第1回)に合格し、入学手続を行った方も受験できます。(検定料は不要です。) ※ 総合型選抜、学校推薦型選抜および一般選抜に合格し、入学手続を行った方で奨学生として該当しなかった場合でも、当初に合格した入学試験の結果には影響しません。
つまり、総合型選抜で入学を決めたうえで、検定料なしで学費の減額に挑戦できる。落ちても合格は取り消されません。第1回で届かなければ第2回に再挑戦もできます。返還義務もありません。
専願で早く決めたあと、英語と国語の2科目だけ仕上げて奨学生選抜に臨む。これが作新学院大学の総合型選抜を使ううえでの、いちばん合理的な流れです。
どこから手をつけるか
- 専願で問題ないかを決める。合格したら入学辞退は認められません
- 学科を決める。求める学生像が学科ごとに公開されています
- 志願書を書く。字数は問われませんが、志望理由・学びたいこと・将来の進路の3つを1本につなげます
- 志願書を音読して、面接で話せるようにする
- 30分で400〜600字の作文を、時間を測って5回書く
- 出願は最終日15時(Web登録・検定料)と16時(書類必着)。時刻まで決まっています
- 合格したら、英語と国語を仕上げて奨学生選抜に挑む。検定料は不要です
まとめ
- 作新学院大学の総合型選抜は第1回〜第3回の3回で、すべて専願。合格後の入学辞退は認められません
- 選抜方法は志願書・面接・調査書で判定し、当日30分程度の作文は「参考資料として」実施されます
- ただし学力の三要素の評価では、作文が「思考力・表現力」を見る材料とされています
- 作文開始時刻は9時30分または10時00分の2通りで、受験票に記載されます。作文も面接も午前中です
- 志願書は字数指定なし。「文章の長短によって合否は判定いたしません」と明記されています
- 志願書の設問は「本学を志望した理由、入学後に何をどのように学びたいか、将来の希望や進路」の3点
- 「活動報告書」及び「e.ポートフォリオ」の提出は求めませんと要項に明記。実績がなくても出願できます
- 出願は最終日15時までにWeb登録と検定料支払い、16時までに書類必着。検定料等は31,045円
- 総合型選抜で入学手続をした後も、検定料なしで奨学生選抜(一般選抜)を受験可能。英語・国語2科目で得点率80%以上なら95万円免除、60%以上なら45万円免除。該当しなくても合格には影響しません
総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。栃木の私立大学は足利大学、白鷗大学、国際医療福祉大学の記事にもあります。