自治医科大学の総合型選抜。使えるのは5県だけで、小論文はなく面接が2回ある
自治医科大学医学部の総合型選抜は栃木・山梨・山口・佐賀(各2名)と富山(1名)でだけ実施されます。小論文はなく、記述式の基礎学力検査(数学Ⅲ・英語Ⅲまで)と、都道府県と本学で各10〜15分の面接2回。評定4.0以上で、志願者評価書の評価項目11個が公開されています。
自治医科大学(栃木県下野市)医学部の総合型選抜は、受けられる人が住んでいる場所で決まります。
| 試験区分 | 実施都道府県 | 募集人数 |
|---|---|---|
| 総合型選抜 | 栃木県、山梨県、山口県、佐賀県 | 各県2名 |
| 総合型選抜 | 富山県 | 1名 |
| 学校推薦型選抜 | 富山県 | 1名 |
| 一般選抜 | 全都道府県 | 2名または3名 |
医学部医学科100名は全都道府県から2名または3名ずつ選ばれる仕組みで、総合型選抜を実施しているのはこの5県だけです。
そして中身にも特徴があります。
- 小論文はありません
- 基礎学力検査は記述式で、数学Ⅲ・英語コミュニケーションⅢまで(各100点・各60分)
- 面接が2回あります(出願した都道府県と本学で各10〜15分程度)
- その前に書類選考があり、通らないと試験に進めません
- 評定4.0以上が出願要件
出典:自治医科大学「令和9年度 自治医科大学医学部入学者募集要項」(https://www.jichi.ac.jp/assets/pdf/exam/medicine/exam/exam_youkou_R9.pdf )、「学校推薦型選抜・総合型選抜」(https://www.jichi.ac.jp/exam/medicine/exam/special/ )、志願者評価書(https://www.jichi.ac.jp/assets/pdf/exam/medicine/exam/sigansyahyouka_R9.pdf )、看護学部「学生募集要項」(https://www.jichi.ac.jp/exam/nurse/recruitment/ )。2026年9月22日に確認しました。
先に結論。看護学部に総合型選抜はありません
自治医科大学には医学部と看護学部がありますが、看護学部で総合型選抜は実施されていません。
看護学部の募集人数105名の内訳は、一般選抜65名程度と学校推薦型選抜(指定校制)40名程度です。
参考までに、看護学部で小論文が出るのは学校推薦型選抜(指定校制)のほうです。小論文60分+個人面接(1人10分程度)で、出願は2026年11月2日〜11月9日(消印有効)、試験は11月21日(土)。一般選抜は国語と数学Ⅰ・Aのマークシート各60分+個人面接10分程度で、小論文はありません。
ここから先は、医学部の総合型選抜の話です。
出願地は1つしか選べない
自治医科大学の入試は、すべて都道府県単位で行われます。出願する都道府県は1つだけ。
複数の都道府県へ出願した場合は、当該年度の受験資格を失うことになりますので、ご注意ください。
出願地は、次のどれかから選びます。
- a. 出身高等学校(中等教育学校)の所在する都道府県
- b. 自分の現住所地の都道府県(ただし令和6年4月1日以前から引き続き同一都道府県内にある場合に限る)
- c. 父母等の現住所地の都道府県(同じく令和6年4月1日以前からの継続が条件)
aとbが同じならa、bとcが同じならb、という優先順位も決まっています。そして選んだ出願地が、卒業後に一定期間勤務する都道府県になります。
つまり、栃木・山梨・山口・佐賀・富山のいずれかを出願地にできる人だけが、総合型選抜を使えます。自分がどの県で出願することになるかは、まずここで確定させてください。
卒業後の勤務が前提
出願資格には、全区分共通でこう書かれています。
・自治医科大学医学部での勉学を強く希望し、合格した時に入学を確約できる者。 ※これは他大学との併願を妨げるものではなく、併願していても合否判定に影響はありません。 ・本学卒業後、出願都道府県が作成する「キャリア形成プログラム」に基づき、一定期間、出願都道府県の知事の意見を聴いて指定する公立病院等に医師として勤務することを確約できる者。
他大学との併願は認められています。ただし合格したら入学を確約し、卒業後は出願した県で医師として働くことになります。
この仕組みは学費とセットです。志願者評価書の注記にはこう書かれています。
本学では修学資金貸与制度により、入学時に入学金、授業料等の準備は不要となります。この修学資金は卒業後、直ちに、出身都道府県にて医師として勤務し、その勤務期間が修学資金の貸与を受けた期間の2分の3(1.5倍)に相当する期間に達した場合は返還が免除されます。この期間を地域医療従事期間と言います。
6年間学べば9年間。そこを納得したうえで出願する入試です。地域医療の考え方は地域医療のテーマにまとめてあります。
出願要件は2つだけ。ただし評定4.0
総合型選抜の出願要件は、驚くほど短いです。
・合格した時に必ず入学を確約できる者 ・調査書の学習成績全体の状況が4.0以上の者
評定平均4.0以上。ここが最大の関門です。医学部の総合型選抜としては標準的ですが、5段階で4.0は「ほぼオール4以上」を意味します。評定が届かないときの選び方は評定が低くても出せる総合型選抜を見てください。
学校推薦型選抜との違い
同じ日程で行われる学校推薦型選抜と比べると、条件がはっきり違います。
| 項目 | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 |
|---|---|---|
| 実施都道府県 | 栃木・山梨・山口・佐賀(各2名)、富山(1名) | 富山(1名) |
| 学校長の推薦 | 不要 | 必要(1校あたり1名) |
| 卒業年の制限 | なし | 令和8年3月から令和9年3月までに卒業(見込) |
| 評定 | 4.0以上 | 4.0以上 |
| 提出する評価の書類 | 志願者評価書 | 推薦書 |
総合型選抜には卒業年の制限がありません。出願資格には「他大学・専修学校に在籍中若しくは卒業した者」「社会経験をした者」も含まれているので、既卒者や再受験の人が使えるのは総合型選抜のほうということになります。
ただし、学校推薦型選抜に出願した場合、総合型選抜に出願することはできません。どちらか一方です。
日程は3段階
| 段階 | 期日 |
|---|---|
| 出願期間 | 2026年10月14日(水)〜10月20日(火)17:00必着(消印有効期限は10月19日) |
| 書類選考の結果発表 | 2026年11月13日(金)13:00 |
| 基礎学力検査・面接試験 | 2026年11月18日(水)(受付8:20〜8:30、試験9:00〜16:00) |
| 合格発表 | 2026年12月1日(火)13:00 |
| 入学手続日 | 【1回目】2027年2月25日(木)/【2回目】3月12日(金) |
注意点が3つあります。
- 書類選考がある。出願書類だけで、基礎学力検査・面接試験の受験者が決まります
- その結果は本学ホームページに掲載されるだけで、「書面による通知は行いません」と明記されています
- 入学手続は、出願地の都道府県庁の入試担当課で、2回とも本人が行います。大学に行くのではありません
受験票が届かない場合の問い合わせ時間まで決まっていて、総合型選抜は2026年10月23日(金)15:00〜17:00です。
出願は書留速達郵便または簡易書留速達郵便、あるいは直接持参(9:00〜17:00、出願期間内の土日祝を除く)。入学検定料は全区分共通で20,000円です。
基礎学力検査は記述式。数学Ⅲと英語Ⅲまで
小論文はありません。当日の筆記はこの2科目です。
| 教科 | 出題範囲 | 配点 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 数学 | 数学Ⅰ(全範囲)、数学Ⅱ(全範囲)、数学Ⅲ(全範囲)、数学A(全範囲)、数学B(数列)、数学C(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面) | 100点 | 9:00〜10:00(60分) |
| 外国語 | 英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ・Ⅲ、論理・表現Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ | 100点 | 10:20〜11:20(60分) |
記述式で、数学Ⅲが全範囲、英語もコミュニケーションⅢ・論理表現Ⅲまで入ります。11月18日の時点で数学Ⅲが仕上がっている必要があるということです。
「総合型選抜だから学力は問われない」という前提は、この大学には当てはまりません。一般選抜の準備をそのまま進めながら、11月に1回受けるという設計で考えてください。
面接は2回ある
個人面接 都道府県及び本学 各10〜15分程度
出願した都道府県の面接と、本学の面接が別々にあります。同じ日(11月18日)の中で行われ、それぞれ10〜15分程度です。
この構造は対策に直結します。
- 都道府県の面接…その県の医療について聞かれると考えるのが自然です。県の医師不足の状況、へき地医療、自分がなぜその県で働きたいのか
- 本学の面接…大学の建学の精神、アドミッション・ポリシー、医師としての適性
要項は選抜の基準を「本学の建学の精神を理解し、進んで本学に学ぶ意思が確認できる者」としています。両方の面接で、同じ志望動機を別の角度から説明できる準備が要ります。
面接の準備は面接の頻出質問、医学部を志望するときの考え方は医学部の小論文にまとめてあります。
志願者評価書の評価項目11個が公開されている
総合型選抜の出願書類の中心が志願者評価書です。これは自分で書くものではありません。
本書は推薦書ではありません。志願者について客観的に評価いただける方(担任を含め教師、教頭、学校長など)に以下の項目について作成をお願いするものです。
学校長の推薦ではなく、自分を知っている先生に評価してもらう書類です。厳封して提出します。
そして評価項目が11個、公開されています。「特に優れている/優れている/良い」の3段階でチェックする形式です。
コミュニケーション能力/行動力/高い倫理観/幅広い教養/努力の継続/論理的思考力/表現力/医学への深い関心/医師として社会貢献をする強い意志/地域医療への関心/地域医療従事期間の理解度
最後の「地域医療従事期間の理解度」が、この大学ならではの項目です。卒業後に出身都道府県で9年程度勤務する仕組みを理解しているか。先生から見て「分かっている」と評価される状態になっていないといけないということです。
さらに、先生が書く自由記述欄があります。
2.志願者が本学の求める人物像に合致する人材である理由を、志願者の人柄も含め評価し、記入してください。(800字以内)
800字を先生に書いてもらうことになります。早めに依頼して、自分の活動や志望動機を整理したメモを渡すのが実務的です。
用紙にはアドミッション・ポリシーが印刷されていて、先生はそれを見ながら書きます。志願者側も同じものを読んでおくべきです。
医師として社会に貢献する自覚をもち、地域医療に進んで取り組む気概のある、次のような人を求める。 適性…コミュニケーション能力が高く、行動力がある/高い倫理観と幅広い教養を兼ね備える/困難に直面しても、目標に向かって努力を継続できる 基本的学力…論理的思考力が高い/文章や発表における表現力が高い/医学習得に必要な能力と十分な意欲を有する 地域医療への意欲…総合的診療能力を有する医師を目指す/医療を通じて地域社会のリーダーを目指す
小論文はありませんが、「文章や発表における表現力が高い」が基本的学力の項目として挙げられています。書く力が不要という意味ではありません。
出願書類は要項の原本を取り寄せる必要がある
総合型選抜で提出するものは次のとおりです。
- 受験票・入学志願票
- 入学検定料払込証明書(20,000円)
- 調査書
- 志願者評価書(所定様式・厳封)
- 活動報告書(所定様式)
- 受験票送付用封筒(760円切手=簡易書留速達料金分)
- 確認書
- (該当者のみ)受験許可書、卒業証明書、住民票など
そして、大学のページには重要な注意があります。
※出願書類の掲載はありませんので、必ず入学者募集要項原本をご請求ください。
サイトからダウンロードできるのは志願者評価書(と学校推薦型の推薦書)だけで、活動報告書などの様式は要項の原本にしか入っていません。出願期間は10月14日からなので、要項の請求を先に済ませておく必要があります。
なお、受験上・修学上の特別な配慮が必要な場合、学校推薦型選抜・総合型選抜の希望者は2026年9月30日(水)までに大学へ相談することになっています。
どこから手をつけるか
- 自分の出願地がどこになるかを確定する。出身高校の所在地、自分の現住所、父母の現住所の順で決まります
- その県が総合型選抜の実施県(栃木・山梨・山口・佐賀・富山)かを確認する
- 評定が4.0以上あるかを確認する
- 入学者募集要項の原本を請求する。活動報告書の様式が必要です
- 志願者評価書をお願いする先生を決めて、早めに依頼する。800字の記述欄があります
- 修学資金貸与制度と地域医療従事期間を理解して、家族と話す。評価項目に入っています
- 数学Ⅲと英語を11月18日に間に合わせる。記述式です
- 面接を2種類用意する。県の医療について話せるか、大学について話せるか
- 出願は10月20日17:00必着(消印有効期限は10月19日)
まとめ
- 自治医科大学医学部の総合型選抜は、栃木県・山梨県・山口県・佐賀県(各2名)と富山県(1名)でのみ実施されます。出願地は1つだけで、複数出願すると受験資格を失います
- 看護学部に総合型選抜はありません(一般選抜65名程度と学校推薦型選抜〈指定校制〉40名程度)
- 出願要件は「合格した時に必ず入学を確約できる者」と「調査書の学習成績全体の状況が4.0以上」の2つ
- 学校推薦型選抜と違い、卒業年の制限がありません。既卒者や社会経験のある人も出願できます。ただし学校推薦型と総合型の重複出願は不可
- 小論文はありません。基礎学力検査は記述式で、数学(数Ⅲ全範囲を含む)100点60分+外国語(英語コミュニケーションⅢ・論理表現Ⅲを含む)100点60分
- 面接は2回。出願した都道府県と本学で各10〜15分程度の個人面接です
- 書類選考があり、通過者だけが基礎学力検査・面接試験に進みます。結果はホームページのみで発表され、書面通知はありません
- 志願者評価書の評価項目11個が公開されています。「地域医療従事期間の理解度」が独自の項目で、先生が800字以内で書く欄もあります
- 他大学との併願は妨げないと明記。ただし合格したら入学を確約し、卒業後は出願都道府県で勤務します
- 入学手続は出願地の都道府県庁で、本人が2回行います
- 出願書類の様式は大学サイトにほぼ掲載されていません。入学者募集要項の原本を請求してください
総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。栃木の私立大学は足利大学、白鷗大学、作新学院大学、国際医療福祉大学、宇都宮共和大学、文星芸術大学、獨協医科大学の記事にもあります。