学校推薦型選抜の指定校制と公募制の違い。総合型選抜とどう違うかも、国の決まりから整理
学校推薦型選抜には、大学が指定した高校の生徒だけが出せる指定校制と、大学の条件を満たせば指定されていない高校からも出せる公募制があります。文部科学省の2027年度入試の実施要項をもとに、出願の時期(11月1日以降)、面接、募集人員、入学手続のあとの辞退の扱い、総合型選抜との違いを表にまとめ、大学ごとの例も紹介します。
学校推薦型選抜には、指定校制と公募制の2つの形があります。どちらも高校長の推薦が要る入試ですが、どの高校から出せるかが違います。
この記事では、文部科学省が毎年出している大学入試の決まり(大学入学者選抜実施要項)の2027年度入試の版をもとに、2つの違いと、総合型選抜との違いを整理します。
先に要点を書いておきます。
- 指定校制は、大学が指定した高校の生徒だけが出せる形です
- 公募制は、大学が決めた条件(評定、高校の所在地、1校から出せる人数など)を満たせば、指定されていない高校からも出せる形です
- どちらも高校長の推薦が要るので、高校の中で誰を推薦するかを決める選考(校内選考)があることがあります。公募制でも、1校から出せる人数に上限があれば校内選考があります
- 総合型選抜は、原則として高校長の推薦がなくても自分で出せる入試です
- 2027年度入試では、学校推薦型選抜の出願の受付は2026年11月1日以降です(始まる日は大学ごとに違います)。公募制の出願の時期がもうすぐ来ます
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日付け通知)、「令和9年度大学入学者選抜実施要項等に関するQ&A」(令和8年9月2日更新)。どちらも文部科学省の入学者選抜実施要項のページに載っています。2026年10月25日に確認しました。
国の決まりでの、学校推薦型選抜と総合型選抜
実施要項は、学校推薦型選抜を、出身高校の校長の推薦にもとづき、調査書を主な資料にしながら評価する入試と書いています。そのうえで、この選抜は「入学志願者自らの意志のみで出願できるものではなく」、その大学・学部で学ぶのにふさわしい生徒かどうかを高校長が判断するものだ、としています。
総合型選抜のほうは、「入学志願者自らの意志で出願できる公募制という性格」の入試だと書かれています。自分で出せるのが総合型選抜、高校長の推薦がないと出せないのが学校推薦型選抜です。ただし、総合型選抜でも、方式によって高校長の推薦書を求める大学はあります。
実施要項には、学校推薦型選抜を「指定校制」「公募制」に分ける書き方はありません(「公募制」は、上の総合型選抜の説明に出てくるだけです)。そのかわりに、高校と大学のあいだで丁寧な調整があり、合格したら入学すると約束して受ける「非公募型」の学校推薦型選抜という書き方があります。大学が高校を指定して推薦を受ける指定校制は、この「非公募型」にあたると読めます。ただし、下の表の面接の例外が当てはまるのは、入学の約束(確約)を条件にしたものだけです。
3つの違いを表で
| 総合型選抜 | 学校推薦型選抜(公募制) | 学校推薦型選抜(指定校制) | |
|---|---|---|---|
| 出せる人 | 大学の出願資格を満たす人が、自分で出す | 大学の推薦の条件(評定、高校の所在地、1校から出せる人数など)を満たし、高校長の推薦を受けた人 | 大学が指定した高校の生徒で、高校長の推薦を受けた人 |
| 高校長の推薦書 | 原則要らない(求める大学もある) | 要る | 要る |
| 出願の受付(実施要項) | 2026年9月1日以降 | 2026年11月1日以降 | 2026年11月1日以降 |
| 合格発表(実施要項) | 2026年11月1日以降 | 2026年12月1日以降で、一般選抜の試験日の10日前まで(共通テストを使う場合は、一般選抜の試験日の前日までのなるべく早い日) | 公募制と同じ |
| 面接 | 必ず行う | 必ず行う | 原則は必ず行う。合格したら入学すると確約して受ける非公募型だけは、面接をするかどうかを大学が決められる |
| 募集人員の上限 | 決まりはない(Q&A) | 学部などの募集単位ごとに、入学定員の5割まで(公募・指定校・附属高校からの推薦を合わせて) | 公募制と同じ |
表の日付は、実施要項が決めている線です。出願の受付と合格発表には「この日より前にはしない」という線があり、学校推薦型選抜の合格発表には、一般選抜の試験日から数えた期限もあります。実際の日程は大学ごとに違うので、要項で確かめます。国立大学と公立大学の日程は、それぞれ国立大学協会と公立大学協会の決まりによる、と実施要項に書かれています。
面接は2027年度入試から「必ず行う」に
総合型選抜と学校推薦型選抜で面接(プレゼンテーション、口頭試問、集団討論なども含む)を必ず行うという決まりは、2026年度入試の実施要項にはなく、2027年度入試の要項で入りました。
ただし、実施要項の備考では、前から実施している選抜の区分で、2027年度入試から面接を入れるのが難しいものは、遅くとも2029年度入試までに入れればよいとされています。2027年度入試では、面接のない推薦がまだ残っていることがあります。
書類だけでは決まらない
実施要項は、学校推薦型選抜でも、調査書・推薦書などの書類だけで決めず、教科・科目のテスト、大学入学共通テスト、小論文・面接・実技など、資格・検定試験の成績のうち、少なくとも1つを必ず使うよう求めています。どれを使うかは、大学の要項に書かれています。
推薦書については、志願者の学習や活動をふまえた評価を書いてもらうよう、大学に求めています。推薦書は高校の先生が書くものなので、公募制で出すなら、担任の先生に早めに相談します。
公募制:条件は大学・学科ごとに違う
公募制は、指定されていない高校からも出せます。そのかわり、条件(評定、卒業の年、高校の所在地、1校から出せる人数、専願か併願か)は大学ごとに違い、同じ大学でも学科で違うことがあります。このサイトの大学別記事から例を挙げます。
| 大学 | 記事に書いた公募制の決まり |
|---|---|
| 久留米大学 | 文系5学部の公募A日程の出願は11月1日〜11日。専願。成績の基準は学部で違い、文学部は「3.3以上、または上位3教科がそれぞれ3.5以上」、法学部・経済学部は基準なし |
| 情報経営イノベーション専門職大学 | 公募制推薦は併願(指定校推薦は専願)。全体の学習成績の状況3.2以上か、国語・数学・外国語のどれか1つが4.0以上。2027年3月卒業見込みの人だけ |
| 国際ファッション専門職大学 | 指定校(専願)と公募制(専願・併願)。公募制は学校長の推薦があれば全国から出せ、既卒者も出せる。公募制の併願者だけ課題作文がある |
| 岐阜女子大学 | 学校推薦型選抜(公募制)は評定3.0以上・併願可。筆記試験は簡単な学力検査か小論文(小論文はテーマにより論述する800字程度) |
| 実践女子大学 | 公募専願と公募併願がある。要項のQ&Aに、総合型選抜Ⅰ期→学校推薦型選抜(公募専願か公募併願)→総合型選抜Ⅱ期のように受けられる、と書かれている |
| 兵庫県立大学ほか | 兵庫県立大学は、学部・区分ごとに1校から推薦できる人数の上限がある(環境人間学部は学科ごとに1校1名以内など)。上限が小さい区分は、出願の前に校内の選考がある |
| 愛知県立大学・静岡県立大学 | 県内の高校に限る枠と、全国から出せる枠がある(静岡県立大学の県内の枠は、本人か保護者等の住民票が県内にあることも条件) |
公募制にも専願と併願の両方を置く大学があります。専願・併願で試験の中身が変わる大学もあるので、どちらで出すかを決めてから要項の表を見ます。
公立大学の学校推薦型選抜を、要項の数字で比べた記事もあります(都留文科大学・高崎経済大学、愛知県立大学・静岡県立大学、兵庫県立大学・京都府立大学・奈良県立大学、県立広島大学・北九州市立大学)。
指定校制:枠も校内選考も、高校に聞く
指定校制は、どの大学の枠が自分の高校にあるか、高校の中で誰を推薦するかをいつ決めるかが、高校によって違います。大学の資料も、高校を通して見る形のことがあります。たとえば久留米大学の指定校の要項は、開くのにパスワードが要る形です。この記事では一般論を書きません。担任の先生に聞いてください。
大学の側の決まりで、指定校制に関係するものもあります。
- 総合型選抜で不合格になると、指定校制に出せなくなる大学があります。国際医療福祉大学は、総合型選抜[Ⅰ期]で不合格になった場合は学校推薦型選抜[指定校制]に出願できない(公募制には出願できる)、令和健康科学大学も、総合型選抜で不合格になると指定校に出願できない(公募制は可)としています
- 指定校・公募・そのほかの推薦の間で併願できない大学があります。福岡看護大学は、指定校推薦・公募推薦・離島推薦の間で併願できないと要項に赤字で書いています
- 例に挙げた情報経営イノベーション専門職大学と国際ファッション専門職大学は、どちらも指定校を専願としています。「専願」が何を約束するもの(合格したら必ず入学するか、など)かは、大学の要項で確かめます
指定校制を考えている人が総合型選抜も受けるなら、総合型の結果が指定校に響かないかを、出願の前に要項で確かめ、担任の先生にも伝えます(総合型選抜に落ちたら)。
入学手続のあとに辞退するとき
実施要項は、3月31日までに入学辞退を申し出た人には、原則として、納めた授業料や施設設備費などを返すよう大学に求めています(入学金は、ここに挙げられていません)。ただし、この原則からは、専願の入試か学校推薦型選抜に合格して入学手続(在学契約)を済ませた人が除かれています。
つまり、公募制の併願で受けた場合でも、学校推薦型選抜で入学手続をしたあとに辞退すると、この返還の原則の外になります。返すかどうかは、大学の決まりによります。手続の締切と、辞退したときに何が返るかは、大学の入学手続要項で確かめます。
名前だけで判断しない
大学によって、入試の呼び方が違います。たとえば兵庫大学の「公募制入試」は、学校長の推薦が要らず、要項では総合型選抜に入っています。
「推薦」「公募」という言葉が入っていても、学校推薦型選抜なのか総合型選抜なのか、高校長の推薦書が要るのかは、要項の区分と出願書類の欄で確かめます。
どれで出すかの考え方
- 高校の推薦を受けずに出したい、または推薦の条件に届かない → 総合型選抜。関東の私立で他大学と併願できる方式がある大学は、総合型選抜で併願できる大学一覧にまとめています
- 大学の条件を満たし、高校の推薦を受けられる → 公募制。出願は11月からなので、推薦書を頼む時間と、校内選考があるかどうかを見込んで担任の先生に相談します
- 自分の高校に、行きたい大学の指定校の枠がある → 指定校制。校内選考の時期と条件を担任の先生に聞きます
総合型選抜と学校推薦型選抜の仕組みを保護者の方向けに書いた記事は、総合型選抜と学校推薦型選抜の違いです。面接の準備は、総合型選抜の面接で聞かれることは、あなたの書類に全部書いてあるを見てください。
まとめ
- 学校推薦型選抜は、高校長の推薦がないと出せない入試。総合型選抜は、原則として推薦がなくても自分で出せる
- 指定校制は大学が指定した高校の生徒だけ、公募制は大学の条件(評定、高校の所在地、1校から出せる人数など)を満たせば指定されていない高校からも出せる。公募制でも校内選考がある場合がある
- 2027年度入試の実施要項では、学校推薦型選抜の出願は11月1日以降、合格発表は12月1日以降。面接は原則として必ず行う(入学を確約して受ける非公募型は大学が決められる。前からある区分は2029年度入試までの移行あり)
- 募集人員は、学部などの募集単位ごとに入学定員の5割まで
- 総合型で不合格になると指定校に出せない大学や、推薦の区分どうしで併願できない大学がある
- 学校推薦型選抜で入学手続をしたあとの辞退は、授業料などを返す原則の外。手続要項で確かめる
