小論文キャンパス
大学別対策

京都産業大学の総合型選抜。1次選考が7通りあり、評定の下限は1学部だけ

約15分で読めます

京都産業大学の2027年度総合型選抜を入学試験要項から整理しました。10学部+1学環で約222名。1次選考は小論文90分・資料型の論述60分・模擬講義+記述式テスト・作品審査など7通りに分かれます。評定の下限があるのは現代社会学部Bタイプだけで、Aタイプにはありません。既卒も出願でき、専願の規定もありません。問題用紙に刷られた配点から、要約に80点を振る学部があることも分かります。

京都産業大学の総合型選抜は、1次選考の形が7通りあります。同じ日・同じキャンパスで、学部によってまったく違う試験が走ります。

小論文90分の学部、図表を読んで800字書く学部、模擬講義を聞いてから記述式テストを受ける学部、自作のプログラムを審査される学部、自己アピール動画を出す学環——「京産大の総合型対策」という括りは成立しません。

そして受験生にとって大事な点をひとつ。評定の下限があるのは、現代社会学部のBタイプだけです。他の学部・学環には評定の条件がありません。

必ず最新の入学試験要項で確認してください。日程・実施学部・選考方法は年度によって変わります。この記事は2027年度 入学試験要項〈総合型選抜入試〉と、大学が公開している2026年度 総合型選抜入試 問題集、入試結果統計によります。 出典:京都産業大学 入試情報。2026年10月4日に確認しました。

実施は10学部+1学環、約222名

学部等 区分の名称
経済学部 総合型選抜入試
経営学部 マネジメント力選抜入試
法学部(法律学科・法政策学科) 総合型選抜入試
現代社会学部(現代社会・健康スポーツ社会・心理) 次世代型リーダー選抜入試(Aタイプ/Bタイプ)
国際関係学部 総合型選抜入試
外国語学部(全学科・専攻) 総合型選抜入試
文化学部(3学科) 総合型選抜入試
理学部(数理科学・物理科学・宇宙物理気象) 総合型選抜入試
情報理工学部 総合型選抜入試
生命科学部 総合型選抜入試(課題提出型/学科試験型)
アントレプレナーシップ学環 探究・挑戦志向入試

大学のサイトが「総合型選抜入試」として8学部と表示しているのは、経営学部・現代社会学部・アントレプレナーシップ学環を別の名前で切り出しているためです。要項の募集人員表には11の単位が並びます。

2027年度は心理学科が新設され(約7名)、法学部の募集人員が15名→30名に倍増しました。生命科学部の産業生命科学科は環境生命科学科に名称が変わります。

評定の下限は現代社会学部Bタイプだけ

ここは誤解されやすいので、要項の構造をそのまま書きます。

現代社会学部の次世代型リーダー選抜入試にはAタイプとBタイプがあり、出願時にどちらかを選びます。

評価するもの 評定
Aタイプ(実践力のあるリーダー選抜タイプ) 学内外の活動でリーダーシップを発揮した経験(生徒会役員、文化祭の実行委員長、部活動の主将・副主将・主務など) 下限なし
Bタイプ(個性を生かすリーダー/組織マネジメント能力に優れたリーダー選抜タイプ) スポーツ・パラスポーツ・文化芸術などの優れた成果や実績(プレイヤー型)、または所属団体の一員としてのサポート・マネジメントの貢献(サポート・マネジメント型) 全体の学習成績の状況3.5以上

3.5以上という条件はBタイプのもので、要項では「次の(ア)(イ)のすべてを満たす者」の(ア)として書かれています。Aタイプに評定の下限はありません。

そして他の学部・学環にも評定の下限はありません。評定が足りずに学校推薦型をあきらめた人でも、京都産業大学の総合型選抜には出願できます。

対照的に、学校推薦型選抜の「専門学科等対象公募推薦入試」は評定4.0以上(理学部は3.7以上)で、学校長の推薦書と資格が必要、しかも現役限定です。小論文があるのはこちらにもあるので、「小論文があるから総合型」という切り方はこの大学では通用しません。

既卒も出願でき、専願の規定もない

  • 既卒可。要項の出願資格に「高等学校または中等教育学校を卒業した者および2027年3月31日までに卒業見込みの者」と明記されています。年齢制限の記載もありません
  • 専願の規定はありません。要項に「専願」「第一志望」という語が1か所も出てきません

ただし制限はあります。

【注】出願は、1 つの学部、学科(専攻)・学環に限ります。

学部をまたぐ併願はできません。一方で、他の入試制度との併願については要項にこうあります。

試験日が重なっていない場合、異なる入試制度間での併願は可能ですが、出願書類の流用はできません。

日程が重ならなければ、公募推薦や一般選抜と併願できます(総合型選抜と一般入試の両立)。

1次選考が7通りある

ここが京都産業大学の核心です。

1次選考の形 学部
小論文90分 法(法律・法政策)
筆記試験60分(資料型の論述) 経営
模擬講義 約50分 → 記述式テスト60分 経済/国際関係/文化
講義50分 → レポート40分 現代社会(A・B共通)
筆記40分+模擬講義 約40分+振り返りレポート45分 生命科学(学科試験型)
作品と説明書の審査(ソフトウェアはプログラム本文も) 情報理工
書類+自己アピール動画 アントレプレナーシップ学環
書類審査のみ 外国語/理/生命科学(課題提出型)

2次選考も学部でまったく違います。

2次選考 学部
プレゼンテーション 約15〜20分 経済/法
個人面接 約15分 経営
グループワーク45分+振り返りレポート30分+個人面接20分 現代社会
グループディスカッション 約60分+個人面接 約30分 国際関係
小論文60分+個人面接 約30分 外国語
プレゼン 約10分+質疑応答・個人面接 約20分 文化
筆記試験30分+個人面接 理(数理科学は数学Ⅲ、物理科学は数学Ⅰ・Ⅱ・A・B+物理〈力学〉)
個人面接 約45分(発表15分+質問30分) 生命科学(課題提出型)

1次の成績は2次に持ち越されます。最終合否は「1次選考結果との総合判定」と、全学部に共通して書かれています。

配点は要項にない。ただし問題用紙に刷られている

要項には配点の記載が一切ありません。どの学部も「総合判定」とだけ書かれ、1次と2次の比重も非公表です。

ところが問題用紙そのものに配点が印刷されている学部があります。大学が公開している2026年度の問題集で読めます。

学部 設問 配点
経営学部(1次 筆記60分) [Ⅰ]図表1のみに基づいて400字程度 40点
同 [Ⅱ]図表2のみで200字程度+図表1と2の両方で200字程度 60点
国際関係学部(1次 記述式60分) [Ⅰ]講義にふさわしいタイトル 10点
同 [Ⅱ]講義内容全体を項目をたてて要約 80点
同 [Ⅲ]講義で挙げた課題を一つとりあげ自分の考え 10点
外国語学部 イタリア語専攻(2次 小論文60分) (1) 文章の主旨を簡潔にまとめる 40点
同 (2) この文章がこの後どう続くかを推測 20点
同 (3) 文章について自由に自分の意見 40点

国際関係学部は100点中80点が「要約」です。自分の意見は10点しかありません。経営学部も、資料を読んで説明する部分が主で、イタリア語専攻も要約が40点。

この大学の総合型選抜は、「意見を書く力」より「読んで正確にまとめる力」に配点が寄っています。課題文の要約の訓練が、そのまま点になります。

法学部の小論文90分——2学科で前半が共通

法学部の小論文は90分。2026年度の出題を見ると、書く総量は約1,400字でした。

[Ⅰ]要約(法律学科・法政策学科で同一問題)

次の文章を300字以上400字以内にまとめなさい。

出典は梅棹忠夫『知的生産の技術』(岩波新書、1969年)でした。

[Ⅱ]複数資料を読んで論じる(学科ごとに違う)

  • 法律学科:原発事故の損害賠償責任をめぐる高裁判決について、新聞3紙(記事・社説・主張)を読み、問1で「負うべきとする立場の論拠」と「負うべきでないとする立場の論拠」をそれぞれ200字以内、問2で自分の考えを350字以上400字以内
  • 法政策学科:18歳未満のSNS利用規制について、問1で賛否それぞれの論拠を200字以内ずつ、問2で日本が制度を導入すべきかを350字以上400字以内

[Ⅰ]は2学科共通で、[Ⅱ]だけが違います。つまり要約の訓練は、どちらの学科を受けても同じだけ効きます。

そして[Ⅱ]の形が共通しています。複数の資料から賛否の論拠を読み取って整理し、そのうえで自分の立場を書く。意見をいきなり書く練習ではなく、資料から論拠を抜き出す練習が要ります(課題文型の手順、反論を踏まえた書き方、法学部の小論文対策)。

経済学部の「記述式テスト」は、実は計算問題

名前にだまされてはいけません。経済学部の1次はOne Dayセミナー(模擬講義 約50分)のあとの記述式テスト60分ですが、2026年度の中身はこうでした。

  • [Ⅰ]経済学の目的、マクロ/ミクロ、GDPの定義、中間財、潜在成長率などの穴埋め11問
  • [Ⅱ]パンと自動車の生産量・価格の表から名目GDP・実質GDP・GDPデフレータ・経済成長率を計算
  • [Ⅲ]労働分配率30%・資本分配率70%・労働増加率1%・資本増加率3%から潜在成長率を計算
  • [Ⅳ]各需要項目のシェアと変化率から経済成長率・消費の寄与度・政府支出の寄与度・内需と外需の寄与度を計算

小論文ではありません。「小数点以下第二位を四捨五入し」という指示が繰り返し出ます。

しかも試験室に持ち込めるのはHBの鉛筆・消しゴム・時計だけで、計算機は使用不可。試験室に時計もありません。手計算を、時計を持参して、60分でやることになります。

講義を聞いてから解く形なので、講義でメモを取る力が直接効きます。

現代社会学部は「講義メモを見てもかまいません」

現代社会学部の1次は、「社会課題とリーダーシップ」セミナー(講義50分)のあとにレポート40分。学科ごとに分けず、1日で実施されます。

そして要項に、受験生にとってありがたい一文があります。レポートを書くとき、講義のメモを見てもかまいません。

2次はさらに重く、グループワーク45分+振り返りレポート30分+個人面接20分の計95分。書く場面が1次と2次の2回あります(グループディスカッションの対策)。

プレゼンで使える道具が、学部ごとに決まっている

これは見落としやすい制限です。

学部 使える道具
経済・法 パソコン不可。ポスター/板書/資料配付から選択。法はさらに「板書や資料に志望理由は含めないこと」
理・数理科学 黒板かホワイトボードのみ(パソコンも模造紙も不可)
理・宇宙物理気象/生命科学(課題提出型) パソコン可(A0判までの自作ポスターも可)
現代社会・アントレプレナーシップ学環 原稿・メモの持ち込み自体が不可

パソコンが使えるのは2つだけです。スライドを作る前に、自分の学部で何が使えるかを確認してください(プレゼン型入試の対策)。

志望理由書の字数が、学部で5倍違う

学部 志望理由書の字数
経済 400字以内
法・国際関係・外国語・文化・情報理工・生命科学・理(物理科学/宇宙物理気象) 1,600〜2,000字程度

所定様式は1枚=400字のマス目なので、経済は1枚、法は5枚になります。同じ大学でも準備量がまったく違います(志望理由書の書き方)。

事前提出の課題もあります。外国語学部の成果報告書は5枚以上で、表題・目次・参考文献リストが必要です。生命科学部(課題提出型)には枚数の指定がなく、求められているのは「参考にした図書やWebサイトのアドレスも明記」すること。学部ごとに違うので、まとめて覚えないでください。

情報理工学部は、AIを「申告して説明せよ」と書いている

要項に「生成AI」という語は1つも出てきません。AIに触れているのは情報理工学部の2か所だけです。

他者(AIを含む)と共同制作した作品…どの部分が出願者オリジナルの部分かを明記してください

部分的にAIや他人の助力を借りた開発も妨げませんが、その場合は…内部の実装について詳細な議論を行います

禁止ではありません。使ってよいが、どこに使ったかを明記し、面接で実装の中身を詳しく聞くという設計です。書類ではなく口頭で担保する、という考え方です。志望理由書など他学部の書類には、AIの規定が一切ありません(生成AIと小論文)。

検定料は2段階。1次に通っても2次の出願が要る

ここは手続きの落とし穴です。

金額
1次選考 15,000円
2次選考 20,000円
合計 35,000円

2次選考の出願は、受験料20,000円の納入をもって完了します。納めなければ受験できません。

実際、2026年度は1次合格383人のうち、2次に出願したのは366人でした。17人が2次に進んでいません。1次に通ったのに受けなかった人がいる、ということです。

あわせて2次選考は、面接系の試験は開始時刻に1分でも遅刻すると受験できません。

2026年度の実績

人数
志願者 698
1次合格 383
最終合格 294

全体で約2.4倍。1次で約55%に絞られ、そこからさらに絞られます。

過去問は前年度1年分だけ

大学は『総合型選抜入試 問題集』を公開していますが、公開されているのは前年度の1年分のみです。出題意図や解答例は公開されていません。

それでも配点が刷られているので、情報としては濃い。志望学部が決まったら、まず問題集を見てください。

なお、総合型選抜は入学試験成績優秀者奨学金の対象外です。

準備の順番

時期 やること
高2〜高3春 学部を1つに絞る。学部をまたぐ併願はできません。1次の形が7通りあるので、ここが決まらないと練習が始まりません
高3 春 問題集を見る。配点が刷られている学部(経営・国際関係・外国語)は、どこに点が振られているかが分かります
高3 春〜夏 志望理由書を書く。経済は400字、法は1,600〜2,000字。外国語学部志望なら成果報告書5枚以上(表題・目次・参考文献リスト)
高3 夏 講義依存型の学部(経済・国際関係・文化・現代社会・生命科学)は、模擬講義を聞いてメモを取り、要約する練習。これが本番の形そのものです
高3 9月 1次選考。検定料15,000円
高3 1次合格後 2次の出願=受験料20,000円の納入。忘れると受験できません

要約の練習がいちばん効きます。国際関係学部は80点、イタリア語専攻は40点、法学部は冒頭400字が要約です。

まとめ

  • 京都産業大学の総合型選抜は10学部+1学環で約222名。経営学部は「マネジメント力選抜入試」、現代社会学部は「次世代型リーダー選抜入試」、アントレプレナーシップ学環は「探究・挑戦志向入試」という別の名前です
  • 1次選考が7通りあります。小論文90分/資料型の論述60分/模擬講義+記述式テスト/講義+レポート/筆記+模擬講義+レポート/作品審査/書類+動画
  • ★評定の下限があるのは現代社会学部のBタイプだけ(3.5以上)。Aタイプにはありません。他の学部・学環にも評定の条件はありません
  • 既卒も出願でき、専願の規定もありません。ただし学部をまたぐ併願は不可で、他制度との併願は日程が重ならなければ可
  • 配点は要項にありませんが、問題用紙に刷られています。国際関係学部は100点中80点が「要約」
  • 法学部の小論文90分は書く総量が約1,400字。[Ⅰ]の要約400字は2学科共通です
  • 経済学部の「記述式テスト」は計算問題で、計算機は持ち込めません
  • プレゼンでパソコンが使えるのは2学部だけ。経済・法はパソコン不可、理・数理科学は黒板かホワイトボードのみ、現代社会とアントレは原稿・メモの持ち込み不可
  • 志望理由書は経済400字以内/法ほか1,600〜2,000字程度と5倍の差があります
  • 検定料は1次15,000円+2次20,000円。2次の出願は受験料の納入をもって完了します。2026年度は1次合格383人のうち17人が2次に出願していません
  • 2027年度に心理学科が新設(約7名)、法学部が15名→30名に倍増しました

総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。

Related

関連記事

← 「大学別対策」の記事一覧へ