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福島大学 総合型選抜の対策。課題図書のレポートで一次を通り、その本でグループディスカッションをする政経学部

約15分で読めます

福島大学の総合型選抜(教育・政経・理工・食農)を、令和9年度(2027年度)の学生募集要項から整理しました。事前に公開される課題図書、模擬授業を聞いてから書く課題レポート、1,200字の小論文、探究枠の事前提出物までを解説します。

福島大学の政経学部の総合型選抜は、1冊の本から始まって、1冊の本で終わります。

第1次選抜は課題図書に基づくレポート。そして第1次を通ると、第2次選抜は同じ課題図書に基づくグループディスカッションです。

課題図書の掲載場所:本学ウェブサイト(https://nyushi.adb.fukushima-u.ac.jp/)の「重要なお知らせ」

本のタイトルは大学サイトで事前に公表されます。読み込んだ量が、そのまま12月5日の議論の質になります。

福島大学は令和9(2027)年4月に、3学群5学類から4学部へ再編されます。総合型選抜の枠組みも、新しい4学部(教育学部・政経学部・理工学部・食農学部)で組まれています。

この記事は、公開されている令和9年度(2027年度)総合型選抜学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:福島大学 入試情報 募集要項/令和9年度 総合型選抜学生募集要項(PDF)

4学部の枠を並べる

学部 枠 募集人員 出願期間 試験日 合格発表
教育学部 地域教員希望枠 20人 2026年10月19日〜22日 11月18日 11月26日
教育学部 探究枠(7系) 39人 10月19日〜22日 11月18日 11月26日
政経学部 総合型Ⅰ型 概ね20人 9月1日〜4日 2次:12月5日 12月10日
政経学部 総合型Ⅱ型 概ね20人 9月1日〜4日 2次:12月5日 12月10日
理工学部 一般枠 28人 10月1日〜6日 2次:11月7日 11月12日
理工学部 理系教育女性人材育成枠 8人 10月1日〜6日 2次:11月7日 11月12日
食農学部 地域社会貢献枠 概ね25人 10月1日〜6日 2次:10月24日 11月5日
食農学部 実践教育経験枠 概ね15人 10月1日〜6日 2次:10月24日 11月5日

入学定員985人に対して、総合型選抜は175人。4学部とも共通テストを課しません(理工学部だけは合格後に「入学前教育」として受験を求めますが、合否には使いません)。

政経学部だけ出願が9月1日〜4日と早いので注意してください。

政経学部——課題図書が入試のすべて

出願書類は2点

  • 課題図書に基づくレポート(本学所定の様式)
  • 志願理由書

この2点と調査書で、Ⅰ型・Ⅱ型それぞれ30人程度が第1次選抜(100点満点)を通ります。合格発表は10月15日。

第2次選抜も、同じ課題図書

第1次選抜合格者には、課題図書に基づくグループディスカッション(100点満点)、および志願理由書にもとづく面接試験(100点満点)を行います。

12月5日に実施されます。

レポートで書いたことを、他人の前で口に出して、他人の意見と噛み合わせる。これが政経学部の総合型選抜の正体です。

対策も自然に決まります。

  1. 課題図書が公表されたらすぐ読む(出願は9月4日まで)
  2. レポートを書く段階で、賛成できる点と引っかかる点を両方書き出す
  3. 1次を通ったら、10月15日から12月5日まで約7週間ある。その間にもう一度読み直し、関連する時事の事例を3つ用意する

グループディスカッションでは、本を読んでいない人はすぐ分かります。逆に、本の細部を1つ引用できるだけで発言の重みが変わります。

Ⅰ型とⅡ型の違いは出願要件

総合型Ⅰ型 総合型Ⅱ型
求める人物像 好奇心や探究心の豊かな者 一定の英語能力があり、グローバルな視点から社会課題の解決に取り組む意欲をもつ者
評定平均 指定なし 3.5以上
語学要件 なし 英検CSE 1850点以上/TOEIC L&R 480点以上/TOEFL iBT 50点以上のいずれか
選抜方法 同じ(課題図書レポート+志願理由書 → グループディスカッション+面接) 同じ

選抜方法はまったく同じで、出願要件だけが違います。英語の資格を持っていて評定3.5以上なら、Ⅱ型のほうが競争相手が絞られます。

なお、総合型選抜に出願した者が政経学部の学校推薦型選抜に出願した場合、総合型選抜の出願を辞退したものとみなされます。

理工学部——30分の模擬授業を聞いて、レポートを書く

出願資格が3択

一般枠28人・理系教育女性人材育成枠8人。次のどれか1つを満たせば出願できます。

要件
(3a) 実用英語技能検定2級以上、または TOEIC L&R 550点以上/TOEIC S&W 240点以上/TOEFL iBT 42点以上
(3b) 高校在学中に「科学に関する探索的活動」に取り組み、出願時までに学外での発表・コンテスト参加等の経験を有する
(3c) 評定平均4.0以上で、数学「数Ⅲ・数Cのうち1科目以上」および理科「物理・化学・生物・地学(基礎を除く)のうち1科目以上」を履修

英語で入る/探究で入る/成績で入るの3ルートが用意されています。自分がどれで出願するかを先に決めてください。

志願理由書は手書き

なお、記載は出願者本人による手書きとします。

書く内容は4項目(女性人材育成枠は4つ目が追加)。

  1. 出願資格(3)に関する経験・実績——どのように努力してきたのか、取り組みの過程で学んだ(感じた)こと、本学部での学修にどう活かそうとするのか
  2. 将来の目標、それを実現するための計画
  3. 自己PR
  4. (理系教育女性人材育成枠のみ)理系教育女性人材育成枠に志願する動機・理由

1番が重要です。「英検2級を持っています」では足りません。その資格・活動・成績に至るまでの過程と、そこで学んだことを書く欄です。

第1次選抜は、この志願理由書と出願書類で70人程度を通します。志願者が70人を超えなければ第1次選抜は実施されません(10月15日にサイトで告知)。

第2次選抜は模擬授業から始まる

時間 内容
11:00〜11:50 模擬授業(30分程度)→ 課題レポート
13:00〜16:00 面接

11月7日(土)です。

第1次選抜合格者に対して、幅広い分野における科学的なトピックに関する30分程度の模擬授業を行います。授業後に、模擬授業の内容に関する課題レポートの作成を課し、さらに面接を実施します。

評価されるのは2つ。

模擬授業の内容を聴き取り理解する力、授業内容についての基礎的な知識や思考力を評価します。模擬授業の内容を踏まえ、設定された課題について思考・判断してレポートにまとめる力や表現力を評価します。

「幅広い分野における科学的なトピック」なので、専門知識の暗記では備えられません。備えられるのは、初めて聞く話をメモしながら構造化する技術です。科学系の講演動画を30分見てメモを取り、20分で要点と自分の考えを書く——この練習がそのまま対策になります。

女子は「併願」ができる

総合型選抜を志願する女子は、出願する枠を以下の中から選択することができます。□ 一般枠 □ 理系教育女性人材育成枠 □ 一般枠と理系教育女性人材育成枠の併願

両方に合格した場合は理系教育女性人材育成枠の合格者になります。併願に不利はありません。

合格後に共通テストを受ける

合格者には、入学前教育として大学入学共通テストの受験を求めます。受験を要する教科は、「外国語」、「数学」および「理科」です。(中略)ただし、大学入学共通テストの成績は合否の判定には用いません。

合否には効きませんが、受験して成績を提出する必要があります。

教育学部——1,200字の小論文と、3分のプレゼン

教育学部の総合型選抜は2つに分かれます。

地域教員希望枠(20人)——小論文100点+プレゼン・面接100点

検査 配点
小論文 100点
プレゼンテーションおよび面接(自己推薦書の評価、面接での口頭試問を含む) 100点

小論文の中身が公開されています。

小論文:福島県の教育に関する資料を提示し、その資料を踏まえて考えたことを1,200字程度でまとめます。

資料は当日提示、字数は1,200字程度。11月18日9:00〜10:30の90分です。

「福島県の教育」という主題があらかじめ分かっているので、準備できます。福島県の教育委員会が出している方針や、県内の少子化・過疎・震災後の学校統廃合といった論点に、事前に一度触れておくだけで書き出しが変わります。

プレゼンは資料を事前提出します。

「福島県の教員を目指すあなたが大学で取り組みたいこと」をテーマに発表内容をまとめた資料(A4用紙1枚、両面可。ただし3分間以内で発表可能な分量とする)を事前に提出し、それをもとに発表します。資料は出願時に郵送により提出することとし、記載方法について形式は問いません。

発表は3分間、そのあと7分間程度の面接。

そして出願時に、7つの系(国語系・英語系・社会科系・算数数学系・理科系・保健体育系・心理表現系)から第三志望まで申請できます(第一志望は必須、第二・第三は任意)。全受験者を総合得点順に並べ、上位から志望に応じて合格を決めます。第三志望まで書いておくほうが、当然通りやすくなります。

探究枠(39人)——高校の授業外の探究も対象

系 募集人員 評価する探究活動
国語系 5人 国語や国語教育の要素を含む探究活動
英語系 5人 英語や英語教育の要素を含む探究活動
社会科系 5人 社会科や社会科教育の要素を含む探究活動
算数・数学系 5人 算数・数学や算数・数学教育の要素を含む探究活動
理科系 5人 理科や理科教育の要素を含む探究活動
保健体育系 4人 保健体育や保健体育教育の要素を含む探究活動、または実技実績調査書に記載したスポーツ活動の成果に関わる探究活動
心理・表現系 10人 表現やアート、生活のいずれかの要素を含む探究活動

探究活動は高等学校の授業で実施した活動には限りません。部活動や、学校外での活動も評価の対象となります。

判定は面接100点のみ(保健体育系は実技実績調査100点を加えた200点)。ただしこの面接の点数には、自己推薦書・探究調書・事前提出物の評価が含まれます。

事前提出物のルールが具体的

①提出資料

  • 探究活動の状況や成果がわかるものを郵送
  • A4サイズ・5枚以内(両面可)
  • 例:探究の成果をまとめたポスターや報告書、発表会で使ったプレゼンのスライド、活動の様子を撮影した写真
  • 絵画等の「作品」の写真は、できる限り色彩が再現される写真用紙等で。作品名・素材・大きさ・制作年を資料に記載

②動画・録音(該当する場合のみ)

  • 動画の制作自体が探究活動の一環だった場合、その成果物としての動画
  • 演奏・映像作品など「表現」がテーマの場合、その様子
  • 5分程度が目安。それ以上は原則として冒頭の5分程度が評価対象
  • CDまたはDVDに限る

③参考資料(任意)

  • 受賞等の証書のコピー、探究の内容に関連する検定や資格。枚数の制限なし

「A4・5枚以内」「動画は冒頭5分」という上限がはっきり決まっています。量で押す入試ではありません。5枚に何を選ぶかが最初の判断です。

免許の取り方が枠で違う

  • 地域教員希望枠:入学時に希望を申請し、Aタイプ(小学校一種+中学校二種)またはBタイプ(中学校一種+小学校二種)を確定
  • 探究枠:Bタイプ(中学校一種+小学校二種)が卒業要件
  • 心理・表現系:タイプに分かれず、小学校二種免許の取得が卒業要件

探究枠で入ると、中学校一種免許が主になります。小学校教員を第一に考えているなら、地域教員希望枠を見るべきです。

食農学部——2つの枠と、800字の課題論文

枠と要件

地域社会貢献枠(概ね25人) 実践教育経験枠(概ね15人)
対象 福島県内の高校生/県外の高校生も可 高校の専門学科(農業・工業・商業・情報・水産・家庭・看護・福祉)、総合学科の卒業見込み者
求めるもの 福島県内(県外生は出身県内でも可)の農林業・農業関連産業・食品関連産業・農林水産行政機関等の次世代の担い手として活躍する強い意欲 農学を学ぶ強い意欲
資格要件 英検準2級以上(IELTS 3.0/TEAP 150/GTEC 690/GTEC CBT 510/TOEIC L&R S&W 385 でも可)、実用数学技能検定2級以上、または同等以上の資格 上記に加えて日本農業技術検定3級以上/日商簿記2級以上/アグリマイスター顕彰制度シルバー以上も可

どちらの枠も、なんらかの資格が出願要件になっています。英語だけでなく数検2級でも出願できるのが特徴です。実践教育経験枠はさらに農業技術検定・簿記・アグリマイスターが使えます。

第2次選抜は課題論文800字+面接

10月24日(土)10:00〜11:30に課題論文、13:00〜17:00に面接です。

課題論文の設計が枠で違います。

枠 課題論文
地域社会貢献枠 農学と地域社会のつながりに関する配付資料について、800字以内の論述
実践教育経験枠 農学に関する配付資料について、自分自身の経験と関連付けた800字以内の論述

実践教育経験枠だけ「自分自身の経験と関連付けた」という条件が付きます。専門学科での実習・課題研究・資格取得の経験を、資料の内容に接続して書く必要があります。資料の要約で終わると条件を満たしません。

評価は両枠とも「理解力、思考力、表現力」を総合的に、です。

第1次選抜は自己推薦書と調査書による書類選考で、10月15日に発表されます。

どこから手をつけるか

1. 出願時期が学部でずれている

出願 学部
9月1日〜4日 政経学部
10月1日〜6日 理工学部・食農学部
10月19日〜22日 教育学部

政経学部だけが1か月早い。課題図書の公表を待って読む時間を考えると、8月中には動き出す必要があります。

2. 「読む・書く・話す」のどれが重いかを見る

学部 重心
政経学部 読む(課題図書)→ 話す(グループディスカッション)
理工学部 聴く(模擬授業30分)→ 書く(課題レポート)
教育学部 地域教員希望枠 書く(小論文1,200字)+話す(3分プレゼン)
教育学部 探究枠 見せる(A4 5枚+動画5分)→ 話す(面接)
食農学部 書く(課題論文800字)+話す(面接)

同じ大学でも、鍛える場所がまったく違います。

3. 資格は「出願できるかどうか」を決める

  • 理工学部:英検2級/探究の学外発表/評定4.0+数Ⅲ・数C+理科
  • 食農学部:英検準2級/数検2級/農業技術検定3級/簿記2級/アグリマイスター シルバー
  • 政経学部Ⅱ型:英検CSE 1850/TOEIC 480/TOEFL iBT 50+評定3.5

どれも高3の夏には間に合いません。福島大学を考えているなら、高2のうちに資格の欄を埋めておくのが現実的です。

まとめ

  • 福島大学は2027年4月に3学群5学類から4学部へ再編。総合型選抜は175人(入学定員985人)
  • 4学部とも共通テストを課さない(理工学部は合格後に入学前教育として受験を求めるが合否に使わない)
  • 政経学部は課題図書に基づくレポートで1次、同じ課題図書のグループディスカッションで2次。課題図書は大学サイトで事前公表
  • 政経学部の出願は9月1日〜4日と、他学部より1か月早い
  • 政経学部Ⅰ型とⅡ型は選抜方法が同じで、出願要件だけが違う(Ⅱ型は評定3.5以上+英語資格)
  • 理工学部の2次は30分程度の模擬授業を聞いてから課題レポート。「聴き取り理解する力」が評価対象
  • 理工学部の志願理由書は手書き。出願資格は英検2級/探究の学外発表/評定4.0+数Ⅲ数Cの3ルート
  • 理工学部の女子は一般枠と理系教育女性人材育成枠の併願が可能
  • 教育学部 地域教員希望枠は福島県の教育に関する資料を読んで1,200字程度の小論文。プレゼンはA4 1枚・3分
  • 地域教員希望枠は出願時に7系のうち第三志望まで申請できる
  • 教育学部 探究枠は高校の授業外の活動も対象。事前提出物はA4 5枚以内、動画は5分程度・CD/DVD
  • 探究枠で入ると中学校一種+小学校二種が卒業要件になる
  • 食農学部は英検準2級か数検2級などが出願要件。2次は800字の課題論文
  • 食農学部の実践教育経験枠だけ、課題論文に「自分自身の経験と関連付けた」という条件が付く

同じ東北では弘前大学、岩手大学・宮城教育大学、秋田大学、山形大学、東北大学のAO入試も扱っています。課題図書を読ませる入試は國學院大學や東京外国語大学にもあります。探究活動のまとめ方は探究のまとめ方・レポートの書き方に、志望校の傾向を自分で読み解く手順は大学別対策の作り方にまとめました。

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