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三重大学 総合型選抜の対策。70人の枠が、学部ごとにまったく別の入試になっている

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三重大学の総合型選抜(総合Ⅰ・総合Ⅱ、計70人)を2027年度の募集要項から学部別に整理しました。人文学部の2,000字の志願理由書、工学部の物理・数学各200点、生物資源学部の紀伊黒潮枠まで解説します。あわせて岐阜大学・浜松医科大学・豊橋技術科学大学に総合型選抜がないことも確認しています。

三重大学の総合型選抜は70人。国立大学としてはかなり大きな枠です。

ただし、「三重大学の総合型選抜」という一つの入試があるわけではありません。学部ごとに、まったく別の試験です。

  • 人文学部文化学科は小論文90分+プレゼン面接
  • 人文学部法律経済学科は英語の筆記60分+面接200点
  • 工学部電気電子工学コースは物理200点+数学200点の筆記
  • 生物資源学部はグループディスカッションを含む面接だけ
  • 医学部医学科は共通テストで800点以上が最終条件

そして人文学部の志願理由書は2,000字程度・11ポイント・明朝体。ページ番号を振って、左端をホチキスで2箇所とめて提出します。

どの学部を受けるかで、準備するものが完全に変わります。

この記事は、公開されている2027年度(令和9年度)総合型選抜募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:三重大学 令和9年度総合型選抜募集要項(PDF)/三重大学 受験生応援サイト

まず「総合Ⅰ」と「総合Ⅱ」の違いから

三重大学は総合型選抜を2種類に分けています。

区分 共通テスト 該当する学部・コース
総合Ⅰ 課さない 人文学部(両学科)、教育学部(3コース)、医学部看護学科、工学部(電気電子・応用化学)、生物資源学部
総合Ⅱ 課す 医学部医学科、工学部(機械・情報)

総合Ⅱは、共通テストの結果が出る2027年2月10日まで合否が決まりません。そのぶん、不合格に備えて一般選抜(前期・後期)に出願できると要項に明記されています。

そして重要な制限があります。

本学の総合型選抜(総合Ⅰ・総合Ⅱ)に出願した者は、他の総合型選抜、学校推薦型選抜へ出願できません。ただし、結果が不合格だった場合には、各選抜に出願できます。

三重大学の中で、総合型と学校推薦型の併願はできません。どちらか一方です。

募集人員の全体像

学部 学科・コース 区分 募集人員
人文学部 文化学科 総合Ⅰ 7人
法律経済学科 総合Ⅰ 5人
教育学部 音楽教育コース(中等教育選修) 総合Ⅰ 1人
美術教育コース(中等教育選修) 総合Ⅰ 2人
保健体育コース(中等教育選修) 総合Ⅰ 2人
医学部 医学科 総合Ⅱ 5人
看護学科 総合Ⅰ 5人
工学部 総合工学科 電気電子工学コース 総合Ⅰ 8人
総合工学科 応用化学コース 総合Ⅰ 10人
総合工学科 機械工学コース 総合Ⅱ 5人
総合工学科 情報工学コース 総合Ⅱ 5人
生物資源学部 生物資源学科 生物資源総合科学コース 総合Ⅰ・紀伊黒潮枠 15人
合計 70人

出願期間は全学部共通で2026年9月1日〜9月7日。検定料は17,000円です。

人文学部——「探究的な活動」を2,000字で書く

出願要件はゆるい

  • 令和9年3月に卒業見込みの者(既卒は不可)
  • 合格した場合、入学することを確約できる者

評定基準がありません。この2つだけです。そのぶん、書類の中身がすべてになります。

志願理由書の指定が具体的

人文学部の志願理由書に書くのは、次の2点です。

① 高校あるいはその他の場所で取り組んだ「探究的な活動」の具体的内容 ② その「探究的な活動」を通じて得た学びを、入学後の大学での学びにどのように生かしていきたいと考えているか

そして注記が親切です。

・ここでいう「探究的な活動」は、高校でのいわゆる「総合的な探究の時間」における活動に限定されません。高校のクラブ活動等の課外活動での取り組みや、高校以外の場所で行った研究活動や地域活動など、あらゆる「探究的な活動」を含みます。 ・「探究的な活動」のテーマや内容は、必ずしも本学部の2つの学科の学問分野に一致している必要はありません。……テーマ自体は自然科学系のものでも構いません。 ・志願理由書には、活動の根拠となる資料を添付することもできます。出願を検討している人は、資料を保存しておいてください。

テーマは何でもいい。問われているのは、その活動と大学での学びのつなぎ方です。

そして書式。

・①と②をあわせて2,000字程度。必要に応じて図表や写真を入れてもかまいません(図表や写真は字数に含めません)。 ・様式の設定に従い、文字の大きさは11ポイント、明朝体の書式でパソコン等により記入してください。次ページを「1」とするページ番号を下段に入れ、次ページ以降を片面印刷して左端をステープラー(ホチキス)で2箇所とめて提出してください。

2,000字は志望理由書としてはかなり長い部類です。図表・写真が字数外なので、探究の記録をそのまま載せられます。

選抜方法は学科で違う

学科 第1次選考 第2次選考(10月12日) 配点
文化学科 出願書類 100 小論文 9:30〜11:00/面接 12:30〜 小論文100+面接(プレゼン含む)100=200
法律経済学科 出願書類 100 外国語(英語)10:00〜11:00/面接 12:30〜 英語100+面接(プレゼン含む)200=300

文化学科の小論文は「課題文をもとに、基礎学力と論理的思考力、読解力、表現力をはかる問題」。法律経済学科は「英語の課題文をもとに、基礎学力と読解力、表現力をはかるための筆記試験」。

そして面接は志願理由書に書いた探究についてのプレゼンテーションで、そこから質疑応答に入ります。

法律経済学科は面接が200点。全体の3分の2です。プレゼンの比重がとても高い設計になっています。なお法律経済学科については、プレゼンテーションの指定様式が受験生応援サイトに掲載されると要項に書かれています。

教育学部——実技9:30から、面接15:15まで丸一日

音楽教育・美術教育・保健体育の中等教育選修、合わせて5人です。既卒でも出願できます。

第1次選考は書類で募集人員の3倍程度まで絞ります(出願書類200点)。

第2次選考(10月12日)の時間割が細かく決まっています。

時間 内容
9:30〜11:30 実技
12:30〜14:00 プレゼンテーションの準備
14:15〜15:00 プレゼンテーション審査
15:15〜 個人面接

プレゼンの準備時間が90分、その場で与えられます。事前に完成させて持ち込む形式ではありません。

配点はプレゼンテーション100+実技100+面接(口述試験含む)100+出願書類200=500点。出願書類が5分の2を占めます。

音楽教育コースの実技は要項に細かく指定があります。新曲視唱(臨時記号を含む8小節程度、予見1分、ピアノで主和音と開始音)と、声楽・ピアノ・鍵盤楽器以外の器楽から選んで5分以内の任意の1曲を暗譜。弾き歌い・弾き語りも可。使える楽器の一覧まで載っています。

なお、Ⅱで選択した内容は入学後の専攻分野を決定するものではありません。

志願理由書は「三重大学教育学部の総合型選抜における入学者選抜方針との関連がわかるように、大学入学後に学びたいこと、および将来どのような教員になりたいか」を書きます。

医学部看護学科——グループディスカッションと個別面接の2種類

5人。募集人員の3倍を超えたときだけ第1次選考(書類審査)を実施し、15名程度に絞ります。

第2次選考は出願書類100+面接200=300点。

面接については、グループディスカッションと個別面接の2種類を実施します。

そして活動報告書が効きます。

活動報告書には、本学科の入学者選抜方針に合致する資格・取組等を書いて提出してもらいます。

「合致する」と明記されているので、活動報告書を書く前に入学者選抜方針を読み、それに沿う活動を選ぶという順番になります。何を書くかより、どれを選ぶかの入試です。

医学部医学科——出願要件そのものが特殊

5人。総合Ⅱ(共通テストあり)です。出願要件が5つあり、そのうち2つが厳しい。

(4)高等学校または中等教育学校の学習成績概評(評定平均値)が3.5以上の者 (5)次のいずれかに該当する者 ① 国際科学オリンピックに日本代表として選抜された者、又は日本代表最終選考等で優秀な成績を収めた者 ② 三重ジュニアドクター育成塾を修了した者 ③ 校外地域社会活動(ボランティア活動、社会活動、環境保全活動)に関する表彰や、実績を証明する書類を提出できる者 ④ 実用英語技能検定1級を取得した者

①の「優秀な成績」も具体的に定義されています。

分野 基準
数学 日本数学オリンピック本選出場(予選Aランク)
化学 化学グランプリ二次選考出場
生物学 日本生物学オリンピック本選出場
物理 全国物理コンテスト 物理チャレンジ 第2チャレンジ出場
地学 日本地学オリンピック本選出場

①②④はハードルが高い。しかし③は違います。

校外地域社会活動は、志願者が在籍していた(している)小学校、中学校、高等学校または中等教育学校(日本国外の教育機関も含む)以外が主体となって行う活動とし、種別・日数は問わない。

種別も日数も問わない。学校が主体でない活動であればよい。地域のボランティア、環境保全の取り組み、社会活動——実績を証明する書類が出せるなら、ここから出願できます。要件の中でいちばん現実的な入口です。

選抜は3段階です。

段階 内容 配点
第1次選考(9月28日通知) 出願書類で募集人員の4倍程度まで 出願書類 100
第2次選考(10月12日) プレゼンテーション及び面接 面接 100
第3次選考(2027年2月10日通知) 共通テストで受験を要する教科・科目の得点の合計が800点以上である者を合格 共通テスト 1000

第3次選考は順位ではなく、絶対基準です。1000点満点で800点、つまり8割。ここが最後の関門になります。

志願理由書では、「医学の研究をリードする意志」と「三重県の地域医療のリーダーとなる意志」のどちらであるかを明示するよう求められています。どちらの人材を募集しているかが要項に書かれているので、自分がどちらかを先に決めてから書くことになります。

工学部——コースごとに試験が別物

総合工学科の4コース、合わせて28人。出願要件は共通で、令和4年3月以降の卒業(見込み)+全体の学習成績の状況3.5以上。既卒でも出願できます。

コース 区分 募集人員 選抜期日 配点
電気電子工学 総合Ⅰ 8人 9月27日 出願書類及び面接200+筆記(物理)200+筆記(数学)200=600
応用化学 総合Ⅰ 10人 9月27日 小論文150+出願書類及び面接250=400
機械工学 総合Ⅱ 5人 9月27日(1次) 出願書類及び面接100+共通テスト500
情報工学 総合Ⅱ 5人 9月27日(1次) 出願書類及び面接200+共通テスト800+第1次選考結果200=1000

電気電子工学コースは、実質的に学力試験です。600点のうち400点が物理と数学の筆記。総合型選抜という名前でも、中身は一般選抜に近い。

応用化学コースは小論文150点に加えて「基本的な化学の実験」があります。

出願書類、小論文、基本的な化学の実験及び面接の結果を総合して行います。

配点表では「出願書類及び面接250」にまとめられているので、実験は面接評価の一部として扱われる形です。手を動かす試験があることは知っておいてください。

機械工学コースには注意書きがあります。

面接の評価によっては、総得点の順位に関わらず不合格となることがあります。

さらに、第1次選考の結果は第2次選考の評価には利用しません(機械工学コース)。つまり機械は共通テスト500点の一発勝負。一方で情報工学コースは第1次選考結果200点が最終合計に加算されます。同じ「総合Ⅱ」でも設計が違います。

工学部の志願理由書は「志望するコースを選んだ理由について、活動報告書に記載した活動と、選抜方針との関連が分かるように」。活動報告書と志願理由書がセットで読まれます。

生物資源学部——「紀伊黒潮枠」は出願できる高校が決まっている

15人。三重大学の総合型選抜でいちばん枠が大きいのがここです。

そして出願要件の(1)が独特です。

(1)三重県、愛知県、奈良県、和歌山県の高等学校もしくは中等教育学校を令和8年3月以降に卒業した者、又は令和9年3月に卒業見込みの者 (3)調査書の「全体の学習成績の状況」が3.5以上である者 (4)紀伊黒潮地域の地域課題を理解し、同地域の地域共創に強い関心・意欲を有する者

この4県の高校生・卒業生に限定された枠です。

選抜方法はいちばんシンプルです。

グループディスカッションを含む面接及び出願書類によって選抜します。(出願書類及びグループディスカッションを含む面接 100)

小論文も筆記もありません。書類とグループディスカッション、それだけで15人。

志願理由書の指定も、出願要件(4)をそのまま指しています。

本コースを志願する理由について、出願要件(4)「紀伊黒潮地域の地域課題を理解し、同地域の地域共創に強い関心・意欲を有する者」との関連がわかるように記載してください。

つまり、紀伊黒潮地域の地域課題を1つ具体的に挙げられるかどうかが出発点です。漠然と「自然が好き」では要件に答えたことになりません。

東海の国立で、総合型選抜を実施していない3校

東海地方の国立大学を要項で一通り確認したところ、制度として総合型選抜を行っていない大学が3つありました。「一次情報が見つからない」のではなく、要項に選抜区分そのものが存在しないという意味です。

大学 第1年次の選抜区分
岐阜大学 一般選抜・学校推薦型選抜・社会人特別選抜・帰国生徒特別選抜・私費外国人留学生特別選抜
浜松医科大学 一般選抜・学校推薦型選抜・海外教育プログラム特別入試(医学科)ほか
豊橋技術科学大学 一般選抜・学校推薦型選抜・私費外国人留学生選抜

豊橋技術科学大学の令和9年度第1年次入学者選抜に関する要項は、選抜方針の見出しが「一般選抜(前期日程)」「学校推薦型選抜」「私費外国人留学生選抜」の3つだけで、学力の3要素の評価表にも総合型選抜の行がありません。

この3校を志望する場合、推薦で受けるなら学校推薦型選抜が入口になります。岐阜大学と豊橋技術科学大学の学校推薦型選抜には小論文があるので、小論文の準備そのものは無駄になりません。

出典:岐阜大学 学部入学者選抜要項・学生募集要項/浜松医科大学 入試情報/豊橋技術科学大学 入試に関する情報

どこから手をつけるか

まず、自分の学部の配点表を1枚だけ見てください。

三重大学は学部ごとに試験が違うので、「三重大学の総合型対策」という一般論はほとんど役に立ちません。配点表を見れば、自分が何に時間を使うべきかがすぐ決まります。

  • 文化学科なら、小論文100点と面接100点が同じ重さ。課題文型の小論文を90分で書く練習と、探究のプレゼンを両方
  • 法律経済学科なら、面接200点が最大。英語100点より面接の準備が先
  • 電気電子工学コースなら、物理と数学で400点。まず問題演習
  • 生物資源学部なら、書類とグループディスカッションだけ。地域課題の理解が全部

次に、志願理由書に取りかかる時期を早めることです。

人文学部の2,000字は、探究の中身がないと書けません。しかも「活動の根拠となる資料を添付できる」と要項に書いてある。資料を捨てないでください。写真、アンケートの集計、読んだ資料のリスト、フィールドノート。これらが添付できるかどうかで、書類の説得力が変わります。探究の記録の残し方は探究のまとめ方・レポートの書き方にまとめました。

プレゼンが課される学科は、90分で作る練習を1回してください。教育学部は当日12:30〜14:00がプレゼン準備です。この形式に一度も触れずに本番を迎えるのは危険です。プレゼン型入試の対策に、時間内に組み立てる手順を書いています。

生物資源学部と医学部看護学科は、グループディスカッションの練習が要ります。討論の形式そのものに慣れていないと、内容以前で沈みます。グループディスカッションの対策を先に読んでおいてください。

医学部医学科を考えている人は、出願要件(5)③をよく読んでください。「校外地域社会活動」は種別も日数も問われません。学校が主体でない活動で、表彰か実績証明が出せるもの。高2のうちに動けば間に合います。

まとめ

  • 三重大学の総合型選抜は合計70人。総合Ⅰ(共通テストなし)と総合Ⅱ(共通テストあり)に分かれる
  • 三重大学の総合型と学校推薦型は併願できない。不合格になった場合のみ、あらためて出願できる
  • 出願期間は全学部2026年9月1日〜9月7日、検定料17,000円
  • 人文学部は評定基準なし。志願理由書は2,000字程度・11ポイント・明朝体、図表や写真は字数外、根拠資料の添付可
  • 人文学部の「探究的な活動」は総合的な探究の時間に限らない。テーマが学部の分野と一致していなくてもよい
  • 文化学科は小論文90分+面接200点満点、法律経済学科は英語60分+面接200点で計300点
  • 教育学部は3コース計5人。第2次選考は実技→90分のプレゼン準備→プレゼン審査→個人面接で500点満点
  • 医学部看護学科はグループディスカッションと個別面接の2種類、計300点
  • 医学部医学科の出願要件は評定3.5以上+(科学オリンピック/三重ジュニアドクター育成塾/校外地域社会活動/英検1級)のいずれか。校外地域社会活動は種別・日数を問わない
  • 医学科の最終関門は共通テスト800点以上(1000点満点)という絶対基準
  • 工学部電気電子工学コースは物理200+数学200の筆記あり。応用化学コースは小論文150+基本的な化学の実験
  • 生物資源学部の紀伊黒潮枠15人は、三重・愛知・奈良・和歌山の高校出身者限定。書類とグループディスカッションを含む面接のみ
  • 岐阜大学・浜松医科大学・豊橋技術科学大学は、第1年次で総合型選抜を実施していない

東海地方の他の国立は、名古屋工業大学の総合型選抜、愛知教育大学の総合型選抜、名古屋大学の学校推薦型選抜、静岡大学の総合型選抜にまとめました。私立の併願先は名城大学・中京大学・愛知大学です。志望理由書は志望理由書の完全ガイド、小論文の書き方は小論文の完全ガイドを参照してください。

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