小論文の結論の書き方。最後の3行で答案の印象は変わる
結論は要約ではありません。序論と何が違うのか、何を書けば締まり、何を書くと減点されるのか。使える3つの型と、やってはいけない終わり方、字数の目安までまとめました。
書き出しには時間をかけるのに、結論は余った字数で片づけられます。
そして最後の3行で、それまで積み上げた論が崩れます。
以上のように、この問題は非常に複雑である。私もこれから深く考えていきたい。
本論で立場を決めて根拠まで示したのに、最後に立場を手放してしまっている答案です。採点者が最後に読む部分なので、印象への影響は字数以上に大きい。
結論は「要約」ではない
最も多い誤解がこれです。
800字の答案で、本論を200字かけて要約し直す必要はありません。採点者は数十秒前にそれを読んでいます。
結論の役割は3つのうちどれかです。
| 役割 | 中身 |
|---|---|
| 立場の確定 | 検討を経た上で、結局どこに立つのかを言い切る |
| 射程の限定 | どの範囲でその主張が成り立つのかを示す |
| 残る問題の名指し | 自分の主張でも解けない部分を1つ挙げる |
どれか1つで十分です。3つ全部やろうとすると字数が足りません。
使える3つの型
型1|条件つきで言い切る
最も安全で、最も評価されます。
以上より、〜が有効なのは〜という条件が満たされる場合に限られる。その条件を整えないまま〜を進めても、効果は期待できない。
「状況による」を、状況を明示して書いた形です。逃げずに、かつ言いすぎない。
比較を求める設問では特に有効です(「比較して論じよ」の答え方へ)。
型2|優先順位を示す
複数の対策が考えられるテーマで使えます。
〜と〜のどちらも必要だが、順序がある。先に〜を整えなければ、〜は機能しない。
何を先にやるかを決めているので、判断したことがはっきり伝わります。
型3|残る課題を1つだけ挙げる
ただし、この方法では〜の問題は解決しない。そこには〜という別の判断が必要になる。
自分の主張の限界を自分で示す形です。弱さではなく、検討の深さとして読まれます。
ただし1つだけ。2つ以上挙げると、主張そのものが揺らいで見えます。
やってはいけない終わり方
1. 「これからも考えていきたい」
最頻出の失敗です。考えた結果を書く試験で、これから考えると書いている。同じ理由で「今後の課題としたい」「議論を深めるべきだ」も避けてください。
2. 決意表明にすり替える
私は将来、こうした問題に取り組める人間になりたい。
志望理由書ならよいのですが、小論文では論の結論ではなく自分の話になっています。設問が「あなたの考え」を求めていても、求められているのは意見であって抱負ではありません。
3. 新しい論点を出す
結論で初めて出てきた話は、根拠がありません。思いついたなら本論に戻して書いてください。
4. 序論をそのまま繰り返す
同じ文が2回出てくると、字数稼ぎに見えます。同じ立場を、検討を経た言葉で言い直すのが正しい形です。
序論:私は〜すべきだと考える。 結論:〜すべきである。ただし、それが機能するのは〜という条件の下でのことだ。
5. 一般論に戻す
大切なのは、一人ひとりが意識を持つことである。
誰も反対しない文で終わると、それまでの論が消えます。
形式別の締め方
結論に何を置くかは、出題形式によって変わります。
課題文型|筆者の主張との距離を確定する
最後に、自分が筆者のどこまでを受け入れたのかをはっきりさせます。
筆者の指摘は、効率が目的化した場面については正しい。だが、何を成果とみなすかを問い直せるなら、効率そのものが問題なのではない。
賛成でも反対でもなく「ここまでは同じ、ここから違う」を示すのが、最も評価される締め方です。
テーマ型|限定した範囲を明示する
テーマ型では、序論で範囲を絞っているはずです。結論でその範囲を確認します。
ここで述べたのは進路の選択という場面に限った話であり、他の場面でも同じことが言えるとは限らない。
限定は弱さではありません。どこまで言えるかを自覚していることの表明です。
資料型|資料に戻る
意見を書いているうちに資料から離れがちなので、結論で必ず資料に接続し直します。
資料2で参加率の低下が最も大きかったのは現役世代であり、この層が参加できる条件を整えない限り、施設を増やしても状況は変わらない。
場面設定型|自分の権限で締める
判断を書いたあと、それが自分ひとりで決められる範囲かどうかを書いて終わります。
ただし、この判断は私が単独で行えるものではない。指導者に状況を報告し、方針を共有した上で対応する。
手順は「あなたならどうするか」の答え方へ。
字数の目安
| 答案の字数 | 結論の字数 |
|---|---|
| 600字 | 60〜90字 |
| 800字 | 80〜120字 |
| 1200字 | 120〜180字 |
1割前後です。それ以上使っているなら、本論に回してください。
序論と結論を対応させる
書き終えたら、序論と結論だけを続けて読んでください。
- 立場が同じか
- 結論のほうが、条件や範囲の点で具体的になっているか
同じことしか言っていなければ、結論が仕事をしていません。逆に立場がずれていたら、本論の途中で論が滑っています。
序論の作り方は小論文の書き出しへ。
時間が足りないとき
残り5分で結論に入れていない場合、次の2文だけ書いてください。
したがって、私は〜と考える。 ただし、それは〜という条件の下でのことである。
40字前後で、立場の確定と射程の限定が両方できます。書きかけで終わるより、はるかにましです。
字数の調整方法は小論文の字数調整にまとめました。
実例:同じ答案の結論を、3通りに書き比べる
本論で「地方のバス路線維持には、行政の補助と、住民側の利用の両方が要る」と論じてきた答案(800字)を想定します。最後の3行だけを比べてください。
まず、要約で終わる結論。
以上のように、バス路線の維持には行政の補助と住民の利用が必要である。地域の交通を守るために、両者が協力していくことが大切だと考える。
本論を短くしただけで、新しい判断がありません。「協力が大切」は誰も反対しない言葉です。
型1(条件つきで言い切る)で書き直すと。
以上より、補助が有効なのは、住民が日常的に使う路線に絞って投じる場合に限られる。誰も乗らない路線を補助で延命しても、廃止の時期が延びるだけである。
型2(優先順位を示す)なら。
補助と利用のどちらも欠かせないが、順序がある。先に朝夕の通学便という「確実に使われる場面」を固めなければ、補助は成果の見えない支出のまま打ち切られる。
どちらの直しも、本論に書いた材料しか使っていません。足したのは条件と順序、つまり判断だけです。結論の3行で差がつくというのは、文章力の差ではなく、最後に判断を下したかどうかの差です。
まとめ
- 結論は要約ではない。本論の繰り返しに字数を使わない
- 役割は3つのどれか1つ:立場の確定・射程の限定・残る課題
- 型1(条件つきで言い切る)が最も安全で評価される
- 「これからも考えていきたい」「〜になりたい」で終わらない
- 結論で新しい論点を出さない。一般論に戻さない
- 字数は全体の1割前後
- 課題文型は筆者との距離、テーマ型は限定した範囲、資料型は資料への接続、場面設定型は自分の権限で締める
- 書き終えたら序論と結論だけを続けて読む
- 時間がなければ2文(立場+条件)で締める
形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。