東京女子大学の総合型選抜。評定3.7と英語4技能が出願条件で、当日は80分で1,200字
東京女子大学の2027年度総合型選抜を入学試験要項から整理しました。知のかけはし入学試験は出願資格が評定3.7以上、出願条件が英語4技能の資格・検定で、1技能でもスコアがないと出願できません。当日は30分の講義を聞いて80分で要旨400字+小論文800字。講義メモは3つの試験に持ち込めますが採点対象外です。2027年度に数学的思考力型が分かれました。
東京女子大学の総合型選抜の中心は「知のかけはし入学試験」です。2027年度からディスカッション型(文系5学科・55名)と数学的思考力型(情報数理科学科・5名)の2つに分かれました。
そして、この入試でいちばん最初に確かめるべきことが2つあります。
- 出願資格:調査書の全体の「学習成績の状況」が3.7以上
- 出願条件:2024年10月以降に受験した英語4技能の資格・検定試験の基準を満たしていること。1技能でもスコアを有していない場合は、出願条件を満たしません
この2つを満たさないと、出願そのものができません。
必ず最新の入学試験要項で確認してください。日程・実施学科・選考方法は年度によって変わります。この記事は2027年度の入学試験要項(ディスカッション型・数学的思考力型)と、大学が公開している2019〜2026年度の講義内容・出題の意図・設問文、入試結果によります。 出典:東京女子大学 入試情報。2026年10月4日に確認しました。
2027年度に「総合型選抜」の範囲が広がった
大学が2027年度に総合型選抜として分類しているのは5区分です。
| 区分 | 実施 | 募集人員 |
|---|---|---|
| 知のかけはし入学試験(ディスカッション型) | 文系5学科 | 55名 |
| 知のかけはし入学試験(数学的思考力型) | 情報数理科学科のみ | 5名 |
| 社会人入学試験 | 各学科 | 若干名 |
| 帰国生入学試験 | 各学科 | 若干名 |
| 外国人留学生入学試験 | 各学科 | 若干名 |
社会人・帰国生・外国人留学生の3つは、2026年度までは「その他の選抜」でした。2027年度に総合型選抜へ組み替えられています。名前に「総合型」も「AO」も付きませんが、大学の分類では総合型選抜です。
なお学校推薦型選抜は指定校制・高大連携型のみで、要項は指定校にしか送られません。混ざる余地はありません。
2027年度の「2方式化」は、枠の拡大ではない
| 2026年度 | 2027年度 | |
|---|---|---|
| 知のかけはし 合計 | 60名 | 60名(ディスカッション型55+数学的思考力型5) |
| うち情報数理科学科 | 5名 | 5名(数学的思考力型として独立) |
総枠は変わっていません。情報数理科学科の5名が、別方式に切り出されただけです。
ただし中身は正反対になりました。
| ディスカッション型 | 数学的思考力型 | |
|---|---|---|
| 評定 | 3.7以上 | 基準なし |
| 英語資格 | 4技能で必須 | 不要 |
| 既卒 | 不可(卒業見込みのみ) | 可(ただし満22歳未満) |
| 配点 | 非公表 | 数学200点+面接100点=300点 |
| 出願 | 9月 | 11月 |
同じ「知のかけはし」という名前で、評定も英語資格も問わない既卒可の方式と、評定3.7+英語4技能必須の現役限定の方式が並んでいます。
数学的思考力型は数学Ⅲまでの記述式で、サンプル問題を解答例と出題のねらい付きで公開しています。ほぼ学力試験です。しかも11月出願なので、10月のディスカッション型がだめでも、情報数理科学科志望ならもう一度あります(ただし学校推薦型選抜とは同日で併願不可)。
英語4技能の基準
ディスカッション型の出願条件です。2024年10月以降に受験したものに限られます。
| 試験 | 基準(4技能合計) | 注意 |
|---|---|---|
| ケンブリッジ英語検定/Linguaskill | 140以上 | 自宅受験は対象外 |
| 実用英語技能検定(2級以上) | CSE 1950以上 | 級の合否ではなくCSE2.0スコア。一次免除を除き同一試験回のスコアのみ有効。従来型は二次試験を2024年度第2回以降に受験したものが有効 |
| GTEC(検定版・CBT) | 930点以上 | アセスメント版・大学生社会人向けは対象外 |
| IELTS(Academic Module) | 4.0以上 | IELTS Online・General Trainingは対象外。One Skill Retakeは不可 |
| TEAP(4技能パターン) | 225点以上 | 2025年4月以降の受験。同一試験日のスコアのみ(複数日の合算は不可) |
| TOEFL iBT | 42以上 | ITP・Home Edition・Essentialsは対象外。Test Dateスコアのみ。MyBestは不可 |
| TOEIC L&R および S&W | 790点以上 | 両方の受験とスコアが必須。片方(2技能)だけでは出願条件を満たしません |
TOEICを使うなら、L&RとS&Wの両方が要ります。ここは見落としやすい点です。
当日は、30分の講義を聞いてから80分で1,200字
ディスカッション型の時程です。
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 8:30 | 集合(試験室は8:00開室。全体説明開始から20分以上遅刻すると全科目の受験資格を失います) |
| 8:40〜8:55 | 全体説明 |
| 9:00〜9:30 | 講義(30分) |
| 9:50〜11:10 | 講義の要旨・小論文(80分) |
| 11:45〜 | グループディスカッション(40分)/面接(15分程度) |
解答時間の目安は、要項に書かれています。
【講義の要旨】15分 【小論文】65分。解答開始15分後に監督者からアナウンスがある
字数は2023年度以降完全に固定しています。
| 字数 | 解答用紙 | |
|---|---|---|
| 講義の要旨 | 400字程度 | B4用紙(横書き)30行罫1枚 |
| 小論文 | 800字程度 | 同上 |
80分で合計1,200字です。
講義は全員同じ。メモは3場面で使えるが、採点されない
要項の記述がはっきりしています。
- 講義は30分程度。志望する学科を問わず、受験者全員が同じ内容
- 講義開始前に「講義メモ用紙」が配付される。講義の概要を自由に記述してよい
- この用紙は「講義の要旨」「小論文」「グループディスカッション」の際に使用可能。ただし採点の対象にはならない
- 小論文は「講義内容と関連した課題」を出題。「試験中に作成した『講義メモ』を参考にしながら執筆します」
- グループディスカッションは「講義と関連した内容を議題とし、数人のグループで行う」
読む課題文がありません。素材はその場で聞いた30分の講義だけです。つまり聞き取りとメモの設計が、そのまま得点になります。
そして要約と小論文で、求められる方向が逆です。要旨の評価ポイントには「自分の言葉で文章化できているか」、小論文には「講義内容からさらに発展させた考えを示せるか」とあります。忠実にまとめる15分と、発展させる65分を切り替えることになります(課題文の要約、800字の組み立て方)。
「当日は知識を測らない」と要項が表で宣言している
配点は非公表です。要項に満点も内訳も書かれていません。
そのかわり、「学力の3要素」との関係を◎○△で示した表が載っています。これが実質的な重みの公表です。
| 評価材料 | 知識・技能 | 思考力・判断力・表現力 | 主体性を持って協働して学ぶ態度 |
|---|---|---|---|
| 出願書類 | △ | △ | △ |
| 外国語資格・検定試験の成績 | ◎ | ○ | — |
| 講義の要旨 | △ | ◎ | — |
| 小論文 | △ | ◎ | — |
| グループディスカッション | △ | ◎ | ◎ |
| 面接 | △ | ◎ | ○ |
(◎=特に強く関連している/○=強く関連している/△=関連している)
知識・技能が◎なのは、外国語資格・検定試験の成績だけ。当日の4つの試験はすべて△です。
つまり知識は出願条件(英語資格と評定3.7)で先に担保し、当日は思考力だけを見るという二段構えの設計です。配点を公表しないのも、同じ考え方でしょう。
面接にも「主体性」の○が付いている点は見落とさないでください。グループディスカッションだけが対象ではありません。
8年度分の「講義内容+出題の意図+設問文」が1本で読める
これがこの大学の最大の売りです。2019〜2026年度の8年分が1つのPDFにまとまっています。
小論文の過去問を公開する大学は珍しくありませんが、講義そのものの要約と「出題の意図」まで毎年書いているのは異例です。
分野も文系に偏りません。2023年度は数理科学(多様性の測り方)、2026年度は物流とデータの読み取りでした。「志望学科を問わず全員同じ講義」という要項の記述と一致します。
さらに講義動画も公開されています。大学が個別に貼っているのは2026・2025・2024年度の3本と、「2023年度以前の講義動画」の再生リスト。ただし「※2022年度の講義動画は、著作権の都合上公開を終了いたしました」という注記があります。
動画と出題の意図を合わせれば、入試当日とほぼ同じ体験を自宅で再現できます。これ以上の対策材料はありません。
出願時に書くもの
| 書類 | 字数 |
|---|---|
| 志望理由書 | 1,200字以内(自筆・横書き) |
| 活動報告書【C】 | 1,000字以内(必須記入) |
合計2,200字を手書きします。数学的思考力型の志望理由書は800字以内です。
出願はWebではありません。大学の公式サイトに「本学の一般選抜の6つの入試制度はすべてWeb出願です…上記の入試以外ではWeb出願を行いません」と明記されています。検定料は35,000円、会場は本学キャンパスのみです。
生成AIについては要項に記載がありません。代わりに不正行為の条項に「偽造、虚偽の記載、または剽窃」があり、志望理由書・活動報告書は自筆指定です。
2026年度の実績——心理学科だけ突出して厳しい
| 人数 | |
|---|---|
| 志願 | 254 |
| 一次合格 | 191 |
| 二次受験 | 163 |
| 合格 | 126 |
全体では通りやすく見えますが、心理学科だけ二次受験17→合格4と突出しています。2025年度も14→5でした。
「挑戦する知性」奨学金は、実質的に校長推薦の争奪戦
給付額は大きい。初年度だけで133万〜146万円、桜寮なら57.8万円が加わり、4年間です。
ただし条件が厳しい。
- 校長推薦が必要で、1校につき1名
- 第一志望であること
- 現役のみ
- 評定3.7以上
- 家計基準あり(給与収入合計742万円以下など)
- 採用予定は約10名(両型合計)
- 辞退した場合、翌年度からその高校の推薦を受け付けないことがある
受験生個人の決断ではなく、高校を巻き込む決断です。しかもディスカッション型は一次合格発表(9/28)と同じ日から申請期間が始まります(申請期間9/28〜10/21)。
動くなら、夏のうちに校長推薦の相談を済ませておく必要があります(保護者のためのお金と事務)。
なお入学前教育が原則必須で、有料です(前年度の参考額:データサイエンス入門17,325円+英語9,900円。英語圏文化専攻は13,200円、日本文学文化専攻はさらに小論文講座23,100円)。
準備の順番
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1〜高2 | 評定3.7を確保する。出願資格です |
| 高2〜高3春 | 英語4技能の資格を取る。2024年10月以降の受験が有効。TOEICを使うならL&RとS&Wの両方 |
| 高3 春 | 8年度分の「講義内容+出題の意図」を読む。講義動画も3本見られます |
| 高3 夏 | 30分の講義を聞いて、要旨400字と小論文800字を80分で書く練習。メモの取り方がそのまま得点になります |
| 高3 夏 | 奨学金を狙うなら校長推薦の相談。1校1名です |
| 高3 夏 | 志望理由書1,200字+活動報告書1,000字を手書きで |
| 高3 9月 | 出願(郵送) |
| 高3 9月28日 | 一次合格発表。同じ日から奨学金の申請期間(〜10/21) |
| (情報数理科学科) | 数学的思考力型は11月出願。評定も英語資格も不要で、既卒も可(満22歳未満) |
まとめ
- 東京女子大学が2027年度に総合型選抜として分類しているのは5区分。知のかけはし入学試験の2型に加えて、社会人・帰国生・外国人留学生入試も総合型選抜です(2026年度までは「その他の選抜」でした)
- ★ディスカッション型の出願資格は評定3.7以上、出願条件は英語4技能の資格・検定。1技能でもスコアがないと出願できません。TOEICはL&RとS&Wの両方が必要です
- 2027年度の「2方式化」は枠の拡大ではありません。総枠60名は変わらず、情報数理科学科の5名が切り出されただけです
- 数学的思考力型は、評定基準なし・英語資格不要・既卒可(満22歳未満)・配点300点公表と、ディスカッション型と正反対です。出願は11月
- ★当日は30分の講義を聞いて、80分で要旨400字+小論文800字(目安15分+65分)。読む課題文はありません
- 講義メモ用紙が配られ、要旨・小論文・グループディスカッションの3場面で使えます。ただし採点対象外です
- 配点は非公表。かわりに「学力の3要素」との関係が◎○△で公表されていて、知識・技能が◎なのは英語資格だけ。当日の4つの試験はすべて△です
- ★8年度分(2019〜2026)の「講義内容+出題の意図+設問文」が1本のPDFで読めます。講義動画も3本公開されています
- 出願時に志望理由書1,200字+活動報告書1,000字を手書き。Web出願ではありません
- 2026年度は志願254→合格126。ただし心理学科だけ二次受験17→合格4と突出して厳しい
- 「挑戦する知性」奨学金は校長推薦が必要で1校1名。現役のみ・第一志望・家計基準あり。辞退すると翌年度からその高校の推薦枠が止まることがあります
総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。