山口学芸大学の総合型選抜。小論文も実技もなく、15分のプレゼンと10分の面接で200点。評定条件なし
山口学芸大学(山口県山口市)の2027年度総合型選抜は年1回・募集20名。小論文も実技試験もなく、プレゼンテーション(発表5分以内+質疑応答10分程度)100点と面接(10分程度)100点の200点満点です。既卒可・評定の条件なし・学校長推薦不要。2027年度の出願と試験は終了しているので、2028年度に向けた資料として形式を整理します。一般選抜の2期・3期は2027年度から小論文に変わりました。
山口学芸大学は、山口県山口市小郡みらい町にある私立大学です。教育学部 教育学科のみの単科大学で、入学定員は70名(3年次編入は別枠10名)です。
入試の形がひとつ特徴的で、「くくり募集」です。要項にこう書かれています。
本学には初等幼児教育専攻と英語教育専攻がありますが、入学時には専攻を決めず、「教育学科」として一括で募集します。学生は1年生の後期(9月)より、希望する進路により各専攻に分かれます。
つまり入試の段階で専攻を選びません。初等幼児教育専攻は保育士・幼稚園教諭・小学校教員、英語教育専攻は主に中学・高校の英語教員を目指す進路です。総合型選抜も「教育学科」単位の出願で、専攻別・コース別の枠はありません。
取得できる免許・資格は、保育士資格、幼稚園教諭一種、小学校教諭一種、中学校教諭一種(英語)、高等学校教諭一種(英語)、特別支援学校教諭一種(知的・肢体・病弱)などで、履修の仕方によって複数取得できます。
最初に時期の話をしておきます。 2027年度の総合型選抜は、出願期間(2026年9月1日〜9月14日)と試験日(2026年9月19日)がどちらも終了しています。2026年10月1日の時点では、11月2日の合格発表を待つ段階です。これから出願できるのは学校推薦型選抜・一般選抜・共通テスト利用選抜です。この記事は2027年度の総合型選抜の形式を記録として整理したもので、2028年度に向けて準備する人の資料として読んでください(形式が変わる可能性はあるので、必ず最新の要項で確認してください)。
2027年度の総合型選抜は1方式・年1回のみで、Ⅰ期・Ⅱ期のような分割はありません。募集人員は20名(入学定員70名の約3割)です。
| 入試区分 | 募集人員 | 既卒 | 評定の条件 | 学校長推薦 | 専願 |
|---|---|---|---|---|---|
| 総合型選抜 | 20名 | 可 | なし | 不要 | 専願 |
| 学校推薦型選抜(指定校) | 26名(公募制と合計) | − | 在籍校に問い合わせ | 必要 | 専願 |
| 学校推薦型選抜(公募制) | 同上 | − | 3.2以上 | 必要 | 併願可 |
| 一般選抜(1期・2期・3期) | 12名(合計) | 可 | − | − | 併願可 |
| 共通テスト利用選抜(前期・中期・後期) | 12名(合計) | 可 | − | − | 併願可 |
| 社会人選抜(1期・2期) | 若干名 | 可 | − | − | − |
要項の「主なポイント」には「総合型選抜は出願資格に成績条件なし!」と明記されています。既卒者も出願でき、学校長の推薦も要りません。 エントリー期間の制度もなく、出願期間だけです。
一方で専願です。ここは注意が必要で、大学サイトの入試概要ページには「専願」という語が一度も出てきません(公募制推薦だけ「他大学との併願が可能」という表示が付くため、対比で総合型も併願できると読めてしまいます)。要項の出願資格には「本学専願の者(合格した場合、必ず本学に入学する者)」と書かれ、Q&Aでも専願とされています。要項が正しい記述です。
出典:山口学芸大学「2027(令和9)年度 募集要項」(PDF・全48ページ)、「入試概要2027」(リーフレット)、プレゼンテーション届出書・自己推薦書の各様式、「各入試区分における学力の3要素の評価方法」、入試概要・募集要項の各ページ(https://www.y-gakugei.ac.jp/admission/summary/ )。2026年10月1日に確認しました。
小論文も実技もない。プレゼンと面接で200点
選考は2つだけです。
| 試験 | 内容 | 時間 | 配点 |
|---|---|---|---|
| プレゼンテーション | 発表5分以内+質疑応答10分程度 | 計15分程度 | 100点 |
| 面接 | 自己推薦書に基づく個別面接(面接官2〜3名)。志望理由、将来の展望、高校で意欲的に取り組んできたことなどを問う。面接中は資料やメモを見ることはできません | 10分程度 | 100点 |
| 計200点 |
これに調査書を資料として加えて、多面的・総合的に判定されます。
小論文は課されません。 総合型選抜に筆記試験は一切ないので、字数や制限時間の設定そのものがありません。
独立した実技試験もありません。 教員養成系の大学ですが、ピアノ・造形・運動などの実技科目は総合型選抜には設定されていません(プレゼンテーションの発表方法として実演を選ぶことはできます。これは後述します)。
ちなみに、この大学で小論文が出るのは学校推薦型選抜(公募制)・一般選抜(2期・3期)・社会人選抜・編入学選抜で、いずれも800字・60分・100点です(編入は「教育・保育に関する内容」800字以内)。総合型選抜とは別物なので混同しないようにします。
ここは今の受験生に関わる話です。 一般選抜の2期・3期は、2027年度から試験科目が変わりました。2026年度の2期は国語・英語でしたが、2027年度は小論文(800字・60分)+面接です。大学サイトの過去問のページを見て「この大学の一般選抜は国語と英語」と考えて準備すると、ずれます。800字・60分の小論文を準備する必要があります(小論文の時間配分、小論文の構成メモ)。
試験当日は、受験票に記載された時間に受付して、プレゼンテーション→面接を一人ひとり順番に行います。要項の受験上の注意に「受験者数によっては午前中に終わらないことがあります。必要に応じて、昼食をご用意ください。また、面接までの待ち時間が長くなることがあります」と書かれています。
プレゼンのテーマは「特技や取り組みを教育者・保育者としてどう生かすか」
プレゼンテーションのテーマは要項に示されています。
あなたの特技やあなたが意欲的に取り組んできたことをとおして、その気づきや学び、技能等を教育者・保育者としてどのように生かしていきたいかを発表してください。技能等の習熟度を評価するものではありません。
「技能の習熟度を評価しない」と大学が明記しているのが重要です。ピアノが上手いかどうか、英語が流暢かどうかではなく、そこから何を学んで教育や保育にどうつなげるかを見るという設計です。
発表方法の例(要項に列挙されているもの)
- 実演(歌唱、楽器演奏、英語スピーチ、ダンス など)
- 作品解説(絵画、工芸、書道、イラスト、デザイン作品 など)
- プレゼンテーションソフトを使用した発表
- ポスター発表 など
発表内容の例
- 部活動での取り組み
- ボランティア活動での取り組み
- 学校行事に対する取り組み
- 検定や資格取得に向けての取り組み
- 探究学習での取り組み(ジュニアリサーチセッションなどを含む)
- 趣味や習い事での取り組み など
評価基準もQ&Aで公表されています。
プレゼンテーションは、発表だけでなく質疑応答を含め総合的に評価します。評価基準は、技能等の習熟度ではなく、伝えたいことが明確で、伝えようとする意欲があるか、また、教育や保育とのつながりについて自分なりに考えているかです。
つまり発表5分より質疑応答10分のほうが長いことに意味があります。発表を作り込むだけでなく、「なぜそれを選んだのか」「教育のどの場面で生かせるのか」「うまくいかなかったことは何か」といった質問に答えられる状態にしておく必要があります。
準備の筋道としては、①取り組みを1つ選ぶ ②そこで何に気づき何を学んだかを言葉にする ③それが保育・教育のどの場面でどう生きるかを具体的に言う、の3段階です。③が弱いと「上手にできます」という発表で終わってしまいます。探究活動を題材にするなら、テーマ・調べ方・結果・そこからの学びを整理しておくとそのまま使えます(プレゼンテーション型入試の対策、探究のまとめ方、自己PRの書き方)。
教育をめぐる社会の論点を1つ押さえておくと、質疑応答で話を広げられます(教育格差のテーマ、不登校のテーマ)。
機材は持参が原則。オフライン環境で発表する
プレゼンテーションの機材のルールは細かく決まっています。
- 発表に必要な資料・作品・機材(ノートパソコン、タブレット、HDMIケーブル、USB Type-C to HDMI変換ケーブルなど)は持参。持参するものは必ずプレゼンテーション届出書に記載します
- 大学が準備できる機材は原則として次の4つだけです。希望する場合は届出書の該当欄にチェックします
- モニターまたは電子黒板/ピアノ/CDプレーヤー/ホワイトボード
- それ以外の機材を希望する場合は、出願前に大学へ問い合わせます
- 発表はオフライン環境で行います。 持ち込みのインターネット回線も学内回線も使えません
オフラインという条件は見落としやすい点です。 動画や音源をクラウドから再生する構成にしていると当日できません。使うデータは端末内に入れておき、変換ケーブルも自分で用意します。ピアノとCDプレーヤーは大学が用意してくれるので、歌唱や楽器演奏、ダンスで音源が必要な場合はここを使えます。
自己推薦書は字数指定なし。面接の質問の材料になる
出願書類は4つです。
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 入学志願票 | インターネット出願の登録後にダウンロード・印刷(A4片面) |
| 調査書 | 出身学校長が作成し厳封したもの |
| プレゼンテーション届出書 | 大学所定の様式に自筆で記入 |
| 自己推薦書 | 大学所定の様式に自筆で記入 |
顔写真のデータ(縦4cm×横3cm・上半身正面・3か月以内撮影・3MB以下のJPEG)は出願登録のときにアップロードするので、郵送は不要です。
プレゼンテーション届出書は字数指定がなく、設問は3つです。
- 発表方法、発表内容について簡潔に書いてください(記入例:ピアノによる童謡の弾き歌い、英語スピーチ など)
- 持ち込みをする発表資料や作品、機材等があれば書いてください(記入例:パソコン、ポスター など)
- 大学が用意できる機材のうち使用するものにチェック(モニターまたは電子黒板/ピアノ/CDプレーヤー/ホワイトボード)
自己推薦書も字数指定がなく、A4判1枚に罫線だけの記入欄(約17行)です。様式にはこう書かれています。
自己推薦書は、面接における質問の参考にするものです。あなたが本学を志望する理由や自分の長所などを具体的に記入してください。
志望理由書・活動報告書という名称の書類は総合型選抜にはなく、自己推薦書がその役割を兼ねています。「面接における質問の参考」と明記されているので、ここに書いたことが面接で聞かれる前提で書きます。17行なら450〜500字程度です。志望理由と長所の2つを聞かれているので、半分ずつに分けるのが素直です(志望理由書の完全ガイド、面接と書類の一貫性、面接の頻出質問)。
面接は面接官2〜3名の個別面接で、面接中は資料やメモを見ることができません。自己推薦書に書いた内容を、手元の紙なしで話せるようにしておきます。
出願はインターネット出願のみ(Post@net)で、出願登録→検定料の納入→出願書類を簡易書留・速達で郵送(最終日の消印有効。窓口持参も可能で受付は平日9:00〜16:30)という流れです。検定料は25,000円+手数料900円です。試験会場は本学のみで、地方会場はありません。
奨学金は「連携校特別奨学金」
総合型選抜に紐づく特待生制度はありません。 ただし、総合型選抜が対象になる奨学金が1つあります。
連携校特別奨学金…大学の連携校を卒業し、総合型選抜または学校推薦型選抜で現役入学した人が対象で、入学金の2分の1(125,000円)が免除されます。自分の高校が連携校かどうかは高校か大学に確認します。
参考として、実質倍率は2026年度が1.06倍、2025年度が1.05倍で、いずれも定員を下回っています。
2028年度に向けてどこから手をつけるか
2027年度の総合型選抜は終了しているので、次の機会に向けた準備の順番を書いておきます。
- プレゼンの題材を1つ決める。部活動・ボランティア・学校行事・検定・探究学習・習い事のどれでもよく、技能の習熟度は評価されません。「そこから何を学び、教育者・保育者としてどう生かすか」が言えるものを選ぶ
- 発表方法を決める。実演(歌唱・楽器演奏・英語スピーチ・ダンス)、作品解説、スライド、ポスターから選べます。大学が用意できるのはモニター/電子黒板・ピアノ・CDプレーヤー・ホワイトボードだけで、ほかは持参
- オフライン環境で成立する構成にする。データは端末内に入れ、HDMIケーブルや変換ケーブルも自分で持参
- 質疑応答10分に備える。発表5分より質疑応答のほうが長いので、「なぜそれを選んだか」「教育のどの場面で生かせるか」に答えられるようにしておく
- 自己推薦書(A4約17行・自筆)に志望理由と長所を書く。ここに書いたことが面接で聞かれます
- 評定の条件がないので、成績で出願を諦める必要はありません。既卒者も出願できます
- 自分の高校が連携校かどうかを確認する(入学金の2分の1免除)
2027年度にまだ間に合う入試を探すなら、学校推薦型選抜(公募制は評定3.2以上・併願可)、一般選抜(1〜3期)、共通テスト利用選抜(前期・中期・後期)があります。一般選抜の2期・3期は2027年度から小論文(800字・60分)+面接に変わっているので、そこを押さえて準備します。
まとめ
- 山口学芸大学は教育学部教育学科のみの単科大学。入試は専攻を決めないくくり募集で、1年生の後期から専攻に分かれる
- 総合型選抜は1方式・年1回・募集20名(入学定員70名の約3割)
- 既卒可・評定の条件なし・学校長推薦不要。ただし専願(大学サイトには「専願」の記載がないが、要項とQ&Aは専願と明記)
- 小論文も独立した実技試験もない。選考はプレゼンテーション(発表5分以内+質疑応答10分程度)100点+面接(10分程度)100点=200点
- プレゼンのテーマは「特技や意欲的に取り組んできたことから得た気づき・学びを教育者・保育者としてどう生かすか」。技能の習熟度は評価しないと明記
- 評価基準は「伝えたいことが明確で、伝えようとする意欲があるか」「教育や保育とのつながりを自分なりに考えているか」
- 発表方法は実演・作品解説・スライド・ポスターから選べる。大学が用意できる機材はモニター/電子黒板・ピアノ・CDプレーヤー・ホワイトボードのみで、ほかは持参
- 発表はオフライン環境(持ち込み回線も学内回線も使用不可)
- 提出書類はプレゼンテーション届出書と自己推薦書(どちらも自筆・字数指定なし)。自己推薦書は面接の質問の参考になる
- 面接中は資料やメモを見られない
- 会場は本学のみ。検定料25,000円+手数料900円
- 総合型選抜に特待生制度はないが、連携校特別奨学金(入学金の2分の1免除)の対象になる
- 一般選抜の2期・3期は2027年度から小論文(800字・60分)+面接に変更
- 2026年10月1日の時点で、2027年度の総合型選抜は出願・試験とも終了し、合格発表(11月2日)を待つ段階
総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。同じ山口県では宇部フロンティア大学と梅光学院大学、教育・保育系は広島文教大学の記事もあわせて読めます。