名古屋工業大学 総合型選抜の対策。9月に4時間の即日設計をして、助言をもらって10月に図面を持っていく
名古屋工業大学の総合型選抜3つ(社会工学科 建築・デザイン分野/環境都市分野/基幹工学教育課程 夜間主)を、2027年度の学生募集要項から整理しました。公開されている即日設計の課題例、夜の模擬授業、口頭試問の範囲までを解説します。
名古屋工業大学の建築・デザイン分野の総合型選抜は、受験する前に大学へ2日通います。
9月5日に製図作品のプレゼンをして、午後は4時間の即日設計。翌9月6日に講評会で、自分の提案を4分で発表し、担当教員から質疑と助言を受けます。
そして10月10日の入学試験(面接)では、その課題の提案を図面にして持参します。
スクーリングの講評会で受けた助言を吟味し、提案(図面)に反映させてください。スクーリング時の未完部分の追加、図面の清書、もしくは新しい案による新たな図面作成など、図面・設計の完成度を高める活動を期待します。
指導を受けて、1か月かけて作り直したものが評価される。入試というより、設計演習の縮小版です。
この記事は、公開されている2027年度(令和9年度)の学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:名古屋工業大学 募集要項・資料請求/社会工学科(建築・デザイン分野)総合型選抜学生募集要項(PDF)/スクーリング及び面接試験の概要(PDF)/社会工学科(環境都市分野)総合型選抜学生募集要項(PDF)/基幹工学教育課程(夜間主)総合型選抜学生募集要項(PDF)
3つの総合型選抜
| 選抜 | 募集人員 | 出願資格の核 | 当日 |
|---|---|---|---|
| 社会工学科〈建築・デザイン分野〉 | 3人 | 建築・デザイン・美術の科目を履修+評定概評A+スクーリング受講完了 | 面接(図面持参) |
| 社会工学科〈環境都市分野〉 | 3人 | 評定概評AまたはB | 模擬授業→レポート→プレゼン+面接 |
| 基幹工学教育課程(夜間主) | 4人 | 社会人経験2年以上、または修学支援新制度の予約採用申請者で入学後も正業に就く意志 | 模擬授業→レポート→プレゼン+面接 |
3つとも共通テストと個別学力検査を免除します。そして総合判定はA・B・Cの3段階で行われます。
出願はすべてインターネット出願登録2026年9月7日〜9月17日、書類受理は9月14日〜9月17日。合格発表はいずれも11月2日、入学手続は12月21日です。
建築・デザイン分野——スクーリングが実質的な一次試験
この入試の趣旨が明記されている
社会工学科(建築・デザイン分野)では、「大学で勉強したい」という強い希望をもちながら、「従来型入試」で合格することが容易でなかった、建築やデザインに高い関心をもつ高等学校の専門学科及び総合学科等の卒業生に大学進学の道を開くため、この入試制度を設けています。
専門学科・総合学科の生徒のために作られた入試だと書かれています。
求める4つが公開されている
1 具体的・的確な将来像(志向学習分野や就職分野等)を抱いている人 2 これまで遂げてきた設計製図・制作やコンペ応募作品等で高い能力や評価が得られている人 3 スクーリングで与えられる課題条件を正確に処理・表現する能力・資質がみとめられる人 4 スクーリングで講評・教示される事項を的確に判断し表現できる能力・資質がみとめられる人
3番と4番が、そのままスクーリングと面接に対応しています。
出願資格に「調査書の学習成績概評がA」がある
- 高等学校を2027年3月に卒業見込みの者(既卒は不可)
- 本学科での勉学を強く希望する者
- 建築、デザイン又は美術に関わる科目を履修し、本学が実施するスクーリングの受講を完了した者
- 高等学校の調査書の学習成績概評がAの者
- 合格した場合、入学を確約できる者
評定概評A(おおむね評定平均4.3以上)が要ります。「専門学科向け」でありながら成績の基準は高い設計です。
日程は7月から始まっている
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 2026年7月21日(火) | スクーリング日程等説明会(10:30〜12:00・7月10日までに要予約) |
| 2026年9月1日〜3日 | スクーリング希望届の受付(3日17:00必着) |
| 2026年9月5日(土)・6日(日) | スクーリング |
| 2026年9月14日〜17日 | 願書の受付(スクーリングの受講を完了した者) |
| 2026年10月10日(土) | 入学試験(面接) |
| 2026年11月2日(月) | 合格発表 |
7月の説明会からスケジュールが始まります。しかも参加には7月10日までのメール予約が必要です。
スクーリングの中身
第1日(9月5日)
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 9:30〜12:00 | 学校やコンクール等に提出した製図・デザイン作品等のプレゼンテーション |
| 13:00〜17:00 | 即日設計(4時間) |
第2日(9月6日)9:00〜13:00
講評会:即日設計の提案について4分程度でプレゼンテーションしていただきます。担当教員が質疑・助言をいたします。
持ち物も指定されています。
- 必ず持参:受験票、学校やコンクール等に提出した製図等、鉛筆、消しゴム、三角定規
- 必要であれば持参可:三角スケール、直定規、鉛筆削り、シャープペン、刷毛、字消し板、ドラフティングテープ、勾配定規、テンプレート(円のみ)、色鉛筆
- 平行定規と用紙は用意されています
即日設計の課題例が公開されている
要項の別紙に、課題例が載っています。
課題例1「趣味にあふれる家」 家族一人ひとりの趣味が随所に溢れ、かつ、週末の日中に友人を招きやすい家を設計し、図面で表現してください。次の①〜⑤について創意工夫を求めます。①家族の交流を生む空間、②友人との交流を生む間取り、③屋内外での活発な生活を支える機能性、④バリアフリー、⑤長寿命。
計画条件まで具体的です。
- 敷地:一般的な住宅地。南へ下る傾斜地、道路・隣地との高低差はない。第一種低層住居専用地域。建ぺい率60%、容積率200%の制限を満たすこと
- 構造・階数:構造は自由、2階建て
- 家族構成:夫妻(ともに44歳)、娘(13歳、12歳)
- 要求室等:玄関、居間、食事室、台所、寝室、子ども室、トイレ、浴室、洗面脱衣、収納、階段、駐車スペース(1台分)
この条件で4時間。過去問がそのまま公開されているのと同じことなので、一度自分で解いてみるのが最短の対策です。
面接に持っていく図面の条件
・スクーリング時の課題についての設計図面(手描き原図) ※ 提出された図面は返却しません ※ 発表のための補助物(模型等)を用意してもかまいません
そして完成度について3点が求められています。
① 密度が濃く仕上がっていること ② 課題に対する提案内容が伝わる表現となっていること ③ 構造・構法の基本(工夫)が反映されていること
手描き原図である点に注意してください。CADで清書するのではありません。
面接では、提案のプレゼンに加えて、志望動機についても聞かれます。
評価は4つを総合
スクーリングを通じた発表内容、エントリーカード、調査書及び面接の結果を総合して評価し、総合点の上位から順位付けをします。
環境都市分野——夜に講義を聴いて、翌朝レポートを発表する
こちらは建築・デザイン分野とは別の入試です。スクーリングはありません。そのかわり、試験そのものが2日がかりです。
出願資格は建築・デザイン分野より広い
- 高等学校・中等教育学校の普通科、理数に関する学科、専門学科又は総合学科を卒業した者、または2027年3月卒業見込みの者
- 本学科での勉学を強く希望する者
- 調査書の学習成績概評がA又はBの者
- 合格した場合、入学を確約できる者
普通科も対象で、評定はBまで、そして既卒でも出願できます(建築・デザイン分野は卒業見込みのみ)。
試験の流れ
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月9日(金)17:50〜20:40 | 模擬授業(レポート作成)——本学で開講されている講義を聴講し、レポートを作成する |
| 2026年10月10日(土)10:00〜 | 面接(模擬授業に関するプレゼンテーション+数学・物理の口頭試問を含む) |
金曜の夜に、大学の実際の講義を約3時間聴く。そこでレポートを書き、翌朝そのレポートに基づいて発表し、質問を受けます。
口頭試問の範囲が明示されている
| 教科 | 出題範囲 |
|---|---|
| 数学 | 数Ⅰ、数Ⅱ、数Ⅲは全範囲/数Aは「図形の性質」「場合の数と確率」/数Bは「数列」「統計的な推測」/数Cは「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」 |
| 理科 | 「物理基礎・物理」 |
共通テストも個別学力検査も免除されますが、学力は口頭試問で見られます。しかも数Ⅲ・数Cまで入っています。「学力試験がないから楽」という入試ではありません。
面接そのものの評価内容は、環境都市分野への「関心の高さ」「意欲」「適性」と書かれています。
費用
検定料17,700円、入学料282,000円(予定額)、授業料年額642,960円(予定額)。
合格者には入学前教育があります。教材費は自己負担で3万円程度、3月に大学で数学(主に微分・積分及びベクトル)の準備授業。さらに共通テストに申し込んでいる場合は受験して自己採点結果を提出することになっています。
基幹工学教育課程(夜間主)——働きながら5年で卒業する
3つ目は性格がまったく違います。
夜間主とは、夜間を主とした昼夜開講の授業を履修し、修業年限5年の教育課程をいいます。
| 募集単位 | 募集人員 |
|---|---|
| 電気・機械工学コース(電気・機械工学系) | 2人 |
| 環境都市工学コース(社会工学系) | 2人 |
| 計 | 4人 |
出願要件が「社会人経験」と「修学支援新制度」の2本立て
出願資格は、高等学校・中等教育学校の卒業者(見込含む)または高等専門学校3年次修了者(見込含む)。そのうえで、次のどちらかを満たす必要があります。
(1) 高等学校又は中等教育学校を卒業し、2027年4月1日現在で社会人経験(週平均20時間以上のもので家事・家業従事者を含む。)2年以上を有する者で、かつ、入学後も正業に就く意志があるもの (2) 高等学校を2027年3月卒業見込みで、高等教育の修学支援新制度の予約採用に申請した者で、かつ、入学後、正業(週平均20時間以上のもので家事・家業従事者を含む。)に就く意志があるもの
(1)なら職務経歴書、(2)なら予約採用に申請したと証明できる書類(申請画面の印刷でも可)を出します。
(2)は高校3年生がそのまま出願できる道です。要項には念を押す注記もあります。
※ 高等教育の修学支援新制度とは日本学生支援機構が行っている貸与奨学金(第1種奨学金及び第2種奨学金)のことではありません。
試験は環境都市分野とほぼ同じ、口頭試問だけ軽い
10月9日(金)17:50〜20:40に模擬授業(レポート作成)、10月10日(土)10:00〜にプレゼンテーション、引き続き面接。ここは同じです。
違うのは口頭試問の範囲です。
| 教科 | 出題範囲 |
|---|---|
| 数学 | 数Ⅰ、数Ⅱは全範囲/数Aは「図形の性質」「場合の数と確率」/数Bは「数列」「統計的な推測」 |
| 理科 | 「物理基礎・物理」 |
数Ⅲと数Cがありません。働きながら受ける人を想定した範囲になっています。
費用は約半分
検定料10,700円、入学料141,000円(予定額)、授業料年額321,480円(予定額)。昼間の課程のちょうど半額です。
さらに、要項には就業支援まで書かれています。
基幹工学教育課程は、実務経験を大学での教育・研究に生かすことを想定しているため、入学時に就業していることが望ましいです。そのため、夜間講義へ出席可能な時間・空間的な条件を満たし、学業と就業の両立に対応可能な就業先の紹介などを行います。
ただし転課程はできません。入ったあとで昼間の課程へ移ることは制度上ありません。ここは事前に理解しておく必要があります。
どこから手をつけるか
建築・デザイン分野を狙うなら、7月10日が最初の締切です。
7月21日のスクーリング日程等説明会は事前予約制で、その予約が7月10日まで。ここを逃すと、9月のスクーリングにたどり着けません。高2の冬か高3の春には、この日程を手帳に入れておいてください。
次に、公開されている即日設計の課題例を、時間を測って解いてみることです。
「趣味にあふれる家」の条件——南へ下る傾斜地、第一種低層住居専用地域、建ぺい率60%・容積率200%、2階建て、夫妻44歳と13歳・12歳の娘、駐車スペース1台分。この条件で、①家族の交流を生む空間 ②友人との交流を生む間取り ③屋内外での活発な生活を支える機能性 ④バリアフリー ⑤長寿命の5つに答える。4時間で図面にする。
一度やってみると、何が足りないかが具体的にわかります。平面図が描き切れないのか、条件の読み落としが出るのか、5つの創意工夫のうち説明できないものがあるのか。そこが対策の中身になります。
そして講評で受けた助言を反映するという指示。ここは素直に受け止めてください。「自分の案を守る」のではなく、「助言を吟味して、必要なら新しい案に作り直す」ことまで許容されています。指摘を取り込んで良くする姿勢そのものが見られています。
環境都市分野と夜間主なら、口頭試問の範囲から逆算します。
範囲が明示されている以上、対策は明確です。環境都市分野は数Ⅲ・数Cまで、夜間主は数Ⅱまで。どちらも物理基礎・物理。声に出して説明する練習を混ぜてください。筆記で解けることと、口頭で「なぜそうなるか」を説明できることは別です。
模擬授業のレポートは、知らない内容を聴いて要点をつかみ、自分の言葉で書く作業です。これは課題文の要約の練習がそのまま効きます。大学の公開講義やオンライン講座を1本聴いて、30分で1枚のレポートにまとめ、翌日それを3分で説明する。この形で練習できます。
夜間主を検討している高校生は、修学支援新制度の予約採用の申請時期を先に調べてください。申請していることが出願要件なので、こちらの締切が先に来ます。
まとめ
- 名古屋工業大学の総合型選抜は3つ。社会工学科〈建築・デザイン分野〉3人、同〈環境都市分野〉3人、基幹工学教育課程(夜間主)4人
- 3つとも共通テストと個別学力検査を免除。総合判定はA・B・Cの3段階
- 建築・デザイン分野は専門学科・総合学科の生徒に道を開くためと要項に明記。ただし調査書の学習成績概評はAが必要
- 9月5日〜6日のスクーリングが事実上の一次選考。1日目に作品プレゼンと4時間の即日設計、2日目に4分の講評会
- 10月10日の面接には、講評の助言を反映させた手描き原図を持参する。新しい案に作り直してもよい
- 即日設計の課題例(「趣味にあふれる家」)が要項に公開されている。敷地条件・家族構成・要求室まで具体的
- 環境都市分野は評定A又はB、既卒可、普通科可。10月9日(金)夜の模擬授業→翌朝のプレゼンと面接
- 面接には数学・物理の口頭試問が含まれ、環境都市分野は数Ⅲ・数Cまでが範囲
- 夜間主は修業年限5年。社会人経験2年以上、または修学支援新制度の予約採用に申請した卒業見込み者が対象。口頭試問は数Ⅱまで
- 夜間主の検定料・入学料・授業料は昼間の半額。就業先の紹介もある。ただし転課程は不可
- 出願はいずれも9月7日〜9月17日、合格発表11月2日、入学手続12月21日
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