北海道教育大学 総合型選抜の対策。3つの入試が校舎ごとに分かれ、美術文化はデッサン・書・小論文から1つ選ぶ
北海道教育大学の総合型選抜3種類(「北海道みらいの教員」養成枠・教員養成特別入試・自己推薦入試)を、令和9年度の学生募集要項から整理しました。出願要件になっている動画の視聴、A4・3枚のプレゼン資料、講義を受けてからのグループ討論とレポート、90分の小論文までを解説します。
北海道教育大学の総合型選抜は3つあります。ただし、3つのうちどれを受けられるかは、志望する校舎で決まります。
札幌校・旭川校なら教員養成特別入試。釧路校なら「北海道みらいの教員」養成枠。岩見沢校なら自己推薦入試。中身も日程もまったく別の入試です。
そして要項にはっきり書かれています。
本学の総合型選抜(「北海道みらいの教員」養成枠)に出願した者は、本学の総合型選抜(教員養成特別入試)及び総合型選抜(自己推薦入試)へ出願することはできません。
校舎を選ぶことが、入試を選ぶことになります。
この記事は、公開されている令和9年度(2027年度)の学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:北海道教育大学 学部の入試/学生募集要項等のダウンロード/令和9年度 総合型選抜(「北海道みらいの教員」養成枠)学生募集要項(PDF)/令和9年度 総合型選抜(教員養成特別入試)学生募集要項(PDF)/令和9年度 総合型選抜(自己推薦入試)学生募集要項(PDF)
3つを並べる
| 「北海道みらいの教員」養成枠 | 教員養成特別入試 | 自己推薦入試 | |
|---|---|---|---|
| 実施校 | 釧路校のみ | 札幌校・旭川校 | 岩見沢校のみ |
| 募集人員 | 20人 | 若干人 | 合計50人 |
| 共通テスト | 課さない | 課す | 課さない |
| 当日の検査 | プレゼン+面接 | 講義→グループ討論→レポート+面接 | 専攻ごとに別(小論文あり) |
| 出願期間 | 2026年9月2日〜9月9日 | 2026年9月2日〜9月9日 | 2026年10月9日〜10月16日 |
| 第一次結果 | 9月30日 | 9月30日 | — |
| 第二次検査 | 10月17日 | 10月17日〜18日 | 11月28日〜29日 |
| 合格発表 | 11月2日 | 2027年2月10日 | 12月11日 |
年内に決まるのは「みらいの教員」養成枠と自己推薦入試です。教員養成特別入試は共通テストを使うので、決着は2月10日まで来ません。
「みらいの教員」養成枠と教員養成特別入試は出願期間が同じ9月2日〜9日で、しかも併願できません。夏の間に校舎を決めておく必要があります。
「北海道みらいの教員」養成枠(釧路校)——出願要件に「動画を見ること」がある
釧路校の地域学校教育実践専攻・20人。共通テストは課しません。
出願要件が具体的
要項の出願要件は4つですが、2番目が特徴的です。
2 高大連携事業等の活動により、学校教員を目指して学んできた学習や活動について、一定の経験を有する者
そしてその「一定の経験」の中身が定義されています。
まず全員必須のもの。
1)オンデマンド動画「北海道の教員になろう」の視聴については全員必須とします。※動画は2本あります。2本とも視聴してください。
その上で、次の⒜〜⒞のいずれかが必要です。
| 要件 | |
|---|---|
| ⒜ | 北海道高等学校「みらいの教員育成プログラム」の受講 |
| ⒝ | 高等学校の教職に関わる学科・コースにおける授業の履修 |
| ⒞ | 教員志望動機に深く関わる学習(座学)と活動(学校現場での体験活動)を各1件 |
⒞の例まで要項に書かれています。学習(座学)は「『総合的な探究の時間』等の探究学習における学校教育をテーマとした学習」「教員志望者を対象とした都道府県又は大学主催の講座」。活動は「インターンシップ等の学校における体験活動」「学校における教職体験」。
⒜も⒝も当てはまらない高校生でも、⒞の道が用意されています。探究のテーマを学校教育にして、母校や近隣の小中学校で体験活動を1件やる。それで要件を満たします。逆に言えば、高3の9月に思い立って出願することはできません。
プレゼン資料はA4・3枚以内、生成AI禁止
出願書類は5点。志望理由書、教育活動経験報告書、意志確認書、調査書、そしてプレゼンテーション資料です。
このうち志望理由書・教育活動経験報告書・プレゼンテーション資料の3つは、いずれも「生成AIの使用は認めません」と要項に書かれています。
プレゼン資料の作成ルールは別紙で細かく決まっています。
- 図表等を含めてA4判・片面・3枚以内
- ホッチキス止めをしない
- 4枚以上提出しても、使えるのは3枚目まで。4枚目以降は評価の対象にもならない
- 白黒・カラーは問わない。縦書き・横書きも自由。指定様式なし
- 手書きではなく、印字したもの
- 文字は10ポイント以上
- 冒頭にテーマ(AまたはB)、自分で付けたタイトル、氏名を明記し、ページ下部にページ番号
- 5部印刷して提出
「4枚目以降は評価の対象にもならない」と念押しされているのは、実際に超えて出す人がいるからです。3枚に収める設計を最初から立ててください。
テーマは2つから選ぶ
プレゼンテーションは約5分。テーマは出願前に決めます。
| テーマ | |
|---|---|
| A | 「私が関心を持っている地域の課題と学校教育の役割」(入学後の私のビジョン) |
| B | 「教職に関する学びで得た成果と課題」(入学後の私のビジョン) |
どちらにも「入学後の私のビジョン」という副題が付いています。地域の課題を語って終わり、体験を語って終わりでは足りないという指示です。「だから釧路校で何を学ぶか」まで書いて1つのプレゼンになります。
その後、約10分の質疑応答。さらに別途約15分の個人面接があります。
配点は600点の半々
| 検査項目 | 配点 |
|---|---|
| プレゼンテーション | 300点 |
| 面接 | 300点 |
| 合計 | 600点 |
当日は、出願時に提出したプレゼン資料を検査室の書画カメラでスクリーンに映して発表します。手元の別資料は使えません。
提出されたプレゼンテーション資料以外の資料を使用することはできません。
出願の時点で、当日の発表資料が確定するということです。
教員養成特別入試(札幌校・旭川校)——講義を聞いてからグループ討論とレポート
募集は「若干人」だが、専攻の数は多い
札幌校は学校教育専攻(教育学分野・教育心理学分野)、特別支援教育専攻、言語・社会教育専攻(国語・英語・社会科)、理数教育専攻(算数数学・理科)、生活創造教育専攻(総合技術・家庭科)、芸術体育教育専攻(図画工作美術・音楽・保健体育)、養護教育専攻。旭川校は教育発達専攻ほか8専攻。いずれも募集人員は「若干人」です。
出願は1つの修学校にのみ。志望分野は入学志願票に書きます。
札幌校は最大第5希望まで記入することができます。旭川校は第1希望のみ記入することができます。
札幌校は5つまで書けるので、第1希望が埋まっても拾われる可能性があります。旭川校は1つだけ。同じ入試名でも、校舎で戦い方が変わります。
第二次検査は「講義→討論→レポート」
これがこの入試の中心です。
①大学教員による講義を受講する。講義の内容は、教員養成課程で修学する上で基礎となる内容である。 ②講義の内容に基づき、グループ討論を行う。グループの構成人数は、5名程度である。 ③講義の内容及びグループ討論の結果をふまえてレポートを作成する。
評価基準も分かれています。討論は「討論への取り組みの様子から、教職をめざす上での資質・能力」。レポートは「講義及びグループ討論をふまえて自らの視点で課題を認識し、取り組みを適切に考察することができるか」。
レポートは講義の要約ではありません。「講義+討論をふまえて、自分はどこに課題を見るか」を書く場所です。討論で誰かが言ったことを引き取って自分の考えを進める、という書き方がそのまま評価基準に合っています。
面接は個人面接15分。評価基準は2点だけ明記されています。
- 子どもの成長への興味・関心を持っている
- 学校教育への強い志望意欲を持っている
芸術体育教育専攻の音楽教育分野・保健体育教育分野を希望する場合は、実技検査が加わります。
共通テストには「足切り」がある
| 検査項目 | 配点 |
|---|---|
| グループ討論・レポート・面接 | 450点 |
| 大学入学共通テスト | 475点 |
| 合計 | 925点 |
共通テストは950点満点に換算し、その2分の1を得点にします。そして次の規定があります。
大学入学共通テストの成績を950点満点に換算し、520点未満のときは、合格の対象となりません。
950点中520点、およそ55%。ここを下回ると、討論もレポートも面接もどれだけよくても合格になりません。年内の検査が終わってから共通テストがあるという日程なので、10月18日で気を抜けない入試です。
第二次検査の結果通知が11月30日、共通テストが1月16〜17日、最終発表が2月10日という流れになります。
自己推薦入試(岩見沢校)——3専攻で50人。小論文が2か所にある
岩見沢校の芸術・スポーツ文化学科で実施します。共通テストは課しません。
| 専攻 | 募集人員 | 当日の検査 |
|---|---|---|
| 芸術・スポーツビジネス専攻 | 8人 | 面接約45分(プレゼン発表10分以内+個人面接30分程度) |
| 美術文化専攻 | 20人 | デッサン3時間・書3時間・小論文2時間から1つ選択+面接15分 |
| スポーツ文化専攻 | 22人 | 小論文90分+個人面接15分程度 |
芸術・スポーツビジネス専攻——学修計画書がプレゼンの台本になる
面接は約45分。うちプレゼンテーションは発表10分以内・準備5分程度で、内容は「学修計画書」に基づくものです。学修計画書を出願時にどう書いたかが、そのまま当日の発表になります。
評価基準は5つ。志望動機の明確さ、質問への的確な応答、一般常識と社会性、「芸術・スポーツ文化分野の国際的なビジネスに関して、強い関心を持っていること」、そして「将来的な活動目標を持っていること」。
「スポーツが好き」では届きません。ビジネス・マネジメントとして何をしたいかが正面から問われます。
美術文化専攻——小論文で受けられる美術系入試
実技か小論文かを選べます。
| 選択肢 | 時間 |
|---|---|
| デッサン | 3時間 |
| 書 | 3時間 |
| 小論文 | 2時間 |
要項には注意書きがあります。
※上記試験科目は、入学後の研究室への所属を保証するものではありません。
小論文で受けたから理論系に進む、という対応関係はありません。得意な方法で受けてよいという設計です。ポートフォリオも提出書類に含まれます。
面接の評価基準には「今日の美術文化に対して考えを深めていること」が入っています。制作の話だけでなく、いまの美術と社会の関係について言葉を持っておく必要があります。
スポーツ文化専攻——小論文90分と、2つの区分
小論文は90分。評価基準は「設問に対する理解力、論理構成力、表現力等を総合的に評価します」。
選抜の仕組みが独特です。
スポーツ活動実績型区分の受験者から総合得点順に18名を選抜します。また、野外環境教育実績型区分の受験者から3名を選抜します。その後、区分に関わらずに総合得点の高得点順に1名を選抜します。
18+3+1で22人。野外環境教育実績型に3人の枠が確保されているのがポイントです。競技実績で勝負しにくい人にも入口があります。
面接の評価基準も区分で分かれます。スポーツ活動実績型は「スポーツ科学に関する高い関心」。野外環境教育実績型は「自然体験活動、野外教育、環境教育、野外活動に関する分野および環境問題、環境保全、地域活性化に関しての高い関心」。
そして両区分に共通して、「一般常識を持ち、時事問題に関して高い関心を持っていること」が入っています。小論文90分も面接も、スポーツの外側の話題に耐えられるかを見ています。
なお、この受験区分は入学後に選択するコースとは関係ありません。
どこから手をつけるか
1. 校舎を決める。それが入試を決める
| 志望 | 校舎 | 受けられる総合型 |
|---|---|---|
| 小中学校の教員(教科の専門を深めたい) | 札幌校・旭川校 | 教員養成特別入試 |
| 北海道の地域で教員として働きたい | 釧路校 | 「北海道みらいの教員」養成枠 |
| 芸術・スポーツを仕事にしたい | 岩見沢校 | 自己推薦入試 |
3つは併願できません。先に校舎を決めないと、準備の中身が決まりません。
2. 釧路校を狙うなら、動く時期が早い
出願要件の⒞(座学+学校現場での体験活動)を満たすには、高2のうちに探究のテーマを学校教育に寄せておくのが現実的です。出願は9月2日から9日。高3の夏に「体験活動を1件」は間に合いません。
オンデマンド動画「北海道の教員になろう」2本の視聴は全員必須です。まずここから始めてください。
3. 札幌・旭川を狙うなら、共通テストを捨てない
925点のうち475点が共通テストで、しかも950点換算で520点未満は不合格という条件が付いています。年内入試だから共通テスト対策は要らない、という入試ではありません。
一方で第二次検査は「講義→討論→レポート」。その場で聞いて、話して、書くという形式なので、過去問を暗記する対策は効きません。日頃から教育に関する文章を読んで、要点を1つ取り出して自分の意見を付ける練習が効きます。
4. 岩見沢校を狙うなら、書く方法が選べる
美術文化専攻はデッサン・書・小論文から選択。スポーツ文化専攻は小論文90分が必須です。実技に自信がなくても、文章で受けられる美術系の入試は多くありません。
まとめ
- 北海道教育大学の総合型選抜は3つ。校舎で受けられる入試が決まり、併願はできない
- 釧路校の「みらいの教員」養成枠は、オンデマンド動画の視聴が全員必須。加えて教職に関わる学習・活動の経験が要件
- プレゼン資料はA4・3枚以内、4枚目以降は評価対象にもならない。志望理由書・教育活動経験報告書・プレゼン資料は生成AI禁止
- プレゼンのテーマはA・Bどちらも副題が「入学後の私のビジョン」。地域や体験を語って終わりにしない
- 札幌校・旭川校の教員養成特別入試は、講義を受けてグループ討論(5名程度)、そのあとレポート
- 同じ入試でも札幌校は第5希望まで、旭川校は第1希望のみ
- 共通テストは950点換算で520点未満だと合格の対象にならない
- 岩見沢校の自己推薦入試は50人。美術文化はデッサン3時間・書3時間・小論文2時間から選択、スポーツ文化は小論文90分
- スポーツ文化専攻には野外環境教育実績型に3人の枠がある
同じ北海道では室蘭工業・北見工業・帯広畜産・小樽商科・旭川医科の5校、北海道大学のフロンティア入試、北海学園大学も扱っています。東北の教員養成では宮城教育大学も同じように実技系の総合型選抜を実施しています。教育学部の書き方は教育学部の小論文、美術・体育系の実際の入試は武蔵野美術・多摩美術・日本体育にまとめました。志望校の傾向を自分で読み解く手順は大学別対策の作り方、総合型選抜全体の位置づけは総合型選抜の完全ガイドにあります。