福井大学 総合型選抜の対策。鉛筆素描のあと90分でプレゼン資料を作る教育学部と、面接が400点の応用物理学科
福井大学の総合型選抜Ⅰ・Ⅱを、令和9年度(2027年度)の学生募集要項から整理しました。実技のあとに資料を作る美術の高大接続型入試、書類だけで通る国際地域学部の一次、学科ごとに配点が違う工学部までを解説します。
福井大学 教育学部の総合型選抜(実技型・美術)は、1日の流れが独特です。
鉛筆素描(120分)→ プレゼンテーション資料を筆記で作成(90分)→ そのプレゼンと個人面接
描いてから、書いて、話す。実技系の入試でここまで組み合わせる例は多くありません。
そして工学部は、学科によって面接の配点が200点から400点まで変わります。応用物理学科は共通テスト400点と面接400点が同じ重さです。
この記事は、公開されている令和9年度(2027年度)の学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:福井大学 入試日程・募集人員・募集要項/令和9年度教育学部総合型選抜Ⅰ学生募集要項(PDF)/令和9年度総合型選抜Ⅰ(高大接続型入試)学生募集要項(国際地域学部)(PDF)/令和9年度総合型選抜Ⅱ学生募集要項(工学部)(PDF)/令和9年度入学者選抜要項(PDF)
総合型選抜はⅠとⅡに分かれる
| 学部 | 募集人員 | 共通テスト | 出願期間 | 選考日 | 合格発表 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 総合型選抜Ⅰ | 教育学部(実技型・美術/高大接続型入試) | 3人 | 課さない | 2026年11月2日〜6日 | 11月14日 | 12月1日 |
| 総合型選抜Ⅰ | 国際地域学部(高大接続型入試) | 8人 | 課さない | 10月13日〜19日 | 最終:11月21日 | 12月1日 |
| 総合型選抜Ⅱ | 工学部 | 85人 | 課す | 11月10日〜16日 | 12月12日 | 2027年2月10日 |
枠がいちばん大きいのは工学部の85人です。ⅠとⅡで決着の時期がまったく違います。
教育学部——実技型(美術)だけの3人
募集人員と志望の書き方
| コース | 募集人員 |
|---|---|
| 初等教育コース | 1人 |
| 中等教育コース | 2人 |
そして志望の並べ方に工夫があります。
初等教育コースと中等教育コース間においては、第1、第2志望を認めます。初等教育コースの志願者は中等教育コースを第2志望とすることができ、中等教育コースの志願者は初等教育コースを第2志望とすることができます。
両方に望みをつなげます。1人・2人という小さな枠なので、第2志望を書かない手はありません。
当日の時間割
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 9:00〜11:00(120分) | 実技検査(鉛筆素描) |
| 11:15〜12:45(90分) | プレゼンテーション資料作成 |
| 13:30〜 | プレゼンテーション・個人面接 |
実技検査
基礎的な造形力を鉛筆素描にて判定します。 ※鉛筆等、描画に必要な用具を持参してください。 ※モチーフ、画用紙(サンフラワー紙B3サイズ)は本学で用意します。
紙のサイズと種類まで公開されています。B3のサンフラワー紙で120分——練習の条件がそのまま決まります。
プレゼンテーション資料作成
与えられた課題(美術教育と関わるための課題)について、自己の学習体験を踏まえたプレゼンテーション資料を筆記により作成してもらいます。
パソコンではなく筆記です。90分で、手で書いて作ります。
そして持ち込みが認められています。
- 高校等での取り組みやその成果に関する「学びの記録」(様式3)——大学サイトからダウンロードして事前に作成
- 作品ポートフォリオなど
※なお、参考資料として持ち込まれた資料については、一切返却しません。
原本ではなくコピーを持っていくのが安全です。
課題は「美術教育と関わるための課題」
課題そのものは当日示されますが、方向はわかっています。「美術教育と関わるための課題」で、「自己の学習体験を踏まえた」資料を作る。
つまり、自分がこれまでに作ってきたもの・学んできたことを、美術教育の話につなげる準備をしておけば形になります。ポートフォリオを整理する段階で、1点ごとに「これを子どもにどう見せるか」を考えておくと、当日その材料がそのまま使えます。
なお、本学が課す試験を一部でも受験しなかった場合には失格となります。
国際地域学部——第1次は書類だけ、来学不要
募集人員は8人
出願は10月13日〜19日と、福井大学の中でいちばん早い日程です。
第1次選考は3つの書類
調査書、志願理由書、取り組みと成果に関するレポート(取り組みを証明する資料を、主要なもの5点まで添付してください。)を総合的に評価し、第1次選考合格者を決定します。(書類選考のため、来学する必要はありません。)
「取り組みと成果に関するレポート」がこの入試の中心です。証明資料は5点まで。多く出せばよいものではありません。
第1次選考の結果は11月11日に発表されます。そして落ちた場合の扱いが明記されています。
なお、第1次選考(書類選考)で不合格になった場合は、検定料のうち13,000円を返還します。
最終選考は10分のプレゼンと面接
11月21日(土)。
第1次選考合格者に対して、取り組みに対する10分程度のプレゼンテーションの後に面接を行います。プレゼンテーションでは、第1次選考時に提出された取り組みと成果に関するレポートの内容の口頭発表を課します。口頭発表は、日本語で行ってください。また、パソコンの使用、必要な資料の持ち込みを可とします。
「国際地域学部」という名前ですが、発表は日本語です。そしてパソコンも資料も使えます。制約が少ないぶん、レポートの内容そのものが勝負になります。
引き続き、プレゼンの内容に関する質疑応答を含めた面接があり、第1次選考と最終選考の結果を総合して合格者が決まります。
工学部——85人。学科で配点が違う
募集人員と枠
| 学科 | 募集人員 | 枠 |
|---|---|---|
| 機械・システム工学科 | 30 | うち特別枠(原子力安全工学コース)5・女子特別枠15(内数) |
| 電気電子情報工学科 | 15 | +専門系学科枠 若干名 |
| 建築・都市環境工学科 | 10 | |
| 物質・生命化学科 | 20 | |
| 応用物理学科 | 10 | |
| 合計 | 85 |
機械・システム工学科の30人のうち15人が女子特別枠です。国立大学工学部の女子枠としては大きい部類に入ります。
出願できるのは、各学科・枠の内1つです。併願はできません。
専門系学科枠は「合わせて20単位」でよい
専門系学科枠については、高等学校(特別支援学校の高等部を含む)若しくは中等教育学校の学科に関わらず「工業」又は「農業」又は「情報」又は「商業」、及び「水産」に関する教科・科目を20単位以上取得見込みの者(合わせて20単位以上取得見込みの者も含む)とする。
ポイントが2つあります。
- 学科は問わない。工業高校でなくても、該当科目を取っていれば対象
- 1分野で20単位でなくてよい。工業と情報を合わせて20単位でも構わない
普通科や総合学科でも、該当する可能性があります。
配点は学科ごとに違う
| 学科 | 大学入学共通テスト | 面接 | 調査書 | その他(志願理由書・自己推薦書) | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 機械・システム工学科 | 300 | 200 | 100 | 100 | 700 |
| 電気電子情報工学科 | 500 | 300 | 100 | 100 | 1,000 |
| 建築・都市環境工学科 | 500 | 200 | 40 | 60 | 800 |
| 物質・生命化学科 | 600 | 300 | 40 | 60 | 1,000 |
| 応用物理学科 | 400 | 400 | 30 | 60 | 890 |
応用物理学科は共通テストと面接が同点です。逆に物質・生命化学科は共通テスト600点で、比重が学力寄りになります。
共通テストの科目が学科で違う
| 学科 | 共通テストの構成 |
|---|---|
| 機械・システム工学科 | 2教科3科目(数学①・数学②・物理) |
| 電気電子情報工学科 | 1教科2科目または2教科2科目(数学①・数学②・物理から) |
| 建築・都市環境工学科 | 3教科4科目または4教科4科目(数学・理科・国語・外国語・情報から3つ) |
| 物質・生命化学科 | 2教科3科目(数学①・数学②・理科から) |
| 応用物理学科 | 2教科3科目(数学①・数学②・物理) |
そして第1解答科目のルールが細かく決まっています。
- 機械・システム工学科、応用物理学科は『物理』が必須。第2解答科目で受験した場合は物理を0点として扱う
- 電気電子情報工学科は、『物理』が第1解答科目でない場合、「数学①」と「数学②」の得点を採用
- 物質・生命化学科は、理科の第1解答科目を採用し、残りは「数学①」「数学②」「理科(第2解答科目)」のうち高得点を採用
理科を2科目受ける場合、どちらを先に解くかで点数が変わります。共通テスト当日の解答順は、出願先を決めた時点で決まっているということです。
英語はリーディング150点・リスニング50点に換算されます。
面接の中身が枠ごとに違う
| 学科・枠 | 面接で特に見るもの |
|---|---|
| 機械・システム工学科 | 面接(口頭試問なし) |
| 特別枠(原子力安全工学コース) | エネルギー問題や地球温暖化問題、原子力発電の利用に関する知識や興味について質疑し、論理的な思考力とコミュニケーション能力を評価 |
| 女子特別枠 | 多様化する社会の中で、全ての人が活躍できる社会構築に向けて多角的に物を見る能力と柔軟な思考力を評価 |
| 電気電子情報工学科 | 面接(口頭試問を含む) |
| 専門系学科枠 | 学科に関わる専門分野への関心・意欲・理解について特に確認 |
| 建築・都市環境工学科 | 面接(口頭試問を含む) |
| 物質・生命化学科 | 自己推薦書の中で受験者が特にPRしたい内容を中心とした質疑応答により、学習意欲、チャレンジ精神、論理性等を評価 |
| 応用物理学科 | 面接(口頭試問を含む)。回答を導くために補助的にホワイトボードや紙を使用する場合がある |
特別枠と女子特別枠は、面接で聞かれることが公表されています。原子力安全工学コースなら「エネルギー問題・地球温暖化・原子力発電」、女子特別枠なら「全ての人が活躍できる社会」。どちらも準備できます。
物質・生命化学科は自己推薦書のPR内容が面接の中心になるので、書いたことを深掘りされる前提で作る必要があります。
なお、特別枠(原子力安全工学コース)の合格者は入学後に原子力安全工学コースで学ぶことを確約する必要があり、コース配属後の3年次からは敦賀キャンパスで学びます。
どこから手をつけるか
1. 出願時期が3つに分かれている
| 出願 | 学部 |
|---|---|
| 10月13日〜19日 | 国際地域学部 |
| 11月2日〜6日 | 教育学部 |
| 11月10日〜16日 | 工学部 |
国際地域学部がいちばん早い。しかも第1次選考が書類だけなので、「取り組みと成果に関するレポート」を10月中旬までに完成させる必要があります。
2. 教育学部は「描く」と「書く」を両方鍛える
B3の鉛筆素描を120分。そのあと90分で手書きの資料。同じ日に、違う頭を使います。
素描の練習だけでは足りません。自分の作品を言葉にする練習——なぜそれを作ったか、何を工夫したか、それを子どもにどう伝えるか——を、書いて残しておいてください。「学びの記録」と作品ポートフォリオが、そのまま持ち込み資料になります。
3. 工学部は「共通テストの解答順」まで決めておく
福井大学工学部の総合型選抜Ⅱは、第1解答科目のルールが学科ごとに違います。物理を第2解答科目で受けたら0点になる学科があります。
出願先を決めたら、共通テスト当日にどの科目をどの順で解くかを紙に書いて確認してください。これは対策というより、事故を防ぐ作業です。
4. 枠に当てはまるなら、枠で出す
- 機械・システム工学科の女子特別枠は15人(学科30人の半分)
- 電気電子情報工学科の専門系学科枠は、学科を問わず「工業・農業・情報・商業・水産」で合わせて20単位
該当するなら枠のほうが競争相手が絞られます。ただし併願はできないので、出願時に決め切る必要があります。
まとめ
- 福井大学の総合型選抜はⅠ(教育3人・国際地域8人)とⅡ(工学部85人)
- 教育学部は実技型(美術)のみ。初等教育コース1人・中等教育コース2人で、第2志望を書ける
- 教育学部の当日は鉛筆素描120分 → プレゼン資料を筆記で90分 → プレゼン・面接
- 素描のモチーフと画用紙(サンフラワー紙B3)は大学が用意。描画材は持参
- 教育学部は「学びの記録」(様式3)や作品ポートフォリオを持ち込める(返却されない)
- 国際地域学部の第1次選考は書類だけで、来学不要。証明資料は5点まで
- 国際地域学部は第1次不合格なら検定料13,000円が返還される
- 国際地域学部の最終選考は10分のプレゼン+面接。発表は日本語で、パソコンも資料も使える
- 工学部は85人。機械・システム工学科30人のうち女子特別枠が15人
- 専門系学科枠は学科を問わず、工業・農業・情報・商業・水産を合わせて20単位以上でよい
- 工学部の配点は学科で違い、応用物理学科は共通テスト400点と面接400点が同じ
- 共通テストの第1解答科目のルールが学科ごとに違う。機械・応用物理は物理を第2解答科目で受けると0点
- 特別枠(原子力安全工学コース)と女子特別枠は、面接で聞かれることが公表されている
- 物質・生命化学科の面接は自己推薦書でPRした内容が中心になる
- 出願できるのは各学科・枠のうち1つだけ(併願不可)
同じ北陸・甲信越では上越教育大学、山梨大学、富山大学、新潟大学、信州大学、金沢大学のKUGS特別入試も扱っています。美術系の入試は武蔵野美術・多摩美術・日本体育、教育学部の書き方は教育学部の小論文にまとめました。志望校の傾向を自分で読み解く手順は大学別対策の作り方、総合型選抜全体の位置づけは総合型選抜の完全ガイドにあります。
福井県内の公立大学では、福井県立大学が6学部7学科・54名の総合型選抜を実施しています(出願10月1日〜8日、試験11月22日)。北陸の公立大学で2027年度に総合型選抜を行うのは福井県立大学だけです。