小論文キャンパス
大学別対策

東京海洋大学・筑波技術大学の総合型選抜。小論文の過去問と解答例が公開され、プレゼンが500点になる

約16分で読めます

東京海洋大学と筑波技術大学の総合型選抜を、令和9年度(2027年度)の学生募集要項から整理しました。小論文2本と模擬講義の聴講論文、公開されている出題の意図、配点の半分がプレゼンの入試までを解説します。東京藝術大学に総合型選抜がないことも要項で確認しています。

東京海洋大学の総合型選抜は、過去問が解答例と一緒に公開されています。

大学のサイトには「2026年度 総合型選抜入試問題、解答例および出題意図」というページがあり、小論文①・小論文②・聴講論文・課題論文の問題がPDFで並んでいます。出題の意図まで大学が説明している入試は多くありません。

そして筑波技術大学の産業技術学部は、1,000点満点のうち500点がプレゼンテーションです。

この記事は、公開されている令和9年度(2027年度)の学生募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願要件は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:東京海洋大学 学部入試/令和9年度海洋生命科学部・海洋資源環境学部総合型選抜募集要項(PDF)/令和9年度海洋政策文化学科総合型選抜学生募集要項(PDF)/2026年度総合型選抜入試問題、解答例および出題意図/筑波技術大学 令和9年度学生募集要項/令和9年度産業技術学部・共生社会創成学部(聴覚障害コース)学生募集要項(PDF)/令和9年度保健科学部・共生社会創成学部(視覚障害コース)学生募集要項(PDF)/東京藝術大学 2027年度入学者選抜要項(PDF)

東京海洋大学——書くことが3回ある

東京海洋大学の総合型選抜は、学科によって要項が2つに分かれています。

要項 対象 総合型選抜A(一般)の募集
海洋生命科学部・海洋資源環境学部 海洋生物資源学科/食品生産科学科/海洋環境科学科/海洋資源エネルギー学科 海洋生物資源学科 8名(+水産教員養成課程 若干名)
海洋政策文化学科 海洋生命科学部 海洋政策文化学科 別要項・総合型選抜Bもある

A(一般)以外に、C-Ⅰ(帰国生徒)、C-Ⅱ(留学経験者)、E(社会人)があり、こちらは4学科すべてで若干名を募集します。

日程が学科で1か月以上ずれる

海洋生物資源学科(A) 海洋政策文化学科(A)
出願期間 2026年11月2日〜11月9日 2026年9月1日〜9月7日
第1次選抜 11月19日(小論文1・小論文2) 9月25日(小論文・個人面接)
第1次発表 12月11日 10月9日
第2次選抜 12月18日(聴講論文・個人面接) 11月19日(聴講論文・個人面接)
第2次発表 2027年1月19日 12月11日

海洋政策文化学科は9月1日出願。夏休み中に書類を仕上げる必要があります。

出願要件に英語資格がある

総合型選抜(海洋政策文化学科の総合型選抜Bを除く)は、次のいずれかを持っていることが要件です。

資格 基準
英検 準2級以上(従来型・CBT・S-CBT・S-Interview)
TOEIC L&R(TOEIC-IPを含む) 400点以上
TOEFL iBT バンド3.0以上もしくは40点以上
IELTS バンド3.5以上
GTEC(4技能) 830点以上(オフィシャルスコアに限る)
TEAP(4技能) 160点以上
ケンブリッジ英語検定 120点以上

英検準2級が基準なので、高2までに取れる範囲です。ただし持っていないと出願できません。

海洋生物資源学科にはもう1つ要件があります。

「物理」、「化学」、「生物」または「地学」から、合計2科目以上を履修した(している)者(「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」は認めない。)

基礎科目では要件を満たしません。理科を2科目、基礎なしで取っている必要があります。

第1次選抜は小論文だけで、募集人員の3倍に絞る

海洋生物資源学科の第1次選抜は11月19日。

時間 内容
9:00〜10:20 小論文1(80分)
11:00〜12:30 小論文2(90分)

1日で小論文を2本書きます。これと調査書等・志望理由書で、募集人員の3倍程度まで絞られます。

小論文の評価基準は要項に書かれています。

問題文を正確に把握する能力はあるか、論理的でかつ説得力のある文章を書くことができるか、自分独自のものの見方を持っているかについて総合的に評価します。なお、基礎的な自然科学の知識に加え、英語の読解力も要求されます。

英語の読解力が明記されています。英文資料を読ませる設問がある、という予告です。過去問を見ればどの程度かはすぐ分かります。

第2次選抜は「模擬講義を聴いて書く」

ア 第1次選抜の成績 イ 模擬講義を聴講し作成した聴講論文 ウ 個人面接

12月18日、10:00〜12:00の120分が聴講論文、13:00から個人面接です。

「聴講論文」という名前の試験を持つ大学はほとんどありません。そしてその過去問と解答例が公開されています。対策の入口としてこれ以上のものはありません。

面接で見るものも書かれています。

個人面接では大学で学ぶための適性・学習意欲、熱意、好奇心、問題意識、及びコミュニケーション能力などについて評価します。

海洋政策文化学科には「条件付合格」がある

海洋政策文化学科の総合型選抜A(一般)だけ、独特の仕組みがあります。

条件付合格者には、大学入学共通テストの海洋政策文化学科の一般選抜前期日程、または後期日程で必要となる教科・科目を受験することを求め、その点数により、最終結果を通知します。

12月11日の第2次選抜発表で「合格」と「条件付合格」に分かれ、条件付合格者は共通テストを受けて2027年2月10日以降に最終結果が出ます。

「合格したが、共通テストで一定点を取ることが条件」という形です。年内に安心できるとは限りません。

なお海洋政策文化学科の第1次選抜は、小論文(10:30〜12:00の90分)と個人面接(13:30〜)を同じ日に行います。書類だけの1次ではありません。

総合型選抜B(専門学科・総合学科卒業生)

海洋政策文化学科にだけある枠です。

「小論文①(総合型全選抜共通)」、「小論文②(水産・海洋の基礎に関するもの)」、「面接・口頭試問」、「調査書」、「志望理由書」により多面的、総合的に評価して選抜を行い、上位数名を合格者とします。

小論文が2本で、②は水産・海洋の基礎という専門寄りの内容です。この枠だけ英語資格の要件がありません。

筑波技術大学——聴覚障害者・視覚障害者のための国立大学

筑波技術大学は、聴覚障害者・視覚障害者を対象とする日本で唯一の国立大学です。総合型選抜も、その前提で設計されています。

学部で対象が分かれる

学部・学科 対象 総合型選抜の募集人員
産業技術学部 産業情報学科 聴覚障害者 若干名(第1回・第2回)
産業技術学部 総合デザイン学科 聴覚障害者 若干名(第1回・第2回)
保健科学部 保健学科(鍼灸学・理学療法学・健康スポーツ学) 視覚障害者 第1回4名・第2回2名=6名
保健科学部 情報システム学科 視覚障害者 第2回3名
共生社会創成学部 共生社会創成学科 視覚障害コース 視覚障害者 第2回3名

出願資格には障害の程度が明記されています。聴覚障害系は「両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上(裸耳)」、視覚障害系は「両眼の矯正視力がおおむね0.3未満」などです。

総合型選抜は年2回ある

第1回 第2回
産業技術学部 出願 2026年12月1日〜12月8日 2027年1月4日〜1月8日
産業技術学部 試験日 12月19日 2027年1月23日
保健科学部等 出願 2026年9月24日〜10月1日 12月1日〜12月8日
保健科学部等 試験日 10月10日 12月19日

第1回に合格しなかった者は、第2回にも出願できます。さらに一般選抜(前期日程)にも出願できます(共通テストの受験が必要)。

再出願の際、「聴覚障害に関する診断書」と「入学資格に関する状況報告書」は再提出不要です。

産業技術学部——1,000点のうち500点がプレゼン

書類審査 小論文 プレゼンテーション 面接 合計
100 200 500 200 1,000

プレゼンが配点の半分です。共通テストも個別テストも課しません。

発表内容は3項目に決まっています。

関心をもって積極的に取り組んだ令和6年4月以降の活動のうち、 (1)希望するコースで入学後の学びにつながる活動の内容 (2)(1)の中で特に力を入れた取り組みの具体例(成果獲得に向けた努力のプロセスを含む) (3)本学で学びたいこと を説明していただきます。

「令和6年4月以降」と期間が区切られています。中学時代の実績は対象外です。

実施のルールも具体的です。

  • 内容は本学所定のエントリーシートに記入し、出願時に提出
  • 当日は、エントリーシートの「これまでの活動」「活動実績」に基づき、成果物(制作した作品や図面、活動の記録や写真、プログラム等)やスライドなどを提示しながら7分程度で説明
  • 試験室の大型モニタ等の表示機器と実物投影機を使用できる
  • 電子データの場合は起動・再生に必要な機器を受験者本人が用意。HDMI端子で接続でき、変換ケーブルやアダプタが必要なら本人が用意

そして最も重要な一文があります。

プレゼンテーションと面接は、いずれも一人ずつ実施します。なお、音声・手話・筆談などのコミュニケーション方法は問いません。

話し方の形式は評価対象ではないと明記されています。

小論文(200点)の評価基準も公開されています。

日本語の基礎的な能力(読解力、表現力、表記力)、資料等の読解力及び論理的思考力をみる。

時間割は、第1回・第2回とも9:30から小論文、10:50以降にプレゼンテーションと面接という流れです。

受験者は、試験日程に従って指定された各試験等を全て受験しなければなりません。指定された試験等を1つでも受験しなかった場合は、欠席扱いとなり、選考の対象外となります。

保健科学部・共生社会創成学部(視覚障害コース)——1,000点のうち800点が面接

書類審査 面接 合計
200 800 1,000

小論文もプレゼンもありません。面接が8割です。

面接:学部・学科への理解、人物、表現力、理解力、適性、将来に対する意欲等を評価します。一般教養に関する口頭試問を含みます。

一般教養の口頭試問が入るので、志望理由だけを準備しても足りません。時事や基礎的な知識について、その場で答えられる状態が要ります。

面接は複数の面接員による個別面接で、9:00〜12:00と13:00〜17:00という長い時間枠が設定されています。

共生社会創成学部には「指定課題」がある

共生社会創成学部では、指定課題に関する内容も含めて面接を行います。指定課題は出願受付後、メールで送付します。受験者心得の点字版を希望している者には、指定課題も点字版で郵送します。

出願してから課題が届き、それについて面接で聞かれるという形式です。準備期間があるので、当日のアドリブではありません。

小論文の「文字の種類」を選べる

総合型選抜ではなく一般選抜・学校推薦型選抜・社会人選抜の話ですが、筑波技術大学ならではの制度なので触れておきます。

出願時に次の2つを選びます。

  • 小論文問題用文字の種類の希望(点字か、点字でない文字(墨字)か、など)
  • 解答方法

さらに、受験時に使用したい機器(拡大読書器、書見台など)を申請でき、大学から借りることもできます。拡大読書器を持参する場合は、画像が保存されていない状態で持参し、試験後に監督員の指示で画像を消去する、というルールまで決まっています。

「小論文を受ける方法」そのものが選べる入試です。

なお、総合型選抜(視覚障害系)は面接のみのため、機器は使用しません。

東京藝術大学には総合型選抜がない

関東の国立大学を扱う以上、東京藝術大学にも触れておきます。結論から書きます。

東京藝術大学は総合型選抜・学校推薦型選抜を実施していません。2027年度入学者選抜要項に明記されています。

本学においては,2段階選抜,学校推薦型選抜,専門学科・総合学科卒業生入試,社会人入試,欠員補充第2次募集は行わない。

学部の選抜は一般選抜(前期日程のみ)と、特別選抜(私費外国人留学生入試・帰国生徒選抜・外国教育課程出身者特別入試・音楽学部SSP飛び入学)です。一般選抜(後期日程)も実施しません。

ただし、小論文で受けられる科がある

美術学部には、実技の代わりに小論文を選べる科があります。

※2 美術学部先端芸術表現科1次は、実技検査又は小論文のいずれかを出願時に志願者が選択すること。 ※3 美術学部芸術学科は、実技検査又は小論文のいずれかを志願者が選択すること。

総合型選抜はないが、一般選抜で小論文を選べる。藝大を目指していて実技に不安がある人にとっては、ここが入口になります。

私立の音楽大学には総合型選抜があります。東京音楽大学・国立音楽大学・武蔵野音楽大学・桐朋学園大学の4校は東京の音楽大学4校の総合型選抜にまとめました。

どこから手をつけるか

1. 東京海洋大学は、まず過去問を解く

小論文①・小論文②・聴講論文の問題、解答例、出題の意図が公開されています。しかも複数年度分あります。

やることは決まっています。小論文1を80分、小論文2を90分、続けて解く。そのあと解答例と出題の意図を読む。1日でおおよその距離が分かります。

「英語の読解力も要求される」と要項が言っているので、英文が出ている年の問題を必ず確認してください。

2. 「聴講論文」は形式が特殊なので、必ず一度体験する

模擬講義を聞いてから書く形式は、東京海洋大学のほかに埼玉大学や神戸大学にもあります。共通するのは、知識ではなくその場の理解力を測るという点です。

海洋系の講義動画(水産資源、海洋環境、食品科学など)を30分見てメモを取り、そこから120分で論文を書く。過去問の設問形式が分かっているので、練習の型はそのまま作れます。

3. 英語資格は出願要件。先に取る

東京海洋大学は英検準2級相当が出願の条件です。持っていなければ、どれだけ小論文が書けても出願できません。高2の間に済ませてください。

4. 筑波技術大学は、志望学部で準備がまったく違う

学部 重心 準備
産業技術学部 プレゼン500点 エントリーシート+7分の発表(成果物・スライドを見せながら)
保健科学部・共生社会創成学部(視覚障害コース) 面接800点 一般教養の口頭試問+(共生社会創成学部は)指定課題

産業技術学部は令和6年4月以降の活動が対象です。高2の春以降に何をしたかが、そのまま素材になります。

まとめ

  • 東京海洋大学は総合型選抜の小論文・聴講論文の過去問、解答例、出題の意図を公開している
  • 総合型選抜A(一般)は海洋生物資源学科8名。海洋政策文化学科は別要項で、出願が9月1日〜7日と早い
  • 出願要件に英語資格(英検準2級相当以上)。海洋生物資源学科は理科を基礎なしで2科目以上履修していることも必要
  • 海洋生物資源学科の第1次選抜は小論文1(80分)+小論文2(90分)で、募集人員の3倍程度に絞る
  • 小論文は「基礎的な自然科学の知識に加え、英語の読解力も要求される」と明記
  • 第2次選抜は模擬講義を聴いて書く「聴講論文」120分+個人面接
  • 海洋政策文化学科には条件付合格があり、共通テストの点数で最終結果が決まる
  • 海洋政策文化学科の総合型選抜B(専門学科・総合学科卒業生)は英語資格が不要で、小論文が2本
  • 筑波技術大学は聴覚障害者・視覚障害者のための国立大学。総合型選抜は年2回あり、第1回に落ちても第2回に出願できる
  • 産業技術学部は1,000点中500点がプレゼンテーション。発表は7分程度、対象は令和6年4月以降の活動
  • 産業技術学部のプレゼンは音声・手話・筆談などのコミュニケーション方法を問わない
  • 保健科学部・共生社会創成学部(視覚障害コース)は1,000点中800点が面接。一般教養の口頭試問を含む
  • 共生社会創成学部は指定課題が出願後にメールで届き、点字版も郵送される
  • 筑波技術大学の小論文は、問題用紙の文字の種類と解答方法を出願時に選べる(一般選抜等)
  • 東京藝術大学は総合型選抜・学校推薦型選抜を実施していない。ただし美術学部の先端芸術表現科と芸術学科は、一般選抜で実技検査か小論文を選べる

同じ関東の国立大学では茨城大学、宇都宮大学、群馬大学、筑波大学のAC入試、千葉大学、横浜国立大学も扱っています。美術・体育系を志望するなら武蔵野美術・多摩美術・日本体育、獣医・農学系なら獣医学部の総合型選抜も合わせて読んでください。志望校の傾向を自分で読み解く手順は大学別対策の作り方、総合型選抜全体の位置づけは総合型選抜の完全ガイドにまとめています。

Related

関連記事

← 「大学別対策」の記事一覧へ