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武蔵野美術大学・多摩美術大学・日本体育大学の総合型選抜。ポートフォリオ、実技、そして生成AIの扱い

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武蔵野美術大学・多摩美術大学・日本体育大学の総合型選抜を、2027年度の学生募集要項に沿って整理しました。ムサビの学科別方式と生成AIの取扱い、多摩美が公開する専門試験の参考作品、日体大の6方式(実技方式の4種目を含む)までを解説します。

美術系と体育系の総合型選抜は、他の学部系統とは前提が違います。

小論文や志望理由書だけでは決まりません。評価されるのは、ポートフォリオ、作品、実技、身体能力です。

ただし、書く要素がないわけではありません。武蔵野美術大学は自己推薦調書と学修計画書、多摩美術大学は専門試験、日本体育大学は小論文・論述試験や事前課題を課します。

そして武蔵野美術大学は、生成AIの扱いを要項に明文化しています。

この記事は、公開されている2027年度の学生募集要項・入試サイトの記載をもとに構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。武蔵野美術大学は要項公開後に記載の訂正を出しています。日程・提出物・方式は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:武蔵野美術大学 総合型選抜/同 総合型選抜[前期]2027年度 学生募集要項(PDF)/多摩美術大学 総合型選抜・学校推薦型選抜/日本体育大学 入学者選抜方式

武蔵野美術大学——学科ごとに「方式」が違う

まず、この入試の位置づけ

大学の説明が明快です。

本学を専願とする選抜方式です。「ムサビで学びたい学科が決まっている」「定められた時間内に作品をつくるような従来の入試が苦手」「でも、ものづくりに対する熱意は誰にも負けない!」そういった受験生におすすめしている選抜方式です。 個性的であったり、独創的な作品や、一般選抜では表現が難しいもの、これまでの活動などをポートフォリオ(作品資料ファイル)や調書にまとめ、それらを生かして、ムサビで学びたいことを面接で強くアピールしてください。

一般選抜の実技(制限時間内の制作)が苦手な人のための入口、と大学が明言しています。

総合型選抜は[前期][後期]の2日程で実施されます。

学科ごとに方式名が違う

要項の目次から、方式の一覧が読み取れます。

学科 方式
日本画学科/油絵学科(油絵専攻)/油絵学科(グラフィックアーツ専攻)/彫刻学科/空間演出デザイン学科/建築学科/基礎デザイン学科/芸術文化学科/デザイン情報学科 一般方式
工芸工業デザイン学科 一般方式/ワークショップ方式
クリエイティブイノベーション学科 構想力重視方式/探究力重視方式
映像学科 クリエイション資質重視方式

クリエイティブイノベーション学科の探究力重視方式には、専用の出願資格があります。

(3)以下のいずれかに該当する者。 ① 高等学校もしくは中等教育学校の教育課程内の授業等において探究活動(課題研究)に取り組んでいる者、もしくは取り組んだ者。 ② 教育課程外で探究活動に取り組んでいる者、もしくは取り組んだ者。課題研究、部活動、委員会活動、課外活動、自主活動など、活動の形式は問わない。

探究の形式は問われません。部活動でも自主活動でもよい、と書かれています(探究活動 完全ガイド)。

提出物が学科ごとに指定されている

第1次選考の提出物は、学科によって出し方が変わります。

提出物 対象学科
ポートフォリオ・作品資料(出願書類に同封/郵送) 日本画学科、油絵学科(油絵専攻・グラフィックアーツ専攻)、彫刻学科、工芸工業デザイン学科(一般方式)、デザイン情報学科
自己推薦調書(1)作品 空間演出デザイン学科
ポートフォリオをwebにアップロード 映像学科
プレゼンテーション企画書(2つ折りにして同封) 基礎デザイン学科
学修計画書 クリエイティブイノベーション学科(全ての方式で必要)

映像学科だけデータ提出、基礎デザイン学科だけ企画書。志望学科の指定を読み違えると出願が成立しません。

「提出作品自己作成証明書」が要る

作品を出す学科には、証明書が必須です。

志願者本人は提出する作品等が自ら制作したものであることを誓約してください。また、指導教員等より提出作品等が志願者本人の作品であることの証明を取得してください。親族・友人による証明は不可とします。

学校の先生や指導者にサインをもらう必要があります。独学で制作している人は、誰に証明してもらうかを早めに考えておく必要があります。

作品には1点につき1枚の「作品用氏名ラベル」を外から見える位置に貼ること、記載内容を提出作品自己作成証明書と一致させることも指定されています。

ポートフォリオは合格発表(第1次選考不合格者は第1次選考結果発表後)の翌月を目途に郵送返却されます。

生成AIの扱いが明文化されている

これは美術大学ならではの記述です。

武蔵野美術大学ではクリエイティブの可能性を探るうえで、学生が生成AIを活用することに一定の意義を見いだしています。ただし、それはみなさんが「学びとは何か」を自ら考えるための一つの手段として生成AIを用いることを推奨するものであり、ものづくりや思考をAIに代行させることを認めるものではありません。 (中略)入学者選抜では生成系AIツールにより生成された作品、文章等をそのまま複製・転載・貼付したものは受験生本人の成果物とはみなしません(生成AIが作成した文章や回答の語尾や言い回しの一部を変えたり、構成の順序を入れ替える程度の改変も「そのままの利用」に含まれます)。自らの責任において十分に考え、制作したものを提出してください。

「語尾を変える」「順序を入れ替える」程度では回避できないと明記されています。ここまで踏み込んだ記述は珍しく、他大学の運用を考えるうえでも参考になります。

年齢制限がある学科がある

見落としやすい条件です。

日本画学科 2027年4月1日現在で満26歳以下の者。 建築学科 2027年4月1日現在で満28歳以下の者。

変更点と訂正が公開されている

2027年度の変更点も要項に載っています。

○油絵学科グラフィックアーツ専攻 提出作品の規程を変更します。 変更前:50号程度を目安として、原則当日持参できることとします。 変更後:受験生本人が移動可能なサイズ・重量の範囲内として、原則当日持参できることとします。 ○空間演出デザイン学科 提出作品の規程を変更します。 変更前:サイズは「一人で持てる大きさ」とします。 変更後:900mm×600mm×1800mm以内のスペースに展示できること。

さらに、要項公開後の訂正まで大学サイトに掲載されています。

P38 クリエイティブイノベーション学科(探究力重視方式)総合型選抜の審査基準と受験生に期待すること 誤:面接では3分程度で〜 → 正:面接では2分程度で〜 P39 クリエイティブイノベーション学科(探究力重視方式)学修計画書テーマ 誤:用紙は本学所定の用紙「学修計画書」No.1〜4を使用してください。 → 正:「学修計画書」No.1、2を使用してください。

面接の持ち時間が3分から2分に、学修計画書が4枚から2枚に。準備量が変わる訂正です。要項をダウンロードした日で止めず、出願前にサイトを見直す必要があります(募集要項の読み方)。

なお過去の総合型選抜試験問題が一部公開されており、過去の入試結果も大学サイトで見られます。

多摩美術大学——専門試験の問題と参考作品が公開されている

日程

項目 期日
出願期間[WEB出願のみ] 2026年11月1日(日)13:00〜11月7日(土)18:00
試験日 2026年11月21日(土)〜11月22日(日)(志願者数が多い場合は11月23日(月)にも実施)
合格発表 2026年12月1日(火)13:00〜12月8日(火)
入学手続(締切) 2026年12月10日(木)
検定料 35,000円

武蔵野美術より1か月半あとの日程です。両方受けることも、日程上は可能です。

提出物と、専門試験

総合型選抜・学校推薦型選抜については学科・専攻により作品などの提出物があります。内容や提出方法など詳しくは学生募集要項をご覧ください。

そして、この大学のいちばん有用な公開情報がこれです。

デジタルカタログで「専門試験」の問題、採用基準、参考作品を公開しています

問題・採用基準・参考作品の3点セットが見られます。実技系の入試で採用基準まで公開されるのは大きい。志望学科の過去の合格作品を見て、水準と方向性を確認してください(過去問の入手法と使い方)。

Q&Aで確認できること

大学のQ&Aから、条件がいくつか読み取れます。

質問 回答の要点
高校で「美術」を履修していないが出願できるか 出願資格を満たしていれば履修科目に関係なく受験できる
すでに高校を卒業しているが出願できるか 総合型選抜は既卒者も出願可。学校推薦型選抜は2026年3月卒業または2027年3月卒業見込みの者(ただし絵画学科油画専攻・グラフィックデザイン学科は年度を問わず)
複数の学科・専攻・コースを併願できるか 併願できない
不合格なら一般選抜は受験できるか 出願資格を満たしていれば一般選抜でも出願可能

「美術を履修していなくても受けられる」と明記されているのは重要です。普通科からの受験を排除していません。

また総合型選抜は既卒者も出願可。学校推薦型選抜との違いがここに出ます。

なおメディア芸術コースのオンラインポートフォリオやデジタル視覚表現については、研究室オリジナルサイトで内容が公開されています。

日本体育大学——総合型選抜が6方式

方式の一覧

方式 対象 評価の中身
学部別選考方式 全学部 面接/資料作成やプレゼンテーション/小論文・論述試験など(学部ごとに異なる)
アスリート方式 体育学部、スポーツ文化学部、スポーツマネジメント学部、児童スポーツ教育学部(児童スポーツ教育コースのみ) 面接試験により意欲および適性を総合的に評価
実技方式 体育学部 身体能力を評価する実技試験(4種目)+面接
基礎学力方式 保健医療学部 筆記試験(国語・数学・英語)+面接
全学併願基礎学力方式 全学部 筆記試験(国語・英語)+事前課題や面接など
高大連携方式 全学部 併設高等学校の生徒対象(公募制ではない)

実技方式——「競技実績ではなく潜在的な身体能力」

要項の説明が特徴的です。

競技実績ではなく、潜在的な身体能力を有し、入学後に自身の能力を活かしてスポーツ活動に取り組むことを目指す受験者を対象にした選抜方法です。身体能力を評価する実技試験(4種目)や、意欲・適性を評価される面接試験等で評価される選抜試験です。

全国大会の成績がなくても受けられる入口です。これに対してアスリート方式は競技力を見ます。

スポーツまたは武道の分野で高い競技力を有し、本学入学後に学友会団体に所属して競技力のさらなる向上を目指す者、または高等学校在学時にスポーツチーム(運動部活動を含む)を支えてきた経験を有し、本学入学後に学友会団体においてサポート活動を行うことを志す者

「支えてきた経験」でも出願できると書かれています。マネージャーやサポート役の経験が評価対象になる、ということです。

学部別選考方式に小論文がある

意欲・適性を評価する面接試験や、意欲・適性・知識を資料作成やプレゼンテーションを通して評価する選抜試験や、知識や能力を評価する小論文・論述試験等を評価する選抜試験です。志望する学部・学科(コース)の特色を理解して、対策を進めていく必要があります。 ※選抜方法は、学部毎に異なりますので必ず学生募集要項を確認してください。

学部で中身が変わるので、要項の確認が必須です。

学校推薦型選抜にも小論文がある

方式 内容
スポーツ推薦 全国規模の競技大会出場以上の実績。面接試験や小論文試験
指定校推薦 面接試験や小論文試験
指定校推薦(地域教員養成方式) 面接試験のみ(体育学部、児童スポーツ教育学部児童スポーツ教育コース)

スポーツ推薦にも小論文があります。競技実績だけでは通りません。

体育・スポーツ系の小論文はスポーツと健康、部活動、スポーツ系学部の小論文を土台にしてください。保健医療学部志望なら医療技術系学部の小論文も参照できます。

3校を、どう準備するか

1. 提出物を「作る時間」から逆算する

大学 出願 作るもの
武蔵野美術(前期) 9月中旬 ポートフォリオ、作品、自己推薦調書、学修計画書、企画書(学科による)
多摩美術 11月1日〜7日 学科・専攻により作品等
日本体育 学生募集要項で確認 事前課題(全学併願基礎学力方式)

ムサビの前期は9月中旬が締切。ポートフォリオは夏休み中に完成させ、指導教員の証明をもらう時間まで見込む必要があります。

2. ポートフォリオは「選んで並べる」もの

作品を全部入れるものではありません。やることは3つ。

  1. 志望学科の学びとつながる作品を選ぶ
  2. 並び順で流れを作る(時系列でも、テーマ別でもよい)
  3. 1点ずつ、何を考えて作ったかを短く添える

面接で問われるのは作品そのものより、なぜそれを作ったかです。武蔵野美術大学の説明にも「ポートフォリオや調書にまとめ、それらを生かして、ムサビで学びたいことを面接で強くアピールしてください」とあります(プレゼン型入試の対策、自己PRの書き方)。

3. 生成AIの線引きを確認する

武蔵野美術大学は「一定の意義を見いだしている」としつつ、そのままの利用(語尾や順序の変更を含む)は本人の成果物とみなさないとしています。

発想の壁打ちに使うのはよいが、出力をそのまま出すのは不可——この線引きは、他大学の総合型でも標準になりつつあります。生成AIと社会も参照してください。

4. 実技・体育系でも「書く」準備をする

  • 武蔵野美術:自己推薦調書・学修計画書
  • 多摩美術:学科により専門試験
  • 日本体育:小論文・論述試験(学部別選考方式)、事前課題(全学併願基礎学力方式)、小論文(スポーツ推薦・指定校推薦)

「実技があるから書く練習は要らない」は成り立ちません。

まとめ

  • 武蔵野美術大学の総合型選抜は全学科専願。「一般選抜の実技が苦手だが、ものづくりへの熱意はある」人向けだと大学が明言している
  • ムサビは学科ごとに方式が違う(一般方式/ワークショップ方式/構想力重視方式/探究力重視方式/クリエイション資質重視方式)。探究力重視方式は探究活動の形式を問わない
  • 提出物も学科ごと。映像学科はwebアップロード、基礎デザイン学科はプレゼンテーション企画書、クリエイティブイノベーション学科は全方式で学修計画書
  • 提出作品自己作成証明書は指導教員等の証明が必要。親族・友人による証明は不可
  • ムサビは生成AIの扱いを明文化。語尾や言い回しの一部変更、構成の順序入れ替えも「そのままの利用」に含む
  • 日本画学科は満26歳以下、建築学科は満28歳以下という年齢制限がある
  • ムサビは要項公開後に訂正を出している(面接3分→2分、学修計画書4枚→2枚)。出願前にサイトを確認する
  • 多摩美術大学は専門試験の問題・採用基準・参考作品をデジタルカタログで公開。美術を履修していなくても出願可、総合型は既卒者も出願可、複数学科の併願は不可
  • 日本体育大学の総合型は6方式。実技方式は「競技実績ではなく潜在的な身体能力」を4種目で評価
  • 日体大のアスリート方式は「チームを支えてきた経験」でも出願できる
  • 日体大は学部別選考方式に小論文・論述試験があり、スポーツ推薦・指定校推薦にも小論文がある

小論文そのものの書き方は小論文の書き方 完全ガイドに、総合型全体の進め方は総合型選抜 完全ガイドにまとめています。

芸術系のテーマは芸術と芸術系学部の小論文、スポーツ系はスポーツ系学部の小論文にあります。女子の体育大学の総合型選抜は日本女子体育大学と東京女子体育大学の記事にまとめました。写真・映像・アニメーション・ゲーム・マンガなどの学科の総合型選抜は東京工芸大学(芸術学部)の記事にまとめました。服飾の総合型選抜は杉野服飾大学と文化学園大学、女子の美術大学は女子美術大学、ポートフォリオとプレゼンテーションで選ぶ入試は東京造形大学の記事にあります。実技やスケッチのある入試は東京理科大学 総合型選抜(建築学科)や横浜国立大学 総合型選抜(都市科学部建築学科)にもあります。音楽大学の総合型選抜は東京の音楽大学4校の総合型選抜にまとめました。神奈川の美術・映像系は横浜美術大学・日本映画大学の記事にあります。横浜美術は実技を出さずに800字の美術作文で出願でき、日本映画には好きな映画1本を論じる小論文型があります。

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