東北芸術工科大学の総合型選抜。小論文のテーマは全入試共通で「社会と人間」
東北芸術工科大学の総合型選抜は専願体験型・併願型A方式・併願型B方式の3つ。小論文は出題テーマ「社会と人間」で600〜800字・90分、評価のポイント4つも公開されています。募集人員は全体の8割。
東北芸術工科大学(山形県山形市)は、小論文の出題テーマを公開しています。しかも全入試共通です。
●出題テーマ:社会と人間(全入試共通) 指定の出題テーマに沿って提示された文章(著作物、新聞記事、コラム等)を読み、その内容に触れつつ自分の考えを600字〜800字で述べる(90分)
美術・デザインの大学ですが、小論文で選べる入試があり、そのテーマが「社会と人間」だと最初からわかっています。
そして評価のポイントも4つ公開されています。ここまで開示している大学はそう多くありません。
この記事は、東北芸術工科大学が公開している2027年度の学生募集要項をもとにまとめました。
出典:東北芸術工科大学「2027年度 学生募集要項」、大学受験生サイト「学部募集要項」「過去問題・参考解答」(いずれも2026年9月22日に確認)
総合型選抜は3方式、募集人員は全体の8割
芸術学部(歴史遺産学科・美術科・工芸デザイン学科・文芸学科)とデザイン工学部(プロダクトデザイン学科・建築・環境デザイン学科・グラフィックデザイン学科・映像学科・企画構想学科)の2学部です。
| 方式 | 試験内容 | 専願/併願 | 試験日 | 募集人員 |
|---|---|---|---|---|
| [専願体験型] | 体験授業+面接+書類審査 | 本学専願 | 2026年10月10日(土)・11日(日) | 全体の50%程度 |
| [併願型]A方式 | (実技 or 小論文 or 教科1科目)+面接+書類審査 | 他大学と併願可 | 2026年12月13日(日) | 全体の30%程度(B方式と合算) |
| [併願型]B方式 | (実技+教科1科目 or 教科2科目)+書類審査。面接なし | 他大学と併願可 | 2026年12月13日(日) | 同上 |
専願体験型だけで全体の50%程度、併願型と合わせると8割が総合型選抜です。一般選抜と共通テスト利用を待つより、こちらが本流になっています。
どの方式でも6学科・コースまで学内併願ができ、検定料は変わりません。ただし試験と面接は第一志望学科・コースでのみ行われます。
なお、A方式とB方式は同時に出願できません。
検定料は33,000円。オープンキャンパス割(2026年5月31日・8月1日・8月2日のいずれかに参加した人が専願体験型を受験すると1万円引き)と再受験割(今年度2回目以降の受験で入試ごとに1万円引き)があります。いずれも申請が必要です。
[専願体験型]は体験授業を受ける
要項の説明が、この入試の性格をよく表しています。
東北芸術工科大学の総合型選抜入学試験[専願体験型]は、一般的な大学入試のように機械的に点数の低い受験者を落とすだけの選抜型とは全く異なり、大学と受験生の相互理解を深め、通常の入試では評価されにくい受験生自身の魅力を評価するものです。選考の際は、「アドミッション・ポリシー」やカリキュラムなどを踏まえた上で、ワークショップや体験授業に参加いただきます。……志望する専門分野に触れたことがなくても構いません。
配点は体験授業100点+書類審査・面接150点=250点。書類と面接のほうが重いのが特徴です。
日程は、出願登録が2026年9月1日9時から9月9日16時まで、試験日が10月10日・11日、合格発表が11月2日10時からです。集合は8時40分で、終了は全学科・コース18時20分までの予定。丸一日かかります。
なお、試験日が誕生月で分かれる学科があります。
第一志望学科・コースが美術科洋画コース、グラフィックデザイン学科全コース、映像学科全コースの場合、4月〜9月生まれは10月10日(土)、10月〜3月生まれは10月11日(日)
専願の条件は強めです。
●本学への入学を強く希望し、合格した場合は入学を辞退しない者(第二志望以降の学科・コースに合格した場合も含む)(本学専願者)
第二志望以降の学科で合格した場合も辞退できません。学内併願するときは、6つすべてに「受かったら行く」と言えるかを確かめてから出す必要があります。
合格者には「入学準備プログラム」(受講料無料)があります。
[併願型]A方式は小論文が選べる
A方式は、(実技科目 or 教科1科目)+書類審査・面接で250点です。この実技科目の選択肢に小論文が入っています。
当日の時間割はこうです。
| 科目 | 時間 |
|---|---|
| 小論文 | 13:00〜14:30(90分) |
| デッサン | 12:00〜15:00(180分) |
| 水彩画・油彩画 | 9:00〜15:00(300分・休憩12:00〜13:00) |
| 教科1科目 | 16:00〜17:00(60分) |
面接は、小論文・デッサン・水彩画・油彩画の受験者が15時40分から、教科科目受験者が13時から始まります。
A方式の面接には、持ち込みが認められています。
面接において、自己アピールのための制作品・資料等の持ち込みを認めます。ただし、プレゼンテーションのための機材や電源等は用意しません。また、制作品・資料等は全て持参するものとし、事前に本学へ送付することはできません。 〈持込作品の条件について〉• 受験生自身が制作したもの • 受験生自身が容易に持ち運びできるもの(台車など使用不可)• 大学の施設を破損または汚損しないもの • 作品の開梱や梱包に時間を要しないもの • 食品を含まないもの
自分で持ち運べる範囲であれば、作品を見せながら話せます。食文化デザインを志望していても食品は不可です。
試験会場は山形会場と東京会場(ステーションコンファレンス万世橋)です。
[併願型]B方式は面接がない
B方式は書類審査が中心で、面接がありません。
配点は2通りです。
- 教科1科目(100点)+実技科目(100点)+書類審査(50点)=250点
- 教科2科目(200点)+書類審査(50点)=250点
教科2科目を選ぶと実技科目は選べません。逆に言えば、実技も小論文も書かずに教科2科目だけで受けられます。
教科の扱いが柔軟です。
教科科目は試験当日に教科を選択できます(全教科を1冊にまとめた問題冊子を配付し、解答した教科の解答用紙のみ回収します)。また、解答は記述式です。 教科2科目を選択した場合の科目選択や解く順番、時間配分は自由です。
出願時ではなく、当日に科目を決められます。
書類審査の対象も明記されています。
「書類審査」の対象となるのはWeb出願時の「主体性評価に関する情報」の記入内容及び調査書等(または学修活動報告書)です。
B方式ではエントリーシートが不要なかわりに、Web出願時の「主体性評価に関する情報」が採点対象になります。ここを空欄同然で出すと50点を捨てることになります。
なお、試験科目の組み合わせによって受験できる学科・コースが限られます。「デッサン+教科1科目」「小論文+教科1科目」「水彩画+教科1科目」「油彩画+教科1科目」「教科2科目」の5通りがあり、学科ごとに可否が決まっています。
小論文は「社会と人間」で600〜800字
改めて、小論文の条件です。
出題内容:指定の出題テーマに沿って提示された文章(著作物、新聞記事、コラム等)を読み、その内容に触れつつ自分の考えを600字〜800字で述べる ●出題テーマ:社会と人間(全入試共通) 試験時間 90分 大学準備物:解答用紙(原稿用紙縦書き)、下書用紙(A3、2枚) 携行品(使用可能用具):鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム、鉛筆削り
下書用紙がA3で2枚支給されるのは親切です。90分で600〜800字なので、構成を練る時間が十分に取れます。
課題文は「著作物、新聞記事、コラム等」。専門的な芸術論ではなく、社会と人間についての一般的な文章が出ると読めます。形式としては課題文型の手順がそのまま使えます。
評価のポイントが4つ公開されている
「思考力・判断力・表現力」を評価するため以下のポイントを重視する [文章力]単なる読みやすい文章だけではなく、論理的な文章を書けているか [読解力]課題文で書かれている主題をきちんと理解し、自らの意見を書けているか [構成力]自分の都合のいいように、強引に理屈をこじつけるような説を述べるのではなく、課題文との連続性の中で文章を書けているか [論理展開力]自らの感想や体験にとどまらない客観的な視点により、論理的な考察を行えているか
構成力と論理展開力の説明が、そのまま失敗例の指摘になっています。
構成力のほうは「自分の都合のいいように、強引に理屈をこじつける」を否定しています。課題文を踏み台にして自分の言いたいことだけを書く答案は、ここで減点されます。求められているのは「課題文との連続性の中で」書くことです。
論理展開力のほうは「自らの感想や体験にとどまらない」を否定しています。「私も似た経験をしました」で終わる答案は、客観的な視点がないと見なされます。
この2つを避けるだけで、答案の質はかなり変わります。要約の取り方は課題文の要約、字数の配分は字数の調整にまとめました。
なお、大学サイトでは過年度の入学試験問題と参考解答が公開されていて、入試課に請求すれば冊子も無料でもらえます。「社会と人間」というテーマで実際にどんな文章が出たのかは、そこで確かめられます。
面接の評価のポイントも5つ公開されている
面接は一人10〜15分程度で、特に指定がなければ個別面接です。
⑴志望動機・意欲・自己PR 本学および志望学科・コースを志望した理由を、自身の考えや経験を踏まえて説明できているか。 ⑵志望学科・コースへの適性・理解 志望学科・コースの内容や特色を理解し、大学での学びや将来の進路について考えを持っているか。 ⑶コミュニケーション力・協働性 質問の意図を理解し、自分の考えを適切に伝えるとともに、対話を通じて考えを深めようとしているか。 ⑷主体的な学修への姿勢・基本的知識 これまでの学修状況等から、大学で学ぶために必要な基礎的な力や主体的に学ぶ姿勢が身に付いていると判断できるか。 ⑸学修の継続性 継続的な学修や活動の経験を有し、それを大学での学びへつなげていこうとする姿勢が確認できるか。
⑶の「対話を通じて考えを深めようとしているか」が目を引きます。用意した答えを正確に言うことより、その場のやり取りで考えが進むかが見られています。想定質問は面接の頻出質問、書類とのつなぎ方は書類と面接の一貫性を参考にしてください。
エントリーシートは手書き
[専願体験型]と[併願型]A方式では、エントリーシートを提出します。
エントリーシートは各項目ごとにその様式内におさまる字数でボールペンの手書き(消せるボールペンは不可)で記入してください。なお、手書きでの記入が難しい場合は、出願登録期間開始日の一ヶ月前までにメールにて入試課までご連絡ください。 複数学科・コースを志望する場合は、第一志望学科・コースを想定して記入し、志望学科の欄には第一志望学科・コース名を記入してください。エントリーシートは1枚で結構です。
手書きが難しい場合の相談先が示されているのは、この大学の姿勢が出ている部分です。ただし出願登録期間開始日の一ヶ月前までという期限があるので、該当する人は早めに連絡する必要があります。
[併願型]B方式ではエントリーシートは不要です。書き方は志望理由書の完全ガイドと自己PRの書き方にまとめてあります。
どこから手をつけるか
- 3方式のどれで受けるかを決める。 専願体験型は専願、併願型は他大学と併願できます
- 学内併願を考えるなら、6つすべてに「受かったら行く」と言えるか確かめる。 専願体験型は第二志望以降でも辞退できません
- 併願型A方式で小論文を選ぶなら、「社会と人間」で課題文型を練習する。 600〜800字・90分です
- 課題文との連続性を意識して書く。 評価のポイントに明記されています
- 感想や体験で終わらせない。 客観的な視点が求められています
- 公開されている過去問と参考解答を見る。 大学サイトで確認できます
- B方式を選ぶなら、Web出願時の「主体性評価に関する情報」を丁寧に書く。 書類審査50点の対象です
- 専願体験型を狙うならオープンキャンパスに参加する。 検定料が1万円引きになります
まとめ
- 東北芸術工科大学の総合型選抜は[専願体験型](10月・専願)/[併願型]A方式(12月)/[併願型]B方式(12月)の3方式です
- 募集人員は専願体験型が全体の50%程度、併願型が30%程度。合わせて8割が総合型選抜です
- 6学科・コースまで学内併願でき、検定料は変わりません。試験と面接は第一志望でのみ行われます
- [専願体験型]は体験授業100点+書類審査・面接150点=250点。「志望する専門分野に触れたことがなくても構いません」と明記されています
- [専願体験型]は第二志望以降の学科で合格した場合も辞退できません
- [併願型]A方式では小論文を選べます(13:00〜14:30の90分)。面接に自作の制作品・資料を持ち込めます
- [併願型]B方式には面接がありません。教科2科目だけでも受けられ、科目は当日に選べます
- 小論文の出題テーマは全入試共通で「社会と人間」。課題文(著作物、新聞記事、コラム等)を読み、600〜800字・90分で書きます
- 解答用紙は原稿用紙の縦書き、下書用紙はA3が2枚支給されます
- 小論文の評価のポイントが4つ公開されています。とくに「課題文との連続性の中で」書くこと、「自らの感想や体験にとどまらない客観的な視点」が明記されています
- 面接の評価のポイントも5つ公開されています。「対話を通じて考えを深めようとしているか」が含まれます
- 過去問と参考解答が大学サイトで公開されています
- エントリーシートは手書き(消せるボールペンは不可)。手書きが難しい場合は出願登録期間開始日の一ヶ月前までに相談できます
総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。山形県の私立大学は東北文教大学の記事にもあります。