小論文キャンパス
大学別対策

日本大学の総合型選抜。14学部で約1,535名、書く試験は30分400字から180分3,200字まで開く

約25分で読めます

日本大学の2027年度総合型選抜を学部別の入試要項から整理しました。実施は14学部と短期大学部で約1,535名、医学部と歯学部は実施しません。商学部の2,500〜3,000字(フィールド調査必須)、経済学部の1,350〜1,500字、芸術学部文芸学科の180分3,200字、松戸歯学部の60分500〜600字まで、書く試験の形と字数を学部ごとに並べます。配点はどの学部も非公表で、代わりに最低基準点が置かれています。

日本大学の総合型選抜は、学部ごとに別の入試です。要項も学部ごとに分かれていて、共通しているのは名前だけと言ってよいほど違います。

2027年度は14学部と短期大学部〈三島校舎〉で実施し、募集人員は合わせて約1,535名。医学部と歯学部は実施しません(短期大学部〈船橋校舎〉は自己推薦選抜で、総合型選抜ではありません)。

そして、この記事がいちばん伝えたいこと。実施する15の枠のうち14で、何らかの「書く試験」があります。 しかもその中身が、30分400字から180分3,200字まで開きます。

必ず志望学部の最新の入学試験要項で確認してください。日程・実施学科・選考方法は年度によって変わります。この記事は2027年度の学部別入試要項(総合型選抜)によります。 出典:日本大学 総合型選抜の学部別PDF(法・文理・経済・商・芸術・国際関係・危機管理・スポーツ科学・理工・生産工・工・松戸歯・生物資源・薬・短期大学部〈三島〉)、法学部 募集要項、商学部 小論文事前課題、経済学部 事前課題、入学試験状況(総合型選抜等)。2026年10月4日に確認しました。

実施する学部・しない学部

学部 実施 方式の名称
法学部 ○ CL方式(法学部専願型)/CL方式(他大学併願型)
文理学部 ○ 総合型選抜(14学科で実施)
経済学部 ○ 探究学習評価型/資格取得型
商学部 ○ 総合型選抜(3学科)
芸術学部 ○ 総合型選抜(エントリー制・8学科)
国際関係学部 ○ 第1期〜第4期(期ごとに方式が分岐)
危機管理学部 ○ 探究型/資格型/キャリア型/キャリア型(併願可)
スポーツ科学部 ○ アスリート型/自己アピール型
理工学部 ○ 総合型選抜(14学科)
生産工学部 ○ 第1期(課題型)/第1期(探究型)/第2期(授業型)
工学部 ○ 第1期(プレゼン型)/第2期(模擬授業型)
松戸歯学部 ○ 第1期〜第4期
生物資源科学部 ○ 総合型選抜(10学科。獣医学科は実施なし)
薬学部 ○ 総合型選抜
短期大学部〈三島校舎〉 ○ 第1期〜第4期
医学部 × —
歯学部 × —

学部内・学科間の併願は認められません(法学部・文理学部・芸術学部に明記)。例外はスポーツ科学部だけで、アスリート型と自己アピール型は併願できます。

書く試験の一覧——30分400字から180分3,200字まで

小論文のサイトとして、まずここを並べます。時間と字数が要項に書かれているものだけを抜き出しました。

学部・学科 書くもの 時間 字数
芸術学部 文芸学科 小論文または作文 180分 3,200字以内
商学部 小論文(事前課題) — 2,500〜3,000字
文理学部 英文学科 小論文(事前提出・日本語) — 2,000字程度
文理学部 ドイツ文学科 A出願 レポート(事前提出) — 2,000字以内
経済学部 資格取得型 小論文(事前課題) — 1,350〜1,500字
同 エントリーシート — 800〜1,000字
芸術学部 放送学科(アナウンサー志願) 小論文 80分 800字程度
芸術学部 美術学科 彫刻コース(地域芸術専攻) 小論文 60分 800字以内
芸術学部 演劇学科(舞台構想・演技舞踊・デザイン技術) 作文 60分 800字程度
芸術学部 放送学科(放送分野志願) 作文 60分 600字程度
芸術学部 音楽学科(音楽文化マネジメント専攻) 事前提出の文章 — 600字程度
松戸歯学部 小論文 60分 500〜600字
文理学部 英文学科 小論文(英語によるエッセイ) 60分 300〜500語程度
芸術学部 美術学科 絵画・彫刻コース 実技に関するレポート 30分 400字以内

同じ大学の中で、書く量が8倍開きます。「日大の小論文対策」という括り方ができないのは、この表を見れば分かります。

このほか、字数が要項に書かれていない書く試験もあります。法学部の総合型小論文、危機管理学部の総合問題試験、理工学部(物質応用化学科・電気工学科)の小論文、薬学部の小論文、生物資源科学部の小論文課題、国際関係学部の課題論文と小論文、短期大学部の課題論文などです。

商学部——高校生に「フィールド調査」をさせる2,500〜3,000字

全学部でいちばん重い課題です。1次選考は書類審査と小論文(事前課題)で、小論文は6月初旬までに学部ホームページで公表されます。

設問

令和9年度の課題は、CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)の視点を踏まえて、A スマホ依存症/B フードロス/C オーバーツーリズムから1つを選び、課題の解決と収益の確保を両立するビジネスアイデアを示すものでした。大学は「単なる無償のボランティアではなく、持続可能な収益事業である必要がある」としています。

必ず含める3点も指定されています。

  1. ビジネスアイデアの概要 2. フィールド調査の結果と分析・考察 3. 論理的一貫性を持った事業計画の説明

フィールド調査が必須

2番目が効きます。「フィールド調査を必ず行い、その結果を示すこと」と書かれています。方法として挙げられているのは、地域住民・生徒・事業者・市区町村の役所などへのヒアリングです。

そして、ここからが珍しい。要項が安全と倫理まで指示しています。

  • 多数の地域住民へのアンケート調査は控える(住民の負担になるため)。少数へのヒアリングは可
  • 調査の目的を説明し、事前に許可を得る
  • 訪問の日時と場所を、事前に保護者に伝える
  • 悪天候時や夜間には実施しない
  • 調査中の事故等の責任を大学は負わない

高校生に大学の調査倫理をそのまま要求しています。卒業論文の縮小版を、入学前に書かせる設計です。

様式の指定が細かい

  • ワープロソフト使用(Microsoft Word推奨)、A4横書き、余白上下左右30mm、35行×40字
  • タイトルはゴシック14pt中央揃え、本文は明朝体10.5pt、常体(である調)
  • ページ番号をフッター中央、各ページ左下の余白に氏名
  • 字数はワープロの文字カウント機能で確認
  • 統計データに基づいた表か図を必ず1つ以上使う。画像の貼り付けは不可で、本人がワープロか表計算で作成する
  • 写真は数枚程度・合計1ページ以内まで
  • 参考にした文献を必ず明示(書籍・論文・インターネット・新聞・公的機関データの記載例まで指定)
  • A4片面印刷(両面不可)+指定表紙を重ねて上部2か所をホチキス留めで郵送
  • 加えて電子ファイルをメールで提出。郵送分と電子ファイルの内容が違うと無効

書く力より前に、様式を守る力が試されます。余白30mm・35行×40字という指定は、Wordの設定を触ったことがないと合わせられません。早めに1枚試し刷りしてください。

テーマの背景はフードロスと観光と地域の記事が土台になります。調べ方と問いの立て方は探究の問いの立て方、事前提出課題の進め方は事前提出レポートの書き方を見てください。

2次はプレゼンテーション

2次選考は、提出した小論文に基づくプレゼンテーション(対面)です。

  • ソフトはMicrosoft PowerPointまたはGoogleスライドに限定
  • プレゼン10分以内+質疑応答10分以内、合計20分以内
  • ファイルは期限までに事前提出が必要で、提出後の変更は誤字脱字を含めて認められない

誤字も直せません。提出前のチェックが最後のチャンスです(プレゼン型入試の対策)。

経済学部——1,350〜1,500字と、参考文献リストの添付

経済学部は探究学習評価型と資格取得型の2方式です。小論文があるのは資格取得型で、こちらも事前課題。研究課題は6月上旬に学部ホームページで公表されます。

  • エントリーシート:学部指定用紙、800字以上1,000字以内
  • 小論文(事前課題):学部指定用紙、1,350字以上1,500字以内(図表や参考文献リストは字数に含まない)

令和9年度の設問は、イノベーションを題材にしたものでした。大学が示した問いはこうです。

「では,今後イノベーションを生み出すためにはどのような取り組みが必要でしょうか。イノベーションに関わる主体は多様です。政府,企業,大学,消費者など複数の主体に着目して論じてください。」

大学の側から参考文献が2点提示されます。令和9年度は天野友道『イノベーション 普及する条件』(岩波新書、2025年)と、経済産業省「今後のイノベーション・GX政策について」でした。そのうえで「自分で資料を収集する他、以下に示す参考文献、さらに関連した文献や官公庁によるレポートなど、複数の資料をあわせて読むことを薦めます」と書かれています。

そして参考文献リストの添付が必須です。URL・著者名・書名・発行所・発行年・ページ数を明記し、データの出所も示して、別紙A4両面5枚以内にまとめます。

「読んだものを示す」ことが、評価の一部に組み込まれています。本文1,500字に対して文献リストが5枚まで許されるというのは、読む量を見ているということです。

もう一方の探究学習評価型は、1次が志望・学習計画書と探究活動概要説明書の審査、2次が口頭試問です。口頭試問で評価するものも要項に書かれています。

探究活動概要説明書と成果物およびこれらに関する質疑応答を通じて、探究活動のプロセス、知識、関心、論理的な思考力、表現力、学習態度を評価

成果より過程です。うまくいかなかった探究でも、過程を説明できれば戦えます(探究活動の完全ガイド)。なお探究学習評価型は評定3.7以上で、2027年3月卒業見込みの人に限られます(既卒は資格取得型へ)。

芸術学部——エントリー制で、文芸学科は180分・3,200字

芸術学部だけ入口の形が違います。エントリー制です。

時期 できごと
9月1日〜9月3日 エントリーシートを提出(この段階では検定料がかからない)
9月28日 エントリーの結果通知
10月1日〜10月7日 通過した人だけが出願
10月25日 選考

検定料を払う前に、最初の関門があります。 2026年度の実績では、エントリー1,183名に対して志願者は634名。出願まで進んだのは約54%でした。お金をかけずに挑戦できる反面、9月頭が勝負ということでもあります。

そして文芸学科の試験が、全学でいちばん特殊です。

小論文または作文 180分・3,200字以内 ※辞書持ち込み可(電子辞書は不可)。また、学科指定施設内の資料も参照可

3時間で3,200字、しかも資料を見てよいという、事実上のオープンブック試験です。知識を思い出す試験ではなく、時間をかけて組み立てる力を見ています。800字の組み立て方の延長では足りません。構成メモに30分かけてよい試験だと考えてください。

同じ芸術学部でも、美術学科の絵画・彫刻コースは30分400字以内(実技5時間30分に関するレポート)。8倍の差が学部の中にあります。 芸術系の書き方は芸術学部の小論文対策にまとめています。

文理学部——14学科で全部違う。しかも2027年度に4学科が実施をやめた

ここは2026年度から変わっています。

2026年度は18学科で実施していましたが、2027年度は14学科です。哲学科・史学科・国文学科・心理学科が実施をとりやめました。この4学科は2026年度に計19名を募集し、志願114名・合格17名という狭き門でした。とくに心理学科は15.0倍です。志望していた人は、学校推薦型選抜か一般選抜に切り替える必要があります。

実施する14学科の募集人員は計95名です。

学科 募集 学科 募集
中国語中国文化学科 7名 地理学科 5名
英文学科 6名 地球科学科 2名
ドイツ文学科 8名 数学科 8名
社会学科 3名(併願可) 情報科学科 4名(併願可)
社会福祉学科 5名 物理学科 5名
教育学科 3名 生命科学科 3名
体育学科 25名 化学科 11名

試験の形は学科ごとにまったく違います。

学科 当日の試験 時間
英文学科 英語によるエッセイ(300〜500語程度)+口頭試問(日本語および英語) 60分
中国語中国文化学科 論述試験+面接 60分
化学科 論述試験+口頭試問(実験操作の簡単な実技を課す場合あり) 60分
地球科学科 当日の講義(20分)を聞いてから書く小論文+口頭試問と面接 講義20分+45分
生命科学科 筆記試験(小論文を含む)+面接と口頭試問+適性検査(約20分) 60分
地理学科 フィールドワークと調査報告書の作成+面接 昼食を除き3時間程度
ドイツ文学科 B出願 ドイツ語能力確認テスト+面接(日本語およびドイツ語による口頭試問) 60分
情報科学科 選考方法C プログラミングの実技試験+口頭試問 60分
数学科 適性検査(検定教科書は閲覧可。参考書・自筆ノートは不可)+面接および口頭試問(30分) 90分

地球科学科の「講義を聞いてから書く」と、数学科の「教科書を見てよい」は、準備の仕方がまったく違います。前者は聞き取りとメモの訓練、後者は「教科書のどこに何が書いてあるか」を体で覚えることです。

事前提出の課題もあります。英文学科は日本語2,000字程度の小論文、ドイツ文学科A出願は2,000字以内のレポート、中国語中国文化・教育・地球科学・数学・物理・化学の各学科はレポート(字数指定なし)。社会福祉学科と体育学科は、2次選考の対象になってから課題が出て、10月6日必着です。未提出だと2次を受けられず、レポートは返却されません。

評定の基準があるのは英文学科(3.5以上)と教育学科です。教育学科は細かく、全体3.5以上に加えて、地理歴史と公民がともに4.0以上、国語と外国語がともに3.8以上。3つの条件を全部満たす必要があります。

法学部——日本語と英語で出す「総合型小論文」。併願型を新設

法学部の筆記は総合型小論文という名前です。要項の説明はこうです。

高等学校の教育課程を踏まえた論理的読解力と論理的思考力を問う総合型小論文とする

日本語と英語で出題する

英語が入ります。英文課題文型の小論文の準備が必要です。分野の背景は法学部の小論文対策と法と正義が土台になります。試験時間と字数は要項に記載がありません。

そして2027年度の大きな変更。CL方式(他大学併願型)が新設されました。

方式 募集人員 併願
CL方式(法学部専願型) 48名 専願
CL方式(他大学併願型) 15名 他大学と併願可

専願型は第一部法律学科の法曹コースを除き、併願型は法曹コースと第二部(夜間部)を除きます。あわせて第二部法律学科10名も新しく設定されました。

出願資格は2本立てで、評定基準A=全体の学習成績の状況3.5以上(第二部法律学科は3.0以上)、または評定基準B=外国語・国語・数学・地歴公民の科目平均で4.0以上の科目が一つ以上。全体が足りなくても、得意科目が1つあれば出願できます。

選考で注意すべきなのは、要項のこの一文です。

筆記試験において最低基準点を設け、最低基準点を下回る場合は書類選考を行わず不合格とする

書類が読まれない可能性があります。志望理由書をどれだけ作り込んでも、小論文が基準に届かなければそこで終わります。

松戸歯学部——模擬授業を見てから解く設問と、500〜600字

字数が要項に明記されている数少ない学部です。

選考 内容
① 理解力の確認 基本的な歯科医療に関する約30分の模擬授業(動画)を受講後、授業内容に関する設問にマークシートで解答(解答時間約20分)
② 小論文 60分・500字以上600字以内
③ 面接
④ 書類審査

小論文と面接に、それぞれ最低基準があります。総合得点が同点なら理解力の確認の点数が高い人が優先され、さらに同点なら面接です。

第1期から第4期まで選考方法は共通で、2027年度は第3期が10名に大幅増、かつ併願可、第4期2名が新設されました(2026年度の第3期は2名まででした)。年内に決めきれない人にとって、現実的な受け皿が増えています。

そのほかの学部の「書く試験」

学部 書くもの
危機管理学部 4方式すべてで2次の①が総合問題試験(読解と論述を含む)。時間・字数・配点は要項に記載なし
理工学部 物質応用化学科=化学の試験+小論文/電気工学科=数学の試験+小論文/数学科=記述式試問。その他の学科は事前課題報告書(出願後10月上旬に課題が郵送され、作成して返送)
薬学部 選考日当日に書類選考・小論文・口頭試問と面接。面接に最低基準点
生物資源科学部 出願書類に小論文課題(8月1日以降に学部サイトからダウンロード)
国際関係学部 全4期の提出書類に課題論文(テーマはサイトで発表)。第2期・第4期の一部方式で小論文も
スポーツ科学部 2次対象者に課題が送られ、課題レポートを10月16日必着で提出
工学部 第2期 出願書類に事前レポート。選考は事前レポート・模擬授業(課題解答を含む)・面接
生産工学部 第1期(課題型) 出願書類に課題。選考で課題に対する口頭試問も
短期大学部〈三島〉 出願書類に課題論文(テーマを含む様式を8月3日以降にダウンロード)

理工学部の土木工学科は「土木工学が造り、守っている施設や構造物に関する事前課題」、まちづくり工学科は地域のまちを調査してプレゼンボードを作成する課題です。商学部と同じく、外に出て調べることを求める設計が複数あります。

配点はどの学部も非公表。代わりに「最低基準点」

調べた範囲では、満点も配点の内訳も、どの学部の要項にも載っていません。法学部の募集要項(全11ページ)にも配点表はありませんでした。

そのかわり、最低基準点の運用がはっきり書かれています。

学部 書かれていること
法学部 筆記試験に最低基準点。下回ると書類選考を行わず不合格
商学部 各選考方法に合格最低基準。すべての基準を満たす者を合格
経済学部 両方式とも、それぞれ最低基準。達しなければ不合格
松戸歯学部 小論文・面接にそれぞれ最低基準
薬学部 面接に最低基準点
生産工学部 各選考方法に最低基準

「合計点で逆転」が効きにくい入試です。どれか1つが極端に悪いと、合計を待たずに落ちます。苦手な選考方法を放置しないでください。

併願できるのはどこか

2027年度に他大学と併願できるのは、要項に【併】マークが付いた次の枠です。合わせて約184名。

学部・方式 募集人員
法学部 CL方式(他大学併願型) 15名
文理学部 社会学科/情報科学科 3名/4名
危機管理学部 キャリア型(併願可) 5名
生産工学部 第1期(探究型) 61名
生産工学部 第2期(授業型) 64名
工学部 第1期(プレゼン型) 12名
松戸歯学部 第3期 10名
薬学部 15名

それ以外はすべて専願(「本学部〈学科〉を第一志望とし、合格した場合は入学することを確約できる者」)です。

併願可の枠は増えています。2026年度に危機管理学部のキャリア型〈併願型〉と薬学部が新設され、2027年度は法学部の他大学併願型、松戸歯学部の第3期10名、薬学部15名と広がりました。一般選抜との両立を考えている人は、ここを起点に組み立てられます(総合型選抜と一般入試の両立)。

日程——試験日が重なる

学部ごとに独立しているので、受けたい学部の試験日がぶつかることがあります。

日 重なる学部
9月19日(土) 工学部 第1期(全学でいちばん早い)
10月3日(土) 国際関係学部 第1期/短期大学部〈三島〉第1期
10月10日(土) 文理学部/薬学部/生産工学部 第1期/工学部 第2期
10月17日(土) 松戸歯学部 第1期/国際関係学部 第2期
10月18日(日) 法学部/経済学部/商学部
10月24日(土) 危機管理学部/スポーツ科学部/理工学部
10月25日(日) 芸術学部
10月31日(土) 生物資源科学部

出願はもっと早い段階で分岐します。商学部は9月1日〜4日、文理学部は9月1日〜8日、芸術学部はエントリーが9月1日〜3日です。8月のうちに、どの学部に出すかを決めておく必要があります。

倍率は、同じ大学の中で15倍から1倍まで

2026年度の実績です(競争率は受験者数÷合格者数)。

学部・学科 募集 志願 合格 競争率
文理学部 心理学科 3 45 3 15.0倍
文理学部 社会学科 3 27 3 9.0倍
生物資源科学部 獣医保健看護学科 5 42 6 7.0倍
生物資源科学部 食品ビジネス学科 10 59 11 5.4倍
法学部 法律学科 10 25 6 4.2倍
スポーツ科学部 自己アピール型 20 127 40 3.2倍
商学部 商業学科 32 148 60 2.5倍
芸術学部 映画学科 40 136 50 2.7倍
薬学部 10 68 39 1.7倍
文理学部 物理学科 3 2 2 1.0倍

学部第一部の合計は、募集1,462名に対して志願3,574名・合格1,795名でした。全体では2倍強ですが、学科で15倍から1倍まで開きます。同じ「日本大学の総合型選抜」でも、戦い方はまったく別です。

理工学部・生産工学部・工学部は1.0〜1.5倍台が大半で、募集人員が大きく、倍率が低いのが特徴です。

過去問と出題意図が公開されている

文理学部が最も充実しています。学科別に総合型選抜の試験問題と、2次選考の説明、出題意図を公開しています(解答はありません)。「一義的には解答が示せない問題のため、出題意図をご確認ください」という注記が付いています。著作権の都合で非公開の学科もあります。

ほかに国際関係学部が過去問題をPDFで公開、危機管理学部・経済学部・スポーツ科学部が出題意図を公開しています。

そして商学部と経済学部は、当年度の課題そのものが毎年公表されます(商学部は6月初旬までに、経済学部は6月上旬)。これは過去問ではなくいま出ている課題です。高2のうちから「去年はこういう課題だった」を見ておくと、取りかかりが早くなります。

生成AIについて書いているのは商学部だけ

要項で生成AIに触れているのは、確認した範囲では商学部の小論文(事前課題)だけです。大学の文言はこうです。

小論文の執筆,プレゼンテーション用資料の作成に当たり,教諭や保護者等の受験者本人以外の者(生成AIも含む)が受験者に助言することは妨げないが,過度な助言を受けたと認められる場合,あるいは受験者本人以外の者が執筆,作成したと判断される場合には不合格とする。

生成AIは必ずしも正しい情報を出力するわけではないので,その出力内容については,その根拠を確認すること。

なお,電子ファイルでの提出も求めており,引用に該当しない剽窃をしていないか,生成AIによる小論文の執筆,プレゼンテーション用資料の作成をしていないかを確認するので,十分に留意すること。

読み取れることが3つあります。

  1. 助言そのものは禁止していません。生成AIを、教諭や保護者と同じ扱いに置いています
  2. ただし「過度な助言」「本人以外が執筆・作成」と判断されれば不合格です
  3. 電子ファイルを求める目的が、剽窃と生成AI利用の確認だと明記されています

「使ってよいが、書いたのは自分でなければならない」という線の引き方です。生成AIと入試の関係は生成AIと小論文にまとめています。

2027年度の主な変更

学部 変更
文理学部 哲学科・史学科・国文学科・心理学科が実施をとりやめ(18学科→14学科)。体育学科は2期制をやめて25名に一本化
法学部 CL方式(他大学併願型)15名を新設。第二部法律学科10名も新設
松戸歯学部 3期制→4期制。第3期を2名→10名に増やし、併願可に。第4期2名を新設
生産工学部 273名→300名(課題型175・探究型61・授業型64)
薬学部 10名→15名、かつ併願可
生物資源科学部 96名→110名(7学科で増員)
芸術学部 283名→296名(写真55・音楽45・放送25に増)
商学部 57名→64名
危機管理学部 資格型を5名→10名
国際関係学部 148名→132名(全期で減)

減ったのは国際関係学部と文理学部だけで、ほかは横ばいか増加です。とくに併願可の枠が広がっているのが2027年度の特徴です。

準備の順番

時期 やること
高2〜高3春 志望学部を1つに絞る。学部内の併願はできない。学部ごとに要項が別なので、ここが決まらないと準備が始まらない
高3 4〜5月 要項が出たら書く試験の形と字数を確認。商学部・経済学部志望なら、前年度の課題を読んでおく
高3 6月 商学部・経済学部は当年度の課題が公表される。公表されたらすぐ取りかかる。商学部はフィールド調査があるので、夏休みを調査に使う
高3 7〜8月 事前提出のレポート・小論文を書き上げる。文理学部の英文学科なら2,000字、ドイツ文学科A出願なら2,000字以内
高3 8月まで 出願する学部を確定。商学部は9月1日〜4日、芸術学部のエントリーは9月1日〜3日
高3 9月 出願。工学部第1期は9月19日が試験
高3 10月 選考。10/10・10/18・10/24は複数学部が重なる

いちばん効くのは、6月に課題が出たらすぐ動くことです。商学部の2,500〜3,000字にフィールド調査を含めるなら、7月中に調査を終えていないと間に合いません。

まとめ

  • 日本大学の総合型選抜は14学部と短期大学部〈三島〉で実施し、募集人員は合わせて約1,535名。医学部と歯学部は実施しません
  • 15の枠のうち14で「書く試験」があります。字数は30分400字から180分3,200字まで開きます
  • 商学部の事前課題(2,500〜3,000字)はフィールド調査が必須で、様式も余白30mm・35行×40字まで指定されています。郵送と電子ファイルの内容が違うと無効です
  • 経済学部 資格取得型は1,350〜1,500字で、参考文献リストをA4両面5枚以内で添付します
  • 芸術学部はエントリー制で、検定料を払う前に関門があります。文芸学科は180分・3,200字以内で辞書と資料の持ち込み可
  • 文理学部は2027年度に4学科(哲学・史学・国文・心理)が実施をとりやめ、18学科→14学科になりました
  • 法学部の小論文は日本語と英語で出題されます。最低基準点を下回ると書類選考なしで不合格です
  • 配点はどの学部も非公表で、代わりに最低基準点が置かれています。1つの穴が致命傷になります
  • 他大学と併願できるのは約184名分(法学部の併願型・文理の社会/情報科・危機管理のキャリア型併願可・生産工の探究型/授業型・工学部第1期・松戸歯第3期・薬学部)
  • 倍率は文理学部 心理学科の15.0倍から、理工系の1.0倍台まで開きます
  • 文理学部は出題意図を学科別に公開、商学部・経済学部は当年度の課題を6月に公表します

総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。

Related

関連記事

← 「大学別対策」の記事一覧へ