小論文の言い換え辞典。話し言葉を書き言葉に直す60語
「なので」「ちゃんと」「すごく」——答案に混ざる話し言葉は、内容より先に印象を下げます。接続・程度・動詞・文末の4分類60語の言い換え表と、直しすぎの注意点をまとめました。
添削で赤を入れる箇所のうち、内容と関係ないのに確実に印象を下げるもの——それが話し言葉の混入です。
読む側は内容を評価しようとしていますが、「なので」「ちゃんと」が目に入るたびに、答案の格が一段下がって見えます。逆に言えば、ここは覚えるだけで直る、最も費用対効果の高い減点対策です。
ブックマークして、見直しのときに照合してください。
接続の言葉
文と文のつなぎは、答案の骨格です。最優先で直してください。
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| なので/だから | したがって/そのため |
| でも/だけど | しかし/だが |
| あと/それと | また/さらに |
| ~だし、~ | ~であり、~ |
| ~けど | ~が/~ものの |
| じゃあ/なら | それならば/とすれば |
| ~とか~とか | ~や~など |
| いちおう | 形式上は/さしあたり |
| ちなみに | なお |
| 要するに(多用) | すなわち/つまり(1回まで) |
接続詞の選び方そのものは接続詞の記事で扱っています。ここでは形だけ、確実に書き言葉に。
程度・量の言葉
曖昧な強調語は、話し言葉である上に、論述として情報がありません。
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| すごく/とても/超 | 極めて/非常に |
| ちょっと/少し | やや/わずかに |
| いっぱい/たくさん | 多くの/数多くの |
| いろんな | 様々な/多様な |
| だいたい | おおむね/約 |
| 全然~ない | まったく~ない |
| 一番 | 最も |
| ~ぐらい | ~ほど/~程度 |
| めったに | ほとんど |
| どんどん | 急速に/次第に |
さらに一段上を狙うなら、程度語を数字や比較に置き換えることです。「非常に多い」より「全体の7割を占める」。強調語が消えるほど、答案は強くなります。
動詞・名詞
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| やる | 行う/実施する |
| ちゃんと/きちんと | 適切に/確実に |
| ダメだ | 不適切である/機能しない |
| いい | 望ましい/有効である |
| すごい | 優れた/著しい |
| 変な | 不自然な/奇妙な |
| 子ども達 | 子どもたち(「達」は仮名書きが標準) |
| いろいろな人 | 立場の異なる人々 |
| みんな | 多くの人/誰もが |
| 絶対に | 必ず/確実に(安易な断定自体を避ける) |
「みんな」と「絶対」は、言葉の格の問題だけでなく、主張の精度の問題でもあります。主語を大きくしない、断定しすぎない——内容の修正と地続きです。
文末・文体
| 避けたい形 | 直した形 |
|---|---|
| ~だと思う | ~と考える |
| ~な気がする | ~と考えられる |
| ~かもしれない(多用) | ~の可能性がある(根拠とセットで) |
| ~してほしい | ~すべきである/~が求められる |
| ~ですます調 | だ・である調に統一 |
| ~たり、~こと(単独の「たり」) | ~たり~たりする |
| 体言止め | 用言で結ぶ |
| !/?/…(記号) | 使わない(疑問は「~だろうか」) |
| (笑)/絵文字 | 論外。しかし実際に出る |
| ら抜き(見れる・食べれる) | 見られる・食べられる |
「思う」と「考える」の違いは、感覚か思考かです。根拠を伴う判断は「考える」、それ以外の「思う」は根拠の欠落のサインとして自分で点検に使えます。
一人称と呼称
| 避けたい形 | 直した形 |
|---|---|
| 僕/俺/自分 | 私 |
| お母さん・お父さん | 母・父 |
| おじいちゃん | 祖父 |
| ~さん(有名人に) | 敬称なしで姓のみ(筆者・著者も同様) |
| 先生(一般論で) | 教員/教師 |
身内に敬称を付けない、人物は敬称なし——新聞の表記と同じルールだと覚えると迷いません。原稿用紙上の表記ルール全般は原稿用紙の記事にまとめています。
直しすぎにも注意する
言い換えには逆側の失敗もあります。
硬い言葉を使いこなせていない
「よって当該施策は蓋然性が高いと愚考する」——背伸びした語彙は、使い慣れていないことごと伝わります。書き言葉であることと、難しい言葉であることは別です。この記事の言い換え先は、すべて標準的な語にしてあります。それで十分です。
翻訳調・評論家調のクセ
「~と言えるのではないだろうか」「~こそが重要なのである」。もったいぶった文末は、内容の薄さを飾る言い回しとして読まれます。言い切れるものは短く言い切る。
全部を書き換えて自分の声が消える
保護者や先生に直された答案が弱くなる理由と同じで(親が読むときの記事)、言葉の格を整えることと、内容を借り物にすることは違います。この記事で直すのは「形」だけです。
使い方:見直しの30秒チェック
書き終えたら、次の5つだけ探してください。頻度の高い順です。
- 「なので」「でも」——文頭の接続
- 「思う」——根拠はあるか。あるなら「考える」
- 「すごく」「ちゃんと」「いろんな」——程度と質の曖昧語
- 「やる」「いい」——動詞の格
- ですます混在・ら抜き
残り5分の見直しでは誤字と事実を優先し、言い換えは練習段階で癖ごと直しておくのが理想です。練習の回し方は練習方法へ。
まとめ
- 話し言葉の混入は、内容と無関係に印象を下げる。覚えるだけで直る
- 最優先は接続語。「なので→したがって」「でも→しかし」
- 程度語は書き言葉に直した上で、可能なら数字・比較に置き換える
- 「思う」は根拠の欠落のサイン。「考える」に変えられるか自問する
- 背伸びした語彙ともったいぶった文末は、直しすぎの失敗