小論文の見直し。残り5分で何を直し、何を直さないか
見直しで内容に手を入れると、消しゴムで消した部分を書き直す時間が足りなくなります。試験の残り5分で確認すべき7項目と、練習時の推敲手順を分けて解説します。
見直しには2種類あります。試験中の見直しと、練習での推敲です。この2つを混同すると、試験で事故が起きます。
試験中の見直しでは、内容を直さない
これが最も重要な原則です。
残り5分で「この具体例は弱いかもしれない」と気づいても、書き直してはいけません。消しゴムで消した部分を埋める時間が足りなくなり、書きかけの文が残る——これが最悪の結果です。書きかけの文は、弱い具体例よりはるかに大きく減点されます。
内容の不安は、試験が終わってから反省してください。試験中は、確実に減点される形式的な誤りだけを潰します。
残り5分でやる7項目
上から順に、時間が尽きたところで止めて構いません。優先順位が高い順に並べてあります。
1. 最後の文が完結しているか
途中で終わっていないか。句点で終わっているか。これだけは必ず確認します。
2. 指定字数の8割を超えているか
「800字以内」で640字未満だと、内容以前に減点されます。足りない場合は、最終段落に1〜2文足すのが最も安全です。序論や本論に挿入すると、そこだけ字が詰まって読みにくくなります。
3. 文体が統一されているか
「だ・である」と「です・ます」の混在。文末だけを縦に追って確認します。1つでも混ざると減点対象です。
4. 話し言葉が残っていないか
やっぱり/ちゃんと/〜みたいな/いろんな/でも/なので。特に「なので」は接続詞ではないので、文頭にあれば直します。
5. 主語と述語がねじれていないか
長い文で起きます。
✕ 私が考えることは、この制度は見直すべきだ。 ○ 私は、この制度は見直すべきだと考える。
60字を超える文だけをチェックすれば、たいてい見つかります。
6. 「思う」の連発がないか
1つの答案で「〜と思う」が3回以上出てきたら、1回に減らします。「〜と考える」「〜である」に置き換えます。
7. 固有名詞と漢字
大学名・学部名・課題文中の語句の写し間違い。ここは印象に直結します。
直せる範囲で直すコツ
行間や欄外への書き足しは避けてください。採点者にとって読みにくく、印象が下がります。
字数が足りないとき以外は、削るほうが安全です。1文まるごと削って、その分を空白にするのは問題ありません。逆に、消して書き直すのは時間がかかります。
練習での推敲は、逆に内容を直す
試験中と違い、練習では時間制限がありません。ここで初めて内容に手を入れます。
手順1:一晩置く
書いた直後は、自分の意図が頭に残っているため、文章の穴が見えません。最低でも一晩、できれば翌日に読み返します。
手順2:声に出して読む
音読すると、黙読では通り過ぎる箇所で必ずつまずきます。つまずいた場所が、読み手も引っかかる場所です。
手順3:段落の1文目だけを拾い読みする
段落の頭だけを順に読んで、論の流れが追えるか確認します。追えなければ、構成に問題があります。
手順4:3つの質問を全段落に投げる
- この段落は何のためにあるか(役割が言えない段落は削る)
- この主張の根拠はどこにあるか
- この具体例は、他の受験生でも書けないか
手順5:同じ問題をもう一度書く
推敲の最終形は、書き直しです。 直した箇所をメモして、白紙から同じ問題を書き直す。これをやると、指摘された欠点が次から出なくなります。
新しい問題を10本書くより、5本を二度ずつ書くほうが伸びるのは、この工程があるからです。
人に見てもらうときの頼み方
添削してくれる人がいるなら、「直してください」ではなく「読んで、分からなかった箇所を教えてください」と頼んでください。
赤を入れてもらうと、直った答案は手に入りますが、次に自分で書けるようにはなりません。「ここが分からなかった」という情報のほうが、はるかに再現性があります。
表現面の照合には言い換え辞典の30秒チェックを、文のねじれの点検には一文の書き方の骨格読みを使ってください。
まとめ
- 試験中の見直しで内容を直さない。書きかけの文が最悪の結果
- 残り5分は7項目を優先順に。完結・字数・文体・話し言葉・主述・思う・固有名詞
- 字数が足りないときは最終段落に足す
- 練習の推敲は一晩置いてから。音読と段落頭の拾い読み
- 推敲の最終形は、同じ問題の書き直し
- 添削は「直して」ではなく「分からなかった箇所を教えて」
形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。