小論文の練習方法。独学で伸ばす3か月の進め方
何本書いたかより、何本書き直したか。添削してくれる人がいなくても伸ばせる3か月の進め方と、1本の答案を3回使い切る手順、自分の答案の欠点を自分で見つける方法をまとめました。
「たくさん書けば伸びる」は、半分しか正しくありません。
書きっぱなしの答案を20本積み上げても、同じ欠点を20回繰り返しただけになります。伸びるのは、書いた本数ではなく書き直した本数です。
ここでは、添削してくれる人が身近にいない前提で、独学で進められる手順を示します。
3か月の設計
試験まで3か月あるなら、次の配分にしてください。
| 時期 | やること | 通しで書く本数 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 構成メモだけを量産する | 0〜2本 |
| 2か月目 | 通しで書き、書き直す | 6本 |
| 3か月目 | 時間を計る・志望校の形式に寄せる | 6本 |
1か月目|構成メモだけを10本
いきなり800字を書き始めないでください。1か月目は、構成メモだけを10本作ります。
1本あたり15分。過去問やテーマを見て、次の5行だけを書きます。
- 設問が問うていること(一文で)
- 自分の立場
- 理由
- 具体例(1つだけ、いつ・どこで・誰が)
- 想定される反論
これだけです。清書はしません。
遠回りに見えますが、答案が破綻する原因のほとんどは、構成が決まらないまま書き始めることにあります。その工程だけを10回繰り返せば、通しで書き始めたときの完成度がまったく違います。
構成メモの作り方そのものは小論文の段落構成を参照してください。
2か月目|通しで書き、必ず書き直す
ここで初めて800字を通します。ただし新しい問題は週1本まで。残りの時間は書き直しに使います。
配分の目安は、新しい問題1本に対して書き直し1本。つまり週2本書いて、扱う問題は1つです。
3か月目|時間と形式を本番に寄せる
時間を計って書きます。計らない練習は、時間配分の練習になりません。
同時に、志望校の形式(課題文型か、テーマ型か、資料型か)に絞ります。形式ごとの手順は課題文型・テーマ型・資料型の各記事にあります。
時間配分の型は小論文の時間配分へ。
1本の答案を3回使い切る
独学で最も効くのが、この使い方です。同じ問題を3回扱います。
1回目|時間を計って書く
本番と同じ時間で書き、そこで手を止めます。書けなかった部分もそのまま残します。どこで詰まったかが次の材料になります。
2回目|24時間おいてから自己添削
その日のうちに読み返してはいけません。書いた直後は、自分が書こうとしたことが頭に残っているので、書けていない部分まで書けているように読めてしまいます。
翌日、次の3つだけを見ます。
- 各段落を一文で要約できるか(できない段落は、役割が決まっていない)
- 「なぜそう言えるのか」に答えている文があるか
- 反論に触れた段落があるか
点検の項目をもっと細かく潰したい場合は、答案チェックリストを使ってください。
3回目|1週間後に、白紙から書き直す
赤を入れた答案を清書するのではありません。もう一度、白紙から書きます。
前回の答案は見ないでください。見ながら直すと、悪い骨組みが残ります。1週間おけば表現は忘れていて、骨組みだけが残っているはずです。その骨組みで書き直したものが、あなたの本当の実力です。
自分の答案の欠点が見えないとき
独学で一番つらいのがここです。3つの方法があります。
声に出して読む
主述のねじれと、長すぎる一文は、音読するとほぼ確実に引っかかります。息が続かない文は長すぎる文です。
段落ごとに一文で要約する
要約できない段落は、1つの段落に2つ以上の役割が入っています。分けるか、削ってください。
自分の主張に「なぜ?」を3回ぶつける
主張:地域医療には遠隔診療が必要だ なぜ? → 通院が難しい人がいるから なぜ通院が難しい? → 交通手段がなく、家族も日中は働いているから ではなぜ遠隔なら解決する? → …
3回目で答えられなくなったら、そこが論の穴です。答案には、この3回目まで書いてある必要があります。
添削を受けられる場合
学校の先生でも塾でも、受けられるなら受けてください。ただし2つ注意があります。
赤字の量は関係ありません。価値があるのは、自分の癖が言語化されることです。3本見てもらって同じ指摘が2回出たら、それがあなたの癖です。
直してもらうのではなく、質問してもらってください。「ここをこう直すといい」より、「なぜそう言えるの?」「具体的には?」と聞かれるほうが伸びます。答えられなかった箇所が、そのまま書き足すべき箇所だからです。
何本書けばいいのか
目安は、志望校の形式で10問を、それぞれ2回ずつ。合計20本です。ゼロから始めても3か月で到達できます。
新しい問題を20問1回ずつ書くより、10問を2回ずつのほうが確実に伸びます。弱点は、書き直しでしか自覚できないからです。
過去問の入手経路と、何年分をどの順で解くかは過去問の使い方へ。答案を書く時間がない日は、構成メモだけ作る練習が代わりになります。
まとめ
- 伸びるのは書いた本数ではなく、書き直した本数
- 1か月目は構成メモだけを10本。清書しない
- 2か月目以降、新しい問題は週1本まで。残りは書き直し
- 1本を3回使う:時間を計って書く → 24時間後に自己添削 → 1週間後に白紙から書き直す
- 書いた当日に読み返さない。書けていない部分が見えなくなる
- 自己点検は音読・段落の一文要約・「なぜ」3回
- 添削は赤字の量ではなく、癖が言語化されたかで判断する
- 目安は10問×2回
形式別の解き方・表記ルールを含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。