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子どもの小論文や志望理由書を、親が読むとき。直す前に返す5つの質問

約5分で読めます

「読んでみて」と言われたとき、親が赤ペンを入れると答案は弱くなります。手を入れずに力を引き出すための質問の型と、直してよい部分・いけない部分の線引きを示します。

お子さんから「これ読んでみて」と紙を渡される日が来ます。

そのとき何をするかで、書類の質は変わります。

多くの家庭で起きるのは、次の流れです。

  1. 読む
  2. 気になるところが目につく
  3. 「ここ、日本語おかしくない?」と言う
  4. 子どもが不機嫌になる
  5. 二度と見せてくれなくなる

この記事は、4と5を避けるためのものです。

前提:親が直した書類は、たいてい落ちます

厳しい言い方になりますが、添削の現場で見てきた事実です。

保護者が手を入れた志望理由書には、共通する特徴があります。

特徴 なぜ起きるか
文章がきれいすぎる 大人の語彙で書き直されている
内容が一般論になる 大人が「良く見える書き方」を知っている
面接で答えられない 本人の言葉ではないので、深掘りされると崩れる

3つ目が致命的です。

書類は面接の材料になります。書いていないことは聞かれませんが、書いたことは必ず聞かれます。親が書いた一文について「これはどういう意味ですか」と問われて、本人が答えられない。この瞬間に不合格が決まります。

詳しくは小論文で書いたことは面接で聞かれるに書きました。

だから、直さずに「質問」を返す

やることは1つだけです。赤ペンを置いて、質問をしてください。

質問は、子ども自身に考えさせる道具です。親が答えを与えるのではなく、本人の中にある答えを引き出すために使います。

返すべき5つの質問

読み終わったら、この5つの中から2つだけ選んで聞いてください。全部聞くと尋問になります。

1. これ、どういうこと?

抽象的な表現が出てきたときに使います。「地域に貢献したい」「多様性を大切にしたい」——具体が抜けている場所です。

説明してもらったら、「いま話してくれたほうが、書いてあることより面白いね」と伝えてください。多くの場合、それは事実です。

2. なんでそう思ったの?

理由が飛んでいる箇所に使います。書いた本人の中では当然でも、読み手には見えていない部分があります。

3. そのとき、どんな状況だったの?

体験が抽象的にまとめられているときに使います。いつ、どこで、誰と、何があったか。ここが埋まると、答案は一気に具体になります。この作業の意味は具体例の作り方にあります。

4. 逆の意見の人は、なんて言うと思う?

主張が一方的なときに使います。反対の立場を想像できると、論に厚みが出ます。

5. 大学のどの部分と、つながってるの?

志望理由書で最も多い抜けです。やりたいことは書けているが、なぜその大学なのかが空欄という状態。ここを埋めないと、どこの大学にも出せる書類になります。

直してよい部分、いけない部分

質問だけでは解決しないこともあります。線引きはこうです。

部分 親が手を出してよいか
誤字・脱字 ○ 指摘してよい
提出形式(字数・書式・締切) ○ むしろ確認してほしい
事実関係の誤り(学部名・制度名) ○ 指摘してよい
文章表現・言い回し × 本人の言葉を残す
内容・エピソードの選択 × 本人が決める
主張・結論 × 絶対に触れない

上3つは事務、下3つは本人の領域です。この境界を守るだけで、親子の関係も書類の質も守れます。

締切や書式の管理は、保護者が引き受けると効果が大きい仕事です。お金と事務手続きにまとめています。

言ってはいけない言葉

添削の現場で、生徒からよく聞く言葉があります。

親に見せたら「こんなんじゃ受からない」って言われました。

この一言のあと、書けなくなる生徒がいます。

避けたい言い方と、置き換えの例です。

言いがちな言葉 置き換え
これじゃ受からない ここ、もう少し聞きたいな
もっと立派なこと書けば? この話、いつのこと?
普通すぎない? どこがいちばん書きたかった?
お母さんならこう書く (言わない)

評価を伝える役は、学校や塾の先生が担っています。家庭では、その役を取らないほうがうまく回ります。

「見せて」と言わない

もう1つ大事なことがあります。

こちらから見せるよう求めないでください。

書きかけの文章を人に見せるのは、大人でも抵抗があります。まして自分の将来について書いたものです。求められて出したものは、たいてい防御的な内容になります。

待っていると、たいてい向こうから持ってきます。そのときのために、この記事の質問を準備しておいてください。

もし本人が「書けない」と止まっている場合は、原因が3つに絞れます。小論文が書けないをお子さんに渡してみてください。

読んだあと、必ず伝えること

質問のあとに、1つだけ伝えてください。

「ここは面白いと思った」

具体的に、1箇所でいいので挙げます。全体の褒め言葉(よく書けてるね)は効きません。どこが良かったかを名指しされると、本人はその方向を伸ばそうとします。

添削の技術的な中心はここにあります。直す場所を指摘するより、残す場所を指定するほうが、答案は伸びます。

まとめ

  • 親が直した書類は、面接で崩れる
  • 赤ペンを置いて、質問を2つだけ返す
  • 誤字・形式・事実誤認は指摘してよい。表現と内容は本人の領域
  • 「これじゃ受からない」は、書けなくさせる一言
  • こちらから「見せて」と言わない。持ってくるまで待つ
  • 最後に「ここが面白い」と1箇所だけ名指しする

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