小論文の段落構成。何段落に分けるかは字数で決まっている
段落はいくつに分ければいいのか、どこで改行すればいいのか。400字・600字・800字それぞれの段落数の目安と、段落を分ける判断基準、1段落1役割の原則を具体例つきで示します。
「段落はいくつに分ければいいですか」という質問には、明確に答えられます。字数でほぼ決まっているからです。
字数別の段落数
| 字数 | 段落数 | 構成 |
|---|---|---|
| 400字 | 2〜3 | 主張+理由/具体例+結論 |
| 600字 | 3〜4 | 主張/理由/具体例/結論 |
| 800字 | 4〜5 | 主張/理由/具体例/反論への応答/結論 |
| 1000字以上 | 5〜6 | 上記+具体例をもう1つ、または反論処理を厚く |
目安は1段落150〜250字です。これより短い段落が続くと箇条書きのような印象になり、300字を超える段落は読み手が息継ぎできません。
段落を分ける基準は「役割が変わるところ」
改行の位置で迷う人は、文の切れ目で考えています。そうではなく、論の役割が変わるところで分けます。
- 主張を述べる役割 → 理由を説明する役割に変わった → 改行
- 理由の説明 → 具体例の提示に変わった → 改行
- 具体例 → 反論の検討に変わった → 改行
逆に言えば、同じ役割が続いているあいだは改行しません。具体例の途中で「なんとなく長いから」と改行すると、論の構造が読み手に見えなくなります。
1段落1役割の原則
段落構成のほとんどの失敗は、1つの段落に複数の役割を詰め込むことから起きます。
私は地域医療の維持には行政の支援が必要だと考える。なぜなら民間だけでは採算が合わない地域があるからだ。たとえば私の祖父母の住む町では診療所が閉院した。もっとも行政支援には財源の問題もある。
この4文には、主張・理由・具体例・反論の4役割が入っています。書いた本人は「全部入っていて効率的」と感じますが、読み手にはどれも展開されないまま次に進む文章に見えます。1段落には1つの役割。その役割を段落の中で展開しきってから、次に進みます。
分けるとこうなる
同じ材料を、役割ごとに分けて展開した形です。
私は、地域医療の維持には行政による支援が必要だと考える。 なぜなら、人口の少ない地域では、医療機関を民間の採算だけで維持することができないからだ。患者数が一定を下回れば、どれだけ効率化しても収支は合わない。これは経営努力の問題ではなく、規模の問題である。 私の祖父母が住む町では、二年前に唯一の診療所が閉院した。祖母はいま、月に一度の通院のために片道一時間かけて隣の市まで出ている。町に医師がいなくなったのは、誰かが怠けたからではなかった。 たしかに、行政の支援には財源の限界があり、すべての地域を同じ水準で支えることはできない。だが、支えないという判断をするのであれば、そこに住み続ける人がどう医療にたどり着くのかを、あわせて決める必要がある。
字数は増えていますが、水増しではありません。各役割を展開しきったことで、初めて論として成立しています。詰め込み型の4文は、この4段落の見出しを並べたにすぎませんでした。
段落の頭に「役割の看板」を置く
各段落の1文目に、その段落の役割が分かる文を置くと、構成が読み手に伝わります。
| 役割 | 1文目の型 |
|---|---|
| 主張 | 私は〜と考える |
| 理由 | なぜなら〜だからである |
| 具体例 | 実際に、〜 |
| 反論への応答 | たしかに〜という見方もある |
| 結論 | 以上のことから、〜 |
型に頼りすぎると単調になりますが、練習の段階ではまず型で書いてください。採点者は段落の1文目だけを拾い読みしても論の流れが追える答案を高く評価します。
序論・本論・結論の配分
800字での目安です。
- 序論(主張の提示):1〜2割
- 本論(理由・具体例・反論処理):6〜7割
- 結論:1〜2割
よくある失敗は序論の肥大です。問題背景の説明に300字使うと、本論で論じる紙幅がなくなります。序論は「問いの提示と自分の立場」だけで切り上げる。背景説明は、本論の理由の中で必要なぶんだけ使います。
序論の書き方は小論文の書き出し、結論は小論文の結論の書き方にまとめました。
400字の場合
字数が少ないときの分け方は、別に押さえておく必要があります。800字の構成を縮めるのではなく、捨てる役割を決めます。
| 段落 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 第1段落 | 立場+理由 | 150字 |
| 第2段落 | 具体例 | 170字 |
| 第3段落 | 反論への応答+結論 | 80字 |
400字では、主張と理由を同じ段落に入れて構いません。これは1段落1役割の例外です。役割を分けるだけの紙幅がないからです。
逆に、400字で5段落に分けると1段落80字になり、どの役割も展開できません。段落を増やすほど良いわけではありません。
段落が長くなりすぎたとき
書いているうちに1つの段落が300字を超えることがあります。その場合、次の順で確認してください。
- 2つの役割が入っていないか → 入っていれば、そこで分ける
- 具体例の描写が細かすぎないか → 場面が2つあるなら1つに絞る
- 同じことを言い換えていないか → 言い換えは削る
3つとも当てはまらないのに長い場合は、そのままで構いません。具体例の段落が280字になるのは正常です。長さそのものが問題なのではなく、役割が混ざっていることが問題です。
段落が短くなりすぎたとき
100字に満たない段落が続いている場合、論が展開されていません。
私は賛成である。 なぜなら効率が良いからだ。 たとえば私の学校でも行われている。
これは3段落ではなく、3つの見出しです。それぞれの中身を書いてください。「なぜ効率が良いのか」「私の学校で何が行われ、その結果どうなったのか」が本体です。
段落のつなぎ方
段落の頭に接続詞を置きたくなりますが、毎回置く必要はありません。
役割の看板(「なぜなら」「実際に」「たしかに」)を置いていれば、それ自体が接続の働きをします。接続詞を重ねると、かえって関係が分かりにくくなります。
❌ しかし、たしかに〜という見方もある。 ⭕ たしかに〜という見方もある。
接続詞の使い分けは小論文の接続詞にまとめました。
原稿用紙での実務
段落を分けるということは、原稿用紙では次を意味します。
- 段落の1文字目は1マス空ける。例外はありません
- 前の段落が行の途中で終わったら、残りは空けたまま改行する
- 改行しない限り、読み手には同じ段落として読まれる
「1マス空けを忘れる」は、答案の見た目で最も多い失敗です。書き始めの1マスは、構成が読み手に伝わる唯一の合図なので、必ず空けてください。
表記まわりの確認は小論文の原稿用紙ルールへ。
改行が一度もない答案
まれに、800字を1段落で書き切る答案があります。内容が良くても、読み手は構造を追えません。
段落を分けないことに利点は一つもないので、必ず分けてください。迷ったら、字数を段落数で割って機械的に区切るほうが、分けないよりましです。
まとめ
- 段落数は字数で決まる。800字なら4〜5段落、1段落150〜250字
- 改行は「文の切れ目」ではなく「役割が変わるところ」
- 1段落1役割。詰め込むとどの役割も展開されない
- 段落の1文目に役割の看板を置く
- 序論は1〜2割で切り上げ、本論に紙幅を使う
- 400字は例外。主張と理由を同じ段落に入れてよい
- 長い段落は、役割が混ざっていないかを先に疑う。長さ自体は問題ではない
- 100字未満の段落が続くのは、論が展開されていない証拠
- 接続詞を毎回置かない。役割の看板が接続の働きをする
- 段落の頭は必ず1マス空ける。構成が伝わる唯一の合図
形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。