小論文で書いたことは面接で聞かれる。両方を通す準備
総合型選抜では、小論文と面接が同じ日に行われます。答案の内容はそのまま質問になります。何を聞かれるのか、書く段階で何をしておけばよいのかを具体的にまとめました。
総合型選抜や推薦入試では、小論文と面接が同じ日に行われることがあります。
このとき、あなたが書いた答案は面接官の手元にあります。
つまり答案は、それ自体が採点対象であると同時に、面接の質問リストを自分で作っていることになります。この構造を知らずに書くと、面接で自分の答案に追い詰められます。
聞かれるのは3種類
答案から出る質問は、ほぼこの3つに集約されます。
1. 具体例の詳細
「祖母の通院に付き添ったと書いていますが、そのとき具体的にどんなことが大変でしたか」
答案に書いた場面を、もっと細かく尋ねられます。実際に経験していれば答えられます。していなければ、そこで止まります。
これが、具体例を借り物にしてはいけない最大の理由です。読んだ事例を自分の経験のように書くと、面接で必ず崩れます。
2. 反対の立場
「あなたは〜という立場でしたが、反対の立場の人はどう考えると思いますか」
答案で反論に触れていれば、そのまま答えられます。触れていなければ、その場で考えることになります。
反論の段落は、答案の点数のためだけでなく、面接の備えとしても効きます。書き方は小論文の反論への応答へ。
3. その先
「では、あなたが大学でそれを学ぶとして、何から始めますか」
答案では書かなかった一歩先を問われます。結論で「残る課題」を1つ挙げておくと、ここに接続できます。結論の型は小論文の結論の書き方にまとめました。
書く段階でやっておくこと
具体例は、本当にあったことにする
細部を尋ねられて答えられるのは、実際の経験だけです。規模の小さい経験で構いません。アルバイト、家族、部活、地域。他人の事例より、自分が居合わせた場面のほうが強い。
説明できない用語は使わない
答案で使った語は、面接で意味を聞かれる可能性があります。背伸びした用語は、そこで一番弱い部分になります。
立場の理由を3段まで用意する
面接では「なぜ」が繰り返されます。
なぜそう考えるのか → なぜそう言えるのか → それでも〜の場合はどうか
答案に書くのは1段目までで足りますが、頭の中では3段目まで用意しておいてください。練習の方法は小論文の練習方法の「なぜを3回」の項にあります。
統計や固有名詞を書くなら、確実なものだけ
うろ覚えの数字を書くと、面接で出典を尋ねられたときに答えられません。曖昧な知識は、答案からも面接からも外してください。
答案の控えは取れない
試験の答案は持ち帰れません。面接まで時間が空く場合、自分が何を書いたか思い出せなくなります。
試験直後に、次の3点だけ紙かスマートフォンに残してください。
- 自分が取った立場(一文で)
- 使った具体例(どの経験か)
- 反論として挙げたこと
これだけあれば、面接前に答案を再現できます。細かい表現は不要です。
面接で答えられなかったとき
想定外の質問は必ず来ます。そのときの返し方を決めておいてください。
沈黙が最も損です。次の形で時間を作ります。
「その点は答案では触れていませんでした。いま考えると、〜という点が関係すると思います」
触れていないことを認めた上で、その場で考える。これは減点になりません。取り繕って矛盾したことを言うほうが、はるかに印象が悪い。
答案と違うことを言ってしまった場合も、隠さないでください。
「書いたときは〜と考えていましたが、いまのご質問を聞いて、〜の点を見落としていたと思います」
考えが動くこと自体は、悪く評価されません。動いた理由を説明できるかどうかが見られています。
深掘りの型を知っておく
面接官の質問には型があります。どう掘られるかを知っていれば、書く段階で備えられます。
型1|具体化を求める
「具体的には、どういうことですか」
答案で抽象的に書いた部分が狙われます。書いているときに「これは具体化できるか」と自問してください。できないなら、その記述は答案からも外したほうが安全です。
型2|例外をぶつける
「では、〜の場合はどうなりますか」
自分の主張が成り立たない場面を示されます。答案で条件を明示していれば、そのまま答えられます。「〜という条件の下では」と書いておくことが、そのまま面接の備えになります。
型3|逆の立場に立たせる
「反対の立場の人を説得するとしたら、何と言いますか」
反論に触れていれば答えられます。触れていなければ、その場で作ることになります。
型4|自分に引きつける
「あなた自身は、その状況でどうしますか」
社会の話として書いたことを、自分ごととして問われます。評論家の位置から書いた答案ほど、ここで詰まります。具体例に自分の経験を入れておくと、この質問に接続できます。
答案に書かないほうがよいこと
面接があると分かっている場合、書く前に外しておくべきものがあります。
| 書きがちなもの | なぜ外すか |
|---|---|
| うろ覚えの統計・年号 | 出典を聞かれて答えられない |
| 説明できない専門用語 | 意味を聞かれる。最も多い事故 |
| 読んでいない本や論文の名前 | 内容を聞かれる |
| 実際にはしていない経験 | 細部を聞かれて崩れる |
| 極端な断定 | 例外を1つ示されると全部崩れる |
5つ目が見落とされがちです。「〜すべきである」と言い切った主張は、面接で例外を出されたときに退路がありません。答案の段階で条件をつけておけば、面接でも同じ形で答えられます。
面接だけが別日の場合
小論文の結果を踏まえて面接が行われることもあります。この場合も準備は同じですが、答案を再現したメモを見返す時間があります。上に挙げた3点を必ず残しておいてください。
書類との一貫性については総合型選抜の面接で聞かれることにまとめてあります。
まとめ
- 答案は面接の質問リストになる
- 聞かれるのは3種類:具体例の詳細/反対の立場/その先
- 具体例を借り物にすると面接で崩れる。小さくても自分の経験にする
- 説明できない用語と、うろ覚えの数字は書かない
- 立場の理由は、答案に1段・頭の中に3段
- 試験直後に「立場・具体例・反論」の3点をメモに残す
- 答えられないときは、触れていないことを認めてその場で考える
- 考えが変わったなら、変わった理由を説明する
- 深掘りの型は4つ:具体化/例外/逆の立場/自分ごと
- 抽象的に書いた部分は必ず具体化を求められる。書く段階で自問する
- うろ覚えの統計、説明できない用語、極端な断定は答案から外しておく
形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。