小論文で時事をどこまで書くか。ニュースの使いどころ
最新の話題を入れれば評価される、というのは誤解です。時事が効く場面と効かない場面、使うときの3条件、うろ覚えの知識が答案を壊す仕組みと、情報の集め方をまとめました。
「最近のニュースを入れたほうがいいですか」という質問をよく受けます。
答えは「効く場面と、逆効果になる場面がはっきり分かれる」です。そして多くの受験生は、逆効果になる使い方をしています。
時事は「新しさ」で評価されない
まず誤解を解いておきます。採点者は、あなたが最新の出来事を知っているかどうかを見ていません。
見ているのは、その出来事を使って何を論じたかです。だから、
昨年、〜という出来事があった。このように現代社会は複雑化している。
こう書いた瞬間に、時事は飾りになります。触れただけで、論に使われていません。
時事が効く場面
1. 「いま起きている」ことが論の前提になるとき
対策が必要だと言われながら進まないのは、負担を負う人と恩恵を受ける人が違うからだ。実際に〜の場面でも、同じ構図で議論が止まっている。
自分の主張の一般性を示す材料として使う形です。これは効きます。
2. 課題文が時事に触れているとき
課題文が扱っている出来事について、自分が背景を知っていれば、より深く応答できます。ただし課題文に書かれていることの範囲を大きく超えないでください。
3. 自分の生活に接続できるとき
最も強い使い方です。
路線バスの減便が各地で進んでいるという報道を見た。私が通学に使う路線も、この2年で本数が半分になった。
報道と自分の経験が接続すると、時事が具体例として機能します。接続できない報道は、覚えていても使えません。
時事が逆効果になる場面
進行中の出来事
まだ結果が出ていないことについて断定すると、答案が古びます。採点されるのは書いた数週間後です。
評価が定まっていない事象
賛否が真っ二つに割れている最中の話題は、扱いが難しい。使うなら、どちらが正しいかではなく、なぜ意見が割れるのかを論じてください。
うろ覚えの固有名詞・数字
これが最も危険です。
年号、法律名、統計の数値、人名。1つ間違えると、答案全体の信用が落ちます。採点者は、間違いを見つけた瞬間に他の記述も疑い始めます。
自信がなければ、固有名詞を外して構図だけ書いてください。
❌ 2023年に成立した〜法により ⭕ 近年、〜を義務づける法整備が進んでおり
後者のほうが安全で、失う情報はほとんどありません。
使うときの3条件
時事を答案に入れる前に、次の3つを確認してください。
| 条件 | 確認 |
|---|---|
| 正確か | 固有名詞・数字を、自信を持って書けるか |
| 必要か | それを外しても論が成立するなら、外す |
| 接続があるか | 自分の経験・観察とつながっているか |
2つ目が重要です。外しても論が成立するなら、その時事は飾りです。字数を使う価値がありません。
どこまで遡るか
「最新でなければ意味がない」ということはありません。
3〜5年前までの出来事のほうが、むしろ使いやすい。構図が定まっていて、評価も落ち着いているからです。10年以上前のものでも、構図の説明に使えるなら問題ありません。
集め方
毎日ニュースを追う必要はありません。週に1回30分で足ります。
- 志望分野に関係する記事を3本選ぶ
- それぞれ3行にする(何が起きたか/何と何が対立しているか/自分の生活のどこに触れるか)
- 3行目が書けない記事は捨てる
3行目が書けるかどうかが、使える情報かどうかの判定基準です。この形式は、テーマ解説本の使い方と同じです(模範解答とネタ本の使い方へ)。
出題年とのずれに注意
過去問を解くとき、その年の時事と、いまの時事は違います。
数年前の過去問で「最近〜が問題になっている」と書かれていても、状況が変わっていることがあります。過去問はあくまで形式と論点を知るために使い、時事の内容は自分で更新してください。
まとめ
- 時事は新しさでは評価されない。何を論じたかが見られる
- 効くのは、論の一般性を示すとき/課題文が触れているとき/自分の生活に接続できるとき
- 進行中の出来事と、評価が割れている最中の話題は扱いが難しい
- うろ覚えの固有名詞・数字が最も危険。外して構図だけ書けば安全
- 3条件:正確か/必要か/自分との接続があるか
- 外しても論が成立するなら、その時事は飾り
- 3〜5年前の出来事のほうが使いやすい
- 週1回30分、3行ノート。3行目が書けない記事は捨てる
形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。