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小論文の例文(800字)。テーマ型の作例2本を、段落の役割と字数つきで

約9分で読めます

小論文800字の例文を2本載せました。AIの時代に書く力を学ぶ意味、人口が減る地域の路線バスという2つのテーマで、設問も体験も架空の作例です。問いと立場・理由・具体例・反論への応答・結論の5段落に分け、構成メモ、段落ごとの字数、よくある崩れ方まで示します。

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小論文の例文を探している人のために、800字の作例を2本載せます。どちらも、1行の問いが出されるテーマ型です。

先に断っておきます。

  • 設問も、答案の中の体験も、架空の作例です。大学の過去問ではありません
  • 例文を覚えて本番で再現しようとしないでください。本番の設問は違いますし、覚えた文は設問とずれます(小論文の模範解答とネタ本の使い方)
  • 借りてほしいのは、段落の役割と字数の配分です

作例は、このサイトのテーマ型小論文の書き方にある800字の設計図に沿って書いています。

作例の組み立て

段落 役割 目安 作例1(AIと書く力) 作例2(路線バス)
1 問いの提示と、自分の立場 120字 125字 118字
2 なぜその立場か(理由) 220字 214字 200字
3 具体例を1つ 250字 251字 232字
4 反論への応答 130字 116字 129字
5 結論 80字 76字 86字
合計 800字 782字 765字

字数は、句読点とかぎかっこを含めた文字数です(筆者の計算)。どちらも800字の9割台です。原稿用紙のマス数は、段落の最初の1マスなどで少し変わります(小論文の原稿用紙ルール)。

作例1:AIの時代に、書く力を学ぶ意味(782字)

設問(架空):AIが文章を書けるようになった時代に、人が文章を書く力を学ぶ意味はあるか。あなたの考えを800字以内で述べなさい。

書く前の構成メモ

手順 メモ
問いに変える 書く力は「文を作る技術」か、「考えを確かめる力」か
反対の立場 定型の文書はAIに任せたほうが効率がよい
具体例を1つ 探究のレポートをAIに下書きさせ、質疑で答えられなかった
立場 意味は大きくなっている。中心は考えを確かめる力

答案

AIが文章を書けるようになり、レポートも自分で書かなくてよいという声がある。では、人が書く力を学ぶ意味はあるのか。私は、意味はむしろ大きくなっていると考える。書く力の中心は、整った文を作る技術ではなく、自分が何を考えているかを確かめる力だからである。

文章を書くとき、人は頭の中の考えを一文ずつ言葉にしていく。その途中で、根拠が足りない所や、二つの主張が食い違っている所に気づく。「だから」と書こうとして迷ったとき、人は自分の考えを見直している。書くことは、考えを点検する作業でもある。AIは、指示を与えれば整った文を返してくれる。しかし、何を主張し、どの根拠を選ぶかを決めるのは書き手である。考えが曖昧なままでも文だけは整うので、AIに頼るほど、自分の考えの穴は見えにくくなる。

私自身、探究活動のレポートでこのことを経験した。地域の空き家について調べたとき、締切に追われてAIに下書きを作らせた。出てきた文章は読みやすく、そのまま出せそうに見えた。ところが発表の質疑で「空き家が増えた一番の原因は何か」と聞かれ、答えられなかった。下書きには原因が三つ並んでいたが、どれが重要かを自分で考えていなかったのである。そのあと自分の言葉で書き直すと、調べ足りない所がはっきりし、聞き取りを一件増やすことになった。書き直した文章は下書きより短くなったが、質問されても答えられる文章になった。

たしかに、定型の連絡文や議事録のように、型の決まった文書はAIに任せたほうが効率がよい。それを否定する必要はない。ただし、任せられるのは、何を言うかが決まったあとの作業である。何を言うかを決める力は、自分で書く中でしか鍛えられない。

したがって、AIの時代にも、人が書く力を学ぶ意味はある。学ぶべきなのは、文を整える技術よりも、書きながら自分の考えを確かめ、足りない所に気づく力である。

この作例で見てほしいところ

  • 第1段落で立場を1つに決め、その理由の芯(考えを確かめる力)まで言っています。読み手は、ここから先の話の方向が分かります
  • 第2段落は、一般的な理屈です。書くことが考えの点検になる、という仕組みを説明し、AIに頼ると穴が見えにくくなる、という主張の根拠にしています
  • 第3段落の具体例は1つだけです。何をしたか(AIに下書き)、何が起きたか(質疑で答えられない)、なぜか(原因の重みを考えていなかった)、そのあとどうしたか(書き直して聞き取りを増やした)まで書いています
  • 第4段落は「たしかに〜。ただし〜」で、反対の立場(効率)を認めてから、任せられる範囲を区切っています。反論を無視しない答案は多くありません
  • 第5段落は、立場を言い直して、学ぶべきものを一歩具体的にしています。新しい論点は出していません(小論文の結論の書き方・締め方)

作例2:人口が減る地域の路線バス(765字)

設問(架空):人口が減っている地域で、利用者の少ない路線バスを残すべきか。あなたの考えを800字以内で述べなさい。

書く前の構成メモ

手順 メモ
問いに変える 廃止か、残すか。残すならどんな形で
反対の立場 乗らない大型バスを走らせ続けるのは長く続かない
具体例を1つ 祖母の町。バスが減り、予約制の乗り合いの車に変わった
立場 移動手段は残す。ただし形を変えて

答案

人口が減る地域では、乗客の少ない路線バスの廃止が話題になることがある。そうした路線は、廃止すべきか、残すべきか。私は、地域の移動手段は残すべきだと考える。ただし、今と同じ形のまま残すのではなく、利用者に合わせて形を変えて残すべきである。

路線バスを必要としているのは、車を運転できない人である。高校生や、免許を返した高齢者にとって、バスがなくなれば通学や通院の手段がなくなる。家族が送り迎えできる人はよいが、それができない人は、住み慣れた地域に住み続けること自体が難しくなる。移動手段は、利用者の数だけで価値を測れるものではない。一方で、ほとんど人の乗らない大型バスを決まった時刻に走らせ続けるのは、運転手の確保の面からも長くは続かない。

私の祖母が住む町でも、数年前にバスの本数が一日数本に減った。祖母は通院の日、帰りのバスまで病院の待合室で二時間近く待っていた。祖母は「バスを待つ時間がいちばん疲れる」と話していた。その町では最近、電話で予約すると自宅の近くまで迎えに来る乗り合いの車が走り始めた。祖母は今、通院の時間に合わせて車を呼べるようになり、待ち時間がほとんどなくなったという。決まった道を走るバスより台数は少なくても、必要な人が必要な時に使える形に変えたことで、移動手段そのものは守られた。

たしかに、予約制の乗り合いには、予約の手間がかかる、同じ時間に予約が集中すると使いにくいといった弱点もある。電話での予約が難しい人への手助けも必要になる。しかし、これらは路線を廃止する理由ではなく、予約の方法や運行の時間、手助けの仕組みを工夫する理由である。

したがって、利用者の少ない路線バスは、なくすのではなく、地域の実情に合った形に変えて残すべきである。守るべきなのはバスという車両ではなく、住民が移動できることだからである。

この作例で見てほしいところ

  • 「廃止か存続か」の二択に、条件をつけた立場(形を変えて残す)で答えています。二択のどちらかに立ったうえで条件をつけるのは、両方を言って立場をなくす「どちらも大切」とは違います
  • 第2段落の最後で、反対側の事情(運転手の確保)にもふれています。これがあるので、第1段落の「形を変えて」が思いつきではなくなります
  • 第3段落の具体例は、立場をそのまま支える話(形を変えたら移動手段が守られた)になっています。具体例と立場がずれていないかは、書いたあとに必ず確かめます
  • 第4段落は、自分の案の弱点(予約の手間など)を自分で挙げ、それが廃止の理由にはならないと答えています
  • 第5段落の最後の一文(守るべきは車両ではなく移動できること)で、答案全体の考えをひとことにまとめています

2本に共通する型

  1. 第1段落:問いを言い直し、立場を1つ決める
  2. 第2段落:その立場の理由を、一般的な理屈で説明する
  3. 第3段落:具体例を1つだけ、誰が・何を・なぜ・どうなったかまで書く
  4. 第4段落:「たしかに〜。しかし(ただし)〜」で、反対の立場を認めてから答える
  5. 第5段落:立場を言い直す。新しい論点は出さない

段落の数と分け方は、小論文は何段落に分ける?にもまとめています。

よくある崩れ方

  • 「〜だけでなく〜も大切だ」で終わる。全部を取りにいくと、立場がなくなります。作例2のように、どちらかに立ったうえで条件をつけます
  • 具体例を3つ並べる。1つあたりが短くなり、どれも「なぜ」まで届きません。1つを深く書きます
  • 第4段落がない。反対の立場を書くと自分の主張が弱く見える、と考えて外す人がいますが、反論に答えている答案のほうが説得力があります
  • 結論で新しい話を始める。「また、〜も問題である」と結論で論点を足すと、答案が閉じません

自分で書く練習の手順

  1. 作例と同じ設問で、構成メモだけを10分で作る。作例のメモと比べる
  2. 60分で、800字を書く(時間の使い方は小論文の時間配分)
  3. 書いたら、段落ごとの字数を数えて、上の表の目安と比べる。どこが長すぎ・短すぎかが分かります(字数が足りない・超えたときの直し方)
  4. 第3段落の具体例が、第1段落の立場をそのまま支えているかを確かめる

まとめ

  • 作例2本は、設問も体験も架空。覚えるのではなく、段落の役割と字数の配分を借りる
  • 800字は5段落:問いと立場(120字)・理由(220字)・具体例(250字)・反論への応答(130字)・結論(80字)
  • 立場は1つ。二択に条件をつけるのはよいが、「どちらも大切」で終えない
  • 具体例は1つを深く。反論への応答を入れ、結論では新しい論点を出さない
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