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東海の公立大学の総合型選抜。愛知県立芸術は美術5専攻と声楽・作曲、名古屋市立の芸術工学部は3時間の鉛筆デッサン、愛知県立は共通テストのあとの1月に出願

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静岡・愛知・岐阜・三重の公立大学について、2027年度の総合型選抜を各大学の学生募集要項と入試ページで確かめました。実施するのは愛知県立芸術大学(美術学部5専攻・音楽学部2専攻)、名古屋市立大学(芸術工学部)、愛知県立大学(小学校教育コース)の3校。専攻ごとの配点と自己アピール資料の指定、陶磁専攻の4時間の粘土制作、共通テストを課して1月に出願する愛知県立大学の設計までを解説します。

東海(静岡・愛知・岐阜・三重)の公立大学で、2027年度に総合型選抜を実施するのは愛知県の3校です。

愛知県立芸術大学(美術学部5専攻・音楽学部2専攻)、名古屋市立大学(芸術工学部)、愛知県立大学(教育福祉学部の小学校教育コース)。そして3校のうち2校は、作品・実技で選ぶ芸術系の総合型選抜です。

一方、静岡県立大学・静岡文化芸術大学・静岡県立農林環境専門職大学・岐阜県立看護大学・岐阜薬科大学・三重県立看護大学の入試ページや入学者選抜要項には、総合型選抜の区分がありません。

この記事は、2027年度の学生募集要項と入試ページで、各校の実施状況と中身を確かめて整理したものです。

必ず志望大学・学部の最新の学生募集要項で確認してください。日程・募集人員・出願資格は年度によって変わります。 出典:愛知県立芸術大学 学部入試(美術)/愛知県立芸術大学 学部入試(音楽)/名古屋市立大学 学生募集要項/愛知県立大学 学部入試:募集要項

東海の公立大学の実施状況

大学 県 2027年度の総合型選抜
愛知県立芸術大学 愛知 実施:美術学部(日本画・彫刻・デザイン・陶磁・メディア映像)、音楽学部(作曲専攻作曲コース・声楽専攻)
名古屋市立大学 愛知 実施:芸術工学部(共通テストを課さない)
愛知県立大学 愛知 実施:教育福祉学部 教育発達学科 小学校教育コース(共通テストを課す)
静岡県立大学 静岡 入学者選抜要項・入試概要のページに総合型選抜の区分なし(学校推薦型選抜・一般選抜)
静岡文化芸術大学 静岡 学部入試の入試概要に総合型選抜の区分なし(学校推薦型選抜・一般選抜)
静岡県立農林環境専門職大学 静岡 令和9年度入学者選抜要項の選抜区分は一般選抜・学校長推薦選抜・特別選抜(社会人・私費外国人留学生)で、総合型選抜なし
岐阜県立看護大学 岐阜 入学者選抜要項・学生募集要項のページに総合型選抜の区分なし(学校推薦型選抜)
岐阜薬科大学 岐阜 学部入試のページに総合型選抜の区分なし(学校推薦型選抜・一般選抜)
三重県立看護大学 三重 入試日程に総合型選抜の区分なし(学校推薦型選抜・一般選抜)

芸術系・デザイン系を志望するなら、東海の公立で総合型選抜を使える道がはっきりあります。それ以外の分野では、愛知県立大学の小学校教育コースを除けば、学校推薦型選抜か一般選抜が入り口です。愛知県立大学と静岡県立大学の学校推薦型選抜は東海の公立大学の学校推薦型選抜にまとめています。

3校の日程を先に並べます。

愛知県立芸術(美術・音楽) 名古屋市立(芸術工学部) 愛知県立(小学校教育コース)
出願期間 2026年10月28日〜11月4日(消印有効) 11月1日〜11月6日16時(必着) 2027年1月19日〜1月25日
第1次選考の発表 11月19日11時 11月13日17時から受験票(1次合格者のみ) —
試験日 11月28日(デザイン専攻は11月29日) 11月28日 詳細は10月上旬公表
合格発表 12月7日11時 12月8日10時 —
共通テスト 課さない 課さない 課す

愛知県立芸術(デザイン専攻を除く)と名古屋市立の芸術工学部は、試験日が同じ11月28日です。同じ日に2か所では受けられないので、デザイン系で両校を考えている人は、どちらを受けるかを出願前に決める必要があります(名古屋市立の総合型選抜は合格したら入学を確約する条件つきです)。

愛知県立芸術大学 美術学部——専攻ごとに第2次選考がまったく違う

募集人員

学科 専攻 入学定員 総合型選抜の募集人員
美術科 日本画専攻 10名 若干名
美術科 彫刻専攻 10名 若干名
デザイン・工芸科 デザイン専攻 25名 8名
デザイン・工芸科 陶磁専攻 10名 2名
デザイン・工芸科 メディア映像専攻 10名 2名

デザイン専攻の8名が最大で、入学定員25名の3分の1近くを総合型選抜で選びます。油画専攻は総合型選抜の対象ではありません。

出願資格で1つだけ注意があります。デザイン専攻だけ「令和9年3月31日時点において22歳以下」という年齢の条件がついています。

第1次選考は「自己アピール資料」1,000点

どの専攻も、第1次選考は書類審査(自己アピール資料など)で1,000点です。そして自己アピール資料の指定が専攻で違います。

専攻 自己アピール資料の指定
日本画 これまでの自主的な活動や作品を自由にまとめる。A4ファイル1冊、枚数自由。作品は後日返却
彫刻 A 自己アピール資料+B 課題「キーストーン種」をテーマに自由に発想し、立体作品として制作。3方向から写した写真で提出し、作品コメント400字以内を添付。A3ファイル1冊
デザイン これまでの自主的な活動や作品。A3で10枚以内・表面のみ、レイアウトや表現形式は自由。各ページ右肩に通し番号(1〜10)、左辺をホチキス留め(市販ファイル不可)。返却なし
陶磁 これまでの自主的な活動や自己制作作品。A3で20枚以内。陶磁制作の経験の有無は問わない。返却なし
メディア映像 これまでの自主的な活動や作品。A3で10枚以内・表面のみ・ホチキス留め。映像作品はサムネイル画像と、閲覧用のQRコード・URLを載せる。返却なし

彫刻専攻は、出願時に課題作品を1点つくって出します。テーマは「キーストーン種」。生態系で、個体数が少なくても全体に大きな影響を与える種を指す生物学の言葉です。テーマの意味を調べるところから制作が始まる課題で、作品そのものと、400字のコメントで発想の筋道を説明する力の両方が問われます。

そして全専攻に共通して、要項は「作品や提出資料に生成AIなどを活用した場合は、その該当箇所について明示すること」と書いています。使ってはいけないとは書いていません。使ったなら、どこに使ったかを書くというルールです。

第2次選考——提出作品審査/小論文/4時間の実技

専攻 試験日 第2次選考の内容
日本画 11月28日 10:00〜 提出作品審査(平面作品)+面接(第1次選考試験・提出作品・志願理由に関する試問)
彫刻 11月28日 小論文 10:00〜11:30(90分)/面接 13:30〜17:00
デザイン 11月29日 9:20〜作品搬入/10:00〜面接(作品審査を含む)
陶磁 11月28日 実技試験(立体)10:00〜15:00(4時間)粘土による立体制作/15:30〜面接
メディア映像 11月28日 実技試験(発想課題)11:00〜15:00(4時間)物語構成とイメージデッサン/面接は実技と並行

実物作品の持ち込みにはサイズと数の制限があります。日本画は過去3年以内に制作した平面作品で、606×728mm以内・5枚以内。デザインは平面ならB全パネル以内、立体なら1立方メートル以内。どちらも受験者1人で搬入・設置・搬出できるものに限られ、運送業者は使えません。日本画はイーゼルの持ち込みも禁止です。

陶磁専攻の粘土制作は4時間です。粘土・粘土板・ヘラは大学が用意し、受験者は鉛筆、消しゴム、霧吹き、ボールペン、粘土制作に適した服装、手ぬぐいを持参します。昼食は12時〜13時。そのあと面接で、自己アピール資料に基づく口頭発表7分程度と、実技試験・志願理由に関する質疑応答5分程度があります。

メディア映像専攻の実技は「物語構成とイメージデッサン」。持参するのは鉛筆、色鉛筆、ペン、消しゴム、カッターナイフ、定規です。面接は自己アピール7分間(自己アピール資料を使った口頭発表)と質疑応答8分間で、実技試験の時間中に並行して呼ばれます。

配点——彫刻専攻だけ第1次の点数が最終判定に残る

専攻 第1次(書類審査) 第2次:提出作品審査 第2次:小論文 第2次:実技 第2次:面接 第2次の計
日本画 1,000 500 — — 500 1,000
彫刻 1,000 — 400 — 600 2,000(※)
デザイン 1,000 — — — 1,000 1,000
陶磁 1,000 — — 500 500 1,000
メディア映像 1,000 — — 500 500 1,000

※要項の注記:「彫刻専攻のみ、第1次選考試験の点数を第2次選考試験に反映させ、第1次選考試験・第2次選考試験の合計点で最終の合否を判定します」。

つまり彫刻専攻は、出願時の自己アピール資料とキーストーン種の課題作品(1,000点)が、最終判定の半分を占めます。ほかの4専攻は、第1次選考を通れば第2次の1,000点で勝負し直す形です。

デザイン専攻は第2次がすべて面接(1,000点)で、作品審査もその中に含まれます。評価基準は「コミュニケーション能力をみる。人物の志向性やデザインを研究する意欲をみる」。持ち込んだ作品について、なぜそう作ったかを言葉で説明できるかが点数になる設計です(芸術系の小論文対策)。

彫刻専攻の小論文(90分・400点)の評価基準は「論理的な思考力と文章表現力をみる」です。芸術と社会の関係を問う題材に備えるなら、芸術と社会が土台になります。

愛知県立芸術大学 音楽学部——作曲コースと声楽専攻

音楽学部の総合型選抜は2つの専攻で行います。

専攻(コース) 入学定員 総合型選抜の募集人員 選考の流れ
作曲専攻(作曲コース) 8名 若干名 提出物による審査(作品3曲、音楽活動記録、調査書など)→作曲実技試験・口述試験
声楽専攻 30名 4名 書類審査(音楽活動記録、調査書など)→専攻実技試験・面接試験・音楽の基礎的能力試験(ピアノ)

日程は美術学部と同じで、出願10月28日〜11月4日(消印有効)、書類選考の発表11月19日11時、試験11月28日・29日、本選考の発表12月7日11時です。

声楽専攻の選考方針について、大学はこう説明しています。

専門実技試験においては、受験者の演奏を複数の審査員が様々な視点(演奏家としての資質、技術、表現力)から採点し、それらを集計した結果により評価を決定します。面接試験においては、音楽に対する情熱や主体的に学ぶ姿勢を評価します。

声楽専攻の総合型選抜にはピアノの試験(音楽の基礎的能力試験)が入っています。声楽だけを準備していると、ここで点を落とします。

名古屋市立大学 芸術工学部——3時間の鉛筆デッサンで決まる

募集人員と出願資格

芸術工学部 芸術工学科で若干名。共通テストは課しません。

出願資格は、高校を2026年3月に卒業した者または2027年3月卒業見込みの者(既卒は1年まで)で、「芸術工学部で学ぶ強い意志があり、実技能力、人物ともに優秀である者」かつ「合格した場合、必ず入学することを確約する者」です。出願時に入学確約書に署名して出します。

第1段階は書類で40名程度に、第2段階は実技検査だけ

段階 内容
第1段階選抜 志願者が40名を超えた場合、出願書類(学業成績と、芸術工学部への志望動機の具体性や妥当性)で40名程度に絞る
第2段階選抜 実技検査。2026年11月28日(土)10:00〜13:00(3時間)、滝子キャンパス
合否判定 出願書類と実技検査の結果を総合的に評価

第2段階は実技検査だけで、面接も小論文もありません。評価のポイントは「描写力(対象を正確にとらえ正確に表す力)、想像力や表現力(想定したものを的確に表し伝える力)等」です。

持参するものも要項に書かれています。鉛筆(4H〜6B程度の各種)、カッターナイフ・小刀または鉛筆削り器(電動および手動ハンドル回転式は不可)、練り消しゴム、プラスチック消しゴム。つまり鉛筆デッサンの試験です。

第1段階選抜の書類で見られるのは学業成績と志望動機です。出願書類の中心は直筆の志願理由書(800字程度)。デッサンが得意でも、40名を超えたら志願理由書と調査書で先に絞られます(志望理由書の完全ガイド)。第1段階で不合格になると、入学検定料17,000円のうち13,000円が返還されます。

日程と、合格したあとの制限

日程
出願期間 2026年11月1日(日)〜11月6日(金)16:00必着(書留速達。11月4日以前の国内消印なら期間後の到着も可)
受験票・受験案内 11月13日(金)17:00から(第1段階の合格者のみ)
実技検査 11月28日(土)10:00〜13:00
合格発表 12月8日(火)10:00

出願は「必着」です。消印有効ではありません。そして要項はこう書いています。

総合型選抜の合格者は、他の国公立大学(ただし、独自日程で入学者選抜試験を行う公立大学・学部を除く)及び本学の各学部を受験しても合格対象者として取り扱いません。

合格したら、ほかの国公立大学の一般選抜を受けても合格者として扱われない、ということです。デザイン・建築系の関連分野は建築・デザイン系の小論文対策にまとめています。

愛知県立大学——共通テストのあと、1月に出願する総合型選抜

愛知県立大学の総合型選抜は、教育福祉学部 教育発達学科 小学校教育コースの1つだけで、区分名は「総合型選抜(大学入学共通テストを課す・全国枠)」です。

大学の募集要項ページに載っている2027年度の情報は次のとおりです。

内容
対象 教育福祉学部 教育発達学科 小学校教育コース
区分 総合型選抜(大学入学共通テストを課す・全国枠)
インターネット出願登録開始日 10月上旬公表予定
出願期間(出願書類郵送期間) 2027年1月19日(火)〜1月25日(月)
出願書類所定様式 活動実績報告書
学生募集要項 10月上旬公表予定

出願が共通テストの後の1月という点が、ほかの2校とまったく違います。つまり高3の秋に総合型選抜で決着する入試ではなく、共通テストを受けたうえで出す入試です。共通テストの勉強を止めることはできません。

募集人員や選抜方法の詳細は、2027年度の学生募集要項(10月上旬公表予定)で確認してください。大学は9月20日に、この小学校教育コース(総合型選抜)の説明会を開くと告知しています(教育系の小論文対策)。

準備の順番

時期 愛知県立芸術(美術) 名古屋市立(芸術工学部) 愛知県立(小学校教育)
高2〜高3春 作品を撮りためる。制作年・素材・サイズを記録しておく 鉛筆デッサンの基礎(形・明暗・質感) 共通テストの準備を最優先
高3 6〜8月 自己アピール資料の構成を決める。彫刻は「キーストーン種」の課題作品を制作(3方向の写真+400字) デッサンを時間を計って描く(3時間で完成させる) 活動を整理(所定様式は活動実績報告書)
高3 9〜10月 自己アピール資料を仕上げる。生成AIを使ったなら該当箇所を明示 志願理由書800字を直筆で。第1段階選抜は書類で決まる 9月20日の説明会。10月上旬に募集要項が出たら中身を確認
高3 10月28日〜11月4日 出願(消印有効) — —
高3 11月1日〜6日 — 出願(16時必着) —
高3 11月19日 第1次選考の発表 — —
高3 11月28日 第2次選考(デザインは29日) 実技検査 —
高3 12月7日・8日 12月7日 最終発表 12月8日 合格発表 —
高3 1月 — — 共通テスト→1月19日〜25日に出願

愛知県立芸術と名古屋市立の芸術工学部は、どちらも作品・実技の積み上げで決まります。秋から始めても間に合いません。作品は描いた・作った時点で撮影し、制作年と素材を記録しておくのが、自己アピール資料づくりの一番の近道です。

出願実務の落とし穴は出願直前チェック17項目、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。

まとめ

  • 東海の公立大学で2027年度に総合型選抜を実施するのは、愛知県立芸術大学・名古屋市立大学・愛知県立大学の3校。静岡県立・静岡文化芸術・静岡県立農林環境専門職・岐阜県立看護・岐阜薬科・三重県立看護の入試ページや選抜要項には総合型選抜の区分がない
  • 愛知県立芸術 美術学部は日本画・彫刻・デザイン(8名)・陶磁(2名)・メディア映像(2名)。デザイン専攻は22歳以下の条件つき
  • 第1次選考はどの専攻も自己アピール資料で1,000点。彫刻は「キーストーン種」の立体作品を出願時に制作して写真と400字で出す
  • 第2次は専攻でまったく違う。日本画は提出作品審査、彫刻は小論文90分、デザインは面接1,000点(作品審査を含む)、陶磁は粘土制作4時間、メディア映像は物語構成とイメージデッサン4時間
  • 彫刻専攻だけ、第1次と第2次の合計2,000点で最終判定
  • 自己アピール資料に生成AIを使った場合は該当箇所を明示(禁止ではない)
  • 愛知県立芸術 音楽学部は作曲コース(若干名・作品3曲)と声楽専攻4名。声楽はピアノの基礎的能力試験がある
  • 名古屋市立 芸術工学部は若干名・入学確約。40名超で書類により第1段階選抜、第2段階は鉛筆デッサンの実技検査3時間だけ。出願は11月6日16時必着
  • 愛知県立大学は小学校教育コースで共通テストを課し、出願は2027年1月19日〜25日。募集要項は10月上旬公表予定
  • 日程・募集人員は必ず最新の学生募集要項で確認する

ほかの地域の公立大学は、近畿の公立大学、北陸の公立大学、甲信越の公立大学、関東の公立大学(総合型選抜)、東北の公立大学、北海道の公立大学にまとめました。東海の公立大学の学校推薦型選抜は愛知県立大学と静岡県立大学で扱っています。

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