横浜市立大学 総合型選抜の対策。4学部43人、出願は9月1日からの3日間だけ、200点中170点がプレゼン
横浜市立大学の2027年度総合型選抜を学生募集要項の記載で整理しました。4学部43名の募集人員と3日間しかない出願期間、評定で英語要件が変わる仕組み、プレゼンテーション概要1と2の役割分担、30分面接の内訳、公開されている配点までを解説します。
横浜市立大学の総合型選抜は、配点が公開されている珍しい入試です。
どの書類が何点なのか、面接が何点なのかが募集要項に書かれています。だから、どこに時間をかけるべきかを迷わずに決められます。
そして選考の本体は、10分のプレゼンテーションです。書いて出す入試ではなく、話す入試だと考えてください。
この記事は、公開されている募集要項の記載をもとに構造を整理したものです。
必ず最新の募集要項で確認してください。日程・出願要件・英語資格の基準は年度によって変わります。要項のPDFは参考閲覧用で、実際の出願には冊子体を使うよう指示されています。 出典:横浜市立大学 総合型選抜/学生募集要項(PDF)
選考の全体像と、公開されている配点
要項に、合否判定基準がそのまま書かれています。
| 選考 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 第1次選考 | 出願書類審査 | プレゼンテーション概要 70点/英語能力・調査書等 30点(計100点) |
| 第2次選考 | 個人面接(プレゼンテーション、質疑等) | 1次の評価100点+面接100点(計200点) |
要項の記載はこうです。1次は「一定基準以上の受験者を合格」、2次は「一定基準以上の者の中から高得点順に合格者を選抜」。
この配点表が、対策の優先順位をそのまま示しています。
- 200点のうち、プレゼン関連が170点(概要70+面接100)
- 英語資格と調査書は合計30点。出願要件であって、勝負どころではない
英語スコアを1つ上の級にする労力より、プレゼン概要を1回多く書き直すほうが点数に効くということです。
日程——出願期間は3日間しかない
| 日付 | |
|---|---|
| 出願期間 | 2026年9月1日(火)〜9月3日(木) |
| 第1次選考 | 出願書類審査 |
| 第1次選考結果発表 | 9月25日(金) |
| 第2次選考(面接) | 2026年10月10日(土) |
| 合格発表日 | 11月2日(月) |
| 入学手続日 | 12月18日(金) |
出願期間が3日間しかありません。9月1日から3日まで。書類の不備に気づいてから直す余裕はほとんどないので、8月中に完成させて、他人に点検してもらうところまで終えておく必要があります。
もう1つ、入学手続日が12月18日である点も見ておいてください。合格発表は11月2日ですが、手続は12月18日です。合格から手続まで1か月半あります。
対象学部と募集人員——4学部で43名
| 学部 | 学科 | 募集人員 |
|---|---|---|
| 国際教養学部 | 国際教養学科 | 20名 |
| 国際商学部 | 国際商学科 | 5名 |
| 理学部 | 理学科 | 5名 |
| データサイエンス学部 | データサイエンス学科 | 13名 |
| 合計 | 43名 |
要項には「選抜の結果、合格者が募集人員に満たない場合があります」とも書かれています。枠が余っても、基準に届かなければ通りません。
なお、出願対象は高校卒業予定者に限りません。要項は「既卒者、高等学校を卒業してから何年か社会で活躍した人など、大学入学資格を持つ人を広く対象」としています。
英語資格——評定によって基準が変わる
ここが独特です。要項は英語資格の基準を【A】と【B】の2段階に分け、どちらが適用されるかを評定平均や履修科目で決めています。
| 水準 | 基準の例 |
|---|---|
| 【A】 | TOEFL iBT 61以上/TOEIC(L&R) 600以上/英検準1級以上/GTEC 1140以上/IELTS 5.0以上 |
| 【B】 | TOEFL iBT 48以上/TOEIC(L&R) 500以上/英検2級以上/GTEC 1000以上/IELTS 4.5以上 |
そして、適用の分かれ方が学部ごとに定められています。
| 学部 | 【B】でよい条件 | それ以外 |
|---|---|---|
| 国際教養学部 | 全体の評定平均値 4.3以上 | 【A】 |
| 国際商学部 | 指定の数学系4科目等を修得(見込)で評定4.0以上、または日商簿記2級以上 | 【A】 |
| 理学部 | 全体の評定平均値 4.0以上 | 【A】 |
| データサイエンス学部 | — | 全員【A】 |
評定が高ければ、英語の要求水準が下がります。逆に評定が届かない場合は、英語で上の級を取れば出願できます。2つの経路が用意されている設計です。
データサイエンス学部だけは例外で、評定にかかわらず【A】が必要です。
英語資格の細かい条件
要項の指定は厳しいので、受ける前に確認してください。
- 2024年4月以降に受検したものに限る——古いスコアは使えません
- TOEFL ITP、TOEIC IP は認められない——団体受験のものは不可
- TOEFL iBT の My Best スコアは不可——1回のテストのスコアで満たす必要があります。従来型の120点スケール(Test Dateスコア)を使用
- 英検は S-CBT を含む
- 【B】の英検について、「不合格の準1級 CSE2200以上を含む」
最後の点は注目に値します。準1級に落ちても、CSEスコアが2200以上あれば【B】の要件を満たせます。上智大学の公募推薦が「不合格の場合は認めない」と明記しているのと正反対なので、上智の公募推薦と併願を考える人は混同しないでください。
なお、TOEFLとIELTSの成績証明書は実施機関から大学へ直接送付する形式です。出願期間の前から受付されるので、早めに手配してください。
プレゼンテーション概要1と2——役割が明確に分けられている
出願書類の中心は、この2つです。要項が役割を明示的に分けているので、そのとおりに書いてください。
| 内容 | 形式 | |
|---|---|---|
| 概要1 | これまでの活動や取り組みで自己評価できるもの | A4片面2枚。手書きまたはPC |
| 概要2 | 将来の目標・その理由・入学後の学びの構想・志望理由 | 所定用紙 片面2枚。手書提出必須(黒ボールペン) |
概要2は手書きしかできません。清書の時間を見込んでスケジュールを組んでください。
概要1——過去。ただし学部によって範囲が限定される
要項の指示は具体的です。活動について「その内容、動機や目的、方法、結果、意義などを、できるだけ具体的に記してください」。
そして、学部による限定があります。
理学部については自然科学分野に関して取り組んだ活動に、データサイエンス学部についてはデータを活用した活動や取り組みに限定します。
理学部・データサイエンス学部志望者は、書ける活動が絞られます。部活動や生徒会の話は、ここでは使えません。志望学部を決める前に確認してください。
形式の指定も細かく決まっています。PCで作る場合は、10〜12ポイント/1枚あたり30行前後/上下左右の余白は各20mm以上/上部余白に氏名、下部余白にページ数/罫線は不要。所定の表紙を使い、表紙と本文を揃えて左上をホチキス留めします。
図表の扱いに注意してください。
図表が必要な場合は、本文枠内の適切な位置に図表枠を作成し、挿入すること(切り貼り可、別紙添付不可)。
新聞記事や自分の著作物の一部も図表と同じ扱いで、別紙では出せません。本文の枠内に縮小コピーを入れる必要があります。そして要項は「本文を圧迫しすぎると、内容が薄くなりがちですから注意してください」と警告しています。
2枚しかないところに図表も入れる。この制約の中で何を見せるかが、最初の勝負です。
そして、もう1つ重要な指定。
入学後の目標や希望等をここに記述しないこと。
概要1に将来の話を書いてはいけません。これは指示違反になります。
概要2——未来。ただし過去を踏まえる
概要2は「概要1の内容を踏まえて」書くものと指定されています。将来の目標、その理由、入学後の学びの構想、そして志望理由。
要項の一文が、この書類の水準を決めています。
『大学案内』だけでなく様々な参考資料などを参照して、内容を深めることが求められます。
大学案内の引き写しでは足りない、と要項が明言しています。学部のカリキュラム、教員の研究、開講科目まで調べてください。書き方の土台は志望理由書の完全ガイドにあります。
推薦者の署名が要る
見落とされがちですが、概要2の表紙には推薦者の署名欄があります。
要項によれば、推薦者は「あなたの事をよく知っている方」で、出願の趣旨をよく理解したうえで署名や必要事項を記入してもらいます。厳封は不要です。
学校の先生でなくてもかまいませんが、早めに依頼してください。そして後述するとおり、入学辞退の際にも推薦者の連名が必要になります。
第2次選考——30分の内訳が公開されている
要項は、面接の進み方まで書いています。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 最初の10分 | 提出した概要1・概要2をもとにプレゼンテーション |
| その後 | プレゼンへの質疑 |
| 続けて | 各学部に関連した基礎知識やその他総合的な事柄についての質問 |
全体で1人30分程度です。
使えるもの・使えないもの
要項の指定は明確です。
- ホワイトボードを使用できる(盤面 横180cm×縦90cm程度が1台。マーカーと掲出用マグネットが用意される)
- ポスター(模造紙)等の掲示物を使用できる
- 新たな資料を配付・提出することはできない
- パソコン等の電子機器は使用できない
スライドは使えません。紙とホワイトボードだけです。模造紙を持ち込むか、その場でホワイトボードに書くか、あるいは何も使わず話すか。この選択自体を設計してください。
マグネットが用意されているということは、模造紙を貼ることが想定されているということです。準備の考え方はプレゼン型入試と探究発表のしかたにまとめています。
なお、遠隔(オンライン)面接が認められた場合はMicrosoft Teamsで実施され、その場合に限り画面共有によるプレゼンができると要項に書かれています。時間配分は同じです。
10分を守る
要項が、わざわざ注意しています。
発表の時間が超過すると、質疑の時間が十分にとれなくなりますので、発表時間を厳守できるよう準備をしてきてください。
質疑の時間を削ってしまうと、自分が損をします。面接100点のうち、質疑応答で見られる部分は小さくありません。10分で話し切る練習を、時間を計って繰り返してください。
「各学部に関連した基礎知識」への備え
3つ目の質問領域を軽視しないでください。要項は「各学部に関連した基礎知識やその他総合的な事柄についても、質問します」としています。
これは口述試問です。志望動機だけでは対応できません。準備の方向は口頭試問の対策を、分野の背景知識は学部系統別の小論文対策から志望学部に近い系統へ進んでください。国際教養・国際商ならグローバル化や働き方と労働、データサイエンス学部ならAIと社会やデータとプライバシーあたりが土台になります。
共通テストの位置づけ——合否には使わない
ここは誤解が多いところです。要項に「大学入学共通テストの受験について」という項目があり、こう書かれています。
合格者は、入学前の学習の一環として、以下に指定する令和9年度大学入学共通テストの教科・科目を受験し、その自己採点結果を報告してください。なお、実際に試験会場で受験するのではなく、新聞等で発表される試験問題を用いて自宅等で受験することも可とします。したがって大学入学共通テストへの出願申込は必須ではありません。
つまり——
- 共通テストは合否判定に使われません
- 課されるのは合格後、入学前学習として
- 会場で受験する必要すらありません
学部ごとに指定教科・科目(6教科8科目など、かなり広い範囲)が定められていますが、これは入学後に困らないための課題です。出願段階で身構える必要はありません。
とはいえ、指定範囲の広さは大学からのメッセージでもあります。合格しても、その範囲は学んでおくことが期待されている、ということです。
併願と入学辞退——ここが最も重要
国公立の総合型選抜として、この入試には厳しい制約があります。
入学確約が出願要件
要項の出願要件(4)に、次の項目が含まれています。
本学への入学を強く希望し、合格した場合には入学することを確約できる者
専願です。出願の時点で確約が求められます。
入学辞退は原則として認められない
さらに、入学手続の留意点にこうあります。
総合型選抜合格者の入学辞退は、原則として認められません。ただし、入学できない特別の事情があり、本人と推薦者連名の「入学辞退願」を提出した場合に、入学辞退を認める場合があります。
本人だけでは辞退できません。推薦者との連名が要ります。推薦者を誰に頼むかを、この点も含めて考えてください。
他の国公立大学が閉じる
入学手続者は、他の国公立大学を受験しても合格者とはなりません。
合格発表は11月上旬、入学手続は12月中旬です。手続をした時点で、国公立の前期・後期日程は選択肢から消えます。
同じ国公立でも、筑波大学のAC入試は体育専門学群を除いて入学確約を求めていません。制度の性質が違うので、併願設計をするなら要項を1つずつ確認してください。
一般選抜の準備は止めないでください(総合型選抜と一般入試の両立)。不合格の場合、共通テストまで2か月半しかありません。
準備の順番
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1〜高2 | 活動に取り組み、記録を残す。理学部・データサイエンス志望は分野が限定されることに注意 |
| 高2〜高3春 | 評定を確認し、【A】と【B】のどちらが適用されるかを判断 |
| 高3 春〜夏 | 英語資格を取る。2024年4月以降の受検である必要がある |
| 高3 6〜7月 | 概要1を書く。A4 2枚に図表も収める構成を決める |
| 高3 7〜8月 | 概要2を書く。手書きなので清書の時間を確保。推薦者に依頼 |
| 高3 8月 | 調査書を先生に依頼(出願前3か月以内の作成・厳封) |
| 高3 9月上旬 | 出願(簡易書留速達、必着)。書類はコピーを取る |
| 高3 9〜10月 | 10分のプレゼンを、時間を計って練習。模造紙を使うかを決める |
| 10月 | 2次選考(個人面接30分) |
プレゼンの練習が最優先です。200点中100点が面接で、そのうち最初の10分は自分でコントロールできる時間です。
出願実務の落とし穴は出願直前チェック17項目、要項の読み方は募集要項の読み方にまとめています。
まとめ
- 4学部で43名。出願期間は9月1日から3日間だけ、第1次選考結果は9月25日、面接は10月10日、合格発表は11月2日
- 配点が公開されている。200点中170点がプレゼン関連(概要70+面接100)
- 英語能力・調査書は30点。出願要件であって、勝負どころではない
- 英語資格は【A】【B】の2段階。評定が高ければ【B】でよい学部がある
- 2024年4月以降の受検に限る。ITP・IPは不可、TOEFLのMy Bestスコアも不可
- 英検は「不合格の準1級 CSE2200以上」も【B】として使える
- 概要1は過去、概要2は未来。概要1に入学後の目標を書いてはいけない
- 概要2は手書き必須。推薦者の署名も要る
- 理学部・データサイエンス学部は、概要1に書ける活動の分野が限定される
- 2次は30分。最初の10分がプレゼン。スライドは使えず、ホワイトボードと模造紙のみ
- 共通テストは合否に使わない。合格後の入学前学習として自己採点を報告する
- 入学辞退は原則認められない。辞退には推薦者との連名が必要
- 日程・基準は必ず最新の募集要項で確認する
関東のほかの公立大学は東京都立・前橋工科・群馬県立女子・神奈川県立保健福祉にまとめました。共通テストを合否に使わない設計は横浜市立だけではありません——神奈川県立保健福祉も「合格後に受験義務、合否には使わない」という同じ形です。