金沢医科大学の総合型選抜。医学部は5種類あり、試験当日に60分で800字の自己推薦書を書く
金沢医科大学の総合型選抜を、2027年度の入学者選抜情報から整理しました。AO入試・卒業生子女入試・指定地域・研究医枠・新潟県地域枠の5種類の違い、試験当日に60分で書く自己推薦書(800字程度)、400点満点の配点、卒業後の臨床研修を確約する従事要件まで解説します。看護学部に総合型選抜がないことも確認しています。
金沢医科大学の医学部には、総合型選抜が5種類あります。
AO入試/卒業生子女入試/指定地域/研究医枠/新潟県地域枠です。
そして5種類のうち3種類には、試験当日に60分かけて800字程度を書く「自己推薦書」があります。名前は推薦書ですが、やることは試験会場で書く論述です。
一方、看護学部に総合型選抜はありません。学校推薦型選抜(公募・指定校・指定地域)と一般選抜だけです。
出典:医学部入学者選抜情報(金沢医科大学)の総合型選抜(AO入試)、総合型選抜(卒業生子女入試)、総合型選抜(指定地域)、試験科目・配点、および看護学部入学者選抜情報。いずれも2026年9月23日に確認しました。
5種類の違いを1枚で
| 種類 | 募集人員 | 出願できる人 | 年齢 |
|---|---|---|---|
| AO入試 | 15名 | 卒業見込み等 | 25歳以下 |
| 卒業生子女入試 | 8名 | 金沢医科大学医学部卒業生の子女 | 25歳以下 |
| 指定地域 | 1名 | 富山県氷見市長の推薦がある人 | 19歳以下 |
| 研究医枠 | 1名 | 卒業見込み等 | 25歳以下 |
| 新潟県地域枠 | 2名 | 卒業見込み等(出身地の制限なし) | 20歳以下 |
募集人員の大きさで見れば、実質はAO入試(15名)と卒業生子女入試(8名)が主役です。
5種類とも専願です。 要項の言い方はこうです。
総合型選抜は専願です。合格者は入学を辞退できません。
配点は400点満点。自己推薦書に60点
AO入試・卒業生子女入試・指定地域は、この配点です。
| 区分 | 科目 | 時間 | 配点 | 問題の公表 |
|---|---|---|---|---|
| 第1次 | 基礎学力テスト | 80分 | 200点(英語60点・数学60点・理科80点) | 公表 |
| 第1次 | 自己推薦書 | 60分 | 60点(第1次選抜合格者のみ採点) | 非公表 |
| 第2次 | 個人面接 | 約15分 | 140点(調査書等の評価を含む) | 非公表 |
研究医枠と新潟県地域枠は、自己推薦書のかわりに出願時に提出する志望理由書が60点です。当日に書くものはありません。
基礎学力テストの出題範囲は次のとおりです。
- 英語 — 英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ、論理・表現Ⅰ
- 数学 — 数学Ⅰ・数学A
- 理科 — 物理基礎・化学基礎・生物基礎から2科目選択(試験室にて選択)
注意すべき一文があります。
各科目に基準点を設定し、得点が基準点に満たない科目がある場合は不合格とする場合があります。
合計点が足りていても、1科目が沈むと落ちる可能性があるということです。理科の2科目選択は試験室で決められるので、当日に問題を見てから選べます。
もうひとつ、自己推薦書の扱いにも独特の決まりがあります。
自己推薦書は第1次選抜で実施し、採点は第2次選抜で行います。
書くのは11月21日、採点されるのは第1次を通過してからです。つまり基礎学力テストで第1次を突破しないと、自己推薦書は読まれません。
自己推薦書は800字程度。設問が長い
AO入試と指定地域の設問はこうです。
本学の建学の精神及び社会的使命を理解したうえで、それと関連し、将来目指す医師像、本学を選んだ理由、在学中の勉学目標、また、卒業後本学でどのような臨床研修(5年間)を行いたいか及び、指定する課題について記述する。(指定課題含め800字程度)
卒業生子女入試は、この部分が変わります。
…卒業後本学での臨床研修及び、その後引き続きの勤務(合計9年間)でどのように本学の発展と社会に貢献したいか及び、指定する課題について記述する。
数えてみてください。書くべき要素が5つあります。
- 将来目指す医師像
- 大学を選んだ理由
- 在学中の勉学目標
- 卒業後の臨床研修(5年間。卒業生子女入試は合計9年間の勤務)
- 指定する課題
これを800字程度に収めます。単純に割れば1要素あたり160字です。しかも全部を「建学の精神及び社会的使命と関連させて」書くよう指定されています。
そして5つめの「指定する課題」は当日まで分かりません。当日に示される課題のぶんまで800字の中に入れる必要があるので、1〜4を先に書き切ってしまうと入らなくなります。
60分で800字。時間としては厳しくありませんが、配分の設計を事前にしておかないと崩れる形式です。
推薦書は「近親者でもよい」
AO入試と卒業生子女入試では、出願時に推薦書を提出します。ここに珍しい但し書きがあります。
推薦書(1,000字程度) 推薦者は出願者本人を熟知する方(近親者、教員等は問わない)とし、推薦者と出願者の関係を明瞭に述べ、出願者が将来、良医として成長する資質をどの程度備えているかについて、できるだけ客観的に評価してください。
近親者でも書けます。学校推薦型選抜のように高校の先生に限定されていません。そのかわり「推薦者と出願者の関係を明瞭に述べる」ことと「できるだけ客観的に評価する」ことが求められています。
家族が書く場合こそ、身びいきに読めない書き方が要ります。1,000字程度という分量も、ひとことの推薦では埋まりません。
卒業後に何をするかを、入学前に確約する
この大学の総合型選抜で一番重いのは、試験ではなく出願要件かもしれません。
AO入試と指定地域の場合はこうです。
本学を卒業後、金沢医科大学病院または金沢医科大学氷見市民病院もしくは本学が指定する臨床研修指定病院において臨床研修(5年間)を行うことを保護者等が同意の上確約できる者とします(入学時に確約書を提出していただきます)。
卒業生子女入試はさらに長く、臨床研修5年間+引き続き4年間の勤務で合計9年間です。
※この入学者選抜は従事要件を課す「大学独自枠」であり、「医師臨床研修マッチング協議会」から地域枠IDが交付されます。 ※離脱にあたっては「本人・保護者・本学」による三者の合意が必須となります。 ◎離脱要件:①退学、②死亡、③その他、特に大学が認めた事由
離脱要件が3つしかなく、そのうち2つが退学と死亡です。気が変わったから抜ける、は想定されていません。
さらに、出願資格の側にもこうあります。
出願要件に抵触する従事要件(自治体等の奨学金等)が課されていない者 他の自治体等による従事要件が課されており、それが本学の定める従事要件に抵触する場合は、本選抜区分に出願できません。
他の地域枠の奨学金をすでに受けている人は、そもそも出願できないということです。
研究医枠と新潟県地域枠
研究医枠(1名)は、臨床医ではなく研究医を育てるための枠です。趣旨にはこうあります。
本学で推し進めてきたがんゲノム医療、再生医療、認知症医療を、新しい診断・治療の拡大に繋げ、感染症医療も含めた臨床問題に取り組む研究医を養成し、国際競争力を向上させていきます。
出願要件は、入学後に第4学年から第6学年の間に本学の大学院の科目等履修生として共通科目を履修し、卒業後の9年間は本学の大学院で先進医療に関わる研究を行い、修了後も引き続き本学の先進医療専攻で医療・研究に携わることを確約する、というものです。
志望理由書(1,000字以内、出願時に提出)の設問はこうです。
将来の目指す研究医像について記述し、それと関連し、本学を選んだ理由、卒業後本学先進医療専攻でどのような研究活動を行いたいかを述べてください。
新潟県地域枠(2名)は、出身地を問いません。
総合型選抜(新潟県地域枠)では、出身地を問わず、将来、新潟県内の地域医療を担おうとする気概と情熱に富んだ学生を求めています。
合格して入学すると新潟県医師養成修学資金が貸与され、在学中は新潟県の「キャリア形成卒前支援プラン」、卒業後は「キャリア形成プログラム」の適用を受けて、新潟県が指定する医療機関に指定期間勤務します。
そして、この2つには併願の道があります。
※総合型選抜(AO入試又は卒業生子女入試)との併願が可能。 総合型選抜(AO入試又は卒業生子女入試)を併願し、どちらも合格圏内に入った場合は研究医枠での合格を優先します。
募集1名や2名の枠を単独で狙うのではなく、AO入試と一緒に出して、通れば枠つき、通らなければAO入試の枠で見てもらうという組み方ができます。
日程は5種類とも同じ
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| ネット出願登録期間 | 令和8年11月9日(月)9:00〜11月14日(土)15:00 |
| 出願書類提出期間(消印有効) | 11月9日(月)〜11月14日(土) |
| 第1次選抜 | 11月21日(土) |
| 第1次合格者発表 | 11月26日(木)17:30 |
| 第2次選抜(個人面接) | 12月6日(日) |
| 第2次合格者発表 | 12月10日(木)17:30 |
| 入学手続締切 | 12月17日(木)15:00 |
検定料は60,000円です。これに手数料2,000円、コンビニやペイジーで払う場合はさらに事務手数料200円がかかります。試験場は金沢医科大学だけです。
出願はネット出願ですが、登録と検定料の支払いだけでは完了しません。登録後に出願書類を郵送して初めて出願完了です。
なお合否のウェブ発表について、大学はこう釘を刺しています。
ホームページでの合否確認はあくまで補助的なものであり、読み違え等を理由とした第2次選抜の欠席及び入学手続期間終了後の入学手続は一切認めません。
2027年度の変更点
要項の「昨年度からの変更点」に、総合型選抜に直接かかわる変更が載っています。
・学校推薦型選抜(指定校・指定地域)が総合型選抜(指定地域)、学校推薦型選抜(指定校)になります。
これまで学校推薦型選抜の中にあった「指定地域」が、総合型選抜に移ったということです。氷見市長の推薦を受けて受ける枠が、区分としては総合型選抜になりました。
過去問はどこまで見られるか
大学は「入学試験問題の公表」のページで、総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜の問題の一部を掲載しています。
配点表の「問題」欄を見ると、基礎学力テストは「公表」、自己推薦書と個人面接は「非公表」です。
つまり自己推薦書の指定課題は、過去問としても見られません。準備できるのは、800字のうち1〜4にあたる部分の下書きと、時間配分だけです。
どこから手をつけるか
まず基礎学力テストです。 自己推薦書は第1次を通らないと採点すらされません。英語60点・数学60点・理科80点の200点、80分。科目ごとの基準点もあります。公表されている過去問を早めに解いて、どの科目が基準点を割りそうかを把握します。
次に自己推薦書の1〜4を800字の外で書き切ります。 医師像、志望理由、在学中の勉学目標、卒業後の臨床研修。この4つをそれぞれ150字前後で書けるようにしておき、当日は指定課題を読んでから全体を組み直すという手順にします。
建学の精神と社会的使命を先に読みます。 設問は「理解したうえで、それと関連し」と指定しています。関連づけの相手を知らずには書けません。金沢医科大学は「生命への畏敬」を基本理念、「倫理に徹した人間性豊かな良医の育成」を建学の精神に掲げ、北陸の地域医療への貢献を掲げています。
臨床研修5年間(卒業生子女入試は合計9年間)を本気で引き受けられるかを、家族と確認します。 確約書は入学時に提出し、離脱には三者の合意が要ります。他の自治体の奨学金を受ける予定があるなら、抵触しないかも先に確認してください。
推薦書の依頼を早めに出します。 1,000字程度で、「関係を明瞭に述べたうえで客観的に評価する」という条件つきです。近親者でも構いませんが、書く人に条件を伝えておかないと形式で落ちます。
研究医枠や新潟県地域枠を狙うなら、AO入試との併願を前提に組みます。 単独では1名・2名です。併願可能と明記されているので、使わない手はありません。
看護学部志望なら、学校推薦型選抜を見ます。 看護学部に総合型選抜はありません。学校推薦型選抜(公募・指定校・指定地域)が11月22日(日)、一般選抜が2月13日(土)です。
まとめ
- 金沢医科大学医学部の総合型選抜は5種類(AO入試15名/卒業生子女入試8名/指定地域1名/研究医枠1名/新潟県地域枠2名)
- 看護学部に総合型選抜はありません(学校推薦型選抜と一般選抜のみ)
- 5種類とも専願で、合格者は入学を辞退できません
- 配点は400点満点。基礎学力テスト200点+自己推薦書60点+個人面接140点
- 自己推薦書は試験当日に60分で800字程度。AO入試・卒業生子女入試・指定地域で課されます
- 自己推薦書には医師像・志望理由・在学中の勉学目標・卒業後の臨床研修・指定課題の5要素を入れます。指定課題は当日まで分かりません
- 自己推薦書の採点は第2次選抜で行われます。基礎学力テストで第1次を通らないと読まれません
- 基礎学力テストは英語・数学・理科(3科目から2科目選択)の80分。科目ごとに基準点があります
- 研究医枠と新潟県地域枠は、当日の自己推薦書のかわりに出願時提出の志望理由書が60点
- 推薦書(1,000字程度)は近親者でも書けます。関係を明瞭に述べ、客観的に評価することが条件です
- 卒業後、臨床研修5年間(卒業生子女入試は合計9年間)の従事要件を入学時に確約書で確約します。離脱には本人・保護者・大学の三者合意が必要です
- 他の自治体等の従事要件(奨学金等)が課されている人は出願できません
- 研究医枠・新潟県地域枠はAO入試または卒業生子女入試と併願できます。研究医枠はどちらも合格圏内なら研究医枠が優先されます
- 2027年度から「指定地域」が学校推薦型選抜から総合型選抜に移りました
- 日程は第1次11月21日(土)、第2次12月6日(日)。ネット出願登録は11月9日〜11月14日15:00、検定料60,000円です
- 過去問は基礎学力テストのみ公表。自己推薦書と面接は非公表です
総合型選抜そのものの進め方は総合型選抜の完全ガイド、大学別の記事は大学別対策の作り方から探せます。石川県の私立大学は北陸大学、金沢工業大学、金沢星稜大学の記事にもあります。