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獣医学部の総合型選抜・学校推薦型対策。麻布大学・日本獣医生命科学大学・酪農学園大学を要項から読む

約29分で読めます

獣医学部を持つ私立3校(麻布大学・日本獣医生命科学大学・酪農学園大学)の総合型選抜と学校推薦型選抜を、公開されている2027年度の要項に沿って整理しました。獣医学科に総合型がほぼない理由、小論文の配点、麻布大学が公開している5年分の出題例までを解説します。

獣医学部を目指す人が最初に知っておくべきことが1つあります。

獣医学科そのものには、総合型選抜がほとんどありません。

麻布大学の総合型選抜(第Ⅰ期)に獣医学科の枠はありません。日本獣医生命科学大学の総合型選抜にも獣医学科はありません。酪農学園大学の獣医学類は、総合型選抜(Ⅰ〜Ⅳ期)を実施しません。

では受けられないのかというと、そうではありません。獣医学科の年内入試は「学校推薦型選抜(専願)」に集約されていて、そこで小論文が課されます。そして、獣医保健看護・動物応用・獣医保健看護学類といった周辺学科には、総合型選抜の枠がしっかりあります。

この記事は、公開されている2027年度の入学者選抜要項・学部入学試験要項の記載をもとに、3校の構造を整理したものです。

必ず最新の募集要項で確認してください。日程・募集人員・試験科目は年度によって変わります。この記事は考え方を示すもので、要項の代わりにはなりません。 出典:麻布大学 2027年度 学部入学試験要項(PDF)/日本獣医生命科学大学 令和9(2027)年度入学者選抜要項/酪農学園大学 受験ガイド・入学試験要項

まず全体像——「総合型がある学科」と「推薦しかない学科」

3校を1枚にすると、こうなります。

大学 獣医学科(6年制) 動物看護・動物系(4年制)
麻布大学 総合型なし。公募推薦28人(学力100+小論文50+面接) 獣医保健看護15人・動物応用25人が総合型第Ⅰ期あり
日本獣医生命科学大学 総合型なし。一般公募推薦25人(小論文+基礎学力+口頭試問) 獣医保健看護学科が総合型10人(事前提出の小論文課題あり)
酪農学園大学 総合型なし。学校推薦型(基礎学力→小論文100+面接100) 獣医保健看護学類は総合型は農クラブ選抜のみ

共通しているのは、どのルートでも小論文が中心科目だということです。獣医学科では「面接だけ」「書類だけ」で決まる入試は、この3校には見当たりません。

もう1つ共通するのが専願であること。合格したら必ず入学する前提で出願します。併願の考え方は総合型と一般の併願戦略に整理しています。

麻布大学——小論文50点が、学科によってあったりなかったりする

総合型選抜(第Ⅰ期)の募集人員と日程

学部 学科 募集人員
獣医学部 獣医保健看護学科 15人
動物応用科学科 25人
生命・環境科学部 臨床検査技術学科 10人
食品生命科学科 10人
環境科学科 15人

獣医学科の枠はありません。

日程は全学科共通です。

項目 期日
出願期間 2026年9月4日(金)〜9月24日(木)<消印有効>
試験日・会場 2026年10月10日(土)/本学
合否発表 2026年11月2日(月)10時<Webのみ>
学納金等納入期限 2026年11月9日(月)
入学検定料 35,000円

臨床検査技術学科だけ、全体の学習成績の状況3.0以上という出願資格が付きます。獣医保健看護学科・動物応用科学科には評定の条件がありません。評定が伸びなかった人の選択肢については評定が低くても出せる総合型も参考にしてください。

試験科目——ここが学科でくっきり割れる

学科 小論文 口頭試問
獣医保健看護学科 50点(10:00〜11:00) 50点
臨床検査技術学科 50点(10:00〜11:00) 50点
動物応用科学科 なし 100点
食品生命科学科 なし 100点
環境科学科 なし 100点

動物応用科学科は口頭試問100点の一本勝負です。小論文がない代わりに、口頭試問の比重が2倍になります。

しかもこの口頭試問、単なる面接ではありません。要項には評価内容としてこう書かれています。

コミュニケーション能力、高校時代に主体的に取り組んだ活動等、学部学科の3つのポリシー(アドミッションポリシー、ディプロマポリシー及びカリキュラムポリシー)や大学に対する理解力、学習意欲、将来の抱負、簡単な基礎学力等

そして「簡単な基礎学力」には注釈が付いていて、『生物』『化学』『英語』から高等学校の教科書に記載されている程度の内容を問う、とあります。

つまり動物応用科学科の総合型は、教科書レベルの理科と英語を口頭で答えられるかどうかが、100点のうちに含まれている入試です。対策は口頭試問の対策にまとめました。

臨床検査技術学科の小論文には、評価の観点が明示されています。

課題の理解度と内容の妥当性、論理的構成力、医療従事者(臨床検査技師)としての適性、表現力

「臨床検査技師としての適性」が評価項目に入っている以上、答案の中身が職業観に触れていないと点が伸びない設計です。医療技術系学部の小論文も合わせて読んでください。

学校推薦型選抜(公募制)——獣医学科28人はここ

獣医学科を年内に受けるなら、実質ここです。

学科 募集人員 出願資格の評定
獣医学科 28人 現役は評定条件なし/2025年度卒の既卒は3.7以上
獣医学科(既卒者) 若干名 3.7以上
獣医保健看護学科 15人 条件なし
動物応用科学科 25人 条件なし
臨床検査技術学科 20人 3.0以上
食品生命科学科 10人 3.0以上
環境科学科 15人 3.0以上

日程は全学科共通です。

項目 期日
出願期間 2026年11月2日(月)〜11月9日(月)<消印有効>
試験日・会場 2026年11月21日(土)/本学
合否発表 2026年12月1日(火)10時

試験科目は学科でこう分かれます。

学科 内容
獣医学科 基礎学力ペーパーテスト100点(英語30/数学Ⅰ・A『場合の数と確率』のみ30/生物・化学から1科目40、会場で選択、マークシート60分)+小論文50点(60分)+面接(A〜Dの段階評価)
獣医保健看護学科 小論文50点+口頭試問50点
動物応用科学科 小論文50点+口頭試問50点
臨床検査技術学科 小論文50点+口頭試問50点
食品生命科学科・環境科学科 口頭試問100点

総合型では小論文がなかった動物応用科学科に、推薦では小論文50点がある——ここは見落としやすいところです。

数学の出題範囲が「数学Ⅰ、数学A(『場合の数と確率』のみ)」と限定されているのも特徴です。範囲が狭い分、確率で失点すると取り返しにくい設計です。

獣医学科だけの2つの特別枠

卒業生後継者特別入学試験(若干名・専願)は、出願資格がかなり具体的です。

父母又は祖父母のいずれかが本学の学部を卒業又は大学院を修了し、かつ獣医師の免許を有する

試験は基礎学力ペーパーテスト100点+小論文50点+面接(A〜Dの段階評価)で、公募推薦の獣医学科と同じ構成。試験日も同じ2026年10月10日(土)です。

地域枠産業動物獣医師育成特別入学試験(若干名・専願)は、大学に出願する前に都道府県の選考を通る必要があります。

要項に挙がっている共同負担・実施主体先は、青森・岩手・秋田・山形・茨城・新潟・石川・高知・佐賀・長崎・大分・宮崎・鹿児島の各県(2026年6月現在)。県の選考を通った者にだけ、大学がWeb出願用のパスコードを発行する仕組みです。

高知県の例として要項に載っている条件はこうです。

  • 高校3年次に1,344,740円(入学時納入金相当)、大学1〜6年次に月額180,000円の修学資金
  • 卒業後2年以内に獣医師免許を取得し、県の獣医師採用試験に合格して家畜保健衛生所等で勤務
  • 10年間従事すれば返還が全額免除

こちらの試験科目は基礎学力ペーパーテスト100点+面接で、小論文はありません。

産業動物獣医師を志すなら、高2の段階で県のサイトを見ておく価値があります。大学の出願期間(11月上旬)より、県の選考のほうが先に締まるからです。

麻布大学が公開している「小論文出題例」が、獣医小論文の教科書になる

麻布大学は要項の巻末(P.64〜P.66)に、過去の小論文出題例を学科別・年度別に公開しています。これは獣医系を目指す人にとって、他大学志望でも読む価値のある資料です。

獣医学科の出題(要旨)

年度 出題の中身
2026 気候変動と反芻家畜のメタン。温室効果ガスの約5%が反芻家畜由来という資料を示し、①気候変動が進むと家畜生産にどんな影響が出るか、②メタン産生という宿命を持つ反芻家畜の飼育をどうデザインするか。自分の考えのデメリットも書くこと。800字
2025 AIが診断・治療方針・投与量まで出す近未来の動物病院の場面を3つ読ませ、「獣医師の仕事はAIに置き換わらない」立場に立って理由を800字以内
2024 「地球温暖化は日本人の生活を豊かにする」という教授の意見に、賛成か反対かの立場を明確にして800字以内。賛否は採点に関係しないと明記
2023 多頭飼育崩壊による犬9匹の遺棄事件の記事。身近な動物愛護管理法に触れつつ、記事への意見と、防ぐために獣医師が行う行動を800字以内
2022 災害時のペット同行避難に関する新聞記事。獣医師としてアドバイスを加えるなら何を述べるかを800字以内

全部800字です。そして5年分を並べると、出題の設計が見えます。

  • 必ず「獣医師として」の視点を要求する。2022も2023も2025も、問いの中に「獣医師が」「獣医師となり」と書いてある
  • 賛否そのものは評価しない。2024は明記されているし、2025は逆に立場を指定してくる。採点対象は理由の作り方だけ
  • 社会課題を、動物と接続させる。気候変動(2024・2026)、AI(2025)、動物愛護(2023)、防災(2022)——どれも一般的な時事テーマですが、必ず動物・畜産・獣医療に落とす形で出ています

つまり、「気候変動」や「生成AI」を一般論で書ける状態では足りないということです。時事テーマの土台は生成AIをどう論じるかや気候変動への適応、食料と農業、生物多様性、災害と防災にありますが、そこから必ず一歩、動物側に踏み込む必要があります。

2026年度の獣医学科は、構造が変わっている

2026の問題は、それ以前と少し違います。

課題文が約2,000字の解説文で、しかも脚注に気象庁・農林水産省・IPCC・総務省統計局のURLが4つ付いています。反芻家畜の第一胃内微生物がセルロースを分解する仕組みまで説明したうえで、こう問います。

① 気候変動がさらに進むと家畜生産にどのような影響が生じるでしょうか。 ② 気候変動が進むのが避けられないとすれば、メタン産生という宿命を背負っている反芻家畜の飼育をこれからどうデザインしていけばよいと考えますか。ご自分の考えのデメリットもわかるように書いてください。

ここで効いてくるのが3点です。

  1. 設問が2つある。800字を①と②で配分しないといけない。①に600字使うと②が薄くなる
  2. 「デメリットも書く」が明示されている。自分の案の弱点を自分で書く。これは反論を想定して書くの技術そのものです
  3. 課題文が答えを半分書いている。「草→穀類に変えればメタンは減るが、ヒトとの食料競合が加速する」というトレードオフが本文にある。ここを無視した案は、本文を読んでいないと見なされます

対策としては、課題文の中にすでに書かれているトレードオフを、自分の案の「デメリット」として引き受けるのが最短です。

獣医保健看護学科・動物応用科学科・臨床検査技術学科の出題

同じ大学でも、学科が変わると問い方が変わります。

学科 2026年度の出題(要旨)
獣医保健看護学科 人の医療の「チーム医療」から学べる点を挙げ、獣医療におけるチームアプローチの課題と将来の可能性を800字以内
動物応用科学科 関心のある「人と動物の共生」テーマを1つ挙げ、動物応用科学科でどう学びを深め、将来どう社会に活かすかを800字以内
臨床検査技術学科 少子高齢化が進む社会で、臨床検査技師に求められる資質とは何かを800字以内

動物応用科学科は5年連続で「志望理由型」です。2022〜2026のすべてが「何を学びたいか」「どう活かすか」を問う形。これは事実上、志望理由書を800字で書き直す試験です。志望理由書 完全ガイドと800字の構成がそのまま使えます。

臨床検査技術学科も5年連続で「職業観型」です。チーム医療(2023)、高齢者に向き合う資質(2024)、信頼される技師になるために学ぶべきこと(2025)、少子高齢化の中で求められる資質(2026)。土台はチーム医療にあります。

なお、出題例のページには「食品生命科学科及び環境科学科では、全ての試験区分において小論文試験を実施しない」と明記されています。この2学科を受ける人は、小論文対策の時間を口頭試問に回してください。

採点のポイントも要項に書いてある

Q&Aの「学校推薦型選抜の学習対策について」の回答が、そのまま採点基準です。

小論文の採点のポイントは、課題の把握、論旨の展開、文章表現、誤字・脱字、文字数です。

誤字・脱字と文字数が、採点項目として明示されています。書き上げてから見直す時間を最初から確保してください(書き終わったあとの見直し)。

同じQ&Aには、面接についてもこうあります。

志望の動機、勉学意欲、将来について、言語・態度等のほかに出願時に提出した志望理由書の内容等についても質問します。学科の教育内容に則した簡単な基礎学力を問われることもあります。

書類と面接の一貫性は書類と面接の一貫性にまとめました。

もう1つ、受験生が気にしがちな点にも回答があります。

Q:合否判定に基準点(足切点)を設けていますか? A:全ての入学試験において、基準点(足切点)は設けていません。

Q:総合型選抜入学試験において、資格取得や活動内容で選考に有利なものはありますか? A:特に有利になる資格や活動内容はありません。これまでの努力の成果を申告し、その内容を、口頭試問において自己アピールしてください。

「有利な資格はない」と大学が明言している以上、検定を増やすより口頭試問で語れる中身を作るほうが得点に直結します。

ただし自己申告書(様式A)には注意書きがあり、証明書のコピーを添付していない資格は評価対象外、そして黒のボールペンで自筆と指定されています。活動報告書に書くことがない場合も参考にしてください。

日本獣医生命科学大学——出願時に1,000字の小論文を提出する総合型

日本獣医生命科学大学の総合型選抜は、他大学とかなり違う設計です。

募集人員

試験区分 獣医学科 獣医保健看護学科 動物科学科 食品科学科
総合型選抜(第1回〜第3回) — 10名(第1回のみ) 34名 14名
学校推薦型選抜[一般公募推薦] 25名 45名 30名 16名

入学定員は獣医学科80名、獣医保健看護学科110名、動物科学科100名、食品科学科45名。獣医学科は定員80名のうち25名、つまり約3割が公募推薦です。

日程

試験区分 学科 試験日 合格発表
総合型選抜(第1回) 獣医保健看護・動物科学・食品科学 10月18日(日) ※獣医保健看護は一次選考通過者のみ 11月2日(月)Web
(同上)一次選考の合格発表 獣医保健看護学科 — 10月2日(金)Web
総合型選抜(第2回) 動物科学・食品科学 12月13日(日) 12月16日(水)
総合型選抜(第3回) 動物科学・食品科学 3月9日(火) 3月13日(土)
学校推薦型選抜[一般公募推薦] 全学科 11月21日(土) 12月1日(火)

獣医保健看護学科の総合型は第1回のみで、しかも二段階選抜です。

獣医保健看護学科の総合型——一次は書類だけ、そこに小論文が含まれる

出願書類がこうなっています。

  • Web出願票・写真票
  • 調査書
  • 志望理由書及び活動報告書(本学所定用紙・様式3-1)
  • 小論文課題(1,000字以内)(本学所定用紙・様式8)※Web出願完了後に閲覧可能です
  • 資格・検定試験等の取得を証明する書類の写し

小論文を、試験会場ではなく出願時に提出します。しかも課題はWeb出願を完了しないと見られません。つまり、出願手続きを済ませてから書き始めることになります。締切から逆算して、出願を早めに済ませる以外に時間を作る方法がありません。

一次選考は、この書類だけで行われます。

(一次選考)書類審査…「調査書」「志望理由書」「活動報告書」「小論文課題」

活動報告書についての説明も要項にあります。

活動報告書は、志願者が学内外問わず実社会や実生活から問いを見出し、課題を設定し、主体的に取り組んだ活動について説明する書類であり、志願者の探究過程を評価するための資料として活用されます。高等学校における「総合的な探究の時間」で行った活動等も含まれます。

探究の書き方は探究活動 完全ガイド、事前提出型の書類は事前提出レポートの書き方にまとめています。

二次選考は5分間のプレゼンテーション+10分間程度の口頭試問。発表内容は活動報告書に書いた内容の1つ、と指定されています。

発表条件も細かく決まっています。

発表資料については、A4用紙8枚以内で3部用意し、当日持参してください。当日はボードと磁石を用意します。1部を発表用としてボードに貼り、2部は面接担当者に渡してください。電子機器を含む装置の使用はできません。

スライドではなく紙です。しかもボードに貼る前提なので、離れた席から読める文字サイズで作る必要があります。プレゼン型入試の対策も参照してください。

口頭試問には理科の基礎学力が含まれます。

理科に関する基礎学力については、高等学校の生物基礎の教科書に記載されている程度の内容について試問します。

生成AIの使用を明確に禁止している

要項にこう書かれています。

本学では、ChatGPT等の生成AIを使用し作成されたものを入学者選抜に係るいかなる出願書類等に使用することを認めません。

出願書類に小論文課題が含まれる以上、この一文は重い意味を持ちます。自宅で書く1,000字にAIを使わないという前提で設計されているということです。

一般公募推薦——獣医学科はここで小論文400字

学科 小論文 基礎学力検査 口頭試問
獣医学科 400字以内/60分 3科目90分(英語/数学Ⅰ・A/生物基礎か化学基礎を選択) あり
獣医保健看護学科 400字以内/60分 2科目90分(英語/数学Ⅰ・A) あり
動物科学科・食品科学科 600字以内/90分 なし あり

出願資格は評定3.5以上・専願・学校長の推薦(動物科学科・食品科学科は評定の数値指定なし)。

小論文の評価観点は1行だけです。

論理的思考と状況判断を行い、自らの考えを簡潔に伝える文章構築力を評価する。

「簡潔に」が効いています。獣医学部は400字。麻布の800字とは書き方が変わります。400字は、序論・本論・結論を3段落に押し込むと1段落あたり130字ほど。主張1つ・理由1つ・具体1つで終える設計にしないと入りません(400字・600字の書き分け)。

当日の時間割も公開されています。

時間 獣医学科・獣医保健看護学科
9:10〜10:10 小論文(60分)
10:40〜12:10 基礎学力検査(90分・マークシート)
13:00〜 口頭試問

朝いちばんが小論文です。基礎学力検査より先に書くので、頭が起きていない状態で60分を使うことになります。過去問を解くときも、朝の時間帯で通しリハーサルをしておくと差が出ます。

酪農学園大学——基礎学力で足切り、そのあと小論文100点・面接100点

酪農学園大学の獣医学類は、総合型選抜(Ⅰ〜Ⅳ期)を実施しません。学校推薦型選抜のみです。

獣医学類の学校推薦型選抜(すべて専願)

試験名称 出願資格の要点
指定校推薦 指定校に直接通知
一般推薦 評定3.5以上(2026年3月卒=1浪まで可)、伴侶動物獣医師・馬医療獣医師・公務員獣医師・研究者等を志望する者
生産動物医療推薦 評定3.5以上、生産動物臨床獣医師を志望する者
動物病院後継者育成推薦 評定3.5以上、2親等以内の親族が獣医師でその業を継承する意思。後継予定者確認書・戸籍謄本等・親族の獣医師免許証の写し・開設届出済証明書等が必要
農業高校推薦/農業大学校推薦 農業に関する学科で評定4.0以上、かつ6教科平均4.5以上

志望する獣医師像で出願区分が分かれるのが酪農学園の特徴です。「伴侶動物か、生産動物か」を出願の時点で選ぶ設計になっています。

選抜方法は、指定校推薦以外は共通です。

選抜項目 点数 内容
基礎学力試験 100 数学(数学Ⅰ・数学A)50点/理科(化学基礎または生物基礎)50点、60分。基準点(非公表)未満の者は不合格
小論文 100 60分800字以内。テーマの把握、論旨の展開、論証・文章量・誤字脱字・まとめ
面接 100 10分程度。志望動機・目標設定・勉学への意欲・言動・態度等
合計 200 基礎学力試験の点数が基準を満たした者のみ、小論文100点・面接100点で選抜

基礎学力試験の100点は合計に入りません。あくまで足切りで、通過したら小論文100+面接100の200点満点で勝負が決まります。

つまり、基礎学力は「落ちない程度」でよく、勝負は小論文と面接。この配点構造は、獣医系の中でもかなり珍しい部類です。

なお指定校推薦(獣医学類)は、調査書および小論文(60分)・面接試験で、基礎学力試験がありません。

日程はこうです。

試験区分 出願登録期間 試験日 合格発表
指定校推薦(獣医学類) 2026年11月1日(日)9:00〜11月10日(火)15:00 2026年11月22日(日)/本学 2026年12月3日(木)
一般推薦・生産動物医療推薦・動物病院後継者育成推薦・農業高校/農業大学校推薦・学士等推薦 同上 2026年11月22日(日) 同上

試験会場は本学・東京(立教大学 池袋キャンパス)・大阪(天満研修センター)の3会場ですが、指定校推薦(獣医学類)と地域獣医療支援特別選抜は本学のみです。北海道まで行く前提で日程を組んでください。

「課題公開型小論文」と「過去3年の課題から出る口頭試問」

獣医学類以外の学類には、他大学であまり見ない仕組みが2つあります。

1つめが小論文(課題公開型)。

試験当日に出題する課題をあらかじめ受験生サイトで公開します。試験当日は公開された課題について小論文(60分800文字以内)を記述してください。

課題を知った状態で本番を迎えます。当日は「思いつくか」ではなく「準備してきたものを60分で書けるか」が問われます。

2つめが口頭試問の出題範囲。

口頭試問は、受験する学類の過去3年間の小論文課題および当年度の小論文(課題公開型)に関連する内容をキーワードとし、その内容(知識・技能)、問題(課題)は何か(思考力・判断力・表現力)、その解決策(個人・社会)をどう考えているか(主体性・多様性・協調性)を質問します。

過去問が、そのまま面接の想定質問集になります。過去3年間の小論文課題は「2027年度酪農学園大学受験ガイド」P14に掲載されている、と要項に案内があります。

獣医保健看護学類は、この口頭試問の対象が「過去3年間の小論文課題(学校推薦型選抜)」と指定されています。

獣医保健看護学類の総合型は「農クラブ選抜」だけ

酪農学園の総合型選抜(Ⅰ〜Ⅳ期)に獣医保健看護学類の枠はなく、日本学校農業クラブ活動選抜のみ実施です。そのプレゼンテーション課題は公開されています。

「生産動物」領域における「動物看護」の必要性について、自らテーマを設定して発表を行う

犬猫の動物看護ではなく、牛・豚などの生産動物の看護を論じさせる課題です。愛玩動物看護師のイメージだけで準備していると、ここで詰まります。

他学類の事前提出レポート課題も公開されているので、獣医系志望でも読んでおくと視野が広がります。

学類 事前提出レポートの課題
循環農学類 2040年の農業を予測し、求められる技術や教育、社会制度について考えを述べなさい
食と健康学類 「食の安全」を守るために重要だと考えるポイントをあげ、現状と課題、解決策について述べなさい
環境共生学類 気候変動が生態系や野生生物に与える影響について、あなたの考えを述べなさい
農環境情報学類 情報技術は環境保全や農業のスマート化にどのように貢献できるか、具体例を一つあげて述べなさい

農学系の視点は農学部の小論文にまとめています。

獣医系小論文に出る4つの型

3校の出題を並べると、型が4つに絞れます。

型1:社会課題を動物に接続する

気候変動、感染症、AI、防災、食料。一般的な時事テーマを、動物・畜産・獣医療の側から論じさせる型です。麻布の獣医学科がほぼこれ。

書くときの手順はいつも同じです。

  1. 課題文が示している事実を1つ、自分の言葉で確認する
  2. その事実が動物側にどう波及するかを1段落で書く
  3. 対策を1つに絞る
  4. その対策の弱点を自分で書く
  5. それでもなぜその対策なのかで閉じる

4がある答案は強い。麻布2026のように明示されていなくても、入れて損はありません。

型2:獣医師・技師という職業をどう捉えているか

「獣医師の仕事はAIに置き換わらない立場で書け」(麻布2025)、「臨床検査技師に求められる資質」(麻布・臨床検査技術学科の5年分)がこれ。

ここで差がつくのは、職業の輪郭をどこまで正確に持っているかです。

獣医師の仕事は、伴侶動物の診療だけではありません。

  • 産業動物(牛・豚・鶏)の診療と、家畜の生産性を支える仕事
  • 公務員獣医師(家畜保健衛生所・食肉衛生検査所・保健所)——家畜防疫と食品衛生
  • 公衆衛生——人獣共通感染症、One Health
  • 研究・創薬——実験動物、薬事、基礎研究
  • 野生動物・動物園——保全と個体管理

この幅を知らないまま「動物が好きだから獣医師になりたい」と書くと、麻布の地域枠が産業動物獣医師のために県ごとの修学資金を用意している理由が説明できません。動物をめぐる論点は動物と人間の関係に整理しています。

型3:志望理由をそのまま800字で書く

麻布の動物応用科学科は5年連続でこれ。「何を学びたいか」「なぜそう考えたか」「どう社会に活かすか」の3点セットです。

この型で落ちる答案には共通点があります。大学案内に書いてあることを、そのまま書いてしまう。

避ける方法は1つで、自分が実際に見た・触った・調べた具体を1つ入れること。牧場の見学、保護犬のボランティア、探究で読んだ論文、飼っていた動物の病気——なんでも構いませんが、その大学のパンフレットには載っていない事実が1つ入っているかどうかで、読み手の印象は変わります(具体例の入れ方)。

型4:資料・記事を読んで意見を述べる

麻布2022・2023は新聞記事、2026は統計と図。課題文型・資料型の技術がそのまま要ります。

800字と400字を、それぞれどう設計するか

獣医系は800字(麻布・酪農学園)と400字(日獣の獣医学部)に分かれます。同じ内容を伸縮させるのではなく、別の設計図として持っておくのが安全です。

800字(4段落)

段落 字数の目安 中身
1 150 課題文の事実確認+自分の立場
2 250 なぜそう言えるか(理由・仕組み)
3 250 具体策と、その弱点
4 150 弱点を踏まえてなお、この立場を取る理由

麻布2026のように設問が2つある場合は、①に300字・②に500字が目安。②に「デメリット」まで書かせる以上、②のほうを厚くします。

400字(3段落)

段落 字数の目安 中身
1 80 立場を1文で
2 220 理由1つ+具体1つ
3 100 結論。反論への一言を添えられれば十分

400字で「複数の観点から論じる」と欲張ると、全部が浅くなります。捨てる勇気が点になる字数です。

段落の作り方そのものは段落構成の作り方にまとめています。

獣医志望が落としやすい5つの点

1. 「動物が好き」で止まる

要項に「命あるものに深い愛情をもって接することができ、相手の立場に立つ思いやりをもつ高い倫理観を有する人」(日獣・獣医学科)とあります。求められているのは愛情ではなく、愛情を倫理と技術に変換できるかです。

2. 伴侶動物しか見ていない

酪農学園は出願区分そのものが「伴侶動物/生産動物」で分かれています。麻布は県と組んだ産業動物枠を持っています。産業動物・公衆衛生の話ができないと、志望動機が薄く見えます。

3. 専願であることを軽く見る

3校とも、獣医学科の年内入試はほぼすべて専願です。合格したら必ず入学します。「とりあえず出す」ができない入試だと理解したうえで出願してください。

4. 基礎学力を捨てる

麻布の公募推薦(獣医学科)は基礎学力100点が合計に入りますし、酪農学園は基準点未満なら小論文を読んでもらえません。日獣は90分3科目。年内入試だから勉強しなくていい、は成立しません。

5. 誤字と字数を軽視する

麻布も酪農学園も、採点のポイントに誤字脱字と文字数を明示しています。書き上げた直後の3分で拾えるものを落とすのは、いちばんもったいない失点です。原稿用紙の使い方は原稿用紙・表記のルールに。

まとめ

  • 獣医学科に総合型はほぼない。年内入試は学校推薦型(専願)に集約されている
  • 麻布は総合型第Ⅰ期に獣医学科の枠がなく、公募推薦28人がメイン。小論文50点+基礎学力100点+面接
  • 麻布は5年分の小論文出題例を要項に公開している。獣医学科は全部800字で、必ず「獣医師として」の視点を要求する
  • 麻布の動物応用科学科は総合型に小論文がなく、口頭試問100点の一本勝負。ただし推薦には小論文50点がある
  • 日獣の獣医保健看護学科の総合型は、出願時に1,000字の小論文を提出する二段階選抜。課題はWeb出願完了後に閲覧可能
  • 日獣の公募推薦は獣医学部が400字/60分。麻布・酪農学園の800字とは設計が変わる
  • 酪農学園は基礎学力が足切りで、小論文100+面接100の200点満点で決まる
  • 酪農学園の口頭試問は過去3年の小論文課題から出ると明記されている
  • どの大学も専願。出願前に、志望する獣医師像まで決めておく

小論文そのものの書き方は小論文の書き方 完全ガイドに、総合型全体の進め方は総合型選抜 完全ガイドにまとめています。

医療・看護系の大学別対策は看護医療系単科大の総合型と聖隷クリストファー・東京女子医科、公立の看護系大学にあります。同じ6年制の薬学部の総合型選抜・学校推薦型対策も、専願と年内入試の考え方が近いので参考になります。理系全般は情報・理工系学部の小論文を参照してください。

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