小論文が書けない。原因は文章力ではなく、この3つのどれか
手が止まるのは書く力の問題ではありません。立場が決まっていない、具体例を持っていない、設問を読み違えている。原因別に、その場で抜け出す手順を示します。
原稿用紙を前に30分手が止まる。この状態のとき、多くの人は「自分は文章が下手だから」と考えます。
ほぼ違います。書けない原因は3つしかなく、どれも文章力とは関係ありません。
まず、どれに当てはまるかを見分けてください。
| 症状 | 原因 |
|---|---|
| 1文目が出てこない | 立場が決まっていない |
| 序論は書けたが200字で止まる | 具体例を持っていない |
| 書けたが、設問とずれている気がする | 設問を読み違えている |
原因1|立場が決まっていない
最も多い原因です。書く内容が決まっていないのに、書き出しの表現を探しているから手が止まります。
抜け出し方
立場は「正しそうな側」ではなく、書ける材料を持っている側で決めてください。
賛成と反対、どちらの立場で具体例を1つ挙げられるか
これだけで決めます。3分以内に。
小論文で評価されるのは立場そのものではなく、根拠の質と反論の処理です。同じ問題で賛成の答案と反対の答案を並べても、評価は変わりません。迷っている時間だけが、はっきり損になります。
それでも決まらないとき
条件をつけて限定してください。
賛成/反対 → 「〜という条件のもとでは賛成だが、〜の場合には慎重であるべきだ」
これは逃げではありません。現実の問題は条件で答えが変わるので、条件を明示できる答案のほうがむしろ評価されます。ただし条件は1つに絞ってください。2つ以上つけると論が散ります。
原因2|具体例を持っていない
序論は書けたのに本論で止まる場合、これです。
「地域医療の問題は深刻である」まで書いて、その次が出てこない。抽象的な主張だけでは、字数は絶対に埋まりません。
抜け出し方は「逆引き」
具体例は、記憶の中から探すものではありません。主張から逆に引きます。
- 自分の主張を一文で書く
- 「これが正しいとしたら、どんな場面で確かめられるか」と問う
- その場面に、自分が関わったことがあるかを探す
- なければ、見聞きしたことでよい
たとえば「地域医療には移動手段の支援が必要だ」なら、確かめられる場面は「通院に困っている人がいる場面」です。そこで初めて、祖母の通院に付き添った経験を思い出せます。
「何か具体例はないか」と漠然と探しても出てきません。探す場所を主張から決めるのが先です。
手順の詳しい形は小論文の具体例の作り方にまとめました。
日常の棚卸しを先にやっておく
本番で思い出すのは難しいので、練習の段階で紙に書き出しておきます。
- アルバイト・部活・委員会で見たこと
- 家族の仕事や通院で気づいたこと
- 住んでいる地域で変わったこと(店、バス、学校)
- 自分が利用者・当事者だった場面
ニュースで見た事例より、自分が居合わせた場面のほうが答案では強く働きます。他の受験生が書けないからです。
原因3|設問を読み違えている
書けたのに手応えがない場合、ここを疑ってください。
よくあるずれは3種類です。
| 設問 | 求められていること | ありがちなずれ |
|---|---|---|
| 「あなたの考えを述べよ」 | 立場と根拠 | 感想を書く |
| 「〜について論じよ」 | 論点の提示と検討 | 説明で終わる |
| 「筆者の主張を踏まえて」 | 課題文への応答 | 課題文を無視して自論 |
抜け出し方
設問を自分の言葉で一文に言い換えてから書き始めてください。
原文:情報化社会における個人の責任について、あなたの考えを述べなさい。 言い換え:情報が広がるとき、誰がどこまで責任を負うべきかを決めて、その理由を書く
言い換えられない設問は、まだ理解できていません。言い換えに2分使ってください。書き直すよりはるかに安い投資です。
課題文つきの場合、読みながら論点をつかむ方法は課題文への線の引き方へ。
「知識がないから書けない」は多くの場合、誤診
「そのテーマを知らないから書けなかった」という感想はよく聞きますが、実際には原因1か2であることがほとんどです。
小論文は知識を問う試験ではありません。知らないなりに、条件を整理して立場を決められるかを見ています。
ただし、頻出テーマの対立軸を知っていると立場が決めやすくなるのは事実です。分野別の対立軸は完全ガイドの頻出テーマ一覧からたどれます。
試験中に止まったときの応急処置
本番で手が止まったら、順に試してください。合計10分で抜けられます。
- 設問を紙の端に一文で言い換える(2分)
- 具体例を持っているほうの立場に決める(3分)
- 段落の1文目だけを4つ書く(5分)
- 私は〜と考える。
- なぜなら〜だからだ。
- たとえば〜という場面があった。
- たしかに〜という見方もある。しかし〜
この4行が並べば、あとは間を埋めるだけです。完璧な構成を待たずに書き始めてください。残り時間の半分を切って白紙なのが、最も危険な状態です。
まとめ
- 書けない原因は3つ。文章力ではない
- 1文目が出ない → 立場が決まっていない。書ける材料がある側を3分で選ぶ
- 決まらないなら条件をつけて限定する。ただし条件は1つ
- 200字で止まる → 具体例がない。主張から逆引きして探す
- 具体例は練習段階で棚卸ししておく
- 手応えがない → 設問を読み違えている。自分の言葉で一文に言い換える
- 本番で止まったら、段落の1文目だけを4つ書く
形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。