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小論文の頻出テーマ|死生観と看取り。どこで最期を迎えるか

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看護・医療・福祉系で頻出。その人らしい最期を、で終わる答案が大半です。誰がそれを決めるのか、場所の選択、語ることの難しさという3つの軸から論じる方法を示します。

看護・医療・福祉・心理系で頻出です。扱いを誤ると答案が薄くなるため、書き方に注意が要ります。

多くの答案は、ここに着地します。

その人らしい最期を迎えられるよう、支援していくことが大切である。

反対する人はいません。そして、「その人らしい」を誰が決めるのかが書かれていません。

なお、判断の主体をめぐる議論は生命倫理、説明と理解のずれはインフォームド・コンセントにまとめました。ここでは最期をどう迎えるかという側面に絞ります。

出発点:本人が語っていないことが多い

「本人の希望を尊重する」という前提には、本人が希望を語っているという条件が隠れています。

実際には、語られていないことのほうが多い。理由は明確です。

  • 元気なうちに話す機会がない
  • 話そうとすると「縁起でもない」と止められる
  • 自分がどうしたいか、決めていない

そして、語られなかった希望は、家族が推測することになります。「本人ならこう言うだろう」という推測が、本人の意思として扱われる。

この推測と本人の意思のあいだにある溝を書けるかどうかが、答案の水準を決めます。

3つの対立軸

軸1:どこで迎えるか

住み慣れた家か、医療設備のある場所か。この選択には、本人の希望だけでは決まらない条件が絡みます。

望まれる理由 成り立つ条件
自宅 慣れた場所、家族と過ごせる 支える人がいる、訪問の体制がある
病院 対応が早い、家族の負担が軽い 病床がある
施設 専門の人がいる、生活の場に近い 費用、空き

希望が同じでも、条件が違えば実現できる人とできない人が出ます。「自宅で最期を」という方針は、支える人がいる家庭を前提にしているという指摘ができると、論が具体的になります。

介護を担う人の条件は介護と高齢者ケアにまとめました。

軸2:語ることと、避けること

踏み込める軸です。

事前に話しておけば、推測に頼らずに済みます。しかし、話題にすること自体が避けられます。

  • 本人が元気なうちに切り出すのは、縁起でもないと受け取られる
  • 話し合いを持ちかけること自体が、相手を追い詰めることがある
  • 一度決めても、状況が変われば気持ちは変わる

「話し合っておくべきだ」で終える答案は、なぜ話されないのかに答えていません。避けられる理由に踏み込めると、他の答案と差がつきます。

軸3:残される人の時間

見落とされがちですが、看護・福祉系ではここが要です。

本人にとっては終わりですが、家族の生活はその後も続きます。

  • あのとき別の選択をしていれば、という思いが残る
  • 決めたのが自分だった場合、その重さを引き受け続ける
  • 看取りのあとの生活が、しばらく成り立たなくなることがある

支援の対象は本人だけではないという視点を書ける受験生は多くありません。

使える具体例

身近な経験で十分です。大きな出来事である必要はありません。

  • 家族が入院したときの、家族間の話し合い
  • 祖父母が自分の希望を口にした/しなかった場面
  • 法事や墓参りのときに交わされる会話
  • 飼っていた動物との別れ
  • 高齢の家族と、将来の話をしようとしてやめた経験

「話そうとしてやめた」という経験は、軸2に直結する強い材料です。なぜやめたのかを書けば、それがそのまま論拠になります。

よくある失敗

「尊厳」を定義せずに使う

便利な語ですが、中身を書かないと何も言っていないことになります。何が守られている状態を尊厳と呼ぶのかを、自分の言葉で書いてください。

延命の是非だけを論じる

設問が限定していない限り、是非の二択に絞ると論点が狭くなります。誰がどう決めるのか、決められないときどうするのかまで広げてください。

感動的に書く

美しい話としてまとめると、論述ではなく作文になります。感情を書く必要はありません。事実と判断を書いてください。

宗教や死生観の一般論に流れる

「日本人の死生観は」という書き方は、根拠のない一般化になりがちです。触れるなら、自分が見た範囲に限定してください。

医療者の視点だけで書く

支える人、残される人の視点が抜けると、看護・福祉系では狭いと見られます。

論じ方の一例

私は、最期の迎え方をめぐる支援で先に必要なのは、本人の希望を確かめることではなく、希望を語れる場面を作ることだと考える。(立場) 希望は、聞かれた時点で用意されているとは限らない。多くの人は考える機会がないまま状況を迎え、結果として家族が推測することになるからだ。(理由) 私の祖父が入院したとき、家族のあいだで治療の方針をどうするかという話になった。誰も祖父本人から希望を聞いたことがなく、「たぶんこう言うだろう」という推測で話が進んだ。祖父は話せる状態だったが、誰も本人には聞かなかった。(具体例) たしかに、本人に直接尋ねることは負担になりかねず、周囲が配慮して避けるのには理由があるという見方もある。だが、避けた結果として決めるのは周囲であり、その重さは決めた人に残り続ける。尋ねないという配慮は、誰の負担を軽くしているのかを考える必要がある。(反論への応答)

まとめ

  • 「その人らしい最期」を誰が決めるのかを書く
  • 本人が語っていないことが多い。語られなかった希望は推測される
  • 軸1:場所の選択は、支える人がいるかどうかの条件に左右される
  • 軸2:話し合うべきだ、で終えない。なぜ話されないのかに踏み込む
  • 軸3:支援の対象は本人だけではない。残される人の生活は続く
  • 具体例は「話そうとしてやめた」経験が強い
  • 尊厳の定義なし、延命の二択、感動的な締め、死生観の一般化は避ける

形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。

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