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小論文の頻出テーマ|エネルギーの選択。3つは同時に満たせない

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工学・環境・政策系で頻出。再生可能エネルギーを推進すべきという理想論で終わる答案が大半です。安定・費用・環境負荷のどれを諦めるかという選択として論じます。

工・環境・政策・経済系で頻出です。環境問題の一部として出題されることもあります。

答案は、ほぼ一つの型に集まります。

原子力発電には事故の危険が伴う。今後は再生可能エネルギーを推進していくべきである。

方向としては誰も否定しません。しかし、なぜまだそうなっていないのかに一言も触れていない答案は、検討したことになりません。

出発点:3つを同時には満たせない

エネルギーの議論は、次の3つの要求で成り立っています。

  1. 安定して供給できること(必要なときに必要なだけ)
  2. 安く手に入ること(家計と産業が負担できる)
  3. 環境への負荷が小さいこと

この3つを同時に満たす手段は、いまのところありません。

だから、この問題は「どれが正しいか」ではなく、どれを、どこまで諦めるかの選択です。この形に置き直せた時点で、答案は他と分かれます。

主な手段 安定 費用 環境負荷
火力 満たしやすい 燃料価格に左右される 大きい
原子力 満たしやすい 事故と廃棄物の費用が見えにくい 稼働中は小さい
太陽光・風力 天候に左右される 下がってきたが変動する 小さいが設置の影響はある

表を丸暗記する必要はありません。「どれかを取ればどれかを諦める」という構造だけ持っていれば書けます。

3つの対立軸

軸1:安定供給と環境負荷

天候で発電量が変わる手段の割合を増やすほど、足りない時間帯を埋める仕組みが要ります。蓄える設備を作るか、いつでも動かせる発電を待機させるか。

つまり、再生可能エネルギーを増やすことは、それだけでは完結しません。この点に触れられるかどうかが最初の分かれ目です。

軸2:費用を誰が負担するか

「多少高くなっても環境のためなら」と書く答案は多い。しかし、その負担は全員に同じようには効きません。

電気代の上昇は、収入に対する割合で見れば、収入が少ない家庭ほど重くなります。環境のための負担が、生活の余裕がない人に最も重くのしかかるという構造は、格差のテーマと同じ形です。格差と再分配、環境と経済も合わせて読むと軸が立てやすくなります。

さらに、発電所が置かれる地域と、電気を使う地域はしばしば別です。利益と負担の場所のずれも、ここに含まれます。

軸3:集中と分散

大規模な発電所に集めるか、小規模な設備を各地に置くか。

集中は効率がよく管理も容易ですが、一か所が止まると広い範囲が影響を受けます。分散はその逆で、非常時に強い一方、費用と手間がかかります。

災害の多い地域という条件を入れると、この軸は一気に具体的になります。災害と防災の視点が使えます。

使える具体例

専門知識は要りません。生活の側から書けます。

  • 電気代の請求額が上がり、家で話題になった
  • 停電を経験して、何が使えなくなったか
  • 近所の休耕地や斜面に太陽光パネルが並ぶようになった
  • 夏や冬に節電の呼びかけを見た
  • 実家の暖房を、何で動かしているか
  • 部屋の照明を消して回るようになった理由

「環境のために」と「家計のために」が同じ行動になっている場面は、書きやすく、しかも軸2に直結します。

よくある失敗

原子力の是非だけで書く

設問がそう限定していない限り、エネルギー全体の設計として論じてください。賛否だけを述べると論点が狭くなります。

「省エネを心がけるべき」で終える

個人の心がけは、必要ですが結論にはなりません。需要をどう減らすかを仕組みとして書いてください。

技術の進歩に期待して終える

「今後の技術革新に期待したい」は、判断の先送りです。いまある選択肢の中で決めるのが設問の趣旨です。

海外の例を安易に持ち出す

「欧州では再生可能エネルギーの比率が高い」を使うなら、なぜ可能なのか(近隣国と電力をやり取りできる、地形や風の条件が違う)まで書いてください。前提が違えばそのまま比較できません。

論じ方の一例

私は、エネルギーの選択で優先すべきは、費用の負担が誰に集中するかだと考える。(立場) 安定供給と環境負荷はどちらも重要だが、この2つは技術と時間である程度改善できる。一方、負担の偏りは制度で設計しない限り自動では直らず、放置すれば生活に余裕のない家庭ほど重くのしかかるからだ。(理由) 昨年、我が家の電気代が前年より大きく上がった時期があった。母は暖房の設定温度を下げ、使う部屋を一つにまとめた。同じ請求額でも、家庭によって意味する重さがまったく違うことを、そのとき初めて実感した。(具体例) たしかに、費用を抑えることを最優先にすれば、環境への負荷が大きい手段に戻ることになりかねない。だが、負担の偏りに手を打たないまま費用の上昇を続ければ、その政策自体が支持を失って続かなくなる。環境を優先するためにこそ、負担の配分を先に設計する必要がある。(反論への応答)

まとめ

  • 安定供給・費用・環境負荷の3つは同時に満たせない。何を諦めるかの選択として書く
  • 「再生可能エネルギーを推進すべき」だけでは、なぜまだそうなっていないかに答えていない
  • 軸1:天候に左右される手段を増やすなら、埋める仕組みがセットで要る
  • 軸2:費用の負担は全員に同じようには効かない。地域間のずれもある
  • 軸3:集中と分散。災害という条件を入れると具体的になる
  • 具体例は電気代・停電・太陽光パネルの風景など生活の側から
  • 原発の賛否だけ、省エネの心がけ、技術への期待、海外の単純比較は避ける

形式別の解き方・練習方法を含む全体像は、小論文の書き方 完全ガイドにまとめています。

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